夜のコンサート会場の下見も兼ねてアルスター湖の西岸へ。聖ヨハニス教会というところで行われるのである。車を停めてブラブラする。昼食は教会の近くのイタリアン・レストランにフラッと入ってみることにした。
またキノコです、すみません。「フェットチーネ・フンギ」という言葉にひかれてしまいました。例の、今が旬の Pfifferlinge のクリームソースで和えたフェットチーネにパルミジャーノ・レッジャーノとルッコラがのっています。パスタのゆで具合もいい感じ。なかなか当たりでした。ところで、このまわりにはイタリアンのお店が何件かあるんだけどちゃんと商売できているのかな。余計な心配ですが。
このお店から東に歩いていくとアルスター湖にぶつかるのであるが、そこにアルスター公園がある。広々としているし、木陰はあるし、湖は近いし、ベンチに座って、ボーッとしているだけでかなり幸せになります。
あわよくばコンサートの開演までこのあたりでウダウダしていようかと思ったが、さすが3時間も4時間も時間は潰せない。いったんアパートに帰って出直すことにする。
で、再び車で聖ヨハニス教会へ。昼間に来た時より教会の近くに駐車スペースを見つけることができた。結果オーライですな。意外に早く着いてしまったので、近くのカフェでコーヒーでも飲んで時間をつぶそうと思ったら、いきなり大雨。途中まで歩いて行ったけどずぶ濡れになりそうだったので引き返す。教会の入り口で入場(開場)を待つしかない。
Zeitblenden
Hamburg
St. Johannis am Turmweg
19.07.2009 Sonntag 19 Uhr
Eriko Takezawa Klavier
Reinhold Friedrich Trompete und Leitung
Mitglieder des Schleswig-Holstein Festival Orchesters
Giovanni Gabrieli / Canzon I
Edison Denisov / Solo für Trompete
Edison Denisov / Con sordino für Trompete und Klavier
Giovanni Gabrieli / Canzon VIII
Sofia Gubaidulina / Trio für drei Trompeten
Giovanni Gabrieli / Canzon septimi toni
Galina Ustwolskaja / Sinfonie Nr. 4 »Gebet«
Giovanni Gabrieli / Canzon XV
Edison Denisov / Pour Daniel für Klavier
Giovanni Gabrieli / Canzon XXI a tre voci
Sofia Gubaidulina / Quattro
Giovanni Gabrieli / Canzon noni toni a tre cori
- エディソン・デニゾフ/トランペットのための《ソロ》
- ジョバンニ・ガブリエリ/カンツォーナ第1番《ラ・スピリタータ》
- エディソン・デニゾフ/トランペットとピアノのための《コン・ソルディーノ》
- ジョバンニ・ガブリエリ/《カンツォーナとソナタ集》よりカンツォーナ第8番
- ソフィア・グバイドゥーリナ/3本のトランペットのための《トリオ》
- ジョバンニ・ガブリエリ/《サクラ・シンフォニア》より8声のピアノとフォルテのソナタ
- ガリナ・ウストヴォリスカヤ/交響曲第4番《祈り》〜アルト、トランペット、打楽器、ピアノのための
- ジョバンニ・ガブリエリ/《カンツォーナとソナタ集》よりカンツォーナ第15番
- エディソン・デニゾフ/ピアノのための《ダニエルのために》
- ジョバンニ・ガブリエリ/《カンツォーナとソナタ集》より3声のソナタ第21番
- ソフィア・グバイドゥーリナ/2本のトランペットと2本のトロンボーンのための《クアトロ》
- ジョバンニ・ガブリエリ/《サクラ・シンフォニア》より第9旋法によるカンツォーナ
トランペットはラインホルト・フリードリヒ、ピアノはドイツで活躍されている日本人タケザワエリコさん(漢字がわからん…)、アルトはジルケ・マルヒフェルト、それ意外の管楽器と打楽器は Schleswig-Holstein Musik Festival に参加している若き演奏家たち、という面子。
期待以上に面白い演奏会であった。皆さんは緊張感のある現代音楽作品のあとに教会中に響き渡るトランペットとトロンボーンによるガブリエリの音像を想像できますか?最初の3曲はほとんどアタッカで演奏されたのですが、最初のデニゾフの作品の最後にあるトランペットの高音の吹き伸ばし、その残響の中で間髪入れずに演奏されたガブリエリを聞いた瞬間、鳥肌が立ちました。
とはいえ、なんかデニゾフの作品はピンと来ないなあ … 絶対音楽すぎるというか … ちなみに《ダニエルのために》の「ダニエル」はバレンボイムだそうです。
グバイドゥーリナの2作品は管楽器の「凶暴さ」を十二分に生かした面白い作品でした。中音域で協和している時の厳かな響き、高音域の細かいタンギングと不協和音の荒々しさ、そのあたりの金管楽器特有の表現の幅が生かされているように思いました。特に《クアトロ(四重奏曲)》の方は、トロンボーン同士、トランペット同士が向き合って吹いたり、ソロ以外の演奏者は後ろを向いて吹いたり、と音の指向性にも注意が向けられているのかなあ。
ウストヴォリスカヤ(という作曲家は今回初めて名前を耳にしました)の交響曲第4番はたった4人の演奏者による作品。ううん、「交響曲」と名付けた作曲者の意図は何となくわかった気がするが、作品として面白いかというと …
ガブリエリの作品はオルガン(タケザワさんが演奏)も参加しています。オルガンはアンティフォンの片方にのみ参加しているので、より2群のコントラストが際立つ感じでした。あと、これはルネサンス期の作品を演奏する時のコモンセンスなのかも知れないけど、強奏と弱奏でのシラブルの違い、長いパッセージと細かいパッセージでのアタックの違いが明確に区別されているのが印象に残りました。ふと、大学時代にOB/OGで編成したブラスアンサンブルで誰の作品だったっけ?を演奏したことを思い出しました。あの時のアプローチはあながち間違っていないんだなあ、と今さらながらに思ったりして。