村上春樹」タグアーカイブ

おいでませハンブルクへ(第1日目)

すっかり恒例となった「おいでませハンブルクへ」シリーズですが、今回は何回も来ている同期入社の友人たち2名、私の元上司、それからロンドンからも1名、計4名の出張者のサポートを1週間することになりました。

ということで、日本から持ってきてもらったDVDとCDと雑誌たち。(あ、1Q84 BOOK3 まだ読んでないや …)

それから、普段は会社に缶詰めでミーティングを行うことが多いのですが、今回はわりと外回りが多い日程です。朝9時に会社に集まって事前ミーティング、そのあと社外に出て、また午後に帰って来る … というパターンでした。

*****

それから、アメリカの Mosaic Records に注文していた、生産中止になったブルーノートの1500/4000番台のCDが届きました。これらはルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスタリングというわけではないんですね。だんだん、どうでもよくなってきています …

最近は、いわゆるハードバップ期から新主流派期までのクロスオーバーが特徴である4000番台よりも、素直でストレートアヘッドなジャズが聴ける1500番台の方が気に入っています。(4000番台は個性的なアルバムが多い分、全てが全て気に入るわけではないので …)例えば、今回買ったジャズ・ギタリスト、ケニー・バレルのアルバムあたりは約50年前に録音されたアルバムなのですが、そのサウンドはとてもコンテンポラリーです。

「ノルウェイの森」再読

バンド・クラシックス・ライブラリーの曲目解説も無事ブレーンに送付し、穏やかな気分で週末を過ごしています。今回の収録曲の目玉は、あなたにもあげたい組曲でしょうか。

先週から読んでいた村上春樹さんの「ノルウェイの森」を読了しました。こちらのブログエントリーのコメントにも書きましたが、この作品の冒頭は主人公が乗った飛行機がハンブルク空港に着陸する場面から始まります。読み返そうと思った理由は、単純にこの冒頭をハンブルクで読むのはどんな気分なのだろう、と思ったからです。まあ、このシーンは一瞬で終わるので別にどうということはありませんでしたが(笑)。そもそも、ハンブルクである必然性もそんなにないような気がしますし。

あと、この前読んだのがいつか全然覚えていないのですが、最初に読んだ時にはピンと来なかったので、それ以降いくつもの村上作品を読んだ後に、その印象がどのように変わるのかも興味がありました。

(以下、「ノルウェイの森」を未読で細かいストーリーを知りたくない方は読まないで下さい。)

(前にも書いたように思いますが)この時期、私は村上さんのファンだったので、「ノルウェイの森」は新聞広告で見て、書店に予約して買いました。その数年前に読んだ「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が圧倒的に素晴らしかったので、その延長を期待して読んだらちょっと期待はずれだったことを記憶しています。今ではよく言われることですが、これは村上さんが初めてリアリズム文体で書いた作品で、主人公にも初めて名前が与えられます。今になって思い返すと、たぶんそういう表層的な違和感によって、作品の細かいところまで踏み込めなかったのではないかと思っています。

さて、この小説のタイトルは「ノルウェイの森」で、もちろん、ビートルズのナンバーからの引用です。ビートルズファンには有名なトリヴィアですが、このタイトルは「Knowing she would」というフレーズを似たような語感を持つ「Norwegian Wood」に変えた、というのが定説になっています。if 節が省略された仮定法過去の用法で、しかも後に続く動詞も省略されているので、直訳すると「彼女が … だろうことを知っている」という意味ですが、以下の歌詞から、以下の内容を推測するのは容易です。

I once had a girl, or should I say, she once had me.
She showed me her room, isn’t it good, knowing she would?

かつて、僕がモノにした彼女がいて、いや、彼女が僕をモノにしたと言うべきかな
彼女が僕に部屋を見せてくれたんだ、やらせてくれそうだってわかるだろ?

(下世話な表現ですみません …)

やはり、村上春樹さんはこのことを知っていてこの作品に「ノルウェイの森」というタイトルをつけたのではないか、と私は思います。もちろん、「Knowing she would」は「Knowing she (= 直子) would (die)」(直子が死んでしまうことを知っていた)ということになります。

いや、久しぶりに読んでみると、ことのほか切ないです。全編を覆う静謐な雰囲気、その中にあって際立つ緑の明るさ、今になれば村上さんが意図的に(実験的に)こういう書き方をしたというのは知識として知っているのですが、それを知っていてもなお、この雰囲気にはのめりこんでしまいます。発売当時に読んだ時には、いままでの(羊3部作や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」)小説とは全く異質な感触を抱いたのですが、これも今になってみれば、以降の作品で展開される「あちら側」と「こちら側」の世界が、この「ノルウェイの森」でもしっかりと描かれていることを再確認できました。

実はビートルズの《ノルウェイの森》には「This bird has flown(この鳥は飛んで行ってしまった)」という副題がついています。この「鳥」が直子なのだとしたら、ジョン・レノンは《ノルウェイの森》が収録された「Rubber Soul」の次のアルバム「Revolver」に収録されている《And You Bird Can Sing》の中でこんな風に歌っています。ここまで来ると、こじつけでしょうか(笑)?

And your bird is green.
そして、君の鳥は「緑」だ。

あけましておめでとうございます

今年もよろしくお願いいたします。

今年は珍しく早く起きたので、義姉夫婦にお供して、いわゆる「ニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝大会)」を見に行く。

妻の帰省先である義姉夫婦の自宅がコースから徒歩10分くらいのところにあるので、新年の散歩がてら毎年見に行っているのだそうだ。ここはスタートして5分くらいのところなので、ランナーがばらけていない。集団となってあっという間に通り過ぎていく。

そういや、足かけ2年で読んだ本。

走ることについて語るときに僕の語ること

ランナーとしての村上春樹さんが書いたエッセイ。 走ることを通して、自分が老いていくことを冷静に分析/洞察しているように思える。 最近、漠然と人生の折り返し地点を過ぎているような気分になっている私にとってはかなり身につまされる。

妻の実家から私の実家へ移動。

今年は日本海側は雪が多いと聞いていたが、国境(「こっきょう」じゃないよ、「くにざかい」だよ)の長いトンネルを出たとたん、新幹線の車両内で一斉に「おー」という声があがった。降り続く雪で景色も見えない。

うちの実家は海沿いなので越後湯沢ほど雪は降っていないが、それでも積もった雪を握って息子にぶつけることができるくらい(笑)積もっていた。

めくらやなぎと眠る女

「めくらやなぎと眠る女」は村上春樹さんの初期の短編。 「蛍・納屋を焼く・その他の短編」という短編集に収録されている。私は長い間このタイトルを「めくらうなぎと踊る女」だと思い込んでいて、頭の中に妙なイメージが浮かんでいたのだった ….. という話はどうでもよくて …..

Blind Willow, Sleeping Woman

「Blind Willow, Sleeping Woman」というタイトルの短編集が今年の7月に英語圏の国々で発行された。日本版にはない独自の編集がされた短編集としては「The Elephant Vanishes(象の消滅)」に続いて2作目となる。(「象の消滅」はその後逆輸入されて日本語版が出た)

久しぶりにオークションサイトを眺めていると、この本にプレミアがついて大変な様子である。

まず、限定1000部の豪華装丁本がある。1冊ごとに著者である村上さんのサインが入っている。それだけならばまだいいが、通常の初版本でも85冊だけサインが入っているものがあって、そちらは豪華装丁本より高い値がついているようだ。

もうちょっと早く気付いていればもうちょっと安い値段で買えたのになあ …..

幸宏さんとか(今日買ったもの)

新青年 [DVD]

薔薇色の明日

WILD&MOODY

tIME aND pLACE

四月の魚

新青年 [DVD]

高橋幸宏ライブ 1983 ボーイズ ウィル ビー ボーイズ [DVD]

YMO散開前後にリリースされた幸宏さんのソロアルバム。この時期の幸宏さんはリアルタイムでは聞いていなかったので修行します。

cure jazz

菊地成孔さんの名前を最近よく聞くのだが、作品自体は聞きあぐねていた。UA とのコラボレーションをリリースしたということなので買ってみようと思ったしだい。

EPIC YEARS THE SINGLES 1980-2004

佐野元春の EPIC 時代のシングルを集めたベストコレクション。12 インチでリリースされたものは除くということなので《クリスマス・タイム・イン・ブルー》とかは入っていないのかな。残念。アルバムバージョンと微妙にミックスが変わっていたりして面白い。

シンビオシス -長生淳 トランペット協奏曲集-

長生淳さんのトランペット協奏曲《シンビオウシス》の管弦楽版が収録されているというので買ってみた。よく見ると DVD オーディオと通常の CD の2枚組。うちでは DVD オーディオが再生できる環境であるにも関わらず 192 kHz サンプリングのオーディオソースがなかったので、その真価を体験できずにいた。このアルバムで聞き比べができるかな。

来週から出張するので飛行機の中での読書用の本を探す。

武満徹―その音楽地図 PHP新書 (339)

はじめての『指環』―ワーグナー『ニーベルングの指環』聴破への早道 (オン・ブックス21)

キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション)

実は4月にドイツに行った時にもこの本を持っていったのだが、5ページくらい読んだところで寝てしまい、その本を飛行機の中に置いてきたしまったのである。リベンジ。

今日の積志ウィンドアンサンブル

午前中、髪の毛を切りに行く。 本当に髪の毛を切ってもらっている時くらいしか本を読めない今日この頃。

村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。 (PHP新書)

三島作品はほとんど読んだことがないので、表題のような筆者の考察の妥当性は評価できないのだが、解読の手法として面白いことは面白い。さすがに全てを鵜呑みにすることはしないが「解読とこじつけは紙一重である」ということを意識させられる。

そういえば、その昔、マーラーの交響曲の系譜とショスタコーヴィチの交響曲の系譜の類似性を指摘する作曲者がいた。最初に古典的な構成を持った曲を 書いて、声楽を使って、純音楽に戻り、大規模な作品を書いて、最後はまた純音楽に戻る、という流れが似ているというのである。これはそれなりに納得すると ころがあったのだが、そのあとでマーラーの交響曲とワーグナーのオペラを比較した時には「さすがにそれは無理があるだろう」と思った。

*****

積志ウィンドアンサンブルの練習はジェイガーの《交響曲》の合奏。

部分部分をチェックして、全曲を通して終わろうと思ったら全然時間が足りない。 「漫然と通すよりは本当に集中してやった方がいい」と途中で判断して、チェックポイントのチェックだけにした。部分部分を取り出すとうまくいくのだが、20分以上音楽を積み重ねて到達した時にちゃんとベストの演奏ができるかどうかが課題である。集中力を失ったときのちょっとしたミスで流れががらっと変わってしまう危険性についてはサッカー日本代表が身を持って示してくれたし :-P。

伊藤康英さんが浜松交響楽団の創立30周年のために書いたファンファーレの楽譜と参考演奏CDを入手。

街中へ

最近、郊外型店舗が増えたために人が来ないと言われている浜松市の中心部であるが、ここ数日で人が集まりそうな商業施設がいくつかできた。それを見に行くというわけではなかったのだが浜松駅周辺に出かけた。

まずは浜松べんがら横丁が3月3日にオープンした。ラーメンと焼き鳥をテーマにした13店。こういう新しいものに群がるのは浜松人の習性なので最初のうちはかなり混んでいる。もう少し落ち着いてから行ってみよっと。しかし、わりとお洒落な感じの「UP-ON」というモールができたのもそんなに昔のことではないような気がするのだが、その隣りに全く違うコンセプトのものを作ってしまうあたりが何も考えていないような気がするなあ …

3月10日には浜松駅ビル「MayOne」の地下食品街がリニューアル。ちなみにこの駅ビルは5月1日に開業したから「メイワン」という名前がついているのだそうだ。その地下だから、新しくできた食品街の名前は「MayBOne(メイビーワン)」。「成城石井」が出店したのがポイント。

3月11日にはヤマハミュージック浜松店の新ビルがオープン。8階建てで、最上階にはちゃんとしたコンサートホールもできた。今までフロアが分かれていた CD/DVD と楽譜・書籍を一緒くたにまとめて並べているのが斬新といえば斬新な配置かも。人が多くて身動きしにくかったのと、売り場の配置をまだちゃんと把握していないのでこの売り方が合理的かどうかはまだ判断できない。

これらの相乗効果で、なるほど街中にはかなりの人が出ていた。

*****

村上春樹さんが原稿流出事件について書いている「文藝春秋」2006年4月号を購入。そういえば、小説などに限らず楽譜などもそうなのであるが、PC 上で「書く」スタイルが主流となってしまったからには、今後おそらく生原稿というものは存在しなくなってしまうのだろう。

ついでに「BRUTUS」No.59「動物園に来てみない?」も購入。

東京奇譚集

最近、ゆっくり本を読めるのは髪の毛を切ってもらっている時間くらいかなあ。

横山光輝版「三国志」もいい調子で再読していたのだが、息子の妨害行為が激しくなってきたのでいつの間にか中断してしまった。また最初から読まないと訳が分からなくなってしまうなあ。

東京奇譚集

というわけで、村上春樹さんの最新刊を持って行くことにした。 まだ全部を読んだわけではないのだが、個人的には村上作品は長編よりも短編の方が心に響くような気がする。特に「ねじまき鳥」あたりからの長編の空想的な世界観に多少の違和感を感じてしまうのである。

この「東京奇譚集」はタイトルの示す通り、日常の隣にあるちょっとした非日常感がじわじわと、しかし深く染み込んで来る。遥か昔に「回転木馬のデッドヒート」(未だにこの短編集は大好きである)を読んだときにも同じような感覚を覚えた。

で、いつも髪を切ってもらっている美容師さんがこの本を見つけて一言。

「やっぱり、最高傑作は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』ですか?」

この「やっぱり」という言葉に一瞬ドキッとした(この人、私のブログを見ていたのかなあ、と思った)のだが、この方の奥さんも熱烈な村上春樹ファンで、やはり「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」がいちばん好きだということらしい。

身近に似たような村上春樹ファンを見つけてちょっとうれしい。

あそこのアッコちゃん

髪の毛を切りに行く。カットされている間に読んだ本。

ふしぎな図書館

ごく初期の短編集「カンガルー日和」に収められていた「図書館奇譚」の改作に村上作品ではおなじみの佐々木マキによるイラストを加えた絵本。図書館、羊男、ドーナツという、これまた村上作品ではおなじみのモチーフが散りばめられている。同じコンビによる「羊男のクリスマス」を思い出す。

(そういえば、「羊男のクリスマス」は1985年のクリスマス・イヴに買ったんだった。懐かしいなあ …..(遠い目))

「図書館奇譚」は読んだはずなのだが全然覚えていない。読み直すべし。

*****

そのあと、最近浜松にできたらしい「浜松鑑定団」というリサイクルショップをのぞいてみる。こういう新しいものに群がるのは浜松人の特質。やたら人がたくさんいる。

あそこのアッコちゃん

CD は基本的にレンタル落ちなどの中古が多いのであるが、こういうデッドストック品もあった。アッコちゃんの初期5アルバムからのピックアップと、CD初収録の《行け柳田》のシングル・ヴァージョンとそのB面を集めたベスト盤。ジャケットは玖保キリコ。

*****

一足早く、GODIVA のトリュフと、Veuve Clicquot-Ponsardin のイエローラベルをいただく。美味。チョコレートを食べながら飲むにはこのくらいドライな方がよい。