追悼:上浪渡さん

元NHKディレクターで音楽評論家の上浪渡さんが亡くなられた。

高校生の頃、確か日曜日の夜11時くらいから放送されていた「現代の音楽」という番組で私は初めて現代音楽というものに触れたのであるが、この時に案内役をされていたのが確か上浪さんだったと記憶している。もはや、オープニングに使われていた「六声のリチェルカーレ」(バッハ=ウェーベルン)以外そこでどんな音楽が放送されていたのかまったく覚えていないのであるが、寝る前のひととき、明かりを落とした部屋の中でヘッドフォンで聞く得体の知れない音楽と上浪さんの穏やかな語り口から、未知の世界へ漕ぎ出してゆく静かな興奮を得ていたことははっきりと覚えている。

この時は上浪さんがどういう経歴を持つ人か知らなかった(し、特に知ろうとも思わなかった)のであるが、近年、書籍「電子音楽・イン・ジャパン」やCD「音の始原を求めて−塩谷宏の仕事−」でようやくその業績を知った次第である。

私の思考/嗜好に少なからず影を落としている方として、その業績を称えご冥福を祈りたい。合掌。

1 thought on “追悼:上浪渡さん

  1. Ikenaoto

    貴重な記録を残していただき有難うございます。上浪先生は80年代に非常勤で大阪芸大の教壇に立っておられたことがあります。「音楽の話なんてえのは、酒でももって来て話した方がいいんだよう」とべらんめえ口調の講義で人気がありました。番組での語り口からは想像がつかなっかったので、すごく印象に残っています。17年も経ってからお亡くなりになっていたことを知り、寂しい思いがしています。

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