月別アーカイブ: 2009年12月

雪豹との戦い(&データベース更新しました)

なんとなく微熱が出て、なんとなく寒気がしてなかなか眠れませんでした。インフル予防接種の副作用かなあ?基本的には部屋でまったり過ごそうと思ったのですが …

よせばいいのに、昨日コンサートから帰ってきてから(ほとんど午前零時近くですね)Snow Leopardのインストールを始めてしまいました。ドイツで買っても、すぐに日本語版がインストールできるのがMac OS Xのいいところですね。(Windows はいまだにXPを使っているので最新状況は知らないのですが、ドイツでもすぐに日本語版を買えるんですかね?)

まあ、インストール自体は1時間ほどで完了したのですが、ネットワークがつながらなくなってしまいました。(BootCampで起動した)Windowsではつながるのになんでかなあ?というところで昨日は終了。こまごました家事を終わらせてからまた復旧作業です。

どうもDNSを正しく引けていない様子。また、ネットでいろいろ調べてみるとSnow LeopardではIPv6を優先的に使うようになっているのだとか。この2つが関連しているかどうかはわかりませんが、とりあえずネットワーク設定でIPv6を使わないようにして、OpenDNSというネームサーバーを明示的に指定してやったら、どうにかネットワークが開通しました。

その他にもMac標準のPHPがヴァージョン5になっていたためにMySQLをインストールし直し、cakePHPの設定をちょこっと変えて、などなどMac上でのホームページ構築環境も少し手を入れる必要がありました。

今のところ、システムが入っているハードディスクの容量がほんのちょっと減ったような気がするくらいで、その他の新機能の恩恵にはあずかっていません。というか、種々の問題の解決に要した時間を鑑みるとまったく割に合いません …

と、長い前置きになってしまいましたが、久しぶりに全日本吹奏楽コンクールデータベースのデータを更新しました。現在、支部大会/全国大会合わせて、のべ11677団体分のデータになっています。今回は関東大会、中国大会のデータが増えています。それからメールで多くの方に訂正情報をいただきました。それぞれのお名前は挙げませんが、本当にありがとうございました。

演奏会その23: 小曽根真+NDR

Samstag, 12. Dezember 2009
20.00 Kampnagel K6

Dirigent John Axelrod
Makoto Ozone, Klavier

A HIGHWAY TO RHYTHM

Kurt Weill Suite aus de “Dreigroscheoper” – Ouvertüre, Moritat, Liebeslied, Ballade vom angenehmen Leben, Pollys Lied, Kanonen-Song
Leonard Bernstein Prelude, Fugue and Riffs
Michael Daugherty Dead Elvis
George Gershwin Rhapsody in Blue
(encore von Makoto Ozone) Three minutes waltz

(pause)

JAZZ mit Makoto Ozone und der NDR Bigband (Leitung: Jörg Achim Keller)

まさか、ハンブルクで小曽根真さんのピアノが聞けるのは思ってもいませんでした。ドイツに来た直後にチケットを買って楽しみにしていた演奏会です。てっきり Rolf-Liebermann-Studio でやると思っていたのですが、当日チケットを確認したら Kampnagel とのこと。ここはどの鉃道路線からも遠いので車で行くことにしました。以前来た時はなかなか車が停められなくて大変だったのですが、実は会場併設の有料駐車場があることに気付きました。まあ、ここに入れた方が余計な気を使わなくてすみます。

1曲目はクルト・ヴァイルの《三文オペラ》からの抜粋。管楽アンサンブルのために書かれた《小さな三文音楽》とも少し曲目構成が違っています。ヴァイルが意図したことなのかも知れませんが、弦楽が入るといわゆる「ムード音楽」っぽくなって緩くなってしまいます。個人的には《小さな三文音楽》の切れ味が好きなので、この楽譜を演奏して欲しかったような気もします。

2曲目はバーンスタインの《プレリュード、フーガとリフ》。何かに取り憑かれたかのようなテンションの高いクラリネット・ソロが素晴らしかったです。いい演奏だったのですが、どうせならビッグバンド編成のこの作品はNDRビッグバンドのメンバーで演奏した方がよかったと思います。特に「リフ」のフレージングがビッグバンドではなく、クラシックのそれだったので。

3曲目はマイケル・ドアティの《デッド・エルヴィス》。ファゴット・ソロと、ヴァイオリン、Ebクラリネット、トランペット、打楽器、トロンボーン、コントラバスという編成です。ドアティの金管+打楽器アンサンブル作品《モータウン・メタル》と、(吹奏楽にも編曲されている)《メトロポリス・シンフォニー》の終楽章《レッド・ケープ・タンゴ》を足して2で割ったような曲調です。(またしても例の)「Dies Irae(怒りの日)」をモチーフに、疾走感のあるリズムや時おり交じるロッカバラードの中でエルヴィスに扮して登場したファゴット奏者がソロを取ります。コントラバスがコル・レーニョでランニングベースを弾くのが印象的でした(途中でへたって失速してしまいましたが …)。ファゴット奏者の演技が面白くてかなり盛り上がりました。オケのメンバーも大部分が暇なわけで、ステージの端で見ながら拍手喝采していました。

4曲目が小曽根さんのソロによるガーシュウィンの《ラプソディ・イン・ブルー》。これだけ前の曲で「持っていかれる」となかなか大変かなあ、と感じたのですが、やりたいことをやりつつもエゴイスティックにならずに指揮者や奏者や聴衆の反応を見ながら「ニヤリ」とさせるようなソロで引き込んでいきました。個人的には中間部への導入の持って行き方が印象的でした。「動」のあとの「静」、あのパートであれだけ息が詰まるような緊張感が出せるのはすごいです。

“This is three minutes waltz.” と言って弾き始めたアンコールは、ショパンの《子犬のワルツ》をモチーフにしたインプロヴィゼーション。(そういえばブログにショパンを録音したようなことが書かれていました。)

休憩をはさんだあとはビッグバンドによるステージ。ううん、あまりうまくないかも。PAのせいかも知れませんがバランスが悪いです。中盤で小曽根さんが出てきてピアノ・トリオ(ベースとドラムはNDRビッグバンドのメンバー)を3曲演奏しました。演奏前の司会者のトークで小曽根さんがジャズピアノを始めるきっかけとなったのはオスカー・ピーターソンのコンサートを見に行ったから、とあったので1曲目は《Dear Oscar》、2曲目はアントニオ・カルロス・ジョビンの曲だそうですが知らない曲でした。3曲目も聞いたことがあるので小曽根さんのオリジナルだったと思います(タイトル失念)。

「席、ここでいいんだっけ?」と聞かれたことをきっかけに隣りに座っている人と話をしました。日本食レストラン「あかり」の近くに住んでいるとのこと(笑)。ふだんライスハレにNDRを聞きに行っているんだけど、Kampnagel で聞くのは初めて、と言っていましたが、小曽根さんの演奏は本当に素晴らしかったと言っていました。

夜景をどうぞ

日本人が多く住むHalstenbekのお医者さんで豚インフルの予防接種をやってもらえるという情報をいただいたので行ってきました。会社で契約している医療保険で支払われるということです。せっかくHalstenbekまで行くので(私のアパートから車で30分)ついでに急きょ不動産屋さんにお願いして、入居候補の住宅も見せていただくことにしました。今まで見た中ではいちばんデメリットが少ない物件でした。

本当は帰りにハンブルク中心部によって買い出しをしてから帰ろうと思ったのですが、HalstenbekにもスーパーマーケットのEDEKAがあるのを見つけたので、主な買い出しはここで済んでしまいました。夜からコンサートがあるのですが、珍しく今日は晴れているので、中心部でクリスマスの風景を撮影することにしました。

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ハンブルク中央駅から東にのびるメンケベルク通り(Mönkebergstraße)。遠くに見える教会は聖ペトリ教会です。

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内アルスター湖の東岸から西岸にあるHotel Vier Jahreszeitenを見たところ。このクリスマスツリーが湖の中に作られているものです。

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内アルスター湖と外アルスター湖を分けるロンバルト橋から内アルスター側(Jungfernsteig)を見たところ。

やはり一脚だとしんどいなあ(三脚は日本に置きっぱなしなので)。それからだんだん手もかじかんできたので少しブレています。ご容赦を。

ベルリン・天使の詩

人事から社員全員に通達がありました。「余っている有休は今年中に使うように。今年中に使うのが無理な場合は3月までに使う前提で予定を入れて下さい。」ということでした。すでに「計画的有休消化」に入っている人も多いようで、職場はかなり静かです。

ということで、「週に一度のカリーブルストの日」はボスとStefanと。「もし、ドイツ語を習得したいと思っているんだったら我々もヘルプしながら会話するようにするけど。」というありがたいお言葉をいただいてドイツ語の話題になりました。「習得したいと思っているんだけど、まずヒアリングが大変だし、あとはグラマー(いわゆる4つの格ですね)もなかなか理解しにくいし …」みたいな話をしたら、まず「北ドイツの人たちは単語の後半を省略するから聞き取るのが大変かもね」、ということを言われました。例えば(ごく単純な例ですが)「nicht」という単語があったら、「nich…」くらいまでしか発音しないので、話の流れから単語を予測しているのだそうです。格については「ドイツ人でも時々曖昧になるから心配しなくてもいい」と言われたのですが、これも大丈夫なのかなあ?それから、ドイツ語の単語が連結されてどんどん長くなるというのは知っていたのですが、文自体もいくつかの文が連結されて長くなっていくことがあるのだそうです。「あいつ(とあるエンジニア)のレポートは3ページくらいで一つの文になっているからなあ …」という冗談も言っていました。

まあ、だんだん聞き取れる単語の数が増えてきて、それによって内容も少しずつわかることがあるのですが、先は長いです。

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夕飯後、ワインをちびちび飲みながらDVDで「ベルリン・天使の詩」を見ました。

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]

率直な感想としては、いまいちピンと来ませんでした。前半(天使が天使であるとき)の形而上的な会話と、後半(天使が地上に降り立ったあと)のラヴストーリーのちぐはぐさが気になります。眠気を誘う(笑)前半をこらえると、いざ人間となった思いを遂げようとする(元)天使のエピソードが始まるのですが、前半の踏みしめるような緊張感に比べるとなんとも軽過ぎるように思います。加えて、いちばん最後の男女二人の会話はこの映画の本質的なところを語らせ過ぎなのではないかと。このアンバランスさも狙いなのかも知れませんが、もうちょっとまとめようがあったのではないかなあ。

もちろん素晴らしいシーケンスもたくさんあります。要所要所を締めるピーター・フォークの演技はやはり彼でなければダメだったのでしょうし、冒頭でカイザー・ヴィルヘルム教会の上に立つブルーノ・ガンツを見上げるシーンとか、まだほとんど草原だったポツダム広場でのシーンも美しいし。しかし、サーカスとはなぜ宿命的に哀しいのでしょうか。

あと細かいのですが気になった点。DVD自体はリマスターされて画質は綺麗になっているのですが、アメリカのマスターを使っているようで、冒頭でタイトルが「Wings of Desire(英題)」が出ると、ちょっとガクッときます。やはり原題(ドイツ語)の「Der Himmel über Berlin(The Sky over Berlin)」でないと。

雨の日は自宅で

一日中雨です。まあ、そんなに気温が下がらないからいいのですが、週末に予定している夜景撮影が無事できるかどうか心配です。

以前、慣れないIHコンロの火加減(茹で加減)に失敗して以来、なかなかパスタを作る気力がなかったのですが、買い物をしているうちにむくむくと意欲がわき上がってきたので、ペンネ・アラビアータを作ってみました。「作ってみました」というほどのものでもないのですが、ペンネとオリーヴオイルと買い置きのトマトソースがあったので、あとはにんにくと赤唐辛子で。乾燥唐辛子は普通のスーパーにはなかったようなので、生の唐辛子を使ってみました。長さは10cmくらいです。どのくらい辛いのかよくわからなかったので、10cmを4等分して、縦に割って種を出して … くらいで作ってみたいのですが、かなり辛かったです。私の限界値ギリギリくらいです。これ以上細かく切っていたら大変なところでした。

今回は茹で加減もばっちり。というか、スパゲッティ系よりもペンネの方がアルデンテの許容範囲というか誤差範囲が広いような気もしますが、だんだんコツがわかってきました。この間開けた白ワインと。(実は白ワインを飲みたかったのか?)

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バンドジャーナルの記事は、週頭に編集部に送付してから重大な計算ミスを指摘されて修正する羽目になってしまったのですが、ほぼ完了しつつあります。(ご迷惑かけました …)また全日本吹奏楽コンクールデータベースの入力をちまちま再開したので、年内にはどかっと更新したいと思っています。

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読みたい小説もたまっているのですが、最近ベッドに入るとすぐに眠くなるので小説は全然頭に入りません。とりあえずはもうちょっと楽に読める「M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究」を読み終わってからかなあ?

オン・ザ・ライス

今年最後の「3週間に一度のきついミーティング」も無事終了しました。

今日は夕食を作るのが面倒だったし、のども乾いていたし、お金もおろさなければいけないし、ということで久しぶりにアジア料理の店「Asia Lam」に行きました。実はこのお店の2軒隣りに口座を作った銀行があるので、お店の駐車場に車を停めてちょっとおろしに行くのに便利なのです。あまりよく把握していないのですが、こちらの銀行は基本的に24時間入出金ができるようです。そのかわり、別の銀行のATMでおろしたりすると4.75ユーロというバカ高い(今だと700円くらいでしょうか)手数料を取られます。なので、お金が必要な時は、基本的に会社の帰りにこの銀行のATMでおろしています。閑話休題。

会社からの帰り道ではタイ風カレーをイメージしていたのですが、メニューを見ていたらちょっと気が変わってカラマリのオイスターソース炒めを注文しました … が「今日はカラマリがないのでエビでいいか?」とのこと。こちらとしては全然構わないので、エビのオイスターソース炒めということになりました。

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というわけで、写真には写っていませんが、小さい茶碗に盛った白いご飯につゆだくのオイスターソース炒めをのせて食べると、なんか日本のどんぶりモノみたいでうれしいです。見にくいですが赤唐辛子も入っているし、かなりニンニクも効いているので元気になるような気がします。

… が、慣れないものを食べたせいで明け方に胃もたれで目が覚めてしまいました …

予習復習

前にも書きましたが、基本的にドイツに住み始める時にはCDを持って来ないという方針を立てました。そもそも全部持って行けるわけがないので、「仕分けが面倒くさい」「仕分けたところで持ってきて聞かないCDもあるし、持って来なくて聞きたくなるCDもあるだろう」ということで、頭に浮かんだものからできるだけMacに取り込んで日本を離れたわけです。今のところ持って来るのを忘れた(Macに取り込む時に思いつかなかった)もので激しく後悔しているのはバルトークの管弦楽作品(《管弦楽のための協奏曲》、《中国の不思議な役人》、《弦チェレ》、《かかし王子》など)くらいなので、何とかなっているのかなと。

で、ドイツに来てからも「CD買うならコンサートへ行こう」という方針で、なるべくCDは買わないようにしていたのですが、やはり予習と復習(特に予習)はしっかりやっておいた方が楽しいわけで、少しずつCD購入枚数が増えつつある今日この頃です。まあ、以前のように「所有したいCD」を買うのではなくて「聞きたいCD」を買っているので、いわゆる「未聴の山」が少ないのはいいことです。(余談ですが、読書で言うところの「積読(つんどく)」に対応する言葉ってないんですかね?)

ということで、当面予習したいと思っているのはベートーヴェンとブラームスのヴァイオリン協奏曲です。前者は意外と入手できる演奏が限られているんですね。個人的好みからクレーメルの演奏にしてみました。

Violinkonzert/Violinromanze Nr

ネヴィル・マリナーとの共演による1980年の録音。amazon.deだと5.95ユーロで買えました。例の奇天烈作曲家アルフレート・シュニトケが書いたカデンツァを弾いているということで気になっています。

111 Years of Deutsche Grammophon/Various (Coll)

ブラームスのヴァイオリン協奏曲は、この55枚組に含まれているアンネ=ゾフィー・ムターとカラヤン/ベルリン・フィルのものにしました。ドイツ・グラモフォンレーベルの創立111周年を記念して作成されたボックスです。74.95ユーロだったので今のレートだとちょうど10000円くらいですね。このレーベルのベストセラーを俯瞰できることを考えれば安い買い物なのかなと。アッバード/ウィーンフィルによるブラームスのハンガリー舞曲集とか、クライバー/ウィーンフィルによる《運命》とか、ヨッフム/ベルリン・ドイツ・オペラの《カルミナ・ブラーナ》とか、気にはなっていたものの長い間手を出しあぐねていたものをまとめて聞けるのも魅力です。幸いというか、やはりというか、手持ちのCDとのダブりはありませんでした。微妙にかすったものはありました(笑)。ミケランジェリによるドビュッシーの前奏曲集。私は同じピアニストの《映像》《子供の領分》は持っていたので。

演奏会その22: フレットワーク

Di, 08.12.2009 | 20:00
Hamburg, Rolf-Liebermann-Studio

Fretwork
Solistin Clare Wilkinson, Mezzosopran

John Joubert „The Fellowship of the Stretched String“
Peter Sculthorpe „Djililie“
Elvis Costello „Put away forbidden playthings“
Henry Purcell Fantazia No. 8
Tan Dun „A Sinking Love“
Orlando Gough „Birds on Fire II“
Michael Nyman „If“
Henry Purcell Fantazy upon one note
Barry Guy „Buzz“
Stephen Wilkinson „The Garden“,  „At the Manger“
Henry Purcell „In Nomine“ in 6 parts
Gavin Bryars „In Nomine“ after Purcell
Duncan Druce „Three Poems of Henry Vaughn“

encore:

Benjamin Britten „O Waly, Waly“

北ドイツ放送(NDR)はいろいろなジャンルの演奏会を企画しています。お抱えオーケストラである北ドイツ放送交響楽団の演奏会はもちろん、ジャズ・バンド、合唱、室内楽、家族向け(つまりは子供も聞ける)演奏会などがあります。それらの中でも異色というか独自色を出しているのが、古楽を演奏する Das Alte Werk (古い作品という意味です)シリーズと、逆に新しい作品ばかりを演奏する das neue werk(新しい作品という意味です)シリーズです。先日聞きに行ったソフィア・グヴァイドゥリーナの個展も、実は後者に属する演奏会でした。

今日行ったのは、そのどちらにも属している演奏会です。今年はヘンリー・パーセルの生誕350周年だそうで、それにちなんだ演奏会なのですが、演奏曲目をみていただくとわかるように、マイケル・ナイマンあり、タン・ドゥンあり、ギャヴィン・ブライアーズあり、エルヴィス・コステロ(!)ありということで新旧入り混じった多彩さがあります。というか、パーセルの作品以外は20世紀~21世紀の作品ばかりだったのですが …演奏は教授の最新アルバム「out of noise」に参加し、その教授が主宰するcommmonsレーベルからアルバム「The Silken Tent」もリリースしたイギリスのヴィオール演奏グループのフレットワーク、ソリストはこの「The Silken Tent」でも共演しているメゾソプラノのクレア・ウィルキンソンというメンバーです。ヴィオールはヴァイオリンの兄弟というか従兄弟というか、の古楽器で、現在ではヴィオラ・ダ・ガンバがいちばん知名度があるのかな?大小さまざまな音域のヴィオールによるアンサンブルです。

チューニングがずれやすいのか、あるいは過度のヴィブラートを使わないのでヴァイオリン属の演奏に比べてピッチのずれが目立ちやすいのか、曲間でも頻繁にチューニングをしていました。ヴァイオリン属とは違っていちばん低音の楽器が基準音を出します。(関係ないけど、「リュート奏者は人生の半分をチューニングに費やし、残りの半分をピッチの狂った演奏に費やす」というジョークを思い出してしまいました。)

さて、作品ですが、近現代のものについては、この楽器属が活躍していた時代、つまり16世紀~18世紀の作風の換骨奪胎を意図したもの、それからあくまでも自分の作風をこの編成で表出しようと意図したもの、の2種類に大別されるように思いました。マイケル・ナイマンやタン・ドゥンの作品は明らかに後者に属する作品で、どこから聞いても彼らの作品に聞こえます。ナイマンの、四分音符による和声進行に朗々とした旋律がのるところとか、タン・ドゥンの平均律にとらわれない民族楽器風の扱いとか、お得意の叫び声(笑)とか。

気にいったのはピーター・スカルソープの《Djililie》(なんて読むんだ?《ジリリエ》?)とオーランド・ガフの《バーズ・オン・ファイアII》です。前者は「換骨奪胎」の部類に入る作品で、アルヴォ・ペルトの諸作品や吉松隆さんの《朱鷺によせる哀歌》のような静謐な響きが気に入りました。後者はそれとは対照的にビートの効いたリズミカルな音楽。ときおりブルーノートを使ったメロディも聞こえます。

あとはアンコールの《O Waly, Waly》。イギリスの古い民謡を編曲したものらしいです。想像できるように、とても親しみやすいメロディなのですが、繰り返されると全く違う和声がつくのが面白かったです。

他の作品はあまりピンときませんでした。ヴィオールのアンサンブルならではの響きがあまりいかされていないというか、この編成である必然性がないというか。これらの楽器が活躍した同時代の作品をもっと聞きたかったかな、という気がします。

I SAW THE LIGHT

来るはずなのになかなか届かなかった郵便2通が届きました。

一通目は「ドイツの運転免許証ができたよ~ん」という通知。9月末に申請に行ったのですが、通常なら4週間くらいで来ると言われた通知が11月になっても届きませんでした。心配になってMonikaに問い合わせてもらったところ「今、印刷に出したところです」とのこと。ソバ屋の出前か?「12月6日になっても通知が届かないようだったら再度通知するように」とのことだったのですが、ギリギリの12月4日に届いていました。

それからもう一通は交通違反の通知書。日本ではひっかかったことがなかったオービスにひっかかってしまいました。運転者が特定されたのではなく、車のナンバーで特定されたので、車の所有者(というか借りている主体)である会社に通知が来てしまいました … 制限速度60km/hのところを18km/hオーバー、罰金35ユーロだそうです。

いや、言い訳するわけはないのですが … コンサートの帰りに道を間違えて(道路に書かれている矢印は夜になると本当に見えにくくなってしまうのです)アウトバーンに乗ってしまい、ずいぶん遠くまで行ってから引き返す羽目になってしまいました。アウトバーンは基本的に制限速度は120km/hくらいなのですが、市内に入るあたりではかなり速度制限があります。場所によってはかなり急激に減速しないといけない場合もあるようです。それにしてもアウトバーンが制限速度60km/hになるというのは考えにくいので、いつの間にか一般道路に入っていたのかも知れません。アウトバーンは、もちろん日本でいうインターチェンジみたいな感じで合流路がついている場合が多いのですが、角を曲がったらそこからアウトバーンとか、車線が変わったらそこから一般道路、みたいなパターンもあります。

今回の違反では減点はないので、罰金を必要事項(違反の照会番号など)と一緒に銀行に振り込めばそれで終わりとのことです。今後は気をつけます。

演奏会その21: ハンブルク交響楽団(その3)

Sonntag, 06. Dezember 2009
4. Symphoniekonzert     19.00     Laeiszhalle, Großer Saal
Dirigent: Philippe Jordan

Der Eroberer

Bartók Divertimento für Streichorchester
Schubert 5. Symphonie B-Dur
Bartók Konzert für Orchester

Der Eroberer(征服者)と題されたハンブルク交響楽団の今シーズン第4回目の定期公演です。第1回目は行かなかったので私自身はこのオケを聞くのは3回目ということになります。

指揮者のフィリップ・ジョルダンは、スイス・ロマンド管弦楽団を率いたアルミン・ジョルダンの息子だそうで、まだ35歳ですが主にオペラで活躍しており、今年からパリ国立オペラの音楽監督に就任しているそうです。けっこう癖のある振り方をします。

指揮者がオケをコントロールできなかったのか、オケが指揮者についていけなかったのか、非常に不満の残る演奏会でした。全般的に残念だったのが弦の合奏能力で、ヴァイオリンの高音のピッチの不安定さとか、アレグロなどのテンポの速い部分での発音の「荒れ」のようなものがどの曲でも気になってしまいました。テイトが振ったハイドンではとてもクリアな響きが聞けたのですが。

もっとも緩徐楽章でのヴィオラやチェロを中心とした響きはときおり美しいものがあって、バルトークの《弦楽のためのディヴェルティメント》第2楽章とかシューベルトの交響曲第5番の第2楽章とかはよかったと思います。

バルトークの《管弦楽のための協奏曲》は、なんか曲が漫然と流れていっただけのような印象です。この曲に限った話ではありませんが、指揮者はある意図を持って演奏者をコントロールしながら、演奏者と聴衆をある方向へ導いていく必要がある、というのが私の持論なので、この曲における近視眼的な曲の作り方はどうにも受け入れ難いです。(余談ですが、指揮者(Conductor)は「共に(con)」「導く(ducere)」人という意味です。半導体(semi-conductor)やツアーコンダクター(tour conductor)の意味もこの語源から説明できますね。)

ただ、第4楽章「中断された間奏曲」のような、曲の展開の切り替わり自体が音楽の面白さになっている場合にはこのアプローチは有効のようで、楽しめました。

フィリップ・ジョルダンはオペラなどで「スコアの深い読み」が評価されているようですが、少なくとも今日の演奏会を聞く限りでは「本当かよ?」と言いたくなるような出来でした。まあ、最初に書いたように(曲との相性も含めて)指揮者の問題なのか、オケの問題なのか、はよくわかりませんが …