月別アーカイブ: 2011年9月

演奏会その47: グバイドゥーリナ生誕80年記念演奏会

ロシア出身で現在ハンブルク在住の作曲家ソフィア・グバイドゥーリナ。彼女は10月24日に80歳の誕生日を迎える(そうよ、私はさそり座の女)。この生誕80周年を祝う記念演奏会に行って来た。

会場は同様に旧ソ連に生まれ、ハンブルクに没した作曲家アルフレート・シュニトケの名前を冠した「アルフレート・シュニトケ・アカデミー・インターナショナル」である。コンサートホールではなく、セミナールームのようなスペース。聴衆の数は150人くらいか?こじんまりとした演奏会だったが会場はとても混み合っていた。

一昨年もハンブルクでグバイドゥーリナの個展が開かれたので聞きに行ったことがある。詳細は以下のエントリーを。

演奏会その14: グバイドゥーリナ作品展(その1) 2009年10月23日
演奏会その15: グバイドゥーリナ作品展(その2) 2009年10月24日

30.09.2011, 20:00 Uhr Alfred Schnittke Academy International

“Sofias Ritter”

Vladimir Tonkha (Violoncello) und Friedrich Lips (Bajan)
zum 80. Geburtstag von Sofia Gubaidulina

Programm
Johann Sebastian Bach (1685 – 1750) Suite G-Dur für Violoncello solo
Sofia Gubaidulina (*1931) De profundis (1978) für Bajan
Sofia Gubaidulina Präludien für Violoncello solo (1974)
***
Johannes Brahms (1833 – 1897) Drei Choralvorspiele op. 122
(Transkription für Violoncello und Bajan)
Sofia Gubaidulina In croce (1979) für Violoncello und Bajan.

事前の告知とは少し曲順が代わっていた。第1部がチェロとバヤンのそれぞれの独奏曲でまとめられ、休憩後の第2部で二重奏曲が演奏された。

まずはバッハの《無伴奏チェロソナタ第1番》。チェロのヴラディミール・トンハーはグバイドゥーリナの作品を何曲もレコーディングしているようだし、ヴァイオリン奏者のギドン・クレーメルと共演したこともあるようだが、こういったシンプルな作品だとピッチの不安定さが気になる。やっぱりごまかしが効かないから難しいよなあ。

しかし、グバイドゥーリナの作品の演奏は素晴らしかった。《10の前奏曲集》は弦楽器の奏法が各曲のタイトルになっている。

  1. Staccato – legato
  2. Legato – staccato
  3. Con sordino – senza sordino
  4. Ricochet
  5. Sul ponticello – ordinario – sul tasto
  6. Flagioletti
  7. Al taco – da punta d’arco
  8. Arco – pizzicato
  9. Pizzicato – arco
  10. Senza arco, senza pizzicato

面白かったのは、まず “Con sordino – senza sordino”。一つの持続音の中でミュートされた音色と生の音色がクロスフェードする。聴衆に遮られて演奏者が見えなかったのであるが、おそらくミュートした弦とミュートしていない弦があって、それらの弦で同じ音高の音を出しながら徐々に弾く弦を変えていったのではないかと推測する。

それから、arco → pizzicato による楽想を繰り返したあとでの最終曲 “arco ではなく、pizzicato でもなく”。どんな奏法なのだろう?と思ったら、ギターでいうレフトハンド奏法(左手の指で指板を強く叩いて音を出す)とか、右手で弦をかき鳴らすようなことをやっていた。

バヤンは、バンドネオンやアコーディオンと同じような構造の楽器である。どの楽器も構造をよく知っているわけではないのだが、バヤンは両手で旋律を奏でることができるようだ。バンドネオンは両手のボタンの組み合わせによって音を出しているし(ですよね?)、アコーディオンは基本的に右手が旋律で左手が和音を操作するものだと理解している(ですよね?)ので、バヤンのように明確に2つの旋律線が対位的に演奏されるのは、なかなか耳に新しい。

*****

グバイドゥーリナの作品はよく前衛的と言われる。確かに今回の演奏曲でも、バヤンではいわゆる「クラスター」がよく使われているし、音高が特定されずに単に高低をあらわす線が五線上をうごめいていたり、拍節にとらわれない「無拍子」の部分もあったりする。(ちなみに演奏会場のロビーで出版社が出展したので、休憩中に作品のスコアを確認することができた。)

しかし、こういった手法は西洋のメインストリームからは「逸脱」しているのだろうが、我々「非西洋」の視点から見るとそういった技法は新しいものではなく、むしろ過去に遡るような感覚としてとらえられる。

そういった技法は、《De Profundis(深き淵より)》、《In Croce(十字架で)》といった宗教的なニュアンスをもったタイトルの作品で使われると、非常に説得力のある表出力を獲得するのである。

どこに連れて行かれるかわからない数多の前衛曲とは違い、グバイドゥーリナの作品には音楽の重心というかクライマックスというか、があって、そこに向かうエネルギーとそこから離れる余韻を感じることができる。自分がグバイドゥーリナの作品を気に入っている理由がもう少しわかったような気がした演奏会であった。

 

吹奏楽データベース更新しました

 今年の吹奏楽コンクールについてもバンドジャーナル誌で「自由曲集計」の記事を書かせていただけることになったので、編集部から各支部大会のプログラムが届いた。

週末(今週末はドイツ統一記念日のため三連休になります)には不足している情報を追加したい。

などと書いていたが、夜中に起きて寝付けなかったので、一気に今年分のデータを更新しました。

誤り等ありましたら、ご指摘いただけると幸いです。

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あらためて支部大会のプログラムを確認すると、特に指揮者の氏名の表記などでゆれというか、前年度までのデータと異なる部分がいくつか見つかった。

誤字などもあるし、新字体と旧字体の違い、特に「髙」と「高」、「崎」と「﨑」の違いなどはもうちょっと意識しないといけないようだ。

データ構造やページレイアウトなど、まだまだ修正したいところがたくさんある。

どこで読んだんだっけなあ?「1年前に書いたソースコードを変更したいと思わないやつはプログラマーではない」らしい(笑)。もちろん製品開発ではこんなことをやっていたらコストの割に合わないのでやるべきではないが、趣味のプログラミングでは「見た目にきれいなコード」や「少しでも処理が早くなるアルゴリズム」に変更していきたいと思っている。

時間があれば …

急に日が短うなりますわい

秋分の日も過ぎて、めっきり日が短くなって来た。

今までは起床時間(午前6:30頃)にはすっかり外が明るくなっていたのだが、最近は電気をつけないといけないくらい暗い。

会社への往路でだんだん日が昇ってきて、会社近くになると(ほぼ真東に向かうので)朝日に向かって走るような形になる。

帰りも逆に真西に向かう際には夕陽に向かって走っている。

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今年の吹奏楽コンクールについてもバンドジャーナル誌で「自由曲集計」の記事を書かせていただけることになったので、編集部から各支部大会のプログラムが届いた。

週末(今週末はドイツ統一記念日のため三連休になります)には不足している情報を追加したい。

ところで全国大会っていつ?

 

ノルウェイの森

ノルウェイの森 【コンプリート・エディション3枚組】 [Blu-ray]

これも日本出張の際に買い求めたブルーレイ。内容的に「息子と一緒に …」というわけにもいかない映画なので、家族が寝静まってからとか、家族が起きる前とかに断片的に見た。

個人的には概ね「是」である。小説を読んだ自分の中で作られたイメージとは別のイメージを提示してくれたという意味でこの映画を見た意味がある。原作との相違を指摘したり、原作から切り落とされているエピソードを指摘するレビューもあるが、そんなことは映画化されるという時点で不可避なことはわかっているはずだ。また「原作を読んでいなければこの映画のストーリーを理解できない」というレビューもあるが、(仮にそうだとしても)それはそれで仕方がないことであるし、原作を読まずに映画を見た人の頭の中に、原作を読んでから映画を見た人とは違うストーリーが出来上がったとしても、それは映画自体の質とは関係ないのではないか。

そういえば直子を演じる菊地凛子が出演する映画は初めて見たような気がするが、やはり存在感はすごい。原作が「静」の直子と「動」の緑を軸に展開するのに対して、映画は直子の「狂気」と「正気」を軸に展開しているように思える。他の登場人物の言動がどちらかというと平板な演技であるのに対して、直子だけがヴァイタルな感じがする。

ところで私の頭の中ではこの小説の(大部分の)時代背景はすっかり1980年代(この小説が刊行されたのは1987年)のイメージだったのだが、確かにこれは1960年代の話だったんだなあ、と映画を見て再認識した。

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音楽のジョニー・グリーンウッドってレディオヘッドのメンバーだったんだ … この荒涼としたスコアはなかなかよい。時として映画の中のセリフをかき消すほどに弦楽器がかき鳴らされるのだが、こういう音の使い方も面白い。また、1960年代を象徴する音楽として使われているのはカンの「モンスター・ムーヴィー」。

エンディングでビートルズ自身の演奏による《ノルウェイの森》が聞けるとは思わなかった。意外にインパクトは大きいのではないか。

糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏(教授はいない)といった人たちが重要なチョイ役(?)で出演している。

 

バザー

毎年恒例の「ハンブルク日本人学校・日本語補習授業校合同バザー」(というのが正式名称らしい)が開催された。

各自が持ち寄った不用品、父兄(というか児童・生徒の「お母さん」と言った方が正確か)が作った軽食、ゲームなどで得た収益で学校の備品を買う、という催し物である。

今年はハルステンベックのフローマルクト(蚤の市)と日程が重なったために例年に比べて来場者は少なかったようだが、日本人学校・補習校関係者はもちろん、地元住民もかなり来ている。

妻は朝から「ゴマ餡入り団子」を仕込み、私は駐車場係の一員として裏方の手伝いもする。というか、父兄には必ず何らかの仕事が回ってくるのだが。

息子はレゴの詰め合わせセットを買ったり、幼稚園の先生のところで自作の缶バッジを作ったり、私は文庫分を漁ったり、妻は息子のための古着を確保したり …

また、もちろん父兄や先生とは多く顔を合わせることになるのだが、ガブリエルのお母さんとお姉さんに会ったり(ガブリエルはサッカーの試合があるということで来られず。お母さんとお姉さんはハンブルク・バレエのダンサー(日本人)が来るということを聞きつけてサインをもらおうとしていたようだ)、妻と息子のドイツ語の家庭教師の先生に会ったり、私の職場の同僚(ガールフレンドが日本人)に会ったり、これだけ一度にたくさんの人と顔を合わせて挨拶するのはなかなか珍しい機会である。

 

ハンブルク空港開港100年祭

今年でハンブルク空港が100周年を迎えるということで、9月24日と25日に空港とその周辺施設でお祭りのようなものが開催される。古今東西の飛行機が40機展示されるということで行ってみることにした。

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祝!ハンブルガーSV今シーズン初勝利(対シュトゥットガルト戦)。監督が代わったとたんに勝つというのは去年のフェー→エニングの交代劇と同じパターンなんだけど … そんなんでいいんかいな?

初勝利

ただでさえ金曜日のオフィスは静かなのであるが、日本の本社が休みだと普段以上に静かである。

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すっかり忘れていたというか、今のところ昨年ほど情熱が高まっていないというか、今日ハンブルガーSV対(岡崎擁する)シュトゥットガルトの試合があることを全く認識していなかった。

ドイツ・ブンデスリーガ1部の試合は通常は土曜日に行われるのであるが、1試合だけが金曜日に、2試合が日曜日に行われる(土曜日は6試合)。今節はハンブルガーSVの試合が金曜日にあったというわけ。

エニング監督解任後初のブンデスリーガ公式戦だったわけだが、1-2 で勝った模様。過去6試合は1分5敗という散々な成績だったのであるが、やっと今シーズン初勝利をあげることができた。

ファンバステンとかファンハールとかスティーヴンスとか次期監督についてはいろいろ噂が飛び交っているが、ファンハールあたりがいちばん無難なんじゃないかなあ?

10/1のシャルケ戦と10/22のヴォルフスブルク戦を観戦予定。

 

風邪気味

週末から一気に気温が下がったのでどうも体調が悪い。近所のお子さんもかなり長期で風邪をひいているらしい。

明日は大事なミーティングがあるので今日は休みを取って医者に行って来た。

うちからいちばん近いところは「研修旅行」とかで閉まっていた。「10/4にまたお会いしましょうね~」みたいな張り紙が貼ってある。

次に行ったのはハルステンベックの市庁舎近くのビルに入っているところ。ビル全体の外装工事が行われているのでこちらも営業(?)しているのかどうかわからなかったがやっているようだった。

例によって「ドイツ語はあまり理解できません。」で切り出し、「予約していないんだけど、これ …」と言って、日本人コミュニティで出回っている「事前問診リスト」を差し出す。これは日本語とドイツ語が併記されている問診票で、事前に症状などを書き記して渡すことでコミュニケーション不全を防ぐことができる。それから保険証を渡して待合室で待つ。

すでに10人ほどが待っていたのであるが、何部屋かで並行して診察が行われているようで待ち時間は短い。驚いたのは、その診察室に出たり入ったりする時に「Guten Morgen」とか「Wiedersehen」とか挨拶をすること。以前通っていた歯科医などではそういうことはなかったのだが、やはり田舎だからだろうか …

とにかく休息を取れ、ということだったので家でダラダラ休むことにする。

日本出張の際に買って、読み終えた本。

サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台 (新潮文庫)

いろいろな大会 ― 例えばアジアカップであったり、オリンピックであったり、ワールドカップであったり ― の予選方式が毎回違っていることに「あれ?」と思ったことはないだろうか?

その裏にはそれぞれのサッカー連盟のいろいろな駆け引きがあって、その駆け引きは最終的に成績までも左右しかねない、ということがわかる本である。

主に「谷間の世代」と呼ばれたアテネ五輪代表チームや2006年ワールドカップの「ジーコジャパン」の舞台裏に焦点が当てられている。「そういえば」と思い出す場面も多い。

 

シューベルトのリートなどなど

昨日買ってきた「Chardonnay + Pinot gligio」というイタリアの白ワインがおいしくて、つい飲み過ぎ。やはり朝4時30分に目が覚めてしまう。

ちょぼちょぼ見ているウルトラQは第5話「ペギラが来た!」と第7話「SOS富士山」。どちらも細かい設定が荒唐無稽でストーリーとしてはかなり無理があるように思えるのだが、まあそれはそれとしてカラー化はうまくできている。

その後、「たまの映画」を見てみる。まあ、私が「たま」にはまっていたのは20年近く前なので私も「たま」のメンバーも年を取るのは仕方がないが、きのこ頭が特徴的だった知久寿焼さんの髪の毛がかなり後退していたのにショックを受けた。最初誰だかわかんなかったし。

(ケラリーノ・サンドロヴィッチさんもけっこう印象が変わっていてびっくりした。やはり有頂天のケラしか知らないので。)

あくまでも「たまというバンドにいた3人のミュージシャンの現在」という視点でのドキュメンタリーなのだが、やはり「たま」としての活動(特に絶頂期だった時代)を知らないとなかなか映画に入っていけないのかな?と思った。石川浩司さんが公開している著書「たまという船に乗っていた」も合わせて読むと面白いのではないかな。

*****

最近、秋風が涼しくなってきたからかどうかわからないが、ふとシューベルトの歌曲(リート)を聞きたくなって、今日はこればかり聞いていた。一昨年の冬はブラームスが聞きたくなって結構はまっていた。やはり、気候とか風景とか湿度とかまわりを歩く人々の様子とか、そういったものがこういった音楽を引きつけるのだろうか。まあ、シューベルトはウィーン生まれのウィーン育ちなのだが …

以前、《冬の旅》をフィッシャー=ディースカウの歌唱で聞いた時にはあまりピンとこなかった。そもそも歌曲を聞き慣れていない耳には馴染まないのかなあ?Naxos Music Library には当然 NAXOS でリリースされた「シューベルト ドイツ語歌曲全集」というシリーズも含まれていて、ここに収められている歌手たちの歌唱はほどよく抑制がきいているというかすっきりしているというか、いい意味で深く聞き入らなくてもよいのがよい。

 

今シーズン初試合

ドイツの新学期は9月から始まる。8月末から息子のサッカースクールの新しいシーズンが始まっている。

前回の出場予定試合が雨で中止(後日、代替日程が発表された)になったので、今日が息子にとって今シーズン初めての試合となった。

ヴェーデル(Wedel)のチームとの試合。いつものようにハルステンベックの外れにあるD.I.Y.ショップに集合して、そこから連なって試合会場へ向かう。

時間はちゃんと計っていなかったのだが、20分ハーフの前後半だったと思う。

どちらかというとフォワードの方が向いているのかなあ?自分でドリブルして持ち込むのは苦手なようだが、ドリブルして上がって行く味方選手に合わせていいポジションでパスを受ける場面が多かった。

以下のシーンは、右サイドからのクロスに合わせてシュートを打ったところ。残念ながらサイドネットに当たってしまったが、もらってからシュートまでのスピードがよかった。

守備は相手の方が勝っていて、ごく簡単なマンツーマンディフェンスができている感じ。結局、自陣のスペースに流れていったこぼれ球をいくつゴールにむすびつけられるか?といった展開になったので、守備がルーズなチームの方が不利になる。2-4で負けてしまった。