月別アーカイブ: 2011年10月

日本の学校における吹奏楽と文化的アイデンティティ

という本を友人が書いたので、ちょっと宣伝。

Wind Bands and Cultural Identity in Japanese Schools (Landscapes: the Arts, Aesthetics, and Education)

そもそもは、彼が私のホームページを見たか(最近はもう止めたけどホームページ開設当初は申し訳程度の英文コンテンツも用意していた)、私が英語の吹奏楽メーリングリストに投稿した記事を見たか(その昔は掲示板やSNSなどもほとんど普及していなかった)して、彼がメールを送ってきたのがきっかけだった。

私が伊藤康英さんと知己を持っていたことは知らなかったようだが、結局彼を伊藤さんに引き合わせることができた。

それから交友が始まり、彼が日本に調査に来た時に会ったり、彼が住んでいたシアトルを訪ねたり、私がハンブルクに来てからも近くのヘルシンキで会ったりと、細々とではあるがずっと連絡を取っていた。

会うたびに「本を書いている」という話を聞いていたのだが、やっと流通に乗ったということを彼のブログで知った。

こちらのページで抜粋を読むことができるが、真島俊夫、伊藤康英、保科洋、天野正道、松下功、櫛田(月失)之扶という彼が取材した各氏、「日本吹奏楽の父」ともいえる秋山紀夫氏、著名な音楽学者である細川周平氏(ちなみにこの方、教授との共著もあります)にはさまれて、私にも言及してくれているのが、気恥ずかしくもあり、うれしくもある。

音楽教育学者(彼のもともとの専攻)としての立場から、また加えて外国人という極めて客観的な立場からの視点に「日本の吹奏楽」というある意味特殊なコミュニティがどう映るのか非常に興味深い。

300ページ近い英文を読むのは大変そうですが …

 

10/29の徒然

怒濤の一週間が過ぎてしまった …

来週来られる日本からの訪問者のための下準備をしたり(得てして、こういうのはスムースにいかなかったりするのだ)、想定外の緊急事態に対応したり、今週は本当にあっという間だった。

さて、今日は息子のサッカーの試合。試合日程が重複してしまったために2チームを編成して別々のところで試合をする事態になってしまった。まあ、出場機会が多い(というか交代要員がいない)のはいい経験なのかも知れない。

息子のチームのフォーメーションは 2-1-2 (つまり合計6名)。息子はミッドフィルダーをやっていた。「少しフォワードをやって、少しディフェンダーをやれ。」とも指示されていたらしい。

フォワードの2人はキープ力もあって突破力もある(というか、かなり自分で行きたがる)ので、攻撃時にはなるべくパスをもらいやすいポジションを取れ、と言っておいた。おかげで、たまにクロスが入ったり、囲まれてどうしようもなくなったフォワードからこぼれ球が出てきたりしていた。1本シュートを打ったが、おしくもゴール脇にそれてしまった。

結局2人のフォワードが4点取って4-2で勝利。息子も試合の中でポジショニングを少しずつ調整していて、以前よりはフラストレーションのたまらない試合だった。

ところで、審判は通常は父兄が行うか、試合をしている子供たちの判断で行わせることも多いのだが、今回はかなり本格的な人が笛を吹いた。(あとに控えていた、もう少し年齢層の高い人たちの試合のために呼ばれたのかも知れないが。)

息子に言われると「とても怖かった」らしいのだが、ファールはきっちり笛を吹くとか、スローインの時のファールスローを厳しく取ってやり直させるといった妥協のないレフェリングは、小さい年代の子供たちにとってはいい勉強になるのではないかなあ。

*****

午後、「トイ・ストーリーのようなDVDを見たい。マイルス・デイヴィスとクセナキスはなし。」という息子のリクエストにより、まったりしながら「レミーのおいしいレストラン」のDVDを見る。息子と妻はすでに(私の単身赴任中に?)見ていたらしいのだが、私は初めて見る。(このDVD買ったの、いつだっけ?)

今年のイースターにパリに行って、それなりに「おいしいレストラン」で食事をしてきたので、その思い出を反芻しながら見るのも楽しい。

前半はかなり面白いのであるが、中盤でちょっと共感しかねるエピソードになってしまったり(やはり反社会的/インモラルなエピソードはよくないんじゃない?)、クライマックスではそれなりに感動はするが、ある意味「安易な」ハッピーエンドになってしまったり、とストーリー展開は(ピクサーの作品としては)ちょっと弱いが、雰囲気は楽しめる。

 

中学の部と高校の部

ということで、今週末は全日本吹奏楽コンクールの中学の部(土曜日)と高校の部(日曜日)が開催された。

時差の関係で、だいたい朝起きた時間に前半の部の成績が発表され、だいたい昼食を食べた後くらいに後半の部の成績が発表される。全日本吹奏楽連盟の速報ページを見て更新した。

ちょっとホームページ上でやりたいことがでてきて、このままのレイアウトではうまくいかないことがわかったので、レイアウト(スタイル)の変更を決意。ちょっとコーディングを始める。

近々、衣替えをするつもりなのでお楽しみに。

 

ハンブルガーSV対ヴォルフスブルク

今日の試合は土曜日の夜、午後6時30分から行われる。

長谷部が出場する試合ということで、日本人学校の関係者(妻の知人や息子の友人)もたくさん見に行くらしいし、妻は買い物をしている時に息子と同じサッカースクールに通う親子に会って「うちも行くわよ」みたいな世間話をしたらしい。(ちなみに私の同僚はドルトムントまで香川を見に行ったらしい。)

というわけで、午後5時過ぎくらいにうちを出てスタジアムに向かう。日曜日の夜に行われた前回のシャルケ戦同様、今日もスタジアムの最寄り駅周辺は人が少なく、シャトルバスへの乗り換えもスムースだった。いつもよりも警察が多いように見えたのは、ヴォルフスブルクがハンブルクに近くてサポーターが大挙して押し寄せるからか?

そして、前回同様「家族ブロック」で観戦。

開始早々 HSV のミスからボールをとられ、あっけなくゴールを取られてしまった。

HSV は元ドイツ代表のヤンゼンが中盤の左サイドで久しぶりの出場。悪くはなかったが左サイドバックのアオゴとの連携が少しぎこちなかったかな。前半の中盤で右サイドにポジションを変更した方がいい動きをしていた。

ゴールキーパーのドロブニーの守備はシーズン序盤に比べて安定してきたが、フィードが悪過ぎ。せっかくゴール前でファインセーブをしても、そのあとのフィードでみすみす相手ボールにしたら意味がない。

センターバックのライコビッチが不安定。後半、ライコビッチを下げてディークマイヤーを入れ、ヴェスターマンをセンターバックにしたら少しは安定してきた。フォーメーションとしてはこちらの方がいいのでは?先シーズンから右サイドバックで使われているディークマイヤーはけっこういい選手だと思うのだが、今シーズンはあまり使われていない。

相変わらずペトリッチが豊富な運動量で(というか、動き回らざるを得ないというか)何とか攻撃のチャンスを作ろうとする。後半、細かいパスをつないだところでペトリッチがゴール前に入っていき、シュート。これで1-1の同点。ゲレーロの調子がもうちょっとよくなればペトリッチも楽になるのだろうけど。

珍しく優勢に試合を進めたが、結局どちらも追加点を取れずに1-1のドロー。やっと最下位脱出。

吹奏楽コンクールデータベース更新しました

データベースのバグを指摘して下さった方がいた。

ずばりご指摘いただいたように、「作曲者ごとの演奏記録一覧」(例えば高昌帥の場合)で「年度が複数ページにまたがって表示されている場合」 かつ「支部大会のデータのみが表示されている場合」に前後のページで重複したデータが表示される不具合があった。

全く意味のない不定データを検索キーにして並べ替えを行っていたのが原因。そのため検索ごとのソート順が不定になり、1ページ目のデータを検索した場合と、2ページ目のデータを検索した場合に同じデータがひっかかる可能性があった。

ということでデータベース検索プログラムを修正/更新しました。

やはり久しぶりにソースコードを見直したら、手直ししたいところ/最適化したいところがたくさん見つかってしまった。が、全日本吹奏楽コンクールに向けてアクセスが増えると思われるので、下手に修正して二次バグを出したくない。修正は全日本吹奏楽コンクールの波が退いてから年末にかけてやりたいと思っています。

(ちょっと前から「違うフレームワークに手を出してみたい病」が発症して、Yii とか lithium とかに関する記事をいろいろ読んでいたのだが、やはり今のホームページをもう少し仕上げないと。)

ついでに東京都大会の昔のデータを入力し忘れていたので一部追加しました。

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数日前から「喉が痛い」と言っていた息子がついにダウン。今日は長めの睡眠を取っているので十分休息をとって回復すればいいのだが。

(私と同じように)旅行中に風邪をひいて休んでいた日本人の同僚が今日から職場復帰。そろそろ寒くなって空気が乾燥していること、それに加えて旅行やイベントなどで疲れていたりすると風をひきやすくなるようだ。気をつけましょう。

… とはいえ、今週末の土曜日のよるはハンブルガーSV対長谷部擁するヴォルフスブルクの試合を見に行く予定。実は長谷部を生で見るのは今回が初めて。

 

バイオフィリア

最近、新譜が出るごとにアルバムを買うアーティストがめっきり減ってしまったのだが、ビョークはそんな数少ないアーティストのうちの一人。

前作「ヴォルタ」から4年ぶりのアルバム「バイオフィリア」が届いた。

バイオフィリア

タイトルは「生を愛する」という意味であるが、もともとこういう言葉(概念)はあったらしい。こういうタイトルの本もあるみたいだし。

£500(約60000円)もする究極のパッケージもあったようだが、今回は3トラックが追加された普通のデラックス・エディションを買ってみた。

第一印象はかなり地味。「メダラ」の時に感じた印象と似ている。「メダラ」はその前の傑作アルバム「ヴェスパタイン」の余韻を、この「バイオフィリア」は開放的な「ヴォルタ」の余韻を引きずっているような感じ。音数が少なくテンションもそれほど高くない省エネなサウンドプロダクションである。

「ヴェスパタイン」の研ぎ澄まされた冷たいサウンドが極北の地に置いていかれるような感覚だとすれば、この「バイオフィリア」の控えめなサウンドはしんとする宇宙空間の果てまで連れて行かれるような感覚である。(女声合唱がフィーチャーされているので、ホルストの《惑星》(海王星)のその先を連想してしまうのかも)

個人的な評価としては、すぐに飽きてしまった「メダラ」よりは繰り返しに耐えそうだけど、「ヴェスパタイン」や「ヴォルタ」ほどの愛聴盤にはならないかな、という感じである。意外にライブで見ると面白いのかも知れない。

iPhone / iPad 用のアプリケーションも出るようだがどうなんだろう?とりあえず様子見。

 

10/16の徒然

日曜日だというのに平日と同じスケジュールで起床。妻が日本人学校で開催される「英検」の手伝いに行くためである。日本では業者によって運営される(んでしたっけ?)「英検」だが、こちらでは運営主体がないし、受験生はほとんど日本人学校(もしくは日本語補習校)の児童/生徒なので、教員と父兄が協力して運営にあたっているらしい。

ところで、ヨーロッパ/アフリカをカバーする日本語放送のJSTVでは日曜日の朝から「ケロロ軍曹」(第2シリーズ)が放送されている。息子は純粋に楽しんでいるし、私は小ネタ満載で(妻も息子もついてこなくても)ひとりで笑っている。このJSTVでは番組ごとのスポンサーがつかないので基本的にはオープニング→本編1→本編2→エンディングは連続しているし、しかもこの番組は2週分続けて放送される。正直、日曜日の朝に「ケロロ軍曹」を1時間(CMが入らないので正味50分くらいですが)続けて見ると結構疲れます(笑)。

息子が以前から「ホワイトシチューを作りたい」と言っていたので、午前中から仕込む。「作りたい」とは言っていても、90%くらいは私が作って、息子には野菜や肉を炒めたり味見をさせたり、と簡単な仕事をやらせる。

学校の宿題と、通信教育を済ませた後、例によってガブリエルの家へ遊びに行く。サッカーをしていたようで、あっという間に泥だらけになって帰ってくる。(サッカーするんだったら、白じゃなくてもっと泥が目立たないような服装で行けよな …)

その後も、うちでベイブレードをやったり、エムレの家へ行ったり、ガブリエルの家へ行ったりしていたようだ。

*****

今日は午後からハンブルガーSV対フライブルクの試合がある。アウェイなので例によってウェブ上の Live Ticker でテキストで試合を眺める。比較的早い時間にソンのゴールで先制。1-0で前半を折り返す。

ちょうどハーフタイムあたりで「試合どうなっている?」と3人がどやどやと帰って来た。妻も帰って来て、HSVのフラッグやらタオルマフラーやらを振り回して応援する。ウェブ上のテキストを見ながら応援するのもかなりおかしい図かも知れないが(笑) …

結局、2-1で何とか勝利したのだが、それでも得失点差で最下位 …

A3

ということで、ゆっくり休養、ゆっくり読書。

A3【エー・スリー】

今年の講談社ノンフィクション賞を受賞したということで読みたかった本。1ヶ月くらい前に日本から取り寄せてちまちま読んでいた。やっと読了。

著者の森達也さんは著作「放送禁止歌」を読んだ時から気になっていたノンフィクション作家である。この作品もそうなのだが、意図的に、多くのマスコミが「右へならえ」的に報道する視点とは別の視点から事実に切り込んでいる。平たく言えば「タブーへの挑戦」なのだろう。

そういえば、これは雑誌「プレイボーイ」に連載されていたのを一度チラッと見たことがあったような気がする。この「A3」と同じようにオウム真理教に取材した「A」も読んでいたのであるが、その時点よりもかなり深く取材されている。

大きな軸は麻原彰晃こと松本智津夫(ささいなことだけど「しょうこう」も「ちづお」も簡単に漢字変換されることにちょっとびっくりした)の訴訟能力の有無。ここで大事なのは法的概念としての「訴訟能力」と刑法上の「責任能力」を明確に区別しなければいけないということである。事件を起こした時点での「責任能力」と、裁判を進める上での「訴訟能力」は別物である。筆者は被告(松本)が「訴訟能力」を喪失しているのが明らかであるまま裁判を進めるのがおかしいと指摘しており、その(オウムであるが故の)「例外」がいずれ「前例」として運用されてしまうだろうことに危惧しているのである。

このあたりはある程度客観的に事実のみ(多少主観は入っているがやむを得ない)を伝えている。マスコミでは報道されない事実として知っておくべきだろう。

後半に出てくる「弟子の暴走論(=麻原は悪くない)」説は興味深いが、証言が偏っている点(確定死刑囚とは面会できないらしい)や、何よりも麻原本人の証言が聞けないことには説得力を持たない。このあたり「A4」とかでもっと掘り下げて欲しい気もするが。

「マスコミが視聴者の不安を煽ってコントロールしているのではないか」「麻原の側近が麻原の不安を煽って麻原をコントロールしたのではないか(これが暴走論のロジック)」というロジックはマイケル・ムーアが映画「ボーリング・フォー・コロンバイン」でも披露している。そういえば森達也という人の立ち位置はマイケル・ムーアと似ているのかなあ?

 

ベネルクス旅行記(その5)

最終日。昨夜からの体調不良は少しは良くなったかな?

チェックアウト時間ギリギリまでホテルで休み、それから中央駅のコインロッカーにスーツケースを預けてコンセルトヘボウに向かう。

コンセルトヘボウは、その名の通りロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の本拠地。ここでは毎週水曜日の12時30分から30分程度のランチタイムコンサートが催されている。もちろん無料。入場するために多くの人たちが雨の中で列を作っている。

場内はこんな感じ。

この日の夜にはイヴァン・フィッシャーの指揮によるラヴェルの《ボレロ》を含む演奏会が予定されていたので、ゲネプロ代わりに《ボレロ》を演奏してもらえるといいなあ、と思っていたのだが、予想通り(期待通り)ラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》と《ボレロ》が演奏された。

やはりゲネプロ的な意味合いがあるのか、かなり大胆に曲に色をつけていたように思える。例えば《パヴァーヌ》。3回繰り返される主部はかなりすっきりした表情だったのだが、それらにはさまれる2つのエピソードは多少テンポを速めて主部とはかなり対照的に演奏されていた。それから《ボレロ》。それぞれのソロ奏者はかなりアーティキュレーションを強調していた。とはいえ、全体の盛り上がりは旋律ではなく伴奏が支配する感じ。特にティンパニはほとんどやりたい放題という感じであった。それでも暴走しないのがこのオケの特色なのか?

最近の評価ではウィーンフィルやベルリンフィルに勝るとも劣らない評価を受けているこのオケをぜひ実演で聞いてみたかった。まず、第一の印象はアンサンブルがしっかりしているということ。それぞれの奏者が自律していながら全体がうまく調和しているように聞こえる。だからどこかのパートが突出してしまうわけでもなく全体のバランスがとてもよい。あと、これはホールのせいなのかも知れないが、ドイツのオケ(例えばシュターツカペレ・ドレスデンやバンベルク交響楽団を例に挙げようか)に比べると音色がきらびやかに聞こえる。

個人的に体調が悪くなると涙腺が弱くなってしまうのだが(そういえば昔、医学部の先輩に「『病は気から』じゃない。『気は病から』だ。」と言われたことがある。)、《ボレロ》で初めて第1ヴァイオリンが旋律を弾き始めるところで、その美しさに涙してしまった。