演奏会その14: グバイドゥーリナ作品展(その1)

金曜日はカリーブルストの日 … なのですが、Dwenger の日替わりメニュー「アヒルの胸肉」がおいしそうだったので、それにしてみました。脂身が少ないけど柔らかくて、とてもよかったです、量も適度で。ヘビーメタルとワーグナーが好きな(笑)ボスと一緒に行ったのですが「来年になったら一緒にワーグナーのオペラを見に行くか?」みたいなお誘いを受けました。地元ローカルの新聞によると、今週初演されたハンブルク歌劇場の《ジークフリート》が大盛況だったそうです。生で見てみたいのですが、やはり十分に予習しないと(何年も前に DVD を買ったのに《ラインの黄金》しか見ていないし …)。

4日連続の演奏会行脚。初日はロシア生まれの女流作曲家ソフィア・グバイドゥーリナの作品展です。これは2日連続で行われる予定で、初日は管弦楽作品、2日目は室内楽作品が演奏されます。

そういえば、会場のロルフ・リーバーマン・スタジオのまわりにはあまり食事ができるところがないのです。前に行ったイタリア料理のレストランはけっこうおいしかったのですが、自宅を出たのが少し遅れたせいでゆっくり食事をするには時間がありませんでした。結局、会場内で売っていたプレッツェルとコーヒーだけ。

Freitag, 23. Oktober 2009, 20.00 Uhr
Rolf-Liebermann-Studio, Hamburg
Konzert 1

NDR Sinfonieorchester
Leitung: Stefan Asbury
Solist: Ivan Monighetti, Violoncello

Sofia Gubaidulina:
Märchenpoem für Orchester (管弦楽のためのメルヘン・ポエム)
“Und: Das Fest in vollem Gang” für Violoncello und Orchester (チェロ協奏曲《Und: Das Fest in vollem Gang》、「そして、宴たけなわ」みたいな意味でしょうか …)
“Stimmen…verstummen…”, Sinfonie in zwölf Sätzen (12楽章の交響曲《声 … 沈黙 …》)

ええと … 最初の2曲は途中で気を失いました … 《メルヘン・ポエム》は前半の弦楽器のピチカートが作り出すリズムがスウィングっぽくて面白かったです。

《声 … 沈黙 …》はこういうタイトルですが声楽は使われていません。かなり多数の打楽器、サクソフォン、オルガン、チェレスタまで入るかなり大規模な編成です。打楽器はオーケストラを取り囲むように配置され、弦楽器と金管楽器は左右2群に分かれて配置されています。大雑把に言ってしまうと、まず奇数楽章では明確に D dur の和音が響きます。当然普通に鳴らすわけではなくて、弦のスル・ポンティチェロとか分散和音とか、あるいは管楽器の点描的な発音によって構成されています。偶数楽章は弦楽器や木管楽器が主体の室内楽的な響き。時おり音色旋律のようなアイデアが聞かれます。最初の方の楽章ではこういった特徴が明確なのですが、だんだんお互いの特徴が浸食し合ってきます。そういえばグバイドゥーリナのヴァイオリン協奏曲《オッフェルトリウム》は、バッハの《音楽の捧げもの》で使われている「王の主題」が繰り返されるたびにだんだん音を抜かれているのだったと記憶しています。ある楽想が繰り返されるたびに少しずつ変容していくというアイデアは似たようなものなのかなあ、と、ふと思い出しました。この作品は指揮者のゲンナジー・ロジェストヴェンスキーに献呈されたのですが、ロジェストヴェンスキーがロシアのオケを振ったらさぞかしすごいことになりそうだなあ、と思ったら CHANDOS からロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団との録音が出ているようです。買ってみようかなあ、この曲はまたじっくり聞いてみたいです。

しかし、どの作品もクライマックスでのすさまじい暴力性には圧倒されます。これは以前聞いた(そして明日も演奏される)金管アンサンブル作品でも感じたことなのですが。グバイドゥーリナ本人も会場に来ていたのですが、率直に言って普通のおばさんでした。このおばさんが内に秘めた衝動とかエネルギーを想像するとちょっと怖いものがあります。3曲ともに感じたことなのですが、この作曲家特有のソノリティは非常に個性的なのだと思うのですが、時としてそれの時間的変化が乏しい、あるいは同じパターンが繰り返されるように思うことがありました … というのが気を失った言い訳なのですが …

*****

隣に座った老婦人が話しかけてくれました。「ドイツ語話せないんです。英語話せますか?」と言ったら、何とか英語で会話を始めてくれました。私も何とか知っているドイツ語で答えてみました。「何か楽器をやってらっしゃるの?」「あ、トランペット吹いています。」「今も吹いてらっしゃるの?」「あ、まだこちらに住んで4ヶ月なので今は吹いていないです。」「ミセス・グバイドゥーリナの音楽は前から知ってらしたの?」「もちろん、知っていました。」みたいな感じで。

5 thoughts on “演奏会その14: グバイドゥーリナ作品展(その1)

  1. タトル

    コメントはお久しぶりだけど、日々日記見てますよ!
    相変わらず環境は違っても音楽と美食の日々なのですね〜。
    ところで本日はMusica Bellaさんが出発前に
    「ドイツにすむ文字好きの人のブログ発見した」と言ってった(W)
    小林章さんのワークショップに行きましたよ!
    明日もあるので、私もドイツにお友達が行ってます〜と話してみよまーす。: )
    早く帰って来て飲みにいこー!お刺身とか焼酎とかさ〜。(ニヤ)

  2. すだ

    グバイドゥーリナってなんか聞いたことあるんですけど、吹奏楽で演奏されるような曲書いてましたっけ?
    あれ?グヴァンドリーヌとカン違いしてるのかな?(^^;)

  3. musicabella 投稿作成者

    タトルさま:

    過食ではあっても美食ではないかも …(苦笑)
    小林さんのブログ、実は私もウォッチしています。
    (赴任が決まってからドイツ在住の方のブログをかなり探したので)
    そういえば、日本に出張されるようなことが書かれていましたね。

    帰国予定はほぼ確定しました。あらためて連絡差し上げますので遊んで下さい。
    刺身、焼酎ねえ … 懐かし過ぎて禁断症状も出ません。(笑)

  4. musicabella 投稿作成者

    すださま:

    たぶん、シャブリエの《グヴァンドリーヌ》と勘違いしているのかなと。(苦笑)
    吹奏楽とはあまり縁のない作曲家だと思います。

    そういえば、遠い昔にすださんのお宅(というか大学時代のアパート)でグバイドゥーリナの作品が入っている CD を聞かせてもらったようなことを思い出したのですが違ったかな?「ロシア・アヴァンギャルド」の類いの演奏会のライヴ CD で、ジャケットが真っ赤なやつってありませんでしたっけ?

  5. すだ

    棚を探してみたらありました>『アヴァンギャルド音楽祭』
    グバイドゥーリナの「喜びと悲しみの庭」(抜粋)が入っています。
    あの頃は訳もわからず現代音楽を聴き漁っていたので、今となってはなんでこのCDを買ったのかもどんな曲想の曲が入っているのかも思い出せません(^^;)。

    他にはアイヴス、アルヴォ・ペルト、リゲティ、シュニトケなんかの曲が入っています。いい機会なのでまた聴いていようと思います。

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