日別アーカイブ: 2009 年 11 月 29 日

演奏会その20: RYUICHI SAKAMOTO PLAYING THE PIANO EUROPE 2009

はい、そういうわけで続きです。このコンサートのチケットを予約したのは7月上旬のことでした。ドイツに赴任して、とある方にヨーロッパツアーの日程を教えていただいて、一日有休を取れば何とか行ける日程を探して、でこの日のロンドンに決めたのでした。その時点で残りはあと5席。日本で行ったコンサートでは目の前に誰もいない最前列の席だったのですが、この日は後ろに誰もいない(苦笑)2階最後列の席になってしまいました。

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それでもこんな感じの席だったので、見にくいことは全然ありませんでした。ちなみに私の席の左側、つまり2階中央にはF.O.H.用のスペースがあらかじめ確保されています。これも含めて、空間をとてもぜいたくに使ったホールだと感じました。とにかく音響は素晴らしかったです。

  • glacier
  • hibari
  • still life
  • in the red
  • nostalgia
  • composition0919
  • A Flower Is Not A Flower
  • 水の中のバガテル
  • amore
  • tango
  • energy flow
  • High Heels
  • women without men
  • the last emperor
  • 美貌の青空
  • behind the mask
  • tibetan dance
  • thousand knives
  • Merry Christmas Mr. Lawrence

コンサートは日本と同じように、《glacier》から始まる「out of noise」からの作品→いわゆる「playing the piano」ソロ編→もう一台のピアノを使った「playing the piano」一人デュエット編という流れで進みます。ただ日本公演と違い、前半には「out of noise」からの曲、それもピアノ以外の楽器が含まれた曲が多く置かれていました。こちらでは「out of noise」は発売されたばかり(ただし「Playing the Piano」との限定カップリング)なので、やはりプロモーション的な意味合いもあるのでしょうか。ヴィオールや笙の音が鳴らされるそれら3曲《still life》《in the red》《nostalgia》はかなり印象的でした。いまさら気付きましたが《in the red》はメシアンの《世の終わりのための四重奏曲》を連想しますね。「天国的な長さ」に引き伸ばされたピアノの連打。

日本公演と比べると、アレンジが変わっている曲が多かったです。目立つものでは《Flower Is Not A Flower》の冒頭の和音とか、《千のナイフ》の低音パートとか。あと、時々ルバートが過剰に感じる部分がありました。特に「ソロ編」で非常にスタティックな印象(イギリスのプレスではこれが否定的にレビューされていたようです)を受けたのはそのせいかも知れません。

なぜかわかりませんでしたが、《the last emperor》のあとで一旦教授が袖に引っ込み、すぐに戻ってきました。そこからが後半戦。《tibetan dance》ではスクリーン上にダライ・ラマ14世のメッセージが流されました。《千のナイフ》の後半ではサブのピアノに主旋律を弾かせて、教授はインプロヴィゼーションを繰り広げるというスリリングな展開がよかったです。

アンコールは《戦メリ》。もう何回も何回も聞いている(し、私は教授がこの曲をピアノで弾くのには少々否定的です)のですが、なぜかこの日の演奏が今まで聞いた演奏の中でいちばん感動しました。コンサート本編では違和感を感じていたルバートの感覚が、この曲では当日の私のコンディションにぴったり合ったのかも知れません。あとは自分が置かれている環境とか、12月を迎えようとするこのタイミングとか、当日のホールの音響とか、小雨がぱらつく当日の天候とか、そういったものが絡み合っていたのかも知れません。

とにかく、最後の2曲でやられた、という感じでした。

*****

帰りは途中にあるパブで夕食を取ろうと考えました。まずはギネスを。生のギネスを飲むのも久しぶりです。食べ物を頼もうとメニューを見ていると、「悪いね。今日はもうキッチンは終わっちゃったよ。」とのこと。(出張でロンドンに来た時にも言われたことがあったなあ …)「本当に食べるものないの?」と聞いたところ「チップスならあるよ。」とのこと。しょうがないのでソルト&ビネガーのポテトチップス(これはこれでうまいのですが)をつまみながらギネスを飲みましたとさ。

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ロンドン日記(その2)鉄ちゃん in ロンドン

さて、前日と同じように地下鉄は止まっています。コンサートが開かれる Cadogan Hall の最寄り駅は Sloane Square なのですが、この駅にとまる Circle Line も District Line も動いていません。幸い、ホテルのある South Kensington 駅からは一駅分なので Sloane Square まで歩いてみることにしました。コンサートのチケットはオンラインで予約できたのですが、郵送はイギリス国内だけということだったので、会場の確認がてらチケットをピックアップしようと思ったわけです。

Sloane Square は高級ショップが立ち並ぶ広場のようなところです。会場の Cadogan Hall はそこから少し奥まった場所にあります。着いてみたらチケットオフィスは午後3時から開くとのこと。ちょうどピアノを搬入しているところでした。

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しかたがないので、Knightsbridge まで歩き、そこから地下鉄に乗って Covent Garden へ行き、交通博物館へ行ってみることにしました。日本の鉄道博物館よりは小規模ですが、馬車から始まって、地下鉄、バスなど、ロンドンの交通の歴史を時代順に見ていくことができます。日本とは違う意匠の乗り物がたくさんあって、かなり楽しめました。

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一回りした後お土産コーナーへ。主に息子のためにいろいろお土産を買い込みました。

雨も激しくなってきたので昼食は近くのパブ風のレストラン(?)へ。他のお客さんはそろそろハイティーを嗜もうという時間ですが、反射的にビールを注文してしまいました(文句あるか)。フィッシュ・アンド・チップスを食べたかったのですが、少しカジュアルなお店だったのでありませんでした。代わりに注文したのがフィッシュケーキなるもの。魚のすり身とジャガイモを混ぜて揚げたものです。

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メインディッシュの量が上品でしたし、雰囲気的にデザートを頼んだ方がよさそうだったのでエスプレッソとデザートを注文しました。(なんかカスタードの海に沈むゴン太くんみたいですが …)

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悲しい性のため、近くに CD ショップがあると入らずにはいられません。Covent Garden にあった HMV に入ってみることにしました。イギリス記念ということで。

Welcome to the Pleasuredome

懐かしいですね。リマスター盤が安く売られていたので買ってみました。同性愛を歌って放送禁止になったデビューシングル《Relax》、東西冷戦を茶化してこれまた放送禁止になった第2弾シングル《Two Tribes》の出来は素晴らしいのですが、それ以外の作品がこんなにもつまらなかったこと(笑)を再確認できました。やはり、この2曲の怒涛のバージョン/ミックス違いを集めた盤の方が楽しいかも知れません。

Odelay

これはイギリスではないのですが、上記の FGTH とあわせて10ポンドだったので。確か、ミュージックマガジン誌が選ぶ1990年代のベストアルバムに選ばれていたような気がするので聞いてみたかったのです。

Manafon

デヴィッド・シルヴィアンの最新アルバム。前作「Blemish」がえらく気にいったので。前作ではデレク・ベイリーが一人でバックを務めていたのですが、今作では大友良英さんやフェネスなどのアンサンブルがバックを務めています。作風は前作と変わっていません。ウェーベルンあたりの歌曲と並べておいても違和感がなさそうな、とにかく抑制された音数です。

The Official BBC Children in Need Medley

やはり、サージェント・ペパーのパロディ・ジャケットには反応してしまいます。BBC がやっている、恵まれない子供のための募金活動へのチャリティ・シングルです。もちろん、全てのキャラクターを知っているわけではないのですが、機関車トーマス、スポンジ・ボブ、サンダーバード、テレタビーズ、ピングーなどなどが登場します。ビデオは以下で見ることができます。

やはり、昼間からビールを飲むと眠くなりますし、いい加減歩き疲れたので、いったんホテルに戻って休むことにしました。

コンサートは別エントリーで書くことにします。後半へ続く。