はい、そういうわけで続きです。このコンサートのチケットを予約したのは7月上旬のことでした。ドイツに赴任して、とある方にヨーロッパツアーの日程を教えていただいて、一日有休を取れば何とか行ける日程を探して、でこの日のロンドンに決めたのでした。その時点で残りはあと5席。日本で行ったコンサートでは目の前に誰もいない最前列の席だったのですが、この日は後ろに誰もいない(苦笑)2階最後列の席になってしまいました。
それでもこんな感じの席だったので、見にくいことは全然ありませんでした。ちなみに私の席の左側、つまり2階中央にはF.O.H.用のスペースがあらかじめ確保されています。これも含めて、空間をとてもぜいたくに使ったホールだと感じました。とにかく音響は素晴らしかったです。
- glacier
- hibari
- still life
- in the red
- nostalgia
- composition0919
- A Flower Is Not A Flower
- 水の中のバガテル
- amore
- tango
- energy flow
- High Heels
- women without men
- the last emperor
- 美貌の青空
- behind the mask
- tibetan dance
- thousand knives
- Merry Christmas Mr. Lawrence
コンサートは日本と同じように、《glacier》から始まる「out of noise」からの作品→いわゆる「playing the piano」ソロ編→もう一台のピアノを使った「playing the piano」一人デュエット編という流れで進みます。ただ日本公演と違い、前半には「out of noise」からの曲、それもピアノ以外の楽器が含まれた曲が多く置かれていました。こちらでは「out of noise」は発売されたばかり(ただし「Playing the Piano」との限定カップリング)なので、やはりプロモーション的な意味合いもあるのでしょうか。ヴィオールや笙の音が鳴らされるそれら3曲《still life》《in the red》《nostalgia》はかなり印象的でした。いまさら気付きましたが《in the red》はメシアンの《世の終わりのための四重奏曲》を連想しますね。「天国的な長さ」に引き伸ばされたピアノの連打。
日本公演と比べると、アレンジが変わっている曲が多かったです。目立つものでは《Flower Is Not A Flower》の冒頭の和音とか、《千のナイフ》の低音パートとか。あと、時々ルバートが過剰に感じる部分がありました。特に「ソロ編」で非常にスタティックな印象(イギリスのプレスではこれが否定的にレビューされていたようです)を受けたのはそのせいかも知れません。
なぜかわかりませんでしたが、《the last emperor》のあとで一旦教授が袖に引っ込み、すぐに戻ってきました。そこからが後半戦。《tibetan dance》ではスクリーン上にダライ・ラマ14世のメッセージが流されました。《千のナイフ》の後半ではサブのピアノに主旋律を弾かせて、教授はインプロヴィゼーションを繰り広げるというスリリングな展開がよかったです。
アンコールは《戦メリ》。もう何回も何回も聞いている(し、私は教授がこの曲をピアノで弾くのには少々否定的です)のですが、なぜかこの日の演奏が今まで聞いた演奏の中でいちばん感動しました。コンサート本編では違和感を感じていたルバートの感覚が、この曲では当日の私のコンディションにぴったり合ったのかも知れません。あとは自分が置かれている環境とか、12月を迎えようとするこのタイミングとか、当日のホールの音響とか、小雨がぱらつく当日の天候とか、そういったものが絡み合っていたのかも知れません。
とにかく、最後の2曲でやられた、という感じでした。
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帰りは途中にあるパブで夕食を取ろうと考えました。まずはギネスを。生のギネスを飲むのも久しぶりです。食べ物を頼もうとメニューを見ていると、「悪いね。今日はもうキッチンは終わっちゃったよ。」とのこと。(出張でロンドンに来た時にも言われたことがあったなあ …)「本当に食べるものないの?」と聞いたところ「チップスならあるよ。」とのこと。しょうがないのでソルト&ビネガーのポテトチップス(これはこれでうまいのですが)をつまみながらギネスを飲みましたとさ。