休日2日目。時々小雨がぱらつくようなはっきりしない天気である。
いろいろ考えた末、車でリューベック(Lübeck)へ行ってみることにした。ハンブルクからは50kmくらい離れている町で、余裕を持って日帰りできる距離なので、観光の手始めにはちょうどいい。鉃道で行く場合には、いったんハンブルク中央駅まで戻る形になるし、切符の買い方もよくわからない。車だったらすぐにアウトバーンに乗れるので時間も節約できるし、運転の練習にもなるし、ということで車で行ってみることにした。リューベックで簡単に車を停められるかどうか心配だったであるが、これは行ってみないとわからないので、とりあえず行ってみることに。
車で40分程度で到着。駐車スペースは全然問題なかった。
このリューベックは旧市街の町並み全体が世界遺産に登録されている。古くからの美しい町並みが保存されているのである。まずは有名なホルステン門から。
この門をくぐると、その先が旧市街になる。まずは聖ペトリ教会へ向かう。上の画像の右手奥にある高い尖塔の建物である。この尖塔の中はエレベーターになっていて、登ると旧市街を見渡すことができる。「世界遺産」としてのリューベックを訪れたのならここに登らないと意味がないくらい、美しい風景を見ることができる。素直に感動しました。
次は2つの尖塔を持つ聖マリエン教会へ。ここにはバッハが愛したというパイプオルガンがある。パイプオルガンは2カ所にあったんだけどどっちなのかなあ?ひょっとして祭壇横のが演奏席で後方のはパイプだけ?中に入ったのがちょうど12時頃だったからかどうかわからないが、5分くらいオルガンの演奏を聴くことができました。
あと、面白そうだったのが天文時計。ちゃんと6月21日を指していました。
最近どう考えても過食気味なので昼食はごく簡単に取ろうと思い、聖マリエン教会近くの市庁舎広場にあるカフェに入ることにした。下の画像の左が聖マリエン教会、右が市庁舎です。
入ったのは、リューベックでは有名らしい菓子店「ニーダーエッガー」のカフェ。(そういえば以前ハンブルク出張でお土産に買ったバウムクーヘンもニーダーエッガーのものだった。)チェリータルトとカプチーノ。タルトは甘さすっきりで普通においしい。海外でお菓子の類いを食べると甘さや香辛料の香りが強烈で口に合わないこともあるのだが、これは日本人の味覚に合っているのかも。
今日いちばんよく使ったフレーズは「Kann Sie sprechen Englisch?(Can you speak English?)」なのだが、帰ってきてから調べたら、単に「Sprechen Sie Englisch?」の方が適切らしい。その昔、ドイツ語の授業で習ったような気もするなあ。徐々にドイツ語会話のボキャブラリーを増やそうとしているのだが、とっかかりでドイツ語を使うとドイツ語で返されて何もわからない ….. という状況になってしまうのは改善しないと。
3時頃にホテルに戻ってきて昼寝。昨日も今日もほとんど旅行者のノリでせわしなく観光地を回っていたので、かなりバテている。明日から仕事(あくまでもそちらが本業(笑))なので少し体を休めることにする。
そのあと夕食へ。日曜日はほとんどのお店が閉まってしまうので、ホテルのレストランで食べることにした。
まずは、そろそろ旬が終わりそうなシュパーゲル(白アスパラガス)のクリームスープ。2年前にドレスデンで食して以来である。クリームの甘さとシュパーゲルのほろ苦さの対照が絶妙である。メインは「今日のおすすめ」ということでスズキの一種のオリーブオイル焼き。ジャーマンポテトとトマトサラダは付け合わせです。あ、ワインは銘柄を失念してしまいましたが、ドイツのドライな白ワインを合わせました。ドライといっても、例えばシャルドネと一般的に比較してもフルーティな甘さがある。ま、おいしいですが。
ということで、合い言葉は「また、食べ過ぎてしまった …..」。宿泊しているホテルで食べているので、最悪の場合、這ってでも部屋に帰ることができる。胃酸過多で苦しむよりは酩酊の方がいいと思い、消化を助けるために食後酒を注文する。ドイツの食後酒といえば蒸留酒のシュナップス。ハンブルクの「ファイナー・クンメル(feiner kümmel)」というお酒をいただく。かなりベロベロになるが、お腹の方は落ち着く感じがする。ところで給仕をしてくれたウェイターは昔船員だったとかで、30年くらい前に神戸や長崎を訪れたことがあるらしい。
部屋に戻ってテレビをつけたら、ベルリンフィルのヴァルトビューネ(毎年6月に開催される野外コンサート)を生放送していた。指揮はもちろんサイモン・ラトル。イェフィム・ブロンフマンのピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ストラヴィンスキーの《春の祭典》などをやっている。(私がテレビをつける前はハチャトゥリアンの《ガイーヌ》をやっていたらしい。)
《春の祭典》。リズミカルな部分(第1部と第2部の後半など)は少し速めのテンポでドライブしていくのが心地よい。逆に第2部の前半などはかなり濃密。こういう野外コンサート(しかも途中でどしゃ降り)では音楽自体が開放的になりがちな気がするのだが、細かいところもきちっとまとまって統制のとれた演奏だった。
アンコールはチャイコフスキーの《くるみ割り人形》の《パ・ドゥ・ドゥ》と、毎年おなじみ《ベルリンの風》。ウィーンフィルのニューイヤーコンサートにおける《ラデツキー行進曲》のようにヴァルトビューネでは「お約束」のアンコール曲である。これらの曲は《春の祭典》とは対照的にリラックスした雰囲気になる。
今年はぜひ、ベルリンフィルを生で聴いてみたいものだ。