ナイト・オン・ザ・プラネット

週末。なんか無性に映画が見たくなったので見ることにしました。

ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]

ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」です。最近の作品はあまり見ていませんが、実はいちばん好きな映画監督です。私が学生の頃、ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」という映画が妙に流行りまして、それを見に行ってからハマってしまいました。

ロサンゼルス(午後7:07)、ニューヨーク(午後10:07)、パリ(午前4:07)、ローマ(午前4:07)、ヘルシンキ(午前5:07)、時差の関係でそれぞれの時刻は違いますが、同じ瞬間に世界各地で起こるタクシー・ドライバーとそこに乗り合わせた乗客とのやり取りを描いた作品です。原題は「Night on Earth」。邦題の「ナイト・オン・ザ・プラネット」は語感のリズムを考えた日本側から提案があってつけられたのだそうです。それはともかく、複数形の「Nights」ではなくあくまで単数形の「Night」、それぞれの都市の「夜」なのではなく、あくまでも地球の「夜」に同時に起こっている出来事ということなのだと思います。

心に深く突き刺さるシリアスさから言えばこのあとに撮られた「デッドマン」も好きなのですが、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」は、ジャームッシュの初期に見られる「おもろうてやがてかなしき」の総決算とも言える作品だと思います。この映画でも笑えるネタはたくさんあるのですが、そのあとで、ふっとエアポケットに入ったようにしんみりすることがあります。そういった起伏が心地よい作品です。

ジャームッシュの映画ではよく使われる手法なのですが、各エピソードの冒頭で、その都市の風景を切り取ったほとんど静止画のようなショットがあります。そのショットに見られるツーリストのような視線、つまりその都市を疎外的に眺めた視線がすごく気に入っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください