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お呼ばれ

妻のドイツ語の家庭教師の先生にご招待いただき、ご自宅にお邪魔した。もともとは先生の息子さんがうちの息子と遊びたい、と言っていたから実現したものである。

先生のお宅はノイグラーベン(Neugraben)にある。我々が住んでいるハルステンベック(Halstenbek)からだとエルベ川をはさんだ向こう側、という位置関係になる。S3 で乗り換えなしに行けるのであるが所要時間は約1時間である。そのあたりのエリアは今回初めて訪れたのであるが、ハンブルク近郊にしては珍しく小高い山というか丘というか、が近くにあるし、かなり背の高い木がたくさん生い茂っていたりと、趣きが違う。

さて、子供は子供で勝手に遊ばせておいて、大人は大人の会話をするわけだが、それぞれが理解できる言語が少しずつ違っているのが面白い。

  • 先生:ドイツ語、日本語、英語(少し)
  • 先生の旦那さん:ドイツ語、英語、日本語(少し)
  • 妻:日本語、ドイツ語、英語(少し)
  • 私:日本語、英語、ドイツ語(少し)

基本的に私と旦那さんが会話をする時には英語、4人で会話する時にはドイツ語で適宜先生が日本語で注釈を入れてくれる、というような形になった。妻と先生はいつもの授業の延長のような感じで日常会話の中でドイツ語の語彙を増やしていっているし、私は旦那さんとお互いの仕事の話をする。(旦那さんはエアバスに勤めているらしい)

ドイツローカルな食事を出していただき、ときおりシュナップスやウォツカやメタクサといった食後酒(というか食中酒だな …)を嗜みながら食べるといった流れ。当然、ドイツ料理は日本人の胃袋にとってはヘビーなものが多いのだが、こういったお酒を飲みながらだと消化が促進される。

今度はうちにも来ていただけるといいのだが。

11人いる!

新しい仲間が11人増えた。ほとんどチームごと移籍してきた、という感じである。

明日から本格的なミーティングが行われるのだが、今日は顔見せと社内見学、そのあとディナーという予定だった。

私もディナーに参加させていただく。会場は外部からお客様が来た時の「御用達」のような位置付けの店、典型的ドイツ料理レストランの「グローニンガー(Gröninger )」である。

11人のうち何と2名は日本人である。さすがにビールが回ったあとで英語で会話するのはしんどいので(しかも私の苦手な英国イングリッシュ)、最後の方は日本人の方と話をしていた。お二人とも小学生くらいの時にイギリスに渡り、その後ずっと住まれているとか、ロンドンオリンピックの女子サッカーの試合を同じ会場で見ていたとか、作曲家としても活躍しているとか、今後も楽しみである。

帰りは電車だったので最寄り駅まで Stefan と一緒に歩く。大きな幹線道路沿いを歩いているのだが「なんか意外に交通量が少ないねえ」みたいな会話にある。「そういえば、今日はドイツ対オランダの親善試合があったなあ」と Stefan。すっかり忘れていたなあ。(ちなみに結果はスコアレスドローだった)

 

完結

楽劇《神々の黄昏》第3幕を見る。これでメトロポリタン歌劇場の新しい《ニーベルンクの指環》も最後まで到達ということになる。

4時間30分のオペラを約1分にまとめた(笑)トレーラーはこちら。

まず主役の2人がよかった。すなわちデボラ・ヴォイトが演じるブリュンヒルデの「姉御」っぷり、ジェイ・ハンター・モリスが演じるジークフリートの天真爛漫さというか、「何も考えていなさそう」な雰囲気というか、が個人的にしっくりときた。

それに比べると悪役たち(ハーゲン、グンター、グートルーネ)の毒が少なかったのがいまいち。ハーゲン役のハンス=ペーター・ケーニヒは《ヴァルキューレ》でも敵役であるフンディンクを演じていたのであるが、へたに気品があるのであまり憎まれ役には向いていないのかも知れない。

しかし、歌手としての全体的なラインアップはいわゆる「ヴァレンシア・リング」よりは格段に上。また、《ジークフリート》と《神々の黄昏》はレヴァインではなくファビオ・ルイージに替わっているのであるが、予想通りかなり堅実な音楽を作っていた。レヴァインに比べると派手さがないのだが、まあもともとこういうキャラクターの音楽を作る人だし。

あらためて思ったのだが、ワーグナーの意図に忠実な演出となるとどうしても最終場面に無理があると思った。最終場面は「ジークフリートの亡骸を包む炎にブリュンヒルデとその愛馬グラーネが飛び込む」 → 「ライン河畔にあるギービヒ家が崩れ、ブリュンヒルデが持っていた指環は無事ラインの乙女たちのもとに戻る(ハーゲンは指環を追いかけて行って溺れてしまう)」 → 「そして神々の住むヴァルハラが崩壊する」という流れになっている。これをそのままシーケンスとしてつなぐとどうしても不自然になるし、ヴァルハラの崩壊は突然規模の大きな話になるのでそれまでの流れに比べてどうしても安っぽく感じてしまうことになる。

全般的には違和感なく見てくることができたのだが、最後の最後で原作に忠実であるがゆえの不自然さを感じてしまった。というわけで最終部分だけ「ヴァレンシア・リング」を見直した。上記の全てのエピソードを強引に一つの舞台で見せているのであるが、これはこれでヴィジュアルなインパクトがあるのでとても好きな場面なのである。

しかし、この「新メト・リング」(もう愛称はあるんですかね?草津の湯もみ板リング?)を見たあとで「ヴァレンシア・リング」を見ると、その衣装やメイクの奇天烈さに笑ってしまう。

カーテンコール。「ヴァレンシア・リング」ではオーケストラの演奏者も全員ステージに上がってカーテンコールを受けるのがかっこよかったのであるが、「新メト・リング」では最後のカーテンコールが終わったあとのカーテン裏の歌手たちの表情がとらえられているのがよかった。

しかし《指環》全曲が綺麗な画質で安く見られるようになったのはいいことですなあ。「新メト・リング」のセットは100ユーロ弱だから日本円で10000円しないくらい。私が初めて買った《指環》全曲はサバリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場のレーザーディスクで当時は80000円した。

 

11/11の徒然

今日は珍しくガブリエルが遊びに来なかった。息子が先週もらったピザの台(木製の皿)を返しに行ったら不在だったそうだ。

ということで、比較的まったりと過ごす。

今日は珍しく朝から天気がよかったので、思い立って妻の車のタイヤ交換をすることにした。以前からいろいろ書いているが、ドイツでは冬の間いわゆる「冬タイヤ」を履いて走らなければいけない。おそらく11月中に雪が降ることはないと思うのだが、先延ばしにしているとどんどん寒くなってタイヤ交換のモチベーションが下がってしまうので、暖かい日に替えることにした。

そのあとは、久しぶりに息子とサッカー。ちょっとトリックプレーをしたりするとすぐに息が上がってしまう。日々少しずつでも体を動かしておかないといけないなあ … と思う。

例によって、バンドジャーナル2月号の特集「コンクール自由曲集計」の記事を書かせていただけることになったので、いろいろと資料をまとめている。前年まで Excel を使って手作業でやっていたものを、今年からはなるべく自動化してチェックする手間を少なくしようと思い、吹奏楽コンクールデータベースをもとにしてスペシャルプログラムをちまちまいじる。考察の裏付けとなる資料をいろいろ添付しようとするとページが足りなくなりそうなのでちょっと心配 …

今日は夕食も早く、息子も疲れたらしく早く寝付いたので、なかなか先へ進めなかった《ニーベルンクの指環》のブルーレイを見ることにした。(ブログには全然途中経過を書いていないが)今日は《神々の黄昏》の第2幕。ジークフリートに騙されて嫉妬に駆られた(キレた)ブリュンヒルデがうっかりジークフリートの弱点を口走ってしまう … というあたりのお話である。

ジークフリートやブリュンヒルデの熱演に比べると、悪役としてのハーゲンやグンターなどがちょっと淡白なのが気になる。あと第2幕は舞台がギービヒ家(ハーゲンやグンターの居宅)だけなので、注目の舞台セットもあまり印象的ではない。

ということで残り1幕なのだが、いつ見ることができるかな …

 

 

11/4の徒然 (On a special day)

私事ながら、今日は誕生日である。

まず、息子が朝食前に YouTube から “Happy Birthday” を探して(最近、このくらいの検索はできるようになっている)、かけてくれた。いきなりこういうことをされるとぐっときてしまう。

お昼過ぎに例によってガブリエルが遊びに来る。「ガブリエルと家族より」ということで、メッセージカードやらオーナメントやらプレゼントやらを持ってきてくれる。私が直接誕生日を伝えたわけではないので、こういうのも不意打ちだなあ。

ちなみにプレゼントはイタリア生まれ(ちなみにガブリエル家もイタリア出身)のバリトン歌手、レナート・ブルーソンによるイタリア・オペラ集のCD。ペルゴレージ、スカルラッティ、グルックなどのレパートリーが収録されているところを見ると、時代的には少し古めの作品なのかも。(おそらく、どの作品も聞いたことがないはず。)なかなか、ツボをついたうれしいプレゼントである。

 

日本人学校学芸文化発表会

ハンブルク日本人学校の学芸文化発表会が開催された。

息子がドイツに来てから3回目の発表会なのであるが、最初の年は見に行くことができず、次の年(昨年)は息子がマイコプラズマにかかっていたので自分の出番だけ強行出場させてすぐに帰った。そういうわけで、最初から最後までじっくり見たのは今年が初めてだった。

基本的に各学年ごとに出し物(劇とか歌とかダンスとか)を披露する。各学年は多くても10数人、少ない学年では人数が一桁のところもある。一人一人が大きな責任を持って取り組まざるを得ない状況なのである。子供たちが自覚しているかどうかわからないが、これはとても得難い経験で、将来きっと何らかの役に立つはずである。

そんなことを考えていると、誰もがそつなく自分の役割をこなしていることに驚き、どれを見るにしても目頭が熱くなってしまうのである。

 

上原ひろみ in ハンブルク

急きょ、ハンブルクで行われる上原ひろみのライブを見に行けることになったので行って来た。

場所はアルトナにある「FABRIK」というライブハウスである。もともと何かの工場だった建物にいろいろなテナントが入っている施設らしい。

というわけで、ステージはこんな配置。ステージにある2本の柱に邪魔されてドラムしか見えない。

さて、実は上原ひろみさんが弾くジャズをちゃんと聞くのは初めてである。矢野顕子さんとやったピアノデュオコンサートの CD があまりによかったので期待していた。

オープニングの《Move》という曲がニューアルバムのタイトルチューンらしい。変拍子だらけのフュージョン寄りのジャズという感じ。終演後に一緒に行ったメンバーで話が出たのだが、この曲はキャッチーでとてもかっこいい。

時々パット・メセニーを思わせる曲想があったり、プログラムの中ほどに置かれたソロコーナー(ちなみにかなり脱臼した《I Got Rhythm》(かな?)をやっていた)ではアッコちゃんを思わせたり。

最初に座った位置がほとんどドラムしか見えない場所だったので、やはりバランス的にドラムが大きく聞こえる。そのせいか、ちょっと一本調子に聞こえてしまうところがあったが、CD ではもっと繊細なアンサンブルが期待できるのだろう。というわけで、会場で売られていた CD を買った。(あとで調べたら、やはり日本盤は初回限定 DVD 付きでしたぜ > U 氏)

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アンコールの1曲目が終わって、客電がついて、お客さんが少しはけた状態からでも出てきてくれて、2曲目のアンコールをやってくれた。中央付近に空いた席があったので、そちらに移動して、やっと上原さんが演奏する姿を見ることができた。

ジャケット写真などで見る姿はかなり大人びて見える。ステージでの身のこなしは、いわゆる「浮遊系女子」っぽい。ピアノをハードタッチで弾いている時でも、かなり軽やかに見える。

生演奏を聴くのはすごく久しぶりのような気がするのだが、やっぱりいい音楽を生で聴くのはかなり大事なことなのではないか、とあらためて認識したしだいである。

10/28の徒然

今日からサマータイムが終了。

昨日から今日にかけて夜が1時間長くなることになるので、いつもより長く寝ることができて何となく幸せである。私は体内時計がすぐに変更されないので、7時前には起きてしまって、日本で行われていた全日本吹奏楽コンクールの結果をうだうだ見ていたのであるが …

通常は8時から「ヤッターマン」が放送されるので、それに合わせて息子が起きてくるというパターンだったのだが、今日は7時50分から「デザインあ」が始まった。なんかおかしいなあ?と思ったら、サマータイム移行措置なのか何なのかわからないが、「ヤッターマン」は7時から始まってすでに終了していた。

慌てて息子を起こしにいったら「何で起こしてくれなかったの?」と逆ギレされる。ちゃんと目覚ましが鳴っているんですが …

いつものように日本との Skype と家庭学習をしたら、息子はそそくさとガブリエル家に遊びに行ってしまった。

いつものようにすぐにガブリエルと一緒にうちに帰ってくるかと思ったら、なかなか帰って来ない。

さすがに午後6時30分になっても帰って来ないので迎えに行く。

ガブリエルが風邪気味だったので、ずっと家の中で(サッカーなしで)レゴで遊んでいたらしい。

母親のアグネーゼによると「うちで夕飯を食べていく予定なので、終わったら電話するか、息子に送らせるわ。」とのこと。私はほとんど会話できないのであるが、息子はよく6時間も遊んでいたものだ。

というわけで、久しぶりに妻と二人だけで「静かだねえ」とか言いながら夕食を取る。

そのうち、息子がフィリッポ(ガブリエルのお兄さん)に連れられて帰って来た。夕飯で食べたというピザと一緒に。

 

10/20 の徒然

昨日あたりからかなり気温が上がっている。最高気温が20℃近い。この時期のハンブルクとしては異例の暖かさなのだとか。来週からは一気に冷え込んで最高気温が10℃以下にまで下がってしまうようだが。

私は午前中から歯医者。基本的にドイツの病院/医院は土日が休みなのであるが、日本びいきの歯医者さんが土曜日は日本人のために開けてくれているのである。

日本にいる時はほとんど(新規の)虫歯はなかったのであるが、いくつか虫歯が見つかったので治療している。やはり、日本にいた頃に比べると甘いものを飲み食いする機会が増えているのかなあ …

それから、歯ぎしりが原因で肩こりや偏頭痛があるのではないかと言われた。何かとストレスの多い海外駐在員にはありがちの症状なのだそうだ。これを改善するためにマウスピースを作ってもらった。プラスチックで作られた「上だけの総入れ歯」のような形状のもので、寝る時に装着して寝る。上の歯と下の歯が直接接触するのを防いで、大きな力がかからないようにするものらしい。

*****

妻と息子は息子の同級生の家に遊びに行く約束をしていたそうで、私は午後からのんびりと自分の時間を堪能することにした。一人でないと見られない(家族は一緒に見てくれない)オペラを見ることにする。先日購入したメトロポリタンオペラの《ニーベルンクの指環》から序夜《ラインの黄金》である。

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シルク・ドゥ・ソレイユのロベール・ルパージュによる演出。舞台に設置された20枚以上の大きな鉄板が呼び物。これからが自由に動いて、壁になったり床になったり階段になったり天井になったり、と変化する。

例えば、冒頭ではこれらが川底を模し(泡沫が投影される)、そこでワイヤーに吊るされたラインの乙女たちが泳ぐ。ヴァルハラへの入城の場面では虹の橋となって神々を高みへ運ぶ。などなど。

とはいえ、舞台上での見た目は非常にシンプルで、視覚が音楽の邪魔をしていない。これは非常にいいと思う。

歌手は概ね良好。ちょっと前に購入したいわゆる「ヴァレンシア・リング」に比べると歌唱が明瞭に聞き取れる。歌手の力量かも知れないが。

ひとまず、非常に満足。

 

愉しきかな古楽器演奏

昨日の水曜日が祝日ということで、木曜日と金曜日に有休を取って5連休にする人が多い。

火曜日に帰る時に上司の Ralf に「私は木曜日と金曜日に休むので会うのは月曜日ということになるな。Schönes Wochenende!(よい週末を)」と言われたのであるが、自分がそれとは入れ替わりに来週の前半に(日本人学校の秋休みに合わせて)休暇を取ることを忘れていた …

それはさておき、最近いわゆる「ピリオド演奏」にはまっている。

ちょっと前にシューマンの交響曲を聞いて意外にも気に入ってしまったので、同世代のメンデルスゾーンの交響曲も聞いてみるか、と思ったのである。Naxos Music Library から探すのであるが、まずは BIS レーベルから出ているアンドリュー・リットン指揮ベルゲン・フィルの演奏を聴いてみた。すっきりしていい感じなのだが、ちょっと物足りない。

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それから、いろいろなウェブページを眺めたりしてたどり着いたのが、Hänssler というレーベルから出ている、トーマス・ファイ指揮ハイデルベルク交響楽団による演奏。

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管楽器こそ古楽器を使っているが、弦楽器は現代の楽器を使ってピリオドアプローチ(ノンヴィブラートとか)をしている、いわば折衷的な演奏様式なのであるが、これがなかなかよい。あまりにオーセンティックに過ぎるピリオドアプローチにありがちなどぎつい音色は緩和され、しかもピリオドアプローチの面白さである、管楽器と弦楽器の絶妙なバランスの妙も聞ける。

というわけで、このコンビによるメンデルスゾーンの交響曲全集(管弦楽のために書かれた5曲だけでなく、その前に書かれた弦楽のための交響曲も収録されている)にすっかりはまってしまったわけだが、このコンビはハイドンの交響曲全集も進行中とのこと。確かピリオドアプローチでのハイドン交響曲全集はまだ成し遂げられていないはずなので(残念ながらホグウッドなども中断したまま)、この演奏様式で聞けるとさぞ楽しかろう。やはり、ドラティの全集にはなじめないので、この新しい全集に期待したい。

それから、これを探している時に見つけた、フォルテピアノによるベートーヴェンのピアノソナタ。ロナルド・ブラウティハムによる全集が BIS レーベルから出ている。

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モダンピアノのようなブリリアントな響きは期待できないが、その反面それぞれの音の粒立ちがはっきり聞こえ、引き締まった音楽が聞ける。これはこれでありだと思う。ジャケットには(おそらく)ヨーロッパ各地のベートーヴェンにちなんだ地名の標識が使われているのも面白い。