日別アーカイブ: 2009 年 4 月 16 日

ONCE ダブリンの街角で

ONCE ダブリンの街角で デラックス版

ということで、さっそく見てみることにした。1時間半と手頃な長さである。

ダブリンの街中で出会った男女が一緒に音楽を始めて、そして別れるまでの物語である。エンドロールで初めて気づいたのだが、彼らには名前が与えられていない。そして、彼らは電話(いわんやメールをや)で連絡を取ったりしない。(男は映画の最後の方で初めて女が電話を持っていないことに気付くのである)会いたいと思った時は街に出るのである。そんな牧歌的というか原始時代的なシチュエーションが、この映画のストーリーが刹那であることを際立たせている。

ストーリーとしてはシンプルだし、ラブストーリーといえばラブストーリーなのだが、微妙に距離を置いたまま揺れる(そして最終的には離れてしまう)主人公2人の感情がうまく描かれている。

主人公2人はもともと一緒に音楽活動を行っていたそうで、別の見方をすればこの2人を使ったちょっと長いプロモーションビデオとも考えることができる。映画の中でもかなり長く(必要以上に)主人公が歌う楽曲が使われているし、また、映画を見終わった後にサントラを聴いてみたいとも思う。音楽が素晴らしいからなのだろう。

楽器店(女が昼休みにピアノを弾かせてもらっている)で2人が初めて一緒に演奏するシーンでは、男が自分のオリジナル曲のコードを女に教えながら伴奏して欲しいと促すのだが、この曲の中でハモるシーンがとても印象的だった。

音楽は自由にする

やっと読み終えた …..

音楽は自由にする

教授にとっての「初の本格的自伝」。全体的には淡白な回想に留まっているが、プロとして活動する前のエピソードについては今まであまり明らかにされていなかったと思うので、このあたりは面白く読めた。

YMOとしてのキャリア、特に最初の活動期と再生期についてはあまり語られていないが、やはりいい思い出は少なかったのだろうか。その反面、映画「ラスト・エンペラー」撮影(およびその後のサントラ作曲)については多くのエピソードが語られているのは、教授のキャリアの中でも特に大きなイベントだったからなのだろう。

タイトル「音楽は自由にする(Musik macht frei)」は、アウシュビッツの強制収容所の入り口に掲げられていた「労働は自由にする(Arbeit macht frei)」のもじりである。