月別アーカイブ: 2006年1月

ゲルギエフ

ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団の演奏会を聞きに行く。

2006年1月31日 アクトシティ浜松大ホール

  • チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」より
  • チャイコフスキー/交響曲第5番

アンコール

  • チャイコフスキー/バレエ音楽「眠りの森の美女」より終曲(らしい)
  • チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」よりトレパーク

わりと小さ目の編成(弦は 7-5-5-4-3 くらい?)なのだが、チャイコフスキーだとこのくらいが適当なのだろうか? 厚ぼったい響きを予想していたのであるが、かなりすっきりした響きだった。 音楽の作りも意外に端正。

各管楽器奏者は非常に密度の高い音である。 第5番でアシなしってのは凄い。トランペットはわざわざアンコールで一人追加するんだったらアシをつけておけばいいのに ….. とか思ったのだが、これはポリシーなのだろう。

「くるみ割り人形」はよく聞かれる組曲版ではなく全曲版からの抜粋。 確か、数年前にヤマハ吹奏楽団もポップスコンサートで同じような試みをやっていた。 ということで、ほとんど聞いたことがない曲ばかりが並んでいるのだが、曲の作り方がうまいので面白く聞ける。

浜松公演は日本公演の最終日だったので、アンコールはかなり無礼講モード。 最後の《トレパーク》では、ゲルちゃんはさっさとステージ袖に引っ込んでしまうし、最後は(指揮者なしで)怒涛のアッチェレランド。 演奏が終わったあとに演奏者同士で握手をし始めるのも、いかにも最終日という感じでリラックスした雰囲気。こういうのもいい。

前日の鹿児島(!いつどうやって鹿児島から浜松まで移動したんだろう)ではあまり出来がよくなかったという書き込みを見たが、浜松ではそんなことはなかった。 チャイコの第5番なんかはもうこのコンビで手垢がつくくらい演奏しているのだろう、そういう意味で安心して音楽に浸ることはできたのだが、逆にいうとスリリングな展開がなかったのがちょっと物足りない気もする。

Tribute to N.J.P.

ナム・ジュン・パイク(白南準)が亡くなったそうだ。

一時期、教授にも影響を与えたビデオ・アーティストだ。アルバム「音楽図鑑」に《Tribute to N.J.P.》という曲が収録されている。

音楽図鑑完璧盤

先日、ビデオを整理していたら(相変わらず粛々と DVD 化を進めています)「ナム・ジュン・パイクの TV オリンピック」という番組を録画したテープが出てきた。浅田彰が進行役で、マーク・カニングハムやラララ・ヒューマン・ステップスが踊り、教授が《ちんさぐの花》を演奏するという、いかにも80年代のネオ・アカデミズムな雰囲気満載の番組であった。

さて、ここで問題です。《Tribute to N.J.P.》と同じく「音楽図鑑」に収録されている《M.A.Y. in the Backyard》の M.A.Y. は何の略でしょう?

新日本プロレス

新日本プロレス「崩壊」の真相 (別冊宝島 (1260))

コンビニへ行ったところ本棚にあった。 パラパラとめくったところ、ちょっと面白そうだったので買ってみた。 一気に最後まで読んでしまった。

時代の流れがプロレスではなく格闘技に傾いていることもあって、以前ほどプロレスは見なくなった。そういうわけで 1/4 恒例のドーム興行がまだ続いている(そして、おそらく今年が最後だったらしい)ことも、新日本プロレスがゲームソフトメーカーに買収されたことも知らな かった。

そういう最近の事情を知らない私でも、「猪木」というキーワードに振り回されてきた(今も振り回されている?)新日本プロレスのビジネス的な裏事情がわかって非常に面白かった。

なぜ、国際プロレスが倒産したあと新日本プロレスに乱入してくることになったのか、なぜ、モハメド・アリ戦が終わったあとも猪木は異種格闘技戦を続けなければならなかったのか、がこれを読むとわかる。

順番待ちをしている未読の本たち、ごめんなさい …..

ちなみに、国際プロレスのボスはラッシャー木村だった。 国際プロレス軍団(ラッシャーとアニマル浜口と、もう一人誰だったっけ?)が新日本プロレスのリングに乱入をしてきて、ラッシャー木村がマイクパフォーマンスで宣戦布告を行なった。その時の第一声が、

「みなさん、こんばんは。」

である。私はこのエピソードでラッシャー木村を愛することができる。

そして、彼に敬意を表して、所属する吹奏楽団の挨拶(演奏会の打ち上げとか、新年会とか)を必ず

「みなさん、こんばんは。」

で始めている ….. のは誰も気付いていないだろうなあ …..

*****

(後日付記)国際軍団のもう一人は寺西勇でしたね。grok さんに教えていただきました。

雑誌取材

私の所属する吹奏楽団が某吹奏楽雑誌の取材を受ける。(全然「某」になっていない気もするが …..)

団のスポークスマン的立場ではないので、あまり多くのことは話せなかったのであるが、我々の活動が正直に伝わればいいと思う。

ということなので、合奏中の写真も撮られるわけだ。なるべく和やかな雰囲気で合奏を進めようと思っていたのだが、ほとんど初見に近い状態なので、演奏者も必死だし、私も計画通りの合奏内容を進めようと思って必死だったので、かなりテンションの高い演奏になってしまったかも知れない。まあ、音は雑誌に載るわけではないのでいいか … えらく真面目なバンドだと思われてしまっても困るのであるが …

3月か4月に発売される号に掲載予定とのこと。興味があったら見てみて下さい。

マインドマップを試す

さっそく会社でマインドマップを試してみる。

フリーウェアで探したらFreeMindというツールがよさそうなので、とりあえずこれを使ってみる。見栄えに凝ったりするのは大変そうだが、アウトライン・プロセッサーとして使うには十分な機能である。

午後から打ち合わせがあったので、これで作成した事前メモをもとに会議を進めたのだが、想像していた通りの効果があった。

同じ打ち合わせに出席していた友人によると某海外企業のエンジニアも使っていたらしい。彼も興味を持っていたので紹介してあげた。

ちょっと不便なのは、このソフトウェアで書いたメモを、例えば議事録のような形で他の人に渡す場合。HTML に書き出せるのだが、さすがにこのままだと使いにくい。タブでインデントしたテキストとか、Excel に読み込めるような形でのデータにしてもらえるとありがたいのだが。(製品を買えってか。)

品川にて

品川出張。

品川に行くとなると、やはり昼食は「デヴィコーナー」で食べたい。品川駅から第一京浜を田町方向に行けばすぐ分かるカレー屋である。インド人が作っているが多少日本人向けの味付けになっていると思う。何よりコストパフォーマンスがよい。2種類のカレーとサラダ、タンドリーチキン、飲み物つきで1000円。ライスだととても食べきれる量じゃないのでナンにしておいた方がよかった。

ワインショップ「エノテカ」で晩酌セットを買い、とてもじゃないが持って帰れないので宅配を頼む。2003年のヴィンテージが出始めている。けっこういい年なのだろうか。ムートンは4万円だ。鍵のかかったワインセラーには1934年のシャトー・ディケムがあった。26万円なり。

それから「ルピシア」で妻のお使い。フレーバーティーをいろいろ買い込む。

本題の出張目的はソフトウェア開発のモデリングに関するセミナー。やはりソフトウェア開発は上流での曖昧さをなくすことがみんな(管理者も開発者もテスターも結果的には会社も)幸せになる最良の方法だという思いを強くした。本題とは直接関係なかったのだが「マインドマップ」についての説明を受けて目からウロコ。今まで仕事のアイデアとか所属する吹奏楽団の選曲/方針とか漠然と頭に浮かんでは消える考えはプレーンテキストでつらつらメモっていたのだが、マインドマップのような書き方をすればもう少し整理できそうだし、何よりもあとで見返したときに思考の過程をトレースしやすいような気がする。

ザ・マインドマップ

組込みソフトウェア開発のための構造化モデリング 要求定義/分析/設計からソースコード作成までソフトウェア開発上流工程の基本を構造化手法に学ぶ

ということで、仕事に関連した本もあわせてさっそく買ってみることにした。(年末に買った本も消化し切れていないぞーーー)

… にも関わらず、カバンの中から年末に借りた岡本太郎の本が見つかった(ごめんね。今まで忘れてた …)。シンクロニシティか?ということで、帰りの新幹線の中ではこれを読むことにした。

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)

50年前に書かれた本なのであるが、内容は全く古びていない。つねに芸術を生み出し続けていこうとする氏のエネルギーが垣間見える。
(「新しいと言われた時点でもう古くなっている」という言葉は重い)ちょっと前の日記で「すごく極端なことを言えば、演奏者は自分の出す全ての音について、ありったけの知恵と勇気と人生経験を振り絞って意味付けを行なわなければいけないのだ。」と書いたが、岡本太郎が書いている「芸術とは、自分自身を創ることだ」という発言と、実は近いことを言っていたりして。

太陽の塔

前にも書いたが、岡本太郎が大阪万博のために制作した「太陽の塔」が大好きである。

「岡本太郎 EXPO’70 太陽の塔からのメッセージ」という展覧会の図録がオークションに出品されていたので購入してしまった。これは2000年(つまり大阪万博開催のちょうど30年後)に開催された展覧会のために作られたものなのだが、つい先日まで開催されていた「タイムスリップ大阪万博展〜EXPO’70とその時代〜」(2006年1月2日(月)〜16日(月))では太陽の塔のメイキング映画や当時のニュース映画を収録したDVDを付録につけて限定販売されていたらしい。

多少プレミアムがついた価格だったのだが購入して大正解。「黄金の顔」が取り付けられる場面や、万博が開催されている間は「太陽の塔」の周りを取り囲んでいた吊り屋根を持ち上げる場面などは、当時を知らない私でもわくわくする感動があった。

また、内部の「生命の樹」(実は内側にもたくさんのオブジェがあるのです)は2003年に33年ぶりに一般公開されたのだが、それ以降も不定期の公開なのでなかなか見ることができない。この内部の当時の映像も貴重である。

それから冊子の方も、スケッチやら縮小模型やら詳細な設計図やらが載っていて大満足。

ちょっと前に買ったDVDよりも面白かった。このDVDは公式記録映画ということで企業館(普通こっちの方が面白いですよね?)が紹介されていないのである。

公式長編記録映画 日本万国博 [DVD]

….. と思ったら、今度は「公式記録映画 日本万国博 DVD-BOX」なる4枚組DVDがリリースされるらしい。

公式記録映画 日本万国博 DVD-BOX

これも惹かれるなあ …..

シーナ&ロケットとか遠藤賢司とかカンタベリーとか

遠藤賢司 特得箱 (スペシャルBOX) “キング・オブ・ワッショイ”

待望の「東京ワッショイ」の紙ジャケ化。遠藤賢司の曲はほとんど聞いたことがなかったのだが、横尾忠則がデザインしたジャケットのかっこよさにしびれていて、ぜひ購入したかった。

このボックスは「東京ワッショイ」「地球防衛軍」という公式盤2枚とライブやシングル盤などのレア音源を収録した編集盤2枚組。近々公式盤だけが単売されるという話もあるのだが、ボックスの方が気合が入った作り方がされていると思い、こちらを買うことにした。実際、湯浅学氏やこのボックスを企画した和久井光司氏などの文章が載っているブックレットもついていた。

音の方はまだ方向性がつかめない。もともとはフォーク畑の出身らしいのだが、2枚の公式盤では四人囃子やプラスチックスに在籍していた佐久間正英がサウンドプロデュースを担当している。「東京ワッショイ」の冒頭を聞く限りでは1970年代後半から1980年代前半あたりのテクノ・ポップとかパンクの要素が感じられる。例えば初期の P-MODEL に通じるところがある。

また、このボックスで楽しみにしていたのが名曲と言われている《カレーライス》が聞けること。こちらはライブ音源が編集盤の方に収録されている。彼女がカレーライスを作っている間、自分が猫と一緒にテレビを見ているという歌なのだが、突然「どっかの誰かがパッとお腹を切っちゃったんだって」と歌われる。三島由紀夫の切腹事件のことらしい。淡々と情景を歌っている中で前後の脈絡なく突然歌われるのが面白い。いわゆる「四畳半フォーク」をシニカルに皮肉っているのかなあ。

*****

やっと「真空パック」がCD再発。残念ながらリマスタリングはされていないらしく音はいまいち。まあ紙ジャケだし、臓物はきちんと再現されているし、少しは許せるかな。

(だったら YMO の紙ジャケ再発の時もちゃんと臓物を再現してくれればよかったのに。)

リアルタイムで聞いていたのは「真空パック」だけだったので、今回もこれだけを買っておこうと思っていたのだが、YMO が関わったアルバムだけでも押さえておこうかと思ったらほとんど全部になってしまったので、とりあえず全部購入。来月はゲルニカ+戸川純関係。どうしようかな …

*****

ソフト・マシーンのファーストアルバムと、ジョン・ケイル、イーノ、ニコ、ケヴィン・エアーズらが共演したアルバムの紙ジャケ。音はどちらも所有済。特にソフト・マシーンのファーストアルバムの変形ジャケが目当て。

ソフト・マシーンはどんどん硬派なジャズ・ロックに変貌していくのだが、ファーストあたりはまだまだポップな面が押し出されていて聞きやすい。「サード」とかの方が緊張感はあるけどね。

芸能人ビッグバンド部

木曜日ではあるが、録画しておいた「カスペ!」を見る。

http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2006/06-010.html

「芸能人ビッグバンド部」ということで、楽器初心者を集めて、映画「スウィング・ガールズ」の指導陣が鍛え上げて、ビッグバンド・コンテストに出場するということである。

とはいえ、トランペットのつるの剛士は中学校時代に吹奏楽部に在籍、都大会で金賞を取ったことがあるらしい。ホームページで見たら、練馬区立豊玉第二中学校だそうな。

3ヶ月という練習期間では、やはり演奏は「それなり」という出来だったのだが、これを見ていて「初めて楽器から音が出た時のうれしさ」とか「初めてちゃんと楽譜が吹けた時のうれしさ」とかを最近忘れているなあ … としみじみ思った。

もちろん「楽しい」だけではダメだと思うんだけどね。でも、どんなジャンルでも、どんな曲(シリアスな曲であっても悲しい曲であっても)でも、「音楽を演奏できることの幸せ」を音に込めることはとても大事なことだと思う。

というわけで、今年の我が吹奏楽団のテーマは「エモーション」なのである。すごく極端なことを言えば、演奏者は自分の出す全ての音について、ありったけの知恵と勇気と人生経験を振り絞って意味付けを行なわなければいけないのだ。素人はそのくらいのことをしないと、拙い演奏を聞いてくれるお客さんの心を動かせないのだ。