日別アーカイブ: 2005 年 3 月 20 日

新しいミッテンヴァルトへ

《響宴》で池袋へ行くので、やっぱりミッテンヴァルト(http://www7a.biglobe.ne.jp/~mittenwald/)へ行くことにした。念のため、迷ったときのために住所を控えておこうと出発前にホームページを見たら、何と移転したというお知らせ。あわてて地図をプリントアウトして出発。

営業時間が 13:00〜20:00 ということだったので、《響宴》を聞いてから行くことにした。以前から商売っ気のないショップだと思っていたが、この営業時間もなかなかすごい。さらに移転した住所は普通のマンションの一室。玄関で靴を脱いで、スリッパを履いて、部屋の中にぎっしりと並べられている CD 棚を物色するのである。「趣味人」色がいっそう強くなっている。

とはいえ、東京コンサートが出している「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」シリーズは限られた店でしか買えないので、やはりここに来るしかないのである。一通り CD 棚を物色したところ、どうもなさそうなので店員さん(というかどう見ても客を招きいれた家人(笑))に聞いてみる。そうすると「すみません。引っ越したばかりなのでまだ全部整理していないんですよ」と言われて、もう一室へ案内される。そこは、もっと CD やビデオが詰まっている部屋。「こちらにあると思いますのでご覧になってください。」と言われた。

邦人作品の CD はほとんどこちらにあるようなので探すことにする。第一希望の CD がなかったので、第二希望の「No.9 新しい合唱の息吹」(ECJC 009)を買うことにする。吉田隆子が与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」に曲をつけた歌曲を聞いてみたかったのである。

けっこう珍しい CD があるなあ、と思いつつ棚を眺めていると、「清瀬保二生誕100年記念演奏会」の4枚組CDを見つけてびっくり。これは確か関係者にしか配布されなかった非売品ではないか。それからクリティーク80が制作してフォンテックがプレスした「清瀬保二作品集」(FPCD1604)も珍しい。

あとはミッテンヴァルトが制作したCDから「伊福部昭ギター作品集」(MTWD-99019)と「和」チェロ〜近代日本・チェロ名曲選(MTWD-99010)を購入する。

三足目の靴下などなど(ヘンリー・カウ)

帰宅したら届いていたCD。

In Praise of Learning

Western Culture

スラップ・ハッピー関連で購入した後期ヘンリー・カウの2枚のCD。

「In Praise of Learning」は「Leg End」「Unrest」に続く3枚目のアルバム。「Desperate Straights」と同様にヘンリー・カウとスラップ・ハッピーの共同名義になっているが、「Desperate Straights」がスラップ・ハッピー主導で作られたのに対して、こちらはヘンリー・カウ主導で作られた。

「Western Culture」はヘンリー・カウ/スラップ・ハッピーの終焉とアート・ベアーズの発足がオーバーラップする時期の作品。解散することが決まってから作ったビートルズの「アビー・ロード」のようなものか。

 

第8回「響宴」

そういうわけで今年も「響宴」を聞きに行って来た。

http://www.asahi-net.or.jp/%7EMJ2T-IIJM/test/8th.html

「Early Birds Get the Worm」というわけで早めに入場。まずは一般発売されていない(よね?)中央大学の定期演奏会のCDを購入。

「響宴」の過去の演奏会のビデオも売っていたので、ちょっと考えた末に第5回(陸上自衛隊の《三つのジャポニスム》(真島俊夫)を見てみたかった。)と、昨年の第7回(神奈川大学の《[コリアン・ダンス》(高昌帥)を見てみたかった。確か最終曲で小澤俊朗さんは両手で違う拍子を振っていたような気がする)を購入。

ビムス・エディションズでは、キングから出る伊福部昭作品集(交響譚詩、シンフォニア・タプカーラ(全曲)、吉志舞、SF交響ファンタジー第1番)に続いて、團伊玖磨作品集や齋藤高順作品集も出るという情報を入手。

また旧知の方々とも久しぶりに会うことができ、いろいろ近況を話し合った。

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で、響宴。

全般的な感想としては私が聞きに行った回の中ではいちばん面白く、初めて「聞きに行ってよかった」と思えるような内容だった。

今年は例年に比べて、いわゆる「現代的な」作品が多かった。例えば《Thread for Wind Orchestra》(寺井尚行)、《枯木のある風景》(飯島俊成)、《Secret Song》(北爪道夫)、《残酷メアリー》(田村文生)などである。アンケートにも書かせていただいたのであるが、いわゆる「コマーシャルな作品」と「アカデミックな作品」のバランスはこのくらいでいいのではないだろうか。

以下は気に入った作品。

《枯木のある風景》はかなりシリアルな作風なのであるが、川越奏和奏友会吹奏楽団の演奏からは「愉しみ」すら感じ取ることができた。

同じく川越奏和の演奏した《Salty Music》(三浦秀秋)もジャジーな雰囲気に個性があってよかった。こういうハードな雰囲気の曲(例えるならグランサムの《バムズ・ラッシュ》のような感じ)は邦人作品ではあまりなかったのでは?作曲者はオーネット・コールマンのオーケストラ曲に触発されてこの曲を作ったらしいのだが、コールマンの曲ってどんな感じなんだろう。聞いてみたい。

神奈川大学の《残酷メアリー》はさすがと思わせる緻密さ。開演前にスコアを見たのだが「田村作品の中では」比較的難易度は低いように思える。田村さんが寄せたプログラムノートが面白い。曲のことなんか全然書いていなくて作曲姿勢の表明のような文章である。ご自身のホームページに書かれている「響宴」を聞いての感想(http://www.kobe-u.ac.jp/bunsay/critic.HTM)とあわせて読むと、「響宴」に対する警鐘というか宣戦布告のように思えてくる。