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広島

朝起きて、昨夜録画しておいた「NEWS 23」を見る。

坂本龍一と元ちとせが原爆ドームの前で《死んだ女の子》を演奏したのである。元ちとせのメリスマの効いた節回しと、教授のバックトラックの「噛み合わなさ」が不思議な印象を残す。

この詩はトルコの詩人ナジム・ヒクメットが書いたもので、日本では反戦歌として歌われていたらしい。旋律の節回しもそちらっぽい独特のものを感じたのであるが、調べてみると外山雄三が作曲したものらしい。もちろん、反戦歌として歌われていたのは別の曲なんだろうなあ。

なお、この曲は mora などで期間限定でダウンロードできる。(もちろん有料だけど)

この曲は番組の最後に演奏されたので、録画したビデオをたらたら早送りしながら見ていたら8時15分にサイレンが鳴った。60年前、広島に原爆が投下された時刻。まさか浜松でもサイレンが鳴らされるとは思わなかった。

教授強化月間

Switch (Vol.20No.12)

Switch (Vol.22No.1(2004January))

雑誌「SWITCH」で教授が表紙になっている2冊(正確に言うと以下の理由で3冊)を購入。

特に2002年12月号(Vol.20 No.12)の方は、その頃に発売された究極のベスト盤3枚を収納できる紙ケースがついている。当然、使用版と保存版の2冊を買いましたとさ。

I won’t be disappointed (坂本龍一ライブ@ZEPP名古屋)

というわけで、久しぶりに教授のツアーに行った。

最前列しかも教授のほぼ真正面という席である。 もう二度とこんないい席で見ることはないんじゃないだろうか。

セットリストはいろいろなブログに書かれているので省略。 アンコールではちゃんと《東風》までやってもらえた。

「CHASM」に収録されている曲以外はかなりオールドファンを意識した選曲なのか?

オールドファンは、オープニングの《BEHIND THE MASK》でプロフェット5とVP-330を弾く教授に涙し、比較的オリジナルに近い《RIOT IN LAGOS》に涙し、ウィンターライブを思わせる映像のもとで演奏される《HAPPY END》に涙し、そして、まさかこんな曲で終わらないだろうという《THE END OF EUROPE》で涙し、そのあとのアンコールでデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカル(さすがに本人は来ていなかった)でスティーヴ・ジャンセンがドラム を叩く《WORLD CITIZEN》でも涙するのである。

《戦メリ》や《HAPPY END》では、教授が弾くピアノのバックでオリジナルの旋律がうっすらと重ねられている。これらの曲を初めて聞いたときのことを思い出して、(一時期は懐疑的なこともあったが)ずっと教授のファンでいてよかったと思った。

何よりも教授が本当にうれしそうな顔でピアノを弾いているのを見ることができたし、(癒し系やゆるみ系だけでない)ノイズぐりぐりの攻撃的な音楽をやってくれたのもうれしかった。

やっぱり、ずっとついて行くことにしよう。


そうそう、昼食を取りながら「今日の一曲目は何だろうね?」という話をしていたのであるが、私の頭の中ではずっと《RAIN》が鳴っていた。期待通 りに演奏してもらえたわけだが、これはかなり原曲とアレンジが変わっていた。もっとも原曲(「ラスト・エンペラー」のサントラ)はオーケストラなのでアレ ンジせざるを得ないわけだが、ソリッドなエイトビートもなかなかよい。

教授の合唱作品

友人と昼食を食べに行った時の話。来週から京都で第7回世界合唱シンポジウムが開催されるらしい。(吹奏楽でいうと WASBE のようなものか)

http://www.jcanet.or.jp/wscm/

で、この大会のテーマソングを教授が作曲したということを教えてもらった。テキストは、大会全体のテーマでもある「Cantus populi, cantus mundi. Cantus omnibus unus.(人びとの歌 世界のうた 歌は人びとを結ぶ)」という言葉が使われているらしい。

CDと楽譜は販売されているということなのでさっそく注文してみた。いくつかのショップで購入できるとのことなのだが、以下のショップがいちばん探しやすいと思う。今回の開催地ということも含めてリンクを張っておこう。

http://www.panamusica.co.jp/ja/

教授の合唱作品というと1982年(YMO活動中)に東京混声合唱団が委嘱した《小説》という作品がある。村上龍のテキストがかなり過激だったという話は聞いているのだが、作品自体は聞いたことがない。一度聞いてみたいものである。

教授とフェネス

Sala Santa Cecilia

夏の坂本龍一ライブの予習第2弾。今回のツアーメンバーでもあるフェネスとのコラボレーションである。

2004年にローマで行われた「romaeuropa festival 2004」でのライブで、1曲19分のみ収録。

特に前半はかなり暴力的な音作りで心地よい。最近聞いたエレクトロニカなCDの中ではいちばん好きかも。

近所のタワーレコード

またまた近所に引っ越してきてくれたタワーレコードへ。

PHEW

というわけで PHEW のファースト・ソロ・アルバム。「ジョンの魂」の姉妹盤であるヨーコ・オノの「ヨーコの心」あたりを連想していただけるといいのではないかと。かなり刺激的なバックトラックの上にのっかる不安定この上ないボーカル。

PHEW はシングル「終曲/うらはら」での坂本龍一のプロデュースを嫌って、コニー・プランクやホルガー・シューカイのもとでこのソロ・アルバムを制作したらしいが、感触は大きく変わらない。教授の方がオーバー・プロデュース気味ではあるが …

CAN のホルガー・シューカイとジャキ・リーヴェツァイトが参加しているということで、サウンド・コンセプトは CAN に近い気もするのだが、それよりもずっと硬質。また、教授の「B-2 UNIT」や恒松正敏の作品とともに、このアルバムにも参加している後藤美孝の仕事が気になる。

ハチャトゥリアン・アルバム/ジェームズ・ゴールウェイ

近くにクラシックを扱うタワーレコードが出来たことで、こういう CD が簡単に手に入るようになったのもうれしい。タワー独占販売の「RCAプレシャス1000」シリーズ第2期の一枚。先日のヤマハ吹奏楽団定期演奏会で聞いたハチャトゥリアンのフルート協奏曲が聞きたくて買ってみた。税込み1050円。

やっぱりゴールウェイの音色は非常に明るい。クリアなのはいいのだが、もう少し重く湿った音色もいいかも知れない。

新宿タワーにて(主に電子音楽)

出張。 例によってタワーレコード新宿店に寄る。

音の始源(はじまり)を求めて3〜佐藤茂の仕事

確か「電子音楽 in the lost world」に第3弾が出ることが書かれていたように思える。 今は無きNHK電子音楽スタジオでの作品制作を技師の側から見た仕事としてまとめた好企画盤である。 この調子で電子音楽スタジオで作られた作品がまとめられるといいな。

Legende D’Eer for Multichannel Tape [DVD] [Import]

近年では timpani レーベルのタマヨ/ルクセンブルク・フィルがクセナキスの管弦楽作品を録音していい仕事をしているが、mode レーベルというところはその前からクセナキスの室内楽を中心とした作品集をリリースしている。 高橋アキによるピアノ作品集などもなかなかよい。

今回このレーベルから電子作品集が出るということで「ふーん(食指は動くが予算の関係でちょっと見送ろうかな)」と思ったのであるが、DVD も同時にリリースされたということで買ってみることにした。

パリにあるポンピドウ・センターの落成に際して作曲された《エルの伝説》のサラウンド・リミックスが聞ける。

これを買ったおかげで、キャシー・バーベリアンがビートルズ・ナンバーを歌ったCD(聞いてみたいでしょ?)とか、ジョン・ゾーンが室内楽のために書いたオペラのCD(聞いてみたいでしょ?)を見送ることにした。

今の耳で聞くとエレクロトニカ+アンビエントという感じ。 クセナキスの電子音楽の中では聞きやすい部類に入るのではないかな?

Insen

《vrioon》に続く、坂本龍一とalva noto ことカーステン・ニコライのコラボレーション。 カーステン・ニコライが作ったアンビエントなバックトラックの上に、教授の点描的なピアノが添えられたという感じ。

ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド・ライヴ・イン・ジャパン

何か怪しそうな DVD だなと思ったのだが、映像を見てみたいという誘惑に負けて買ってしまった。「メイド・イン・EU」で「台湾プレス」である。オールリージョン?

1982年の「オーレックス・ジャズ・フェスティバル」の模様を収録した DVD である。 ビッグバンドといってもホルンやテューバやスティールドラムが入っている変則的な編成。 CD としてはすでにリリースされているし、映像も確か NHK で放送されたはずである。

この DVD もおそらく NHK のソースももとにしているのだろうと思われるが、意外と画質はよい。20年以上前のビデオをキャプチャした海賊盤まがいの代物だったらどうしよう?という不安もあったのだが、とりあえず大丈夫だった。

誰でもきっと聞いたことがあるごきげんなブルース・ナンバー《チキン》や、テューバやエフェクターをバリバリに効かせたエレクトリック・トランペット(若き日のランディ・ブレッカー!)がソロを取るチャーリー・パーカーのナンバー《ドナ・リー》あたりが面白い。

そういった飛び道具満載のステージであるが、やはりジャコのテクニックは確かだしかっこいい。そうそう、《リバティ・シティ》は大江戸ウィンドオーケストラもやってたかな?

The Arc of Apparitions/ジョン・オズワルド

ジョン・オズワルドは、いわゆる「マイクロ・サンプリング」という手法を使う。 ヒット・チューンを1秒以下という細かい単位でサンプリングし、その素材を再構成して「作曲」しているのである。 原曲の雰囲気は留めているが、時として原曲よりもかっこいいグルーヴが生み出されることもある。

こういった行為がマイケル・ジャクソン(彼の《BAD》も切り刻まれ《DAB》という曲が生み出された)の逆鱗に触れ、この《DAB》が収録されたアルバム「プランダーフォニック」は回収→廃棄という憂き目に会う。 まあ、マイケル・ジャクソンの上半身(アルバム「BAD」のジャケット写真)に、女性の裸の下半身をコラージュしたジャケットもどうかと思うが …

… という悪名高き(って自分でジャケットに書いている)ジョン・オズワルドが作った映像インスタレーション作品。

一般人のヌードを披露するというアイデアは「YELLOWS」に近いものを感じるし、恐ろしくゆったりした映像の遷移はジョン&ヨーコの実験的な映像作品を思わせる。

ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005など(+坂本龍一)

ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2005

ここ数年は CCCD だとか、選曲がよくないとか、演奏がよくないとか、ブチブチ言いながらも、とりあえず毎年ニュー・サウンズ・イン・ブラスは買っていた。この「2005」はここ数年の中では、かなりヒットなのではないかと思う。ちなみに CCCD は無事回避。だからコピーで済ませていた人は買ってあげましょう。

(CCCD の廃止は、ある意味「良識あるユーザーの勝利」と言えるのではないかと。で、良識があるなら「聞きたいなら金出して買え」というのが基本的なスタンスだと思うのです。)

選曲については、《Mr.インクレディブル》や《ハウルの動く城》のような最新のものから、《アメリカン・グラフィティXV(じゅうご!)》や《ディスコ・パーティーIII》のような少し懐かしめの洋楽、超スタンダードナンバーの《チャタヌガ・チュー・チュー》、お年寄りにも喜ばれそうな《時代劇絵巻》とバラエティに富んでいる。

また編曲は原曲を彷彿させるものが多く聞いていて違和感が少ない。私はこういうポップス・レパートリーは「主題をこういう風に処理してみました」「何かちょっと違ってていいでしょ」という編曲よりは、原曲と違和感が少ないストレートな編曲がいいと思っているので歓迎できる。

演奏は … やっぱり「うまい吹奏楽のポップス」という域を出ない。たまには別のバンド/指揮者を使った方が新鮮味が出るのでは?

うちのバンドはさっそく《時代劇絵巻》をやることになりました。

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ベターデイズ・レーベルの紙ジャケリリースから坂本龍一関係を5枚。

「千のナイフ」は坂本龍一の初ソロ・アルバム。初めて聞いたのは25年くらい前か。YMOが爆発的な人気を博していたときにソロ・アルバムにも手を出してみようと思って買った覚えがある。シンセサイザーを駆使しているのだが、当時の最先端のテクノ・ポップとは違い、不思議とシンセサイザー臭くないサウンドである。タイトル曲を初めとしてアジア色が強い。ちなみに教授が着ているジャケットはアルマーニ、スタイリストは高橋幸宏。ライナーノートには林光もコメントを寄せている。

「フェイヴァリット・ヴィジョンズ」はベスト盤。オリジナル発売は1983年というからYMO散開の年である。これは貸しレコード店で借りたような気がする。上記の「千のナイフ」や渡辺香津美とのコラボレーションである「KYLYN」からのピックアップは当然として、高橋悠治の「新ウィーン楽派ピアノ作品集」から連弾作品であるシェーンベルクの《四手のための六つの小品》、フリージャズ奏者の井上敬三の「インティメイト」からの作品もピックアップされているのが変わっている。

「KYLYN」「KYLYN LIVE」はYMO第1回ワールドツアーにも参加している渡辺香津美とのコラボレーション。「LIVE」の方はアッコちゃん(矢野顕子)の《在広東少年》も聞ける。

「サラセンの夢」はダンスリーのアルバム。ダンスリー名義である「ジ・エンド・オブ・エイジア」は知っていたのだが、これは聞いたことがなかった。教授の2作品《ぼくのかけら》《ダンス》が収録されている。そういえば「ジ・エンド・オブ・エイジア」の方は紙ジャケ再リリースはないのかなあ …

 

今日買ったものたち(YMOとかオフコースとか吹奏楽とか)

すっかり忘れていたのだが、予約していた紙ジャケがどかっとリリースされたのだった。

YMO の各メンバーのソロ作は、ソニーとキングが足並みを揃えて一気に11枚リリース。 YMO 結成前の、初 CD 化や長らく廃盤だったタイトルが含まれている。

ソニーは再プレス以降での流用性も考慮しているためか、ライナーノートの表紙がジャケット写真と同じになっている。プラケースになったときにもそのまま使えるようにするということらしい。つまり、YMO やスネークマン・ショーの紙ジャケ再発の時もそうだったのだが、LP レコード時代の内容物の再現についてはほとんど注意を払っていないということである。

紙ジャケ売り切れ後もすぐに再プレスして市場供給を切らさないという姿勢も評価できるので、一概にどっちがいいとは言えないのであるが …..

ディスアポイントメント – ハテルマ

サマー・ナーヴス

B-2 Unit

「B-2 UNIT」は YMO 絶頂期の 1980 年(げ。四半世紀前か)に発表された坂本龍一のソロアルバム。ということは、どんな内容にしろ売れることはわかっていたわけで、それを逆手に取った過激な音作りになっている。昔からのコアな坂本ファンには評価の高いアルバムである。

中学生だった私は(今みたいに硬直していない)スポンジのような感受性を持っていたからこのアルバムの音を受け入れることができたのだと思うし、そういう時期にこのような音楽を受け入れたことがその後の嗜好の下地になっているのだと思う。

サラヴァ !

音楽殺人

ニウロマンティック ロマン神経症

「サラヴァ!」は高橋幸宏の初ソロアルバム。ジャケットを見ていただければわかると思うが、ヨーロッパ・ポップスを強く意識している。初めて聞いたのは中学生の時だったが、YMO で雷に打たれた中学生にはちょっと渋過ぎた。最近聞き直したいと思って探したところ廃盤中だった。まずは再発を歓迎したい。

「音楽殺人」は YMO の絶頂期にリリースされたソロアルバム。YMO のメンバーはもちろん参加しているが、サポートメンバーや YMO ファミリーも多数参加している。スカやレゲエのリズムを使った曲が多く、全体的にポップな雰囲気。
このポップな雰囲気は大村憲司、鮎川誠、立花ハジメなどのギタリストの存在感が大きいからなのかも知れない。LP の初回プレスは爽やかなクリア・ブルーのカラーレコードだった。
同じく初回プレス特典だったレーベル・ステッカーは再現されているが、ポスターは再現されていない。残念。

「ニウロマンティック」はリアルタイムでは聞いていなかった。たぶんこの頃(1981年3月発売)はビートルズの雷に打たれたことだったので、自分の中で YMO の波はちょっと去っていたように思う。

HOSONO HOUSE

COCHIN MOON (コチンの月)

はらいそ

フィルハーモニー

YMO のファーストアルバムの評価は「YMO 以前の細野晴臣が好きかどうか?」できっぱり分かれるらしい。つまりYMO 以前の細野晴臣ファンにとってファーストアルバムは「傑作」なのだが、そうでもない人にとっては「ま、それなり」という評価なのだそうだ。ちなみに私は後者である(^_^;)。

というわけで、細野さんのソロアルバムにはあまり思い入れがない。(ごめんなさい。ごめんなさい。)「フィルハーモニー」はほぼリアルタイムで聞いたのであるが、YMO の素直なかっこよさに比べるとちょっとひねくれているなあ、と感じた記憶がある。「HOSONO HOUSE」「コチンの月」は未聴。

Three and two(紙ジャケット仕様)

LIVE(紙)

SELECTION1978-81(紙ジャケット仕様)

We are(紙ジャケット仕様)

over(紙)

I LOVE YOU(紙ジャケット仕様)

NEXT SOUND TRACK(紙ジャケット仕様)

幸い、当時は身近にオフコースファンがたくさんいたので、これらのアルバムはリアルタイムで聞いていた。デュオ時代からのオフコースファンに言わせると、「over」あたりは軟弱の極みらしいのだが、《さよなら》のヒットによってオフコースを知り、5人のオフコースしか知らない私にとっては、やはり「We are」と「over」はオフコースの頂点だと思う。特に「over」のトータルアルバムとしての完成度は素晴らしい。(ちなみに今回は15枚のアルバムが再発売されたのだが、私は5人のオフコースが作った7枚のアルバムしか買わなかった。)小田和正のソングライティングは素晴らしいと思うが、確かにそれだけだとやはり軟弱に聞こえてしまうのかもしれない。鈴木康博を初めとする他のメンバーの曲がいいアクセントになっていた。

「We are」や「over」はインナースリーヴを含めたジャケットデザインも素晴らしいが、このあたりもちゃんと復刻しているあたりが東芝EMIのいい仕事である。「I LOVE YOU」のタイトル曲はシングルとアルバムでヴァージョンが異なり、アルバム・ヴァージョンの間奏ではジョン・レノンが暗殺されたことを伝えるニュースの音声がオーヴァーラップされている。

戦前日本の名行進曲集~海軍軍楽隊篇~

戦前日本の名行進曲集~陸軍軍楽隊篇~

というわけで、最近、戦前・戦中の音楽/音源に興味が湧いてきている。これらの CD の存在は以前から知っていたのだが、そういう興味によってこれらの資料性の高さを再認識するようになった。発売されてから時間が経っているし、いつ廃盤にされるかわからないので、今のうちに押さえておこうと思って購入した。

ジャケットは SP レコードのレーベル面である。特に陸軍軍楽隊の方は趣のあるデザインである。まだ音は聞いておらず、ライナーノートを読んだだけなのだが、以前のブログ「日本の童謡」でも取り上げた郡修彦氏が関わっているらしい。オリジナル音源の出自などもちゃんと記載されている。いい仕事である。

遺された声

録画しておいた「遺された声〜録音盤が語る太平洋戦争」(2005年3月19日放送 NHK教育テレビ)を見る。もともとは昨年の夏に NHK スペシャルとして放送されたものの再放送らしい。

旧満州の新京放送局に残されていたラジオ番組のための録音盤2200枚(当時はテープがなかったのでSP盤にそのまま録音していたらしい)をめぐるドキュメンタリーである。

こういう番組ではどうしても「神風特攻隊」などに焦点が当たってしまうのは仕方がないのだろうか。確かに特攻隊員の(おそらく出陣直前の)吹き込みは心を打つし、それを聞く遺族たちから出るコメントもやはり悲痛である。しかし、そういう過去の断罪ばかりに話を持っていく作為的な演出もどうかなと思う。

王道楽土の交響楽―満洲―知られざる音楽史」に書かれているように、当時の満州には本土に勝るとも劣らない音楽文化があったらしい。そういった「明」の部分に着目した番組を作っても面白いのではないかと思う。音楽ファンも驚くような貴重な音源が含まれているのではないかと思うのだが。

満州の文化向上に寄与した甘粕正彦(映画「ラスト・エンペラー」では坂本龍一が扮していた)の講演がかろうじて放送された。残っている唯一の肉声らしい。