遺された声

録画しておいた「遺された声〜録音盤が語る太平洋戦争」(2005年3月19日放送 NHK教育テレビ)を見る。もともとは昨年の夏に NHK スペシャルとして放送されたものの再放送らしい。

旧満州の新京放送局に残されていたラジオ番組のための録音盤2200枚(当時はテープがなかったのでSP盤にそのまま録音していたらしい)をめぐるドキュメンタリーである。

こういう番組ではどうしても「神風特攻隊」などに焦点が当たってしまうのは仕方がないのだろうか。確かに特攻隊員の(おそらく出陣直前の)吹き込みは心を打つし、それを聞く遺族たちから出るコメントもやはり悲痛である。しかし、そういう過去の断罪ばかりに話を持っていく作為的な演出もどうかなと思う。

王道楽土の交響楽―満洲―知られざる音楽史」に書かれているように、当時の満州には本土に勝るとも劣らない音楽文化があったらしい。そういった「明」の部分に着目した番組を作っても面白いのではないかと思う。音楽ファンも驚くような貴重な音源が含まれているのではないかと思うのだが。

満州の文化向上に寄与した甘粕正彦(映画「ラスト・エンペラー」では坂本龍一が扮していた)の講演がかろうじて放送された。残っている唯一の肉声らしい。

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