ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団」タグアーカイブ

演奏会その7: ハンブルク・フィル第1回

いよいよ今日からハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の 2009/2010 シーズンが開幕です。定期公演は全10回、毎月1回のペースで来年の6月まで行われます。各演奏会の演奏予定曲目は以前のブログを参照して下さい。定期公演以外にも特別演奏会がいくつか予定されています。大晦日にあるジルヴェスターや、今年は「黄金の20世紀」というテーマで行われたシーズン最後の演奏会(ちなみに来年は「フランス万歳(Vive la France)」というテーマでフランス音楽を集めるようです)などがあります。

定期公演の各回の演目は、日曜日の昼間の公演と翌日の月曜日の公演の2回開催されます。私は毎回月曜日の公演の定期会員になっているのですが、明日は会社の用事が入ったため、明日の分の席を今日の席に振り替えてもらいました。実は今日の方がいい席なのですが(苦笑)。

ちょっと早めにアパートを出て、会場のライスハレ近くに車を停めようと考えていたのですが、寝過ごしたり、支度に手間取ったりして結局出発したのは午前10時頃(開演は11時)。さらに運の悪いことに、通り道である中央駅周辺で交通規制があって大幅な回り道を強いられました。そんなギリギリに駐車スペースが簡単に見つかるはずもなく、結局3ブロックほど離れたところに停めました。そんなわけで会場に着いたのは10時57分頃、プログラムを買う暇もなく席に着きました。席は「バルコニー席1列目の右11番」。最前列の外側から11番目です。番号は12番まで(つまり左右から12席ずつなので横は24席あります)なので、ほとんどステージ真っ正面ですね。

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1. Philharmonisches Konzert

Johannes Brahms – Konzert für Violine und Orchester D-Dur op. 77
Felix Mendelssohn Bartholdy – Ein Sommernachtstraum op. 61. Schauspielmusik nach Shakespeare

Sonntag 6. September 2009, 11:00 Uhr
Dirigentin: Simone Young
Violine: Midori
Sopran: Trine W. Lund
Mezzosopran: Ann-Beth Solvang
Solist: Gustav Peter Wöhler
Chor: Vocalconsort Berlin

実は来週のベルリンフィル公演の予習にかまけていて、今日の演目は全く念頭にありませんでした …

Midori(五嶋みどりさん、両親の離婚を機にファミリーネームを外したそうです)独奏によるブラームスの《ヴァイオリン協奏曲》と、メンデルスゾーンの《夏の夜の夢》。演奏会に出かける直前に気付いたのですが、二人ともここハンブルクで生まれた作曲家です。

五嶋みどりさんというと「神童」というイメージが強いのですが、もう立派な大人です(当たり前か)。足を踏ん張り、上体を少し前に倒して演奏する姿は、かなりエモーショナルです。特に第1楽章の重厚な音楽とは相性がよかったように思います。最初の方はオケのピッチが不揃いだったのがちょっと気になりましたが。

休憩中はロビーに出てきて、気さくにサインや会話などに応じていました。

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後半はメンデルスゾーンの《夏の夜の夢》。《真夏の夜の夢》は誤訳だそうで、最近は《夏の夜の夢》という訳が主流なのだそうです。シェークスピアの戯曲のための音楽ですが、まず序曲が書かれ(メンデルスゾーン17歳の時)、その17年後に序曲の素材を用いて劇付随音楽としての12曲が書かれたのだそうです。今日の演奏会でも序曲のあとに劇付随音楽が演奏されました。オーケストラの他にソプラノ、メゾソプラノ、女声合唱が加わりますが、ナレーションによって劇のストーリーが語られ、その合間(時にナレーションにかぶさって)曲が進行するような構成です。当然ナレーションはドイツ語で、時おり笑いを誘いながら進行していきます。当然聞き取れません(涙)。かろうじて “Tod ich bin.” とか “Tod er ist.” くらいはわかりましたが …

プログラムには子供用の解説も挟み込まれていたので、子供も楽しめるような構成だったようですが、ドイツ語もストーリーも知らない日本人にはちょっときつい内容でした …

11時から始まった演奏会は1時45分くらいに終了。昼食は結局前回も行った独日センター近くのカリーブルスト専門店「EDEL CURRY」でとりました。ここはカリーブルストもフライドポテトもシンプルであっさりしていて気に入っています。

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夏休みその1: Willkommen in Hamburg

今日から夏休み。夕方のフライトで家族が遊びにくることになっているので、午前中はアパートの掃除を。

お昼近くになってハンブルク歌劇場のチケットオフィスへ。ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の今シーズンの定期演奏会会員になったので、毎回月曜日の夜の演奏会の席を確保しているのですが、第1回演奏会の日に会社の用事が入りそうなので、前日(日曜日のマチネ)に変更してもらうことにしました。日本でいうところの2階バルコニーの中央最前列が空いていたので、その席にしてもらいました。

昼食を取ろうと思ってチケットオフィス周辺をうろうろしたのですが、なぜか寿司に惹かれてしまい「SUSHI FACTORY」という回転寿司に入ることにしました。注文したのはいわゆるランチセット。お味噌汁、緑茶、それから好みの4皿を選ぶことができる、というセットです。味は … まあこんなものなんでしょうなあ … やはり多くのものを期待してはいけないと思います。

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その後は、日曜日の食事を確保するために OCS ハンブルクとカールシュタットでパンを購入、それから自転車で帰ってくる途中でアパートの近くにある EDEKA で乳製品をいくつか購入。

帰宅して妻と息子が乗っている飛行機のスケジュールを確認しました。ウェブでミュンヘン空港のフライトインフォーメーションを見ると、東京からの便が20分ほど早く到着したとのこと。こういうのが自宅で簡単にわかるとは本当に便利になったものです。

7時過ぎにアパートを出て空港へ向かい、無事到着口近くの駐車場に車を停めました。まだ到着までに少し時間があったし、そういえば夕飯を食べるのを忘れていたので、到着ゲート近くのカフェでクロワッサンサンドとカプチーノを。

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飛行機はほぼ定刻で到着したらしい。ゲート前で待って家族を迎えました。感動のあまり泣いてしまったらどうしよう、とか考えていたのですが、疲れ切った二人の顔(あ、息子はそれなりに元気そうだったか)を見たら、それどころではなく、とりあえず早くアパートに連れて行ってあげることにしました。

息子曰く「早くお父さんに会いたかったんだけど、ルフトハンザが遅かったんだよ」とのこと。

年間チケット/愛のフェスティヴァル

えいやっ、でハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の年間チケット(シーズンシート)を買うことにした。配布されているパンフレットを見ると、ほとんどが 興味深いプログラムだったし、毎回チケットを予約するのも大変だし、1公演38ユーロのところを10公演で285ユーロで聴けるし、何よりも先日のコン サートでのいい雰囲気を味わいたいと思ったのである。で、チケットオフィスに行って(今日はちゃんとオンラインシステムは動いていた)契約時に説明を聞い た。(何回も「これはあなたとオーケストラの間の契約である」と説明された)いろいろルールがあるらしい。

  • キャンセルしなければ翌年以降もずっと継続される。
  • 予約したコンサートに行けなくなった場合は最大5つのプログラムまで変更できる。1つのプログラムでの演奏会は2回開催されるので別の演奏会に行くか、次回のプログラムに繰り越すことができる。初回と2回目の変更は無料、3回目からは変更手数料として5ユーロかかる。
  • ハンブルク歌劇場やハンブルク・バレエや室内楽コンサートのチケットを10%OFFで買える。(早く言って欲しかったなあ …)

ちなみにこんなプログラムです。

第1回 指揮:シモーネ・ヤング

  • ブラームス/ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン独奏:五嶋みどり)
  • メンデルスゾーン/劇音楽《夏の夜の夢》

第2回 指揮:ドミトリ・キタエンコ

  • シュニトケ/夏の夜の夢(ではなくて)
  • ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲(ピアノ独奏:ルドルフ・ブフビンダー)
  • ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

第3回 指揮:クリスチャン・ヨスト

  • コープランド/静かな都会
  • ヨスト/トランペット協奏曲《ピエタ》〜チェット・ベイカー追憶(トランペット独奏:セルゲイ・ナカリャコフ)
  • コルンゴルト/交響曲嬰ヘ長調

第4回 指揮:ラファエル・フリューベック・デ=ブルゴス

  • アルベニス/スペイン組曲第1番(デ=ブルゴス編曲)
  • ストラヴィンスキー/バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)
  • レスピーギ/ローマの松

第5回 指揮:シモーネ・ヤング

  • ブラームス/悲劇的序曲
  • ブラームス/4つの前奏曲と厳粛な歌(バリトン独唱:トーマス・クヴァストホフ)
  • ブルックナー/交響曲第1番(リンツ版)

第6回 指揮:シモーネ・ヤング

  • ヴォーン=ウィリアムズ/タリスの主題による幻想曲
  • エルガー/チェロ協奏曲(チェロ独奏:アリサ・ワイラースタイン)
  • ナッセン/オフィーリアのダンス
  • エルガー/エニグマ変奏曲

第7回 指揮:シモーネ・ヤング

  • モーツァルト/アイネ・クライネ・ナハトムジーク
  • シェーンベルク/浄められた夜
  • ドビュッシー/夜想曲
  • シマノフスキ/交響曲第3番《夜の歌》

第8回 指揮:シモーネ・ヤング

  • ハイドン/交響曲第100番《軍隊》
  • カーゲル/勝ちそこないのための10の行進曲
  • リヒャルト・シュトラウス/英雄の生涯

第9回 指揮:カレン・カメンセック

  • ラフマニノフ/交響詩《死の島》
  • シェーンベルク/6つの管弦楽歌曲(ソプラノ独唱:デボラ・ポラスキ)
  • チャイコフスキー/交響曲第5番

第10回 指揮:ピエタリ・インキネン

  • ショスタコーヴィチ/祝典序曲
  • ドルマン/スパイス、香料、毒!〜2人の打楽器奏者のための協奏曲
  • リムスキー=コルサコフ/交響組曲《シェエラザード》

そのあとメガネ屋に行く。ドイツの運転免許証取得のために視力検査結果の資料が必要だから作っておけ、と会社から言われたのである。たまたまこのメ ガネ屋がそうだったのか、ドイツのメガネ屋がそうなのかよくわからないが、予約しておくから来週来いという。とりあえず予約したが、また来週来ないと行け ないのか …

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ブラブラ歩いていたら市庁舎広場で演奏していたホルン四重奏。Tシャツには「ホルン・アンサンブル”エルミタージュ” サンクトペテルブルク」と書いてあった。言わずもがなであるが(笑)、CD を売り歩いていたおばちゃんによるとロシアから来たそうである。野外なので音も散るだろうが、それにも負けないしっかりした音色だし、アンサンブルにもほ とんど破綻がない。こういうストリートパフォーマンスに必要なショーマンシップは持ち合わせていないようで、極めて生真面目な演奏だが、耳をとらえる演奏 である。立ち止まって何曲か聴いてしまいました。演奏に合わせて鼻歌を歌っていた通行人もいたのでドイツ民謡とかをやっていたのかなあ?わかったのはベー トーヴェンの《歓喜の歌》と、バッハの《主よ、人の望みの喜びよ》くらいでした。

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昼食は、港へ行きがてら、近くにあるジャガイモ料理専門店に行こうと考えていたので、Uバーン3号線(U3)に乗って行こうとしたのであるが、何か 様子が変。来る電車、来る電車がおかしな人たちで満員なので、なかなか乗れない。そういえば、Hasselbrook から乗った電車にも、ピンクのウィグをかぶったおばさんとか、ベルボトムジーンズに花びら模様のワッペンをつけた女の子とかが乗っていたなあ。

ということで、別の店に行くことにした。市庁舎広場から聖ペトリ教会の方へ向かったところにあるスペイン料理店「ピカソ」である。なんか、無意識にドイツ料理を避けているかなあ(笑)?

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スペイン料理店でビールを頼むのも無粋なので、白ワインを頼む。あとは夏季限定と書かれていたガスパッチョと、ヴァレンシア風パエリアである。給仕 のおじさんに「どこから来た?日本か?台湾か?」と聞かれた(なんで、その二者択一になるかなあ?)。「日本から来た」と答えると「SUZUKI の 600cc はいいねえ」と言ってバイクを運転する真似をした。

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ガスパッチョ。もうちょっとスパイシーなものを期待したんだけど、これだと普通の「冷やしトマトスープ」になってしまうなあ。パエリアは米の炊き具合とかは OK で、かなりおいしかったが、これも肉多過ぎ。別のを頼んだら(パエリアも何種類かメニューに載っていた)もう少し魚介類メインになったのかなあ。

お勘定の時に「今はハンブルクに住んでいる(Jetzt, Ich wohne im Hamburg. これ、合ってるのか?)」と言ったら、わざわざ店の名刺をくれた。他の店では勝手に取ってきているんだけどね。まあ、もうちょっと探ってみてもいい店です。

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案の定、お腹がいっぱいになったので、腹ごなしにザンクト・パウリのサッカースタジアムに行ってみようと思った。ザンクト・パウリはドイツ・ブンデスリーガ2部に所属するサッカーチームで、サポーターが熱狂的なことで知られている。ちなみにキャラクターはドクロをあしらったちょっと怖いものなのだが、けっこう町の中で見かける。うちの会社にもTシャツ着ていた人がいたなあ。

で、さっきのU3に乗る。さっきのような車内でのお祭り騒ぎはなくなっていたが、ザンクト・パウリの一つ手前の Landungsbrücken に近づくと、でかい音が聞こえてくる。どうやらさっきのヒッピーな人たちはこのへんに集まっているらしい。いわんやザンクト・パウリをや。「フェスティヴァル・オブ・ラヴ」というイベントがあるらしく、山車に乗っている人、それを見ながら喚声をあげている人、ものすごい人だかりである。なんで、わざわざこんなところまで来てしまったのだろう?

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ただ、このザンクト・パウリの駅を降りたところが「Hamburger DOM」の会場だとわかったことが収穫だった。この DOM は年3回行われる野外イベントで、移動遊園地やら夜店やらもちろんビール屋やらが立ち並ぶ。初めて出張でハンブルクに来た時にちょうど冬の DOM が開催されていたので連れてきてもらって、男2人でお化け屋敷に入ったのを思い出す。(ちなみに人間が仮装しておどかしているのでかなりびっくりします)DOM の会場はサッカースタジアムの駐車場なのかな?遠くにスタジアムが見える。まあ、今となってはスタジアムはどうでもいいですが(笑)。当然、試合やってるわけないし。

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その DOM の準備中のスペースを利用していくつかの売店が出ていて、音楽を流しているビール屋もある。これを眺めていたら、酔っぱらいの兄ちゃんにからまれて、よくわかんないカクテルをおごってもらいました。ありがとう。

あとは港を見ながら帰る。

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演奏会その2:黄金の20世紀

前日寝たのは午前3時くらい(前日じゃねえな、当日だな)なのだが、律儀に午前8時に目が覚めてしまう。さすがにもう少し体を休めたいので、洗濯を仕込んでもう少し寝る。

今日は、まず予約した演奏会のチケット(今日の分も含めて)を引き取りに行って、そのついでにいくつか買い物、いったんアパートに戻ってきて、あらためて演奏会に出かける、という計画にした。まずはハンブルク歌劇場のチケットオフィスに行こうと思うのだが、やはりHasselbrookとBerliner Torの間のS1(Sバーンの1号線)は動いていないようなので、この間は連絡バスに乗る。Berliner Torからハンブルク歌劇場最寄りのGänsemarktまでは乗り換えなしに行ける。

ということでハンブルク歌劇場。グスタフ・マーラーが一時ハンブルク歌劇場の音楽監督として在任していたらしく(そうだったっけ?)、正面の壁にレリーフが飾ってあった。チケットオフィスは左手の奥にある。窓口によるとオンラインのチケットサービスが故障して動いていないらしくチケットの発券ができなくなっているとのこと。「今日の分はすでに発券されているかも知れない」ということで探してみてもらうが、やはりまだのようで「開演前にライスハレのチケット売り場に行ってくれ」とのこと。ううん、何しに来たんだか。演奏会案内とか機関誌をもらって帰る。

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そのあとはOCSハンブルクに行ってみる。日本の商品をいろいろ売っているところである。ここで土曜日に日本風のパンを売っている(デュッセルドルフから持ってくる)ということを教えてもらったのでちょっと買ってみようと思ったのである。そのあとはデパート「カールシュタット」に。一泊旅行に使えるくらいの大きさのカバンを買う。やはり秋冬は昼の時間が極端に短くなるのでちょっとした観光には適さない。日が長い時期のうちに近場(一泊旅行圏内)の観光地は回っておこうかなと思ったわけである。以前、アメリカ駐在中の友人とメールをやり取りした時に言われたのであるが、やはりヨーロッパでは日が長い時期はアウトドアに出かけ、長い冬はインドアの演奏会とかを楽しむのではないかと。そういうわけで、これからの季節はちょっとおでかけした方がいいのかも知れない。とりあえずケルンに行ってみたいと思っているのだが。

で、いったん出直して演奏会。今日の演奏会は通常のコンサートホールであるライスハレであるが、ここも最寄り駅はGänsemarktである。少しだけお腹に入れておこうと思うがライスハレ周辺にはあまり選択肢がない。土曜日なのでそもそも空いている店が少ないのかも知れないが。ライスハレの向かいにあるイタリア料理店に入る。とりあえずお酒はやめておいてアプフェルショーレ、それからラビオリのレモンソースを頼む。お店のロケーション上、多少高めなのはしょうがないか。味はなかなかよい。(ハンブルクのイタリア料理店の多くはあらかじめ麺を茹でてあるらしいので、そういうところに比べれば …)

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実はライスハレの前で簡単な食べ物や飲み物が売られていることにあとで気がついた。次回からはこれでいいや。チケットはかなりギリギリで入手できたが、あわてて別の席に座ってしまい、怒られる。

今日の演奏会は「黄金の20世紀」と題されたハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の特別演奏会。20世紀前半に作曲された作品のうち、ジャズとか映画音楽とかに関連のある作品を集めた演奏会である。かなりリラックスした雰囲気で、鮮やかな色のドレスを着ている女性奏者もいるし、黒シャツに赤い蝶ネクタイという男性奏者もいる。音楽監督のシモーネ・ヤングはノースリーブでほとんど背中丸出しといういでたちで棒を振る。

  • フリートリヒ・ホレンダー/映画「嘆きの天使」のメロディによるマレーネ・ディートリヒ・メドレー
  • フランシス・プーランク/管弦楽組曲《牝鹿》より〈アダージェット〉、〈ラグ―マズルカ〉
  • ジョージ・アンタイル/ジャズ・シンフォニー
  • ベルトルト・ゴルトシュミット/管弦楽組曲より〈シャコンヌ〉、〈タランテラ〉
  • ドミトリ・ショスタコーヴィチ/バレエ音楽《ボルト》より〈官僚の踊り〉、〈荷馬車引きの踊り〉
  • ボフスラフ・マルティヌー/ジャズ
  • ダリウス・ミヨー/屋根の上の牡牛
  • アルテュール・オネゲル/夏の牧歌
  • クルト・ヴァイル(モートン・グールド編曲)/ベルリン組曲(〈マック・ザ・ナイフ〉、〈スラバヤ・ジョニー〉、〈ビルバオ・ソング〉)
  • ジョージ・ガーシュウィン/3つの前奏曲より第2番、第1番

アンコール

  • スコット・ジョプリン/メイプルリーフ・ラグ
  • マルティヌー/ジャズ
  • (不明)

シモーネ・ヤングについては名前は知っていたがその演奏は聴いたことがなかった。正直、女性指揮者ということで多少の先入観があったことは確かなのだが、そんな先入観がまったく無意味だったと思わせるくらい私好みだった。全体的にはかなり手堅くまとめているのだが、大胆に歌わせるところと、きっちりリズムを刻ませるところのコントラストが明確だし、その指示も的確、また無理にオーケストラをドライブせずに、自然に生まれる流れを大切にしているような感じである。

ちょっと調べてみたら、アンタイルの《ジャズ・シンフォニー》は前任指揮者インゴ・メッツマッハーがやっていた「Who is afraid of 20th century music?」で取り上げられていた。全般的には第1部の方がにぎやかな作品が多くて面白かった。個人的に面白かったのはゴルトシュミットの管弦楽組曲。ヘンテコなリズム・オスティナートに乗っかった作風が映画「サイコ」のサウンドトラックを彷彿とさせる。ヴァイルの作品はグールドの編曲によってちょっと毒がなくなってしまったかな。マルティヌーのジャズという作品は初めて聞いたのだが、演奏者による歌などが入っていて面白い演出。ミヨーの《屋根の上の牡牛》も初めて聞いたかな、サンバのリズムの鮮やかな部分を中心とするロンド形式(?)、あるいはこの部分とミヨー得意の複調旋律が登場する抒情的な部分が交代で出てくるような構成。

演奏会はシモーネ・ヤング自身の解説をはさんで進められるのだが当然ドイツ語。ときおりお客さんの笑いを取っているのだが、何を言っているのか全然わからないのがちょっと悔しい。アンコール一曲目ではメイプルリーフはカナダの国旗に描かれていますうんぬんかんぬん、ピッコロ奏者がカナダ出身でうんぬんかんぬんと言っていた(推測)。ピッコロ奏者がおもむろにカナダ国旗を取り出して譜面台に貼り付けて演奏スタート。そういえば「カナダ人のバッグパッカーはバッグに国旗をつけているのですぐわかる」というジョークを思い出す。

何よりもこの演奏会でよかったのは、指揮者と演奏者と聴衆の結びつきのようなものを感じられた点である。この演奏会はシーズン(2008年〜2009年シーズン)の定期演奏会を全て終えたあとでの特別演奏会、いわば「シーズン最終戦のあとのファン感謝デー」のような位置付けなのである。指揮者はコンサートマスターをはじめとする演奏者をねぎらい、演奏者は指揮者をねぎらい(当然団員から花束が送られた)、聴衆は指揮者と演奏者におしみない拍手を送る(ちなみにシモーネ・ヤングはオーストラリア出身なのでオーストラリアの国旗を振っているお客さんもいた)、といった構図に、このオーケストラがこの街(つまりこの街の人たち)に根付いていることを感じる。東京や大阪だとこういう感慨を感じることができるのかなあ?浜松では100年かかってもできない気がするが。

待望のカツカレー

ドイツ人の習性なのか、うちの会社の従業員の習性なのか、昼食を取る時間が遅い。私はだいだい7時くらいに朝食を食べているので、12時頃にはお腹が減ってくる。すぐにでも食堂へ行きたい。だけど、周りの誰も動きだそうとしない。12時30分を過ぎてやっとゾロゾロと食堂に来る感じである。

さて、今日は日本料理のレストラン「あかり」に行くことに決めていた。さすがに毎日毎日「ドイツ基準」の量の夕食を食べていると体重(ひいては体調)が心配である。週に1〜2回はアジア系(がいいかなあ?)の食事を取りたいなあ。ということで先輩駐在員に宣言したところ、「あのへん車停めにくいよ」とのこと。確かに全然空いていなくて、ぐるぐる回って1ブロック以上離れたところに停めざるを得なかった。こういうのを毎日毎日やっているドイツ人はストレスにならないんですかね?それとも町中に行く時は公共交通機関を使うのかなあ?

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で、「あかり」と言えばカツカレーである。出張でこの店に連れてきてもらった時に食べてかなり感動したので、久しぶりに食べてみたいと思ったのである。見ていただければわかるようにお米とカツとルーの体積比が1:1:1くらいなのだが(笑)「ちゃんと煮込まれた日本的カレー」が泣かせる味である。ちなみに車で来たのでビールではなくアプフェルショーレを飲む。

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やっと住所が決まったので、郵便物を受け取ることができるようになった。そろそろ、秋からのコンサートシーズンのチケットを予約することにした。当然ウェブ画面はドイツ語なのでわからないところはgoogle翻訳にコピペしながら読み進める。何とかなるもんですなあ。とりあえず

  • 今週末の土曜日のハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会。クルト・ヴァイルとかガーシュウィンとか20世紀の比較的ポピュラーな音楽を集めているらしい。数年前にも大晦日に似たようなことをやっていましたなあ(笑)。
  • ハンブルク・バレエの「ロシア・バレエ団へのオマージュ」。ロシア・バレエ団によって初演された作品を集めたステージ。ストラヴィンスキーの《春の祭典》が「見られる」!
  • ハンブルク歌劇場の「トスカ」。初オペラはよく知っている演目がいいなあ、と。進行中のリング・チクルス(ワーグナーの《ニーベルンクの指環》)の《ジークフリート》も見てみたいのだが、ちょっと修行しないと。
  • そして、ベルリンフィル!「やはり指揮はラトルがよい」「ハンブルクから聞きに行くので一泊しないとちょっと厳しい。なので土曜の夜の公演がよい」という条件で探したら、ベルクの《ルル》の抜粋、パウル・デッサウの作品、ショスタコーヴィチの《交響曲第4番》という、なかなか面白そうなプログラムになりました。

を予約してみました。

吹奏楽・電子音楽・坂本龍一・などなど

出張。例によってTOWER新宿店へ。

Journey

グレインジャーの《リンカンシャーの花束》が入っていたので。近年の録音では珍しく第3楽章はバージョンA(ソプラノサックスではなくフリューゲルホルンがソロを吹くバージョン)だった。

マルティヌーの管楽合奏とチェロのための《コンチェルティーノ》は久しぶりに聞いたらなかなか面白かった。

Phantasticke Spirites

表題作はドナルド・グランサムの作品で、このCDの演奏が世界初演。他にもスティーヴン・シュミットの《スピン》、ラン・ゲイラーの《サマラ》も世界初演。他にもグランサムの《ケンタッキー・ハーモニー》(これは《サザン・ハーモニー》の続編のようなもの?)、ティケリの《アメリカン・エレジー》、ウィテカーの《オクトバー》など近年の注目作が多く収録されている。演奏は今一なのだが …

Dances with winds(Royal Northan College of Music Wind Orchestra)

RNCM ウィンドオーケストラのおそらく最新盤。舞曲を題材にした吹奏楽作品を幅広く集めている。近作ではともにイギリスの作曲家であるケネス・ヘスケスの《ダンスリーズ》、アダム・ゴーブの《イディッシュ・ダンス》(この作品だけ「初録音」と銘打たれているのがちょっと違和感あるが …)、他にはギリシャの作曲家ニコス・スカルコッタスの《9つのギリシャ舞曲》とアメリカの作曲家ジョン・コリリアーノの《ガゼボ・ダンス》が収録されている。

スカルコッタスのギリシャ舞曲はもともと管弦楽のために書かれた36曲の中から作曲者自身がギリシャの軍楽隊のために編曲したものなのであるが、これこそ全曲録音されるのは初めてなんじゃないのかなあ?ちなみに管弦楽版全曲は BIS から出ている模様。これも聞いてみたい。

French Ballet Music of the 1920’s

1920年代にフランスの作曲家の合作で作られた2つのバレエ音楽《ジャンヌの扇》と《エッフェル塔の花嫁花婿》が収録されている。

前者はラヴェル、フェルー、イベール、ロラン=マニュエル、ドゥラノワ、ルーセル、ミヨー、プーランク、オーリック、フローラン・シュミットの10人、後者はいわゆる「六人組」のオーリック、ミヨー、プーランク、タイユフェール、オネゲルの5人(デュレは「六人組」を脱退していたため参加しなかった)による合作である。

雲井雅人によるシューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」あふれる歌へのオマージュ

シューベルトの歌曲である《冬の旅》を、アルトサクソフォンとピアノと歌&ナレーションに編曲したものが収録されている。ピアノと編曲は伊藤康英さん、ナレーションのテキストはリンボウ先生こと林望さん、舞台演出は松本重孝さん。

康英さんとリンボウ先生のコラボレーションは歌曲《あんこまパン》に始まり、数々の歌曲や交響詩《時の逝く》なども生み出しているし、松本重孝さんは康英さん初のオペラ《ミスター・シンデレラ》の演出も手がけている。そういった多方面の人脈がここに結集したという感じか。ぜひ舞台で見てみたいものだ。

貴志康一 バレエ音楽「天の岩戸」

28才で夭折した作曲家・貴志康一の60分にもおよぶ大作、バレエ音楽《天の岩戸》の世界初演(2004年9月)を収めたCD。作曲されたのは1932年から1935年の間というから、およそ70年の間眠っていたわけだ。

貴志康一の名前は以前から知っていた。戦前にベルリンに留学して、25歳でベルリン・フィルの演奏で自作を指揮したらしい。どんな音楽を書いていたんだろう?

葵の上|湯浅譲二

OMEGA POINT からリリースされた湯浅譲二の電子音楽作品集。http://www.web-cri.com/ でいろいろ批評されていたので聞いてみたくなった。

Microphone

デヴィッド・チュードアが制作した電子音楽の古典的作品。TOWERによると今回なくなったら入荷未定とのことなのでとりあえず確保。ちなみにチュードアはジョン・ケージの《4分33秒》の初演者(笑)である。

Moog

シンセサイザーの生みの親であるロバート・モーグ博士のドキュメンタリー映画「MOOG」のサントラ盤。1枚目の方のメンツは STEREOLAB くらいしか知らないのだが、MOOG の旗の下に集まってきた人たちなのだから、きっと面白いのだろう。「CLASSIC TRACKS」と題されたボーナス・ディスクでは ELP とか、DEVO とか YES とかが並んでいる。

Replay Debussy

ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》を材料にしたリミックスのコンピレーション・アルバム。CCCD だったのだが涙を呑んで購入した。

坂本龍一やピエール・アンリなども参加。

物語のようにふるさとは遠い

まだ芸大大学院在学中だった教授(作曲・編曲)と、現代詩人である富岡多恵子(唄・作詞)のコラボレーションの初CD化。バックを務めているのは吉田健とか斉藤伸雄(って斉藤ノブ?)とか茂木由多加といった実力派。

 

Astor Piazzolla 10 CD-Set [Box Set]

得体が知れないブツだが、ピアソラのCDが10枚で1460円だったので思わず買ってしまった。クラシックの演奏家が演奏するピアソラとか、ムード音楽みたいなバッハとか、変に別のジャンルに持って行かれてソフィスティケイトされた音楽はあまり好きではない。とりあえずはオリジナルに当たらないと。

WHO IS AFRAID OF 20TH CENTURY MUSIC? (Complete Edition + Bonus CD)

指揮者インゴ・メッツマッハーがハンブルク国立フィルと組んで毎年大晦日のジルベスターで行っていた「20世紀音楽は怖くない」が、全部まとめて、ぐっと安くなって、ボーナス・ディスクもついて再発売された。

ボーナス・ディスクはメッツマッハーのインタビューと、コンサートでの演奏前の曲目紹介などが収録されている。当然どちらもドイツ語である。曲目紹介のあとに拍手があって曲が始まるのだが、ほとんどがフェードアウトしてしまう ….. というかなり微妙なボーナスである。パッケージからはボーナス・ディスクの内容がわからないので、半分ギャンブルのつもりで買ったのであるが、すでに持っている人は注意すべし。
まだ1枚も持っていない人は、過去のCDは入手しにくくなっているし、値段もかなり安くなっているのでチャンスかなと。