フィンランド・エストニア日記(その3)

朝7:00起床。早々にホテルをチェックアウトして、8:00出発のヴァイキング・ラインでヘルシンキまで帰ります。船内のレストランでビュッフェスタイルの朝食を。(我々だけではありませんが)8:00 からだらだら食べて飲んで閉店時刻の 10:00 までレストランの中でうだうだしていました。(我々だけではありませんが)さすがに「閉店なので出て行ってくれ」と言われ、そのあとはフリースペースでまたうだうだ。そうこうしているうちに10:30くらいにヘルシンキに到着しました。

まずはフィンランド国立博物館へ行ってみました。フィンランドの国自体を知るためのいろいろな展示があったのですが、前提として国の歴史を知っていないとちょっと苦しいかも知れません。

その後、14:00からのシベリウス音楽学院内でのコンサートを聞きに行きました。とは言ってもクラスの発表会のようなもの。ごく内輪の発表会で聴衆は10人くらい。時間の関係で最初の2人だけ聞きました。なお、コンサートが行われたのはシベリウス音楽学院の本館ではなくて、レッスン用の建物のようでした。

二人ともバッハの《前奏曲とフーガ》(というか平均率クラヴィーア曲集)、それからベートーヴェンのピアノソナタを弾きます。これらは課題曲のような位置付けで先生から課せられたのではないかと推測されます。

最後の演目が「自由曲」ということになるのでしょうか、一人目はシューマンの《ピアノ協奏曲》(まあ、どうでもいい話ですが、ウルトラセブン最終回の名場面、モロボシダンが「僕はウルトラセブンなんだ!」と告白する場面で使われています。)オーケストラパートは友人(かな?)に弾いてもらって、二重奏の形で演奏されました。

二人目の自由曲はリゲティのピアノ練習曲集からの2曲。初めて聞きましたが面白い曲です。

そのあとはアパートに戻って帰るための荷物の用意。それからタクシーを呼んでもらってヘルシンキのヴァンター空港まで。あ、今さらですがアパートのある通りはこんな感じです。1ブロックの端から端まで続く大きなアパートが特徴なのだそうです。

Davidとはアパートの玄関で別れました。そういえばDavidは奥ゆかしいというかシャイというか、自分からは決して握手する手を差し出さないことをタクシーの中で思い出しました。以前、別れる時に「ちゃんと握手すればよかったなあ」と思ったのですが、またもや同じことを繰り返してしまいました。前回は次にいつ会えるのかわからないような状況だったので非常に後悔したのですが、今回はお互いに世界中のどこにいても簡単に会えそうな気がしたので、それほど大きな後悔はありませんでした。

空港でチェックインして搭乗口の待ち合いスペースの椅子に座ったとたんにどっと疲れが出て、体全体が一気にだるくなりました。今まで寒い中を歩き回っていたので体が緊張していたのかも知れません。

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今回の旅行で村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読了。(そういえばこの本を前回読んだのはサンフランシスコへの出張の道中だったような気がします)寒い世界で「世界の終わり」の方を読んでいるとかなり「あの世界」にひたれます。この作品、今まではラストが非常に切ないものだと思っていたのですが、今回読み直して実はハッピーエンドという考え方もできるのかなあ、とふと思いました。

以前、「ノルウェイの森」の冒頭にハンブルク空港への着陸シーンが出てくるとご紹介しましたが、この小説ではフランクフルトの観光ポスターが出てきたり、主人公がルフトハンザ航空の袋を持ってコインランドリーへ行ったり、登場人物の一人(「ハードボイルド・ワンダーランド」の博士)がフィンランドに行ってしまう設定になっていたりと、微妙なシンクロニシティを楽しめました。と、書きながら思い出したのですが、短編集「回転木馬のデッドヒート」の中に「レーダーホーゼン」という短編が収められています。レーダーホーゼンというのはドイツ人が履いている半ズボンのことで、登場人物がドイツ旅行中にレーダーホーゼンを作ろうとして … というストーリーになっています。村上春樹さん、実はドイツ好き?

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