演奏会その31: ハンブルク・フィル(第6回)

「そういえば、そろそろ今月のハンブルク・フィルの定期があるはずだけど、いつだったっけ?」と思い出したのが昨日の夜でした。危ない危ない。

例によってライスハレの近くに路上駐車して、例によってライスハレの近くの「am Gänsemarkt」で軽く夕食をとろうと思ったのですが、何かいつもと雰囲気が違います。

天井から無数の紙テープが下がっていて、店員さんやお客さんの中にはコスプレ(というか変装というか)している人もいます。ふだんは80’sがまったりとBGMに使われているのですが、今日はダンスミュージックがガンガンにかかっています。途中で踊り出す人も出てきました。よくよくカレンダーを見てみると、今日はカーニヴァルのイベント「バラの月曜日(Rosenmontag)」ということでした。このお店はケルンのビール(ケルシュ)が飲める店で、ケルンで行われるカーニヴァルはけっこう有名らしいので、まあ疑似体験というところでしょうか。

いつものアルコールフライと、今日はこのお店で初めてカリーブルストを注文してみました。カリーブルストは可もなく不可もなく、といった感じです。

6. Philharmonisches Konzert

Ralph Vaughan Williams – Fantasie über ein Thema von Thomas Tallis
Edward Elgar – Konzert für Violoncello und Orchester e-Moll op. 85
Oliver Knussen – Ophelia dances, Book 1 op. 13
Edward Elgar – Enigma-Variationen op. 36

Montag 15. Februar 2010, 20:00 Uhr

Dirigentin: Simone Young
Violoncello: Alisa Weilerstein

今シーズン6回目のハンブルク・フィルの定期公演です。今回は、ヴォーン=ウィリアムズの《タリスの主題による幻想曲》、オリヴァー・ナッセンの《オフィーリアの踊り》、エルガーの《チェロ協奏曲》と《エニグマ変奏曲》というイギリスの作曲家の作品を集めた演奏会となりました。

チェロ協奏曲のソロを務めるのはアリサ・ワイラースタイン。実は2008年の1月にハンブルクに出張に来た時に北ドイツ放送交響楽団とドヴォルザークの《チェロ協奏曲》をやった演奏会を聞いています。

実は今までエルガーの作品をあまり聞いたことがなくて、行進曲《威風堂々》の第1番とか、《愛の挨拶》とか、吹奏楽コンクールで演奏される《エニグマ変奏曲》の抜粋(多くの場合「Nimrod」とフィナーレだと思います)くらいしか知りませんでした。《チェロ協奏曲》は夭折の天才女流チェリスト、ジャクリーヌ・デュプレがレパートリーにしていたということで、彼女とバルビローリ/ロンドン交響楽団の演奏で予習しました。

若手の女流チェリスト、そしてエルガーのチェロ協奏曲を演奏するとなれば、多かれ少なかれ演奏者も聴衆もデュプレの呪縛を意識せざるを得ないのではないでしょうか。デュプレの上をいこうとして、よりエモーショナルに演奏するというアプローチもあると思うのですが、一歩間違うと鼻白む自己満足に陥る危険性もあります。そうなったら嫌だなあ、と思っていたのですが、ワイラースタインはわりと客観的なアプローチでかちっかちっと弾いていたように思います。いわば実直なソロだったのですが、それでも感動的でした。前回聞いた時には柔らかい演奏をするという印象があったのですが、今回はがっちりとした骨太な演奏でした。

しかし、この曲はソリストとオーケストラが合わせるのが難しいですね。曲のラストも含めて微妙にアインザッツの呼吸が合わずに聞いていてハラハラする場面が何回かあったので、曲が終わった後の満足感が得られませんでした。ちょっと残念です。

《タリス》や《エニグマ》の弦楽器を朗々と歌わせる部分でオケをドライヴするヤングの音楽の作り方は本当にうまいです。ただ、(あまりこのドグマは持ち出したくないのですが)こういうイギリス音楽の歌い方としては、少し音が湿り気を帯びて重くなっているような気がしました。もう少しすっきり響かせてもいいのではないかと。それから《エニグマ》のテンポの速い部分がちょっと雑に聞こえて未整理だったかな。まあ、音楽全体の流れはよかったので最後は盛り上がりましたが。

ナッセンの《オフィーリアの踊り》は、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ホルン、イングリッシュホルン、クラリネット、フルート、チェレスタ、ピアノのための音楽。10分程度の作品で前半はずっとテンポの速い変拍子が続き、後半は無拍子(指揮者のキューのみで音楽が進む)でホルンのソロを中心に展開します。演奏技術的には素晴らしかったのですが、音楽の内容はよくわかりませんでした。

2 thoughts on “演奏会その31: ハンブルク・フィル(第6回)

  1. isaogermany

    こんばんは。
    このコンサートは用事があって、前半だけ聞いてきました。
    金髪の長髪を振り乱しながら弾いているワイラーシュタインは、視覚的にはデュ・プレを彷彿させる物がありましたね。
    あのパフォーマンスは他の弦楽器と違って顎が固定されないからできるんだなあ、などとどうでもいいこと考えながら聞いていました。

    タリスの幻想曲は、ヤング健在!と確認できて良かったです。笑
    ヤングは何を降らせても純ドイツ風というか、昔のドイツ人指揮者を思い出せるような指揮になるかなあと思ってます。
    息の詰りそうな演奏のイタリア・オペラとか面白いですよ。ある意味とっても個性的といえるのでしょうね。

    アムゲンゼマルクト。あの日は恐れをなして退散しました。笑
    Musicbellaさん あの中に居たのですね・・。

  2. musicabella 投稿作成者

    isaogermany さま:

    こんばんは。やはりいらしていたんですね。
    確かにヤングが作り出す音楽はドイツ的と言えるかも知れませんね。
    CD で出ているブルックナーの交響曲やワーグナーのオペラはまだ聞いたことがないのですが、評価が高いのもうなずけます。
    3月に歌劇場でやる《サロメ》あたりも興味があります。

    am Gänsemarkt ですが、私が店を出た頃には「まだまだこれから」という感じでした。
    演奏会が終わってから行ったら、かなり大変なことになっていたのではないかと思います(笑)。

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