月別アーカイブ: 2004年8月

トーキング・ヘッズ(今日の積志ウィンドアンサンブル)

The Name of This Band Is Talking Heads

今まで未CD化だったトーキング・ヘッズのライヴ・アルバムが大幅にボーナス・トラックを加えて初CD化。アルバムとしてまとまって形でトーキング・ヘッズを聞いたのはこれが最初だったように思う。これ以降のトーキング・ヘッズはすっかりポップになってしまったのであまり聞かなくなった。そういう意味で好きな時期のベスト盤的なアルバムである。

ほとんどの曲はオリジナル・アルバムでのバージョンに比べてかなりリラックスした雰囲気があるが、ライヴではとうてい再現不可能と思われた《ヒート・ゴーズ・オン(ボーン・アンダー・パンチズ)》はオリジナル・バージョンとは違うスピード感がある。

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所属する吹奏楽団の本番がいよいよ一週間後に迫った。日曜日の午後を利用して最後の通し練習。いつも使っているホールが予約できなかったため、かなり狭い部屋での練習となってしまった。

暑いし狭いし空気悪いし、この環境ではピッチがかなり乱れてしまうのも仕方ないか。とはいえ、こういう十分とは言えない環境の中でも集中力は保たれていたと思うし、全般的な手応えとしてはかなりいい感じ。

その後、メンバーの何人かと沖縄料理を食べに行く。例によって団の未来について熱っぽい議論が交わされるのであるが、例によって酔っ払っているので覚えていない部分も多い(笑)。

ミスター・シンデレラ(ビョークとケヴィン・エアーズ)

伊藤康英さんのオペラ《ミスター・シンデレラ》の東京初演を見に新国立劇場へ。鹿児島での初演と翌日の再演を見ているので、このオペラを生で見るのは3回目ということになる。

ホールのせいかソリストのせいかわからないが全体的に歌がはっきり聞こえる。鹿児島で見た時は歌がオーケストラに負けてしまって歌詞がよく聞き取れなかったのであるが、今回は歌詞がはっきり聞こえるということで、かなり内容に没頭することができた。

ついでにタワーレコード新宿店で買ったもの。

メダラ

アテネオリンピックの開会式でも歌っていたビョークの最新アルバム。(この時に歌われた《オーシャニア》も収録されている。)帰ってから地元のCDショップで買えば割引価格で買えるのであるが、試聴したところ一刻も早く聞いてみたかったのでその場で買ってしまった。

リリース前から話題になっていたように、バックトラックも含めて基本的に人間の声(もちろん加工はされているが)だけで構成されている。日本からもDOKAKAが参加しているし、ロバート・ワイアットなども参加しているようだ。

個人的にはここ数年でいちばんのインパクトを受けたアルバムである。 amazon.co.jp のレビューを見ると、ビョークを知らない人は聞かない方がいいとある。私が初めてビョークのフルアルバムを聞いたのは前作「ヴェスパタイン」だったのだが、緻密な構成に多少の息苦しさも感じた。「メダラ」はそれに比べるといい意味でラフに作られているように思える。特に3曲目の《Where Is The Line》がお気に入りなのだが、この突き抜けたサウンド・プロダクションはほとんど狂気ともいえる。

ビョークが私より年上(1965年生まれ)だったのはかなりびっくり。

Didn’t Feel Lonely Till I Thought of You: The Island Albums

ケヴィン・エアーズ(元ソフト・マシーン)とジョン・ケイル(元ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)とブライアン・イーノ(元ロキシー・ミュージック)とニコ(元ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)が共演したライヴがあるということで探していたのであるが、今回見つかったのはこの2枚組。

ケヴィン・エアーズがアイランド・レコードに所属していた頃のソロ・アルバム「夢博士の告白」「スウィート・ディシーヴァ−」と、上記のライヴ・アルバム「1974年6月1日」をカップリングした 3 in 2(とでも言うのだろうか?)である。

以前の日記に書いた、ニコによる《ジ・エンド》のカバーもこのライヴでの演奏のようだ。イーノによるシンセサイザーの伴奏のみによるかなり不気味な演奏。

ボブ・ディランの紙ジャケ

いよいよ、ボブ・ディランの紙ジャケリリースが始まった。 ボブ・ディランのCDを初めて買ったのはおよそ3年前、その時買ったのはベスト盤であった。なぜ、このCDを買ったかというと、ちょうどその頃仕事の関係で「CD-TEXT 仕様」(対応しているCDプレーヤーで再生すると曲名が表示されるというモノ)に準拠したCDが必要で、近くのCDショップから送ってもらったリストの中で食指が動いたCDがほとんどこれだけだったからである。J-POP とか演歌のタイトルが多かった気がする。 まあ、《風に吹かれて》とか《ライク・ア・ローリング・ストーン》だとかの代表曲は耳にしたことがあったのだが、妙に気に入っているが《ミスター・タンブリン・マン》である。

「ヘイ、ミスター・タンブリン・マン、歌ってくれよ。眠くないし行くところもないんだ。」

この冒頭1行のドロップアウト感(ホールデン・コールフィールドあたりが心の中で言っていそうな台詞である)がたまらなく気に入っている。

ツイン・ピークス

ツイン・ピークス ファーストシーズン [DVD]

オークションで新品の半額以下で落札。

WOWOW で放送された当時はけっこうはまっていた。どのくらいはまっていたかというと、ロケ地(シアトル近郊のスノカルミーという町)まで行ってオープニング画面(こんな感じでCDジャケットにもなっている)が撮影された場所で記念撮影したり、グレート・ノーザン・ホテルとして使われているセイリッシュ・ロッジというホテルでランチを食べたりしたことがある。

日本では「わけのわからない推理ドラマ」としてとらえられることが多かったように思うが、誰がローラ・パーマーを殺したかということは全然重要ではなくて、むしろ田舎町ならではのドロドロした人間関係(登場人物の多さもさることながら表と裏の相関図を作ってみるとなかなか面白いかも)や超自然的なものへの信仰(というと宗教っぽくなってしまうので「固執」という言葉の方がふさわしいかも知れない)がデヴィッド・リンチの作風とぴったり合っていて、それが醸し出す独特の雰囲気が魅力的だったのだと思う。

セカンド・シーズンの DVD BOX はまだ出ていない。

(後日付記)

ツイン・ピークスのコンプリートDVD出ちゃいましたね。やはり買ってしまいました

ダ・ヴィンチ・コード

結局、夏休み中にちゃんと読んだ本はこれだけ。

マトリョーシカ人形のように次から次へと出てきてなかなか収束しない謎解き、どんでん返しの連続、細かい章立てによるスピード感など、全体的にハリウッド映画的な構成が見て取れる。(だからこそロン・ハワードが映画化を決めたのか、もともと映画化を前提に書いたのか?)

いわゆる「トンデモ本」などでよく取り上げられる「死海文書」をめぐる争奪戦と謎解き。表象学や宗教学についての知的エンタテインメントが楽しめる。キリスト教の教義に思い入れがない人ほどニュートラルに楽しめるのではないかと思う。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」にあんなものやこんなものが隠されていたとは全然気付かなかった。前作も読んでみたくなった。

アテネ・オリンピック

アテネ・オリンピックの開会式を見る。入場行進とか聖火リレーとかは別にどうでもいいのであるが、最初にあるショーがなかなか見逃せない。案の定、再放送ではかなりばっさりカットされていた。

1984年のロサンゼルス・オリンピック開会式は高校の吹奏楽部の合宿最終日と重なっていて、確か合宿所の後片付けをしながらテレビを見ていたような記憶がある。大量のトランペット隊と打楽器隊によるファンファーレ(もちろんジョン・ウィリアムズのアレ)や、コープランドのバレエ組曲《ロデオ》の「ホー・ダウン」などがかなりかっこよかったような覚えがある。

シルエットを使って古代オリンピア競技をうまく表現していたのはアトランタ大会(1996年)だったっけ?

この手のショーはコンセプトだけが大仰で一人歩きしていたり、何となく間延びして途中で飽きてしまうことが多いのだが、今回のは舞台芸術としてかなり面白かった。

テレビ番組「アッコにおまかせ!」で和田アキ子さんがいみじくも指摘していたように、メインステージにプールを配して水を諸物の根源とするコンセプトや、ワイヤーアクションによる三次元的な空間の使い方などはシルク・ドゥ・ソレイユの「O(オー)」を思わせる。それとは対照的に、あえて二次元的な造形で古代からの歴史をたどる山車(とでも言えるのか?)なんかも非常に楽しめた。

入場行進に DJ を使うのも面白いアイデア。バーバーの《弦楽のためのアダージョ》とかアルビノーニの《アダージョ》とか妙に重苦しい曲が使われていたのが印象に残るのであるが、DJ の真意は如何に?

チープ・スリル(紙ジャケット仕様)

パール

キャロル・キングに続きジャニス・ジョプリンもリマスター盤が再発された。特に「チープ・スリル」あたりはジャケットデザインも楽しいのでぜひ紙ジャケで再発して欲しかったのであるが、残念ながら遺族の意向でプラケでの再発になったらしい。(とはいえ、「チープ・スリル」は一度紙ジャケ化されているのであるが …..)

ジョン・レノン写楽

夏休みのど真ん中に東京出張。

最近出張は新宿近辺が多いので、用件前後に新宿のタワーレコードやディスクユニオンを回るのだが今回はCDの収穫なし。東京出張でCDを買わなかったのは初めてではないか(笑)。

その代わりといってはなんだが、今はなき写真雑誌「写楽」の1981年1月号を見つけたのでゲット。こんなに安くていいんだろうかというくらいの価格で購入することができた。

この号では篠山紀信が撮影したジョン&ヨーコの特集が組まれているのだが、1981年1月号ということは1980年12月つまりジョンが射殺された月に発行されているのである。雑誌ではジョンが音楽活動を再開したことは語られているのだが、もちろん射殺されたことには触れられていない。当時小学館に問い合わせてバックナンバーを入手しようとしたが、版元品切れで入手できなかったという懐かしい記憶がある。付録のポスターがついていることが重要。

明和電機

MECHATRONICA [DVD]

ふと立ち寄ったCDショップで売っていたので。パリの日仏文化会館でのライブを収録したDVDと、時を告げる時計(!?)「ジホッチ」の特別限定色バージョンがセットになった限定版。《君に、胸キュン。(YMO)》《淋しい熱帯魚(ウィンク)》《マイム・マイム》という収録曲にも惹かれた。

やはり、明和電機の音楽はCDで聞くだけでは面白くない。

吹奏楽クリニック

汐澤安彦先生による2度目のクリニック。

比較的仕上がっていると思われている《パンチネルロ》と、いまいちリズムに乗り切れていない《メキシコの祭り》の第3楽章を見ていただく。

その後、金管奏者を中心とした飲み会。以前、金管五重奏で引き受けた「お仕事」の報酬が手つかずだったのでそれを還元するのが目的ということである。我々のバンドは議論好きが多いので(笑)、アルコールが入るとかなり議論が熱くなる。喧嘩腰になることもあるが、こういう席でいろいろ建設的な話ができるのはコミュニケーションがうまくいっている部分なのではないか。

やはり、汐澤先生という日本でもトップレベルの指揮者にご指導いただいて、演奏者が刺激を受けているのを感じる。指揮者として(もちろんいい意味での)演奏者からの突き上げをひしひしと感じる今日この頃である。