浜松ウインドオーケストラ第4回定期演奏会

オープニングで演奏されたチェザリーニの《アルピナ・ファンファーレ》を聞いた時点で、最後に《第六の幸福をもたらす宿》を持ってきた理由がわかったような気がした。ホルンがかなり強力である。

その《第六の幸福をもたらす宿》であるが第1楽章はかなり充実した響きだった。おそらく他の曲と比較してかなり時間をかけたであろう掘り下げが感じられる。以前このバンドを聞いた時の印象と大きくは変わっていないのであるが、サクソフォンやホルンの充実した響きがこのバンドの支柱になっているのだと思う。これらのパートが中心となった時には本当によいサウンドがする。

あえて注文をつけさせていただくと、もう少し大きな視点で音楽の起伏を考えるといいのではないかと思う。音楽のいろいろな要素(例えば楽章とか楽想とかメロディとか)には始まりと終わりがあって、その始まりと終わりの間にはどこかに重心(例えばもっともテンポが遅くなるところとかもっとも音量が大きくなるところとか)があるのである。その重心に向かう力あるいはその重心から離れていく力を考えた音楽作りをすれば大きな流れができ、それによって音楽はもっと雄弁になると思う。

… など、自分自身への注文とも言えることをいろいろ考えたわけだ。

最後にスタッフとして働いた我が団のみなさま、お疲れ様でした。

ベジャールの映画を見る

映画「ベジャール、バレエ、リュミエール」を見る。稀代のバレエ振付師モーリス・ベジャールの新作「リュミエール(光)」が上演されるまでを追ったドキュメンタリーである。

原題は「B comme Bejart」。「いろはのい」ならぬ「ベジャールのB」という意味である。またこのバレエで使われているバッハ(Bach)と2人のシャンソン歌手バルバラ(Barbara)とジャック・ブレル(Jacque Brel)の「B」でもある。

この映画はリヨンの古代ローマ闘技場(もちろん野外)で行われた初演に、それに至る練習風景やバレエ上演中に流された映像の編集の様子などがインサートされながら進行していく。

最初から最後までほとんど同じテンポと構成ですすんでいくので、ドキュメンタリーとしてはかなり淡々としている。また上演自体がそのドキュメンタリーによって寸断されているので、バレエとしても入り込めないうちに映画が終わってしまったように思える。

素材としては申し分ないのだから、もっとうまい作り方があったんじゃないのかなあ?最初に流れた「ボレロ」にいちばんワクワクしてしまった。

だるまさんがころんだ

「だるまさんがころんだ」長谷部雅彦混声合唱作品集

以前、友人が作品集のCDを作ると言っていたのだが、ようやくできたらしい。(吹奏楽ではなく合唱の方の)朝日作曲賞受賞作品《だるまさんがころんだ》の全曲を含む作品集。諸々の事情で自作自演は入っていないのだとか。

話をすると、よく「合唱業界」と「吹奏楽業界」の閉塞性合戦になるのだが(笑)、どちらも似たような状況らしい。(これで「ギタマン業界」の人もいるともっと盛り上がるんだけどな ….. というのもお約束の冗談。)

合唱業界についてそんなに詳しいわけではないので、長谷部氏の作品の合唱業界でのポジションはよくわからないのであるが、聞いているととてもポップな感じがする。クラシック然としているのではなく、例えばテンションを含む和音とかリズムなどのコンテンポラリーな要素がうまく消化されているように思えるのである。そういえばキング・クリムゾンとかのプログレッシブ・ロックが好きだって言ってたっけ。

こちらから買えるようなので、ひとつよろしくお願いします。

京都で買ったもの

そういうわけで「Joe’s Garage」で買ったもの。探していたものが全然なくて、結局全く違うものを買ってしまった。

民族の祭典/巻上公一

CDはすでに廃盤になっていて現在はかなりのレア・アイテム。なかなか手を出しにくい値段になっている。東芝EMIからの再発を願って比較的安価なアナログ盤を購入した。

傑作「殺しのブルース」に先立つ歌謡曲カバーアルバム。《森の小人》(「森の木陰でどんじゃらほい」)《おおブレネリ》《イヨマンテの夜》など巻上さんが歌っているところを想像するだけでワクワクする曲目が並んでいる。ジャケットデザインは立花ハジメさん。

真空パック/シーナ&ロケット

CDはすでに廃盤になっていて現在はかなりのレア・アイテム。なかなか手を出しにくい値段になっている。ソニーからの再発を願って比較的安価なアナログ盤を購入した。

YMO絶頂期にYMOの全面サポートでリリースされたアルバム。ご本人たちはかなり不本意だったらしいが、バンドの趣味とYMOの趣味が微妙なバランスでミックスされている不思議なアルバムである。

CMでも使われてかなりヒットした(といっても覚えている人は少ないだろうなあ …..)《ユー・メイ・ドリーム》、YMOの第1回ワールドツアーのレパートリーでもあった《ラジオ・ジャンク》のオリジナル・バージョン、同ツアーのメンバー紹介のあとで演奏された坂本龍一のインストゥルメンタルの名作《ロケット工場》などはYMOファンは聞いておくべき。

これと同居して、JBのカバー《アイ・フィール・グッド》、キンクス(あるいはヴァン・ヘイレン)のカバー《ユー・リアリー・ガット・ミー》なども収録されている。

冬の扉

この間買った「フラッパー」がなかなかよかったのでもう一枚聞いてみようと思い、吉田美奈子のファーストアルバムを。ティンパン・アレイ(細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆)がバックをつとめている。

誰もぼくの絵を描けないだろう

友部正人って、以前「たま」とジョイントライブをやっている映像を見たことがある。

このアルバムは、坂本龍一の初レコーディングとして知られている。偶然見つけたので聞いてみることにした。ジャケット裏にも、いかにも新宿ゴールデン街で飲んでいそうな若かりし教授の姿が映っている。

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メジャーレーベルから発売を拒否され、自主制作で発売されたものの初回プレスは600枚とかで、2001年にまさかの再発が行われるまでは聞きたくても聞けない「幻のレコード」だったということである。

私が頭脳警察について知っていたことは、成田空港建設反対運動のイベント「日本幻野祭」に出演したとか(この映像は現在DVDで見ることができますがかなりインパクトあります)、ステージ上でマスターベーションをしたとか、《世界革命戦争宣言》《赤軍兵士の詩》《銃を取れ》という革命三部作なる歌が収録されているとか、かなり過激なトピックばかりだった。

一時期、「浅間山荘事件」とか「東大抗争」とかに代表される学生運動がなぜあれだけ大きな流れになり、なぜその後鎮まってしまったのかというあたりに興味があって、それに関する本を読んでいたりしていたのだが、このバンドを聞けば何かしらその時代の空気を感じられるのではないかと思ったのである。

2001年に再発されたアナログ盤は当時買っていたのであるが、なかなか針を落とすのがもったいなくて、それなら手軽に聞けるCDを買ってしまえ、と思ったわけ。

カンタベリーなどなど

そういうわけで、CBSからリリースされていたソフト・マシーンやロバート・ワイアットのアルバムが一挙にリリースされた。

4 (紙ジャケット仕様)

5 (紙ジャケット仕様)

6 (紙ジャケット仕様)

7 (紙ジャケット仕様)

いちばん聞きたかった「3」は入荷が遅れているということでゲットできず。「1」と「2」はりリースされていたレコード会社が違うので今回の再発リストには入っていない。 すでにここにはケヴィン・エアーズはいなくて、かろうじて「4」にロバート・ワイアットが参加しているだけ(その後脱退)なので、とりあえず私が聞きたいソフト・マシーンは「4」だけということになりそうだ。

THE END OF AN EAR(紙ジャケット仕様)

ロバート・ワイアットがソフト・マシーン在籍中に作成したソロ・アルバム。これをきっかけにソフト・マシーン脱退→マッチング・モウル結成という動きになったらしい。

そっくりモグラ(紙ジャケット仕様)

そっくりモグラの毛語録(紙ジャケット仕様)

で、ソフト・マシーンを脱退したロバート・ワイアットが結成したのが、このマッチング・モウル。この名前はソフト・マシーン(SOFT MACHINE)のフランス語読み「マチンヌ・モル(MACHINE MOLLE)」を無理やり英語読みして命名したらしい。

楽譜CDなどなど

所属する吹奏楽団の秋の行事のために歌劇《アイーダ》の凱旋行進曲(マカリスター編曲/アルフレッド・リード校訂)の楽譜を購入。近隣の小学校や公民館で行う演奏会のためのものである。「何かクラシックをやって欲しい」という要望に応えて取り上げることにしたのであるが、サッカーの試合でもよく使われているので特に小学生くらいの男の子ならほとんどが聞いたことがあるだろう。なかなかいい選曲だと思う。

だいたいこういう楽譜は海外に直接発注することが多いのであるが、そのついでに定期演奏会の候補曲のフルスコアも買うことにしている。スコアだけ発注すると本体価格より送料の方が高くなってしまうので、比較的かさばるフルセットを買うついでに買えば送料もそんなに気にならない。

今回買ったのは以下のスコアである。

バッハ(グレインジャー編曲)/おお汝、その罪深きを悔い改めよ

基本的には4声部くらいで書かれていて、かなり柔軟な編成が可能である。逆に言うと演奏者の判断でソノリティを選択しろということなのか。スコアにもオルガンのストップを参考にした楽器の組み合わせの例が載っている。

ティケリ/アメリカン・エレジー

かなり前からスコアが欲しかった作品。例のコロラド州コロンバイン高校の事件の犠牲者のために書かれた曲である。どんなバンドでも無理なく演奏できる編成や難易度であるが非常に感動的な音楽である。

ベンクリシュト/シンフォニック・ジャズ組曲

これはかなり興味本位で買ってみた。吹奏楽編成とジャズ・コンボのための作品。ジャズ・コンボの方はリズム・セクション(ドラム、ベース、ピアノ)とトランペット、アルト・サックス、それに楽器を問わない「スペシャル・ソリスト」という編成になっていて、完全にジャズのイディオム。知り合いのジャズ・ミュージシャンをかき集めてきて一緒にやってみると楽しそうだし勉強にもなりそうである。

あとはついでにCDなども。

TIMOTHY REYNISH LIVE IN CONCERT WITH THE UNIVERSITY OF KENTUCKY WIND ENSEMBLE

RNCMウィンドオーケストラの指揮者ティモシー・レイニッシュがケンタッキー大学ウィンドアンサンブルに客演した時のライヴ録音らしい。

収録されているナイジェル・クラークの《サムライ》、クリストファー・マーシャルの《ロム・アルメ》、(あの)クリスチャン・リンドベルイの《ウィンド・オーケストラのための協奏曲》はレイニッシュが委嘱した作品群である。

Cheers! / University of Wisconsin Milwaukee

以前購入したときに品切れだったウィスコンシン大学ミルウォーキー校の自主制作アルバムの3枚目。

その日に買ったもの

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ロバート・ワイアットのソロ活動30年を振り返る日本編集のベストアルバム。来月紙ジャケでリイシューされるソフト・マシーン、マッチング・モールなどへの予告編か。

以前の日記でも書いたが、不幸な事故によって下半身不随となってしまったあとのソロ・アルバム「ロック・ボトム」に収録されている《シー・ソング》ですっかりロバート・ワイアットが好きになってしまった。このアルバムには、その「ロック・ボトム」から最新作である「クックーランド」までの30年間の作品がピックアップされて、年代にこだわらない順番で収録されているのだが、不思議と違和感がない。シンプルなバッキングにシンプルなヴォーカルが乗るという基本的なフォーマットが一貫しているためだろう。

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NAXOSからリリースされている日本人作品集。

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1935年にブロードウェイで初演されたガーシュインのオペラのオリジナル・キャストでの録音。

その日に届いたもの

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実は以前発売されていた特典ディスク付きの5枚組と勘違いして購入してしまった。これは「パートI」から「パートIII」までの本編のみが収録された4枚組のボックスセット。

映画館で「パートIII」を見てけっこう気に入ってしまい、その後レーザーディスクで前作を見てみようと思った。ところが私が購入したレーザーディスクは特別編集版で、「パートI」と「パートII」の全てのエピソードを時代順に並べ替えたものであった。

なので、私は「パートI」と「パートII」で起こる全てのエピソードは知っている(はず …..)のだが、実は映画としての「パートI」と「パートII」はまだ見たことがないのである。

「パートII」から16年を経て制作された「パートIII」は、前2作に比べると完結編を飾るべきスケール感に欠けていたと思う。しかし、マーロン・ブランド扮する初代ゴッドファーザーのようなカリスマ性を持った人間がピラミッドの頂点に君臨するというヒエラルキーが現実的問題として難しくなってきていたという時代的背景があったのではないかと思う。それはマフィアの世界だけでなく政治やビジネスにおいてもそうであろう。

事実、マーロン・ブランドは「幸せな老後」とも呼ぶべき真っ当な形で人生を終わったし、2代目のアル・パチーノは孤独の中で風に吹かれる落ち葉のように生涯を終えた。そしてファミリーを継いだのは血のつながらないアンディ・ガルシアである。実はこんな企業けっこうあったりしません?

ロームミュージックファンデーションSPレコード復刻CD集

近代日本音楽ファンを狂喜させた前作(http://www.rohm.co.jp/rmf/mf_cd-j.html)は残念なことに非売品であったのだが、今回は念願かなって一般発売されることになった。

喜び勇んでさっそく購入したのであるが、残念ながら非売品だった前作の方が明らかにインパクトが強い。今後もこのシリーズは発売されるそうなので、ぜひ前回のものをそのまま一般発売して欲しい。何せ山田一雄(当時は山田和雄)指揮の《交響譚詩》(伊福部昭:ひょっとして初演?)や歌舞伎座で行われた皇紀2600奉祝演奏会の実況録音が収録されているのである。この演奏会のために日本政府はリヒャルト・シュトラウス(ドイツ)、イベール(フランス)、ブリテン(イギリス)、ピツェッティ(イタリア)、ヴェレシュ(ハンガリー)に作品を委嘱した。(アメリカは対日関係の悪化を理由にこの依頼を拒否、ブリテンの作品《シンフォニア・ダ・レクイエム》は皇室の行事にふさわしくないとの理由で日本政府から拒否された。)

ちなみに購入はこちら(http://www.onsei.co.jp/rohm/index.htm)から。

ファイヤーマンズアクトコンサート

「第5回全国消防音楽隊フェスティバル ファイヤーマンズアクトコンサート」を聞きにアクトシティ浜松大ホールへ。

全国の消防音楽隊が集まるフェスティバルのコンサートの一つ。他にも「浜名湖花博」会場でのコンサートとパレード、浜松市内の秋祭りイベントと連動してのパレード、浜松アリーナでのマーチングコンサートなど多彩なイベントが計画されている。

「ファイヤーマンズアクトコンサート」は演奏会形式のコンサート。浜松市消防音楽隊、さいたま市消防音楽隊、名古屋市消防音楽隊、大阪市消防音楽隊、神戸市消防音楽隊(出演順)が出演した。(実際には浜松市内をパレードする予定だった音楽隊も急遽参加したのであるが団体名を失念(_0_))期待以上にクオリティの高い演奏を楽しめた。

特に名古屋市消防音楽隊と大阪市消防音楽隊はかなり完成度が高い。

名古屋市消防音楽隊の《君の瞳に恋してる》(真島俊夫編曲)はフルート・ソロを全面的にフィーチャーした編曲なのであるが、このソロが凄い。淀みなく細かいパッセージを吹いているだけでも凄いのであるが、アドリブのフレーズの緩急のつけ方やクライマックスへの持って行き方なども堂に入っている。全体的な演奏も落ち着いていて、最小限のパワーで最大限の演奏効果を発揮しているように思える。

大阪市消防音楽隊はそれとは対照的にかなりパワフル。《サンバ・デ・アイーダ》《あの日聞いた歌》《USJメドレー》(全て真島俊夫編曲)というきついプログラムだが、全て豪快に鳴らしまくっていた。

いろいろな制約(よくわかりませんが)があるためか、どの消防音楽隊も必要最低限の演奏者しかいない。例えばフルートは2人で1人はピッコロ持ち替え、クラリネットはBb管が5〜6人でEbもバスクラもいない、サックスは2+1+1、ホルンは4人いるバンドは少なくて2〜3人、トランペットも通常は4人くらい、トロンボーンも3〜4人、ユーフォニアムはもちろん1人、テューバは1人ないし2人でエレキベースで補強、打楽器は3〜4人くらい、といったところであろうか。

当然ごまかしが効かず、一人一人の技術力がそのまま演奏として表われてしまうシビアな編成である。神戸市消防音楽隊は25人という、おそらくこの日の最少人数のバンドだったのであるが、非常に充実した演奏であった。

江口寿史さんのイラスト集

素顔~美少女のいる風景~ 江口寿史イラスト集

江口寿史さんの最新イラスト集。

このイラスト集の面白いところは、イラストのもとになっているスナップ写真が別冊としてついているところである。つまり、モデルの女の子を江口寿史さんがいかに「加工」したのかがわかるようになっている。実物そっくりだったり、実物の方がかわいかったり、全然別の顔として描かれていたり …..

江口さんは私にとってサブカルチャーの教師のような人である。私がまだ田舎の中学生だった頃、週刊少年ジャンプに連載されていた江口さんの「すすめ!パイレーツ」が好きだった。漫画とは関係ないところで挿入される当時の最先端のサブカルチャー的なアイテムが本編以上に私を刺激していたように思える。クラフトワークやYMOやトーキング・ヘッズの名前を最初に目にしたのはおそらくこの漫画だったと思う。

それ以降も、気がつけば新刊を買うようにしている。最近は漫画ではなくイラスト集の方が多いけど。