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クパティーノ日記(その1)

クパティーノへ出張。最近の出張では機内持ち込みできるピギーバッグを持って行っていたのだが、今回は明らかにそれでは収まらないことがわかっていたので、久しぶりにスーツケース(サムソナイトのオイスター)を引っ張り出す。これだと容量に余裕があるし、今回は壮大なお買い物計画があるので、大雑把にパッキングして出かける。(最近は出張前のパッキングがだんだんいいかげんになっているなあ …)

今回も無事ビジネスクラスへアップグレード。(プレミア・エグゼクティブになるとフライト・アテンダントが挨拶に来るのね。)

熟睡したいと思ってワインをがぶ飲みしたら、深くは眠れたのだが2時間くらいでぱっちり起床。もっと寝たかったのだが、なかなか寝付けなかったので本を読んだり iPod を聞いたりして過ごす。

サンフランシスコ着は午前8時。そこからタクシーでホテルに直行してチェックイン。(サンフランシスコからシリコンバレーまでって $100 もかかるんだっけ?)無線 LAN がちゃんとつながることをチェックして、必要な荷物を出したらすぐに相手先の会社へ行く。午後5時まできっちりお仕事。眠気を通り越してハイになってしまった。

ホテルはフリーウェイの近くで、車がなければあまり便のよくないところである。徒歩圏内の食事ができる場所を聞いて、地ビールレストランに行ってみることにした。

そういえばフットボールはマンデイ・ナイトだ。カウンター・バーではかなりの大画面で観戦できる。

地ビール(ペール・エール)とミートボール・サンドウィッチを食すが、なかなかおいしい。数ヶ月におよぶダイエットも1週間の滞在でチャラになるな、これは …..

歌えなかった桐の葉

1月に亡くなった大学の先輩を追悼する「先輩と語る会」が新宿で開催された。 息子と妻と一緒に出かける。

最近は大学の吹奏楽団の OB 会が開催されていないので、先輩/後輩に会うのは久しぶり。 中には10年以上、ひょっとして大学卒業以来会っていなかった先輩もいらっしゃった。 「俺のおかげでお前らが会えたんだ。感謝しろよ。がはははは。」と天国で先輩がおっしゃっている声が聞こえるような気がする。

我々が行きつけだった(というか吹奏楽団の溜まり場だった)食堂のおじさんとおばさんも出席されて、故人のエピソードを披露してくれた。「鶏肉が好きだった」という話で思い出したエピソードがある。

我が吹奏楽団には年末恒例の「24時間麻雀大会」という催し物があった。 まあ、全然堅苦しいルールはなくて、24時間麻雀をして最後にもっとも点数が高かった人が優勝、というただそれだけの大会である。 (今から考えると、金曜日は吹奏楽団の練習が終わった後にその先輩の部屋でほぼ毎週徹夜麻雀が行なわれていた。何も年末に改まって大会を開催する必要もなかったと思うのだが …..)

私は大学3年生になる時にその先輩のアパートの隣の棟に引っ越したので、その年の24時間麻雀大会では私の部屋が「第2会場」になってしまった。私 の部屋で麻雀を打っていたら、その食堂でバイトをしていた同学年の女の子が差し入れということで鶏の唐揚げをたくさん持ってきてくれたことを覚えている。

ちなみにその年はその先輩が優勝してウイスキーをもらい、私は2位でお地蔵さんの貯金箱をもらった。(何なんだ、この差は。)

うちの大学の吹奏楽団では、演奏会の打ち上げなどで「桐の葉」という歌を歌って場を締めている。あらためて調べてみると大学の「宣揚歌」という位置付けらしい。 今回も出席者みんなで肩を組んでこの歌を歌った。 歌っている間、この歌を歌ったシチュエーションをいろいろと思い出していた。 変わったもの/変わっていないもの/失ったもの/手に入れたものを思い返すとこみ上げて来るものがあるなあ …..

そうやって人は年をとっていくのだ。

河口湖音楽祭2006

吹奏楽団の友人たちと河口湖で行なわれている河口湖音楽祭2006へ。 目当ては最終日のシエナ・ウインド・オーケストラの演奏会。

西富士道路から河口湖へ向かうルートだったので、途中で「まかいの牧場」によって昼食。バイキングは少し割高だけど、牛乳やアイスクリームやチーズなどが食べ放題/飲み放題であることを考えると、意外とお得なのかも。 味も想像以上によかったです。

というわけで、ステラシアターへ。 あまり席もよくなかったし、一触即発の息子を連れて行ったりもしていたので、ちゃんと音楽を聞くというよりは会場の雰囲気を楽しみに行った。 幸い、会場全体がそんなリラックスした雰囲気だった。

第1部

  • 20 世紀 FOX ファンファーレ
  • 高度な技術への指標
  • ツィゴイネルワイゼン
  • リバーダンス

《ツィゴイネルワイゼン》と《リバーダンス》はパーカッショニストの池上英樹さんのソロをフィーチャー。

第2部

  • 音楽のおもちゃ箱〜佐渡裕のトークと音楽
    • ウィリアム・テル序曲
    • 宇宙戦艦ヤマト
    • 歌劇《トゥーランドット》より 誰も寝てはならぬ
  • 《ウェスト・サイド・ストーリー》よりシンフォニック・ダンス

アンコール

  • 今日の日はさようなら 〜 (不明、なんだろこの曲)
  • 星条旗よ永遠なれ

サンディエゴ日記(その4)

仕事は午前中で終わったので、午後からダウンタウンへ行く。 「ホートン・プラザ」というショッピング・モール。 まずはTシャツが足りなくなったので補充。 フードコートがあって、ここにはいろいろなアジアン・キュイジーヌがあるので、昼飯はここで食べようと思って探すことにした。 さすがにアメリカ飯にも辟易してきたので、もうちょっとさっぱりしたものを食べたい。

モンゴリアン・バーベキューの店を見つけた。 以前シアトルに行ったときに友人に教えてもらった料理(?)だ。 これにすることにした。 モンゴリアン・バーベキューは、いわば「モンゴル風焼きそば、またはチャーハン」である。 お金を払うとどんぶりをくれる。 好きな具(牛肉、鶏肉、羊肉、いろいろな野菜)を自分の食べたい分だけどんぶりに盛っていき、最後にソースをかける。 それを店の調理人に渡すと、最終的に麺かご飯を追加して大きな円形の鉄板の上で焼いてくれるのである。

そのあとは、ふと考えてメキシコに行ってみることにした。 サンディエゴからはバスで1時間、トロリー(路面電車)で30分ほどでメキシコとの国境まで行ける。 実は前々から検討はしていたのだが、メキシコ側の国境の町ティファナはけっこう物騒だと聞くし、出張で来ている手前あまりリスキーな行動も取れないし、と思って前日は断念していたのだった。

とはいえ、時間を持て余しているし、国境を歩いて越えるという魅力もあるし、ティファナまで行かずに国境を越えてすぐに戻ってくればいいだろう、と思い、やはり行ってみることにした。最悪、国境を越えずに帰ってくるという手もある。

というわけでアメリカ側の国境の町サン・イシドロへ。 人の波について行くと、ディズニーランドのアトラクションのような通路を延々と歩かされて国境まで行く。 国境には検問はない。回転式のゲートがあるだけである。

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国境を越えるとまったく雰囲気が変わるのがわかる。 人々は隙のない顔をしているし、かなり小さな子供も紙コップを持って物乞いをしている。

アメリカに戻ってきて、再度バルボア・パークへ。 月曜日に休館だった美術館に行ってアンディ・ウォーホール展を見る。 マリリン・モンローやミック・ジャガーや毛沢東などのポートレート、キャンベル・スープなど、かなり有名どころはもちろん並んでいる。 ケネディ暗殺に関する連作は意外。

常設展示で面白かったのはアメリカができた頃(およそ200年くらい前)の風景画。 もちろん、これらの作家はヨーロッパ諸国から移住してきたわけであるが、当時の技法でアメリカの原風景が書かれているという事実にあらためて気付かされた。 (例えば、江戸時代にオランダ人がオランダの技法で描いた日本の風景というがあったら見てみたいと思いませんか?あるのかも知れないけど …..) 絵画史全体から見れば存在意義はそんなに高くないのだろうが、文化の交錯という意味では面白い。 ひょっとして日本における西洋音楽の黎明期とオーバーラップするものがあるのではないかと思ったしだい。

そういえば、こんなコンピレーションを買った。

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JOHN CAGE TO DAVID BYRNE: Four Decades of Contemporary Music

コンテンポラリー・アートの展覧会のために作られた CD らしい。 表ジャケはジャスパー・ジョーンズとジェフ・クーンズ、裏ジャケはロイ・リキテンシュタイン、ブックレットにはバスキアなども載せられている。

そういった時代に流れていた音楽を集めたもので、デヴィッド・ボウイあり、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドあり、ジャニス・ジョプリンあり。 なかなか凄いのは、後半でフィリップ・グラスとスティーヴ・ライヒの間にディジー・ガレスピーのビバップを挟んでしまうところ。

夕食もさっぱりしたものが食べたくて、何となく見つけたペルシャ料理屋に入ってみる。 ハーブの効いたベジタリアン・スープと、羊肉のケバブを頼む。 期待通り、ゴテゴテしておらず、香辛料を効かせた味付けはほっとする。 (ヨーロッパではそんなことはないのだが、アメリカに来ると絶対胃もたれするなあ …..)

サンディエゴ日記(その3)

今日はベロベロに酔っ払ったので日記は明日書こうと思ったら、夜中に目が覚めてしまった。 只今、午前3時30分。

今日はどこにも行きませんでした。

仕事で知り合ったドレッドヘアの Arif とホテルのバーで一杯やることに。 半年くらい前に初めて日本に行ったのだが、そこでコミュニケーションが取れなかったのが悔しかったので日本語学校に行き始めたらしい。 (確かに旅先で地元の人と話をするのは楽しいよね。) その日本語学校の先生が女性なので、いわゆる「お姉言葉」を習得しつつあることに悩んでいるそうである。 3ヶ月くらい後にまた日本で会うことになりそうなので、どのくらい日本語が上達しているか楽しみである(笑)。 (サンディエゴからはメキシコも近いので)マルガリータを奢ってもらう。ごちそうさま。空きっ腹で飲んだので回る回る。

友達を空港に送っていかなければいけないそうなので(あれ?今マティーニ飲んでたよな?)、そこで別れ、私は一人で夕食を食べることにした。

一昨日はメキシカン、昨日はホットドッグだった。今日はちゃんとしたシーフードを食べようと思いホテルのレストランに行く。

ところで、アメリカに来たときに絶対食べたいものが2つある。 まずはクリスピー・ベーコン。朝食とかによく出てくる、フォークで刺すと砕けてしまうくらいカリカリに焼いたベーコンである。 日本の朝食バイキングにもベーコンはあるのだが、なぜかカリカリにはならないのである。 それからクラムチャウダー。これも日本だと「濃い」やつに出会えない。「飲む」ではなく「食べる」という感覚でいただく濃厚なチャウダーが好きである。

あと、カリフォルニアだとシャルドネ(白)かカヴェルネ・ソヴィニヨン(赤)を試す。私のワイン人生はカリフォルニア・ワインからスタートしているので、これらのカリフォルニアの代表種に愛着があるのである。

というわけで、まずはシーフード・チャウダーと 2004 年のソノマのシャルドネ(ラベル失念)を頼む。 シーフード・チャウダーはアサリ/ハマグリだけでなく、ホタテや海老も入って実だくさん。 シャルドネはキリッと冷えていて意外にスパイシー。ううん、ベストマッチ。 料理とワインの相性がピッタリだと幸せになりますなあ。

メインは mediterranean bass の唐揚げ。全長約 30 cm のバスが 2 匹(!?)出てきた。これ全部食えってか? 隣に座っていた女の子 3 人組も唖然としていた。ううん、こういう時に気の利いたジョークでも言えればいいんだが(笑)。 ソースはアジアン・テイストのものが3種類。ナンプラー系とスイートチリソース系とパクチー系といったところか。 悪くない。スティームド・ライス(インディカ米)も付いてきて、ほとんど「魚の唐揚げ定食」である。 こういう料理だとシャルドネは合わないなあ。ジンファンデルあたりにしておいた方がよかったかなあ ….. と想像して楽しむ。

サンディエゴ日記(その2)

つつがなく初日の業務が終わる。

せっかくアメリカに来たのだから野球を見てみたいと思い、サンディエゴ・パドレスのホームであるペトコ・パークへ見に行く。 ちょうど今日からヒューストン・アストロズとの三連戦が始まったのである。

試合開始は午後7時5分。会場に到着したのは6時50分くらい。 だだっ広い駐車場の真ん中に忽然と野球場があるようなイメージを持っていたのだが、ビル街のど真ん中に違和感なくすっぽりと収まっているような佇まいである。1ブロック離れたら野球場があることに気づかないかも知れない。

最初に目についたショップでチケットを買おうと思ったのであるが、ペアしかないので一枚では売れないとのこと。 正規のチケットセンターに行ったほうがいいというアドバイスを受ける。

というわけでチケットセンターに並んだのであるが、試合が始まってからも長蛇の列。 とはいえ、係員のおばちゃんの指示でいわゆる「フォーク並び」が徹底されているし、大人数用の窓口と少人数用の窓口をちゃんと区別しているようで、意外に時間はかからない。こういうところを見ると、アメリカの合理性に感心する。

メジャーリーグといえばホットドッグ。 「Diego Dog」なるものがあったので注文しようとすると、サンプルを指差して「こんなんだけどいいの?」と言われる。 500 ml のペットボトル大のバンズを切り開いて、直径 1 cm くらいのソーセージをはさんで、野菜やらマスタードやらをのっけたものを想像していただきたい。食べるのに要した時間 30 分。夕飯はこれで済みました。

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ホットドッグ売りのおばちゃんと少し話をする。「日本から来たの?」「メジャーリーグ見るの初めてなの?」「ようこそ。楽しんでって。」「ここで日本が勝ったの知ってる?いい試合だったわよ。」 3月に開催されたワールドベースボールクラシックの準決勝と決勝が行われたのが、ここペトコ・パークらしい。 ここで王ジャパンが韓国とキューバをくだして世界一になったのだ。

試合は別にどっちが勝とうと関係ない(結局ヴィジターのアストロズが1対0で勝った)が、やはり雰囲気は楽しい。 ふだんはまったりしているのだが、見せ場になるとすかさず会場内のイルミネーションで「MAKE NOISE」「GET LOUD」という文字が出て、観客をあおる。攻守交替の時間もオーロラビジョンに観客の顔を写したり、チームのトリヴィアを流したりしている。隣に座った 女の子が妙にノリがよくて、踊りまくったり叫びまくったりしていた。

憧れの「7イニングス・ストレッチ」も体験することができて満足満足。

サンディエゴ日記(その1)

アメリカ(サンディエゴ)出張。今日はとりあえず移動のみ。

そういえばセントレアからアメリカへ行くのは初めてかも知れない。 お昼ごろ浜松駅を発車するセントレア直行バスに乗り、例によってほぼ全行程爆睡。

とりあえず無事ビジネスクラスへアップグレードされて、専用ラウンジでフライトまでの時間を過ごす。

ソヴィニヨン・ブラン飲んでカヴェルネ・ソヴィニオン飲んで最後はポートワイン。 飲みすぎたのがよくなかったのか機内ではあまり眠れず。小沼純一の武満徹本を読了。

先週のニュースでカリフォルニア州では気温が摂氏40度を越すところもあったと言っていたので、ちょっとビクビクしていたのだが、サンディエゴは摂氏20度そこそこ。今の日本よりもむしろ涼しい。

やっぱりヨーロッパに比べるとアメリカ西海岸は近い。行程8時間ちょっと。 しかし、時差ボケは西海岸の方がこたえる。 ヨーロッパへ行く時には日本を朝出て向こうに着くのが夕方〜夜なのでわりと自然に眠れるのだが、 西海岸は日本を午後出発して向こうに着くのは午前中、しかし体内時計は真夜中なのである。 これに耐えられずにちょぼちょぼ昼寝をしたりすると時差ボケが直らないまま帰国する羽目になるのである。

と、いうことでバルボア・パークを散策して、そのままダウンタウンまで歩いて来ようと計画。

バルボア・パークとはサンディエゴのダウンタウンの北東に位置する小高い丘で、美術館や博物館が密集している。 (残念ながらアンディ・ウォーホール展をやっていた美術館は休館) それぞれの建物はスパニッシュコロニアルな雰囲気で統一されていて、テーマパークのようである。

夕方だったのでどこの施設も閉館間近。 どこに入るでもなくブラブラ歩き回る。

途中でパイプオルガンのある野外コンサートホールを見つけた。 今日の夜にコンサートがあるらしく、ステージ上ではオルガンの仕込みをやっていたし、大きなタオルを使っての席取りも始まっていたし、ケータリングも準備もやっていた。

夕飯はメキシコ料理の店を探して、コロナビール(お気に入り)とチキンファヒータを食す。

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ドレスデン日記(その4)

本日も少し早めに仕事が終わったので、お土産探しに繁華街に繰り出す。 ホテル周辺は歴史的建造物ばかりなのであるが、ちょっと足を伸ばすと超近代的な商業施設が顔を出す。

ドレスデンは旧東ドイツに属していたので、いわゆる「西」化は1990年の東西ドイツ統合から始まったのである。 信じ難いことであるが、昨日オルガンコンサートを聴きに行ったフラウエン教会もソ連の傘の下にあった時代は爆撃されたまま放置されていたのである。 そういうわけで、歴史的建造物も生活に必要なインフラも急ピッチで整備が進められている(現在進行形)のである。閑話休題。

工事現場の近くには1945年の空爆の激しさを訴える展示施設もあった。 空爆以前に撮影された写真や映像を見ると、いかに空爆が激しかったのか、また、いかに過去に忠実にそれらの建造物を修復しようとしているかが分かる。フラウエン教会の修復を記録した小冊子と、空爆前後の同じ建物を比較した小冊子を買う。

そういえばダニエル・バクヴィッチという作曲家の吹奏楽作品に《1945:ドレスデン空爆》というのがあったなあ。 どんな曲だったっけ?

で、カールシュタットというデパートにワールドカップのオフィシャルショップがあったので、お土産用に何点かまとめ買いをする。

それから、ドレスデンまで来たからにはマイセンを買って帰りたい。 ホテルの中にショップがあったのでのぞいてみる。 やはり、見た目の美しさと値段は確実に比例している。 いいものはポンと4桁(日本円で約14万円)くらい行ってしまうのである。

マイセンらしさ、実用性、美しさと価格の妥協点を検討して購入。

ドレスデン日記(その3)

仕事が早く片付いたのでアルテマイスター美術館へ行く。 この美術館でいちばん有名なのは、ラファエロの「システィーナのマドンナ」(の二人の天使)だろう。 ふだん、あまり注目してみることのなかったルーベンス、ヴァンダイク、レンブラントらの作品がまとめて見れたのは収穫だった。また、ここにはフェルメールも2点(「取り持ち女」「窓辺で手紙を読む若い女」)ある。

夕食は元上司と、別の会社から来ている方と一緒に。 この時期はホワイトアスパラの収穫時期にあたるため、どのお店も「アスパラガス料理始めました」という特別メニューを掲げている。

アスパラガスをメインディッシュにするのも何なので、スープを頼んでみた。 裏ごししたスープにホワイトアスパラの輪切りが入っている。 日本で食べるホワイトアスパラはほとんど缶詰なのであるが、これはもちろん生をゆでる。 歯ごたえがあって少し苦味というか酸味がある感じ。 スープの方はほんのり甘いので、この対照的な組み合わせがなかなかよい。

メインはバイエルン風ホワイトソーセージとプレッツェル。 ソーセージは「荒挽き」の対極といった感じで、ものすごく滑らかに挽かれている。 あまりに柔らかいのでなかなかナイフで切ることができない。 香港に「德發牛肉丸」という絶品のミートボール入り麺のお店があるのだが(まだあるのかなあ?)、そこのミートボールに似た歯応え。 マスタードをつけると美味。このマスタードも日本に比べると酸味より甘味が勝っているなあ。

あ、もちろんビールも飲みました。

その後、ホテルの近くにある教会でのオルガンコンサートを見に行く。 この教会もまた空爆で破壊され、今年(2006年)のドレスデン建都800年記念にあわせて修復されたらしい。 そのオルガンのお披露目演奏というわけである。

ドレスデン日記(その2)

時差ボケで早く起きてしまったのでホテルの回りを散歩する。

仕事が終わってから、ドレスデン・バレエの公演を見に行く。 この公演が行われるゼンパーオーパーは由緒ある劇場で、ワーグナーが指揮者として招かれたり、リヒャルト・シュトラウスの主要な歌劇《サロメ》《エレクトラ》《ばらの騎士》などが初演されたりしている。

ドレスデンにおけるこの手の歴史的な建物の宿命である「1945年の空爆によって破壊され」、その後大金をかけて復旧されたそうである。 ロビーといい、客席といい、日本では絶対真似のできない歴史と優雅さを感じる。

この日の演目は、ジョン・ノイマイヤーの振り付けによる20世紀のバレエ作品、《ダフニスとクロエ》(ラヴェル)、《牧神の午後への前奏曲》(ドビュッシー)、《春の祭典》(ストラヴィンスキー)である。 これらの作品が一度に見れるのである。しかも伴奏は生オケ。

《ダフニスとクロエ》は前半と後半が1900年代前半の海岸の避暑地を思わせるようなちょっとレトロな設定。 鮮やかな海とまぶしい太陽をうまく表現しているステージである。 カミュの「異邦人」とか、ダリ&ブニュエルの映画「アンダルシアの犬」の一場面を思い出す。 中間部にあたるクロエが海賊に捕らわれる場面は原作に忠実な古代ギリシャのようなイメージで、それまでの部分と対照的に原始的。しかもかなりエロい。 夜明けの部分に戻ると、実はこれは夢だった ….. というような構成になっている。

《春の祭典》は、やはりベジャールの振り付け版との比較になってしまうのだが、ベジャールよりもさらにプリミティブな感じがする。 全体的に単調な印象。最後の「いけにえの踊り」は群集がいけにえの少女を賛美して高揚する ….. というイメージと思いきや、延々と続く少女のソロで、最後に疲れ果てて息絶える ….. というような構成が斬新だった。 変拍子が続く部分でトランペットが思いっきり間違えたので、どうなることかと思いきや、無事まとまった。 こういうスリルも生オケならでは(笑)。