「電子音楽イン・ジャパン 1955~1981)」や「電子音楽in JAPAN)」(こちらは前者の増補版で CD もついている)の著者である田中雄二の新刊。究極の電子音楽レコードガイド。前著の充実ぶりを考えれば、この本もいい出来だろうと考え、さっそく購入。
例えば YMO やその周辺のテクノポップ・ムーヴメントはもちろんのこと、冨田勲、ジョン・ケージ、ウェンディ(ウォルター)・カーロス、YES … いちいちアーティスト名を挙げていっても挙げ切れないほどの広い分野をカバーしている。オールカラーでジャケット写真が見られるのもうれしい。
吹奏楽関連の人では、《ディスコ・キッド》の東海林修さんのシンセサイザー・アルバムはもちろん紹介されているのであるが、天野正道さんが所属していた「TPO」というグループのアルバムも紹介されている。そういえば、その昔「うる星やつら」の音楽担当のクレジットで天野さんの名前を見つけた時にはびっくりした覚えがあるなあ。
そういや、天野さんの経歴を見ると「卒業後、豪州に赴き日本人で初めてCMIをマスター …」と書かれているが、これだけだと普通の人には意味不明だろう。「CMI」はフェアライト社が作ったシンセサイザーで、今で言うサンプラーの走りのようなもの。坂本龍一さんなども1980年代前半に使っていた。天野さんはフェアライト社があるシドニーへ行って、その使い方をマスターしたということなのである。
(後日付記:シンセサイザー奏者としても著名な藤掛廣幸さんの作品も載っていました。)