日別アーカイブ: 2004 年 4 月 24 日

吹奏楽の楽しみ(イーストマン・ウィンド・アンサンブル)

アクトシティ音楽院主催「音楽アラカルト第1回 吹奏楽の楽しみ イーストマン・ウィンド・アンサンブル」を聞きに行く。近々行なわれるコンサートの予習として、その分野の著名人を迎えて講義していただくという企画である。講師は織田浩司(オリタ・ノボッタ)さん。5月26日に浜松で行なわれるイーストマン・ウィンド・アンサンブルの演奏会についての講義のはず … と思ったのだが …

私怒ってます。無料の講演会だからといって適当なことを話してもいいというわけではないが、はっきり言って有料だったら「金返せ」の内容である。話す内容にしても講義全体の段取りにしても「準備不足」という感が否めない。要するに、時間を工面して話を聞きに来ている人たちに対する誠意がまるで感じられないのである。

多めに見積もっても吹奏楽あるいはイーストマン・ウィンド・アンサンブルについての話は20%くらいだっただろう。それ以外は米米クラブとか有名ミュージシャンとの仕事とか氏の音楽経歴などの話である。それはそれで意味のある話だとは思うが、少なくとも上記のようなお題目に興味をひかれて集まった人たちに向けて話すべき内容ではない。

また氏は「イーストマンは凄い」とおっしゃる。イーストマンの実演あるいは録音に接したことがある人なら誰でも「すごい」ということはできるだろう。しかし、講義を聞きに来ている、ひょっとしてイーストマンの演奏を聞いたことがない人たちは「イーストマンの何がどう凄いのか」を説明してもらえることを期待して来ているのではないか。そういう人たちに「すごい。すごい。」を連発しても、それは何も言っていないに等しいことなのではないか。

一応(本当に「一応」)演奏曲目については一通り説明があったのだが、これも勉強不足であろう。招聘元であるソニー音楽芸術振興会のホームページに書かれている以上のことは言っていない。ちなみに浜松公演のプログラムはこちら。

  • J.S.バッハ作曲(ハンスバーガー編)/トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
  • ロバート・ラッセル・ベネット作曲/組曲「古いアメリカ舞曲」
  • フィリップ・スパーク作曲/ダンス・ムーブメント
  • バーンスタイン作曲(ベンクリシュート編)/交響曲第1番「エレミア」より「冒涜」
  • モーテン・ラウリゼン作曲(レイノルズ編)/オ・マグナム・ミステリウム
  • エリック・イウェイゼン作曲/トランペット協奏曲「Danzante」
  • スーザ生誕150周年を記念して〜スーザ組曲

例えばバーンスタインの《エレミア》については「聞いたことがない」といい、《ウェストサイド物語》《キャンディード》《ファンファーレ、フーガとリフス》に言及する(端的に言ってしまえば「お茶を濁す」)にとどめるのはおかしいのではないか。今回のプログラムの中でも、他分野である合唱からの編曲であるラウリゼンの作品や本邦初演となるイウェイゼンのトランペット協奏曲については「聞いたことがない」という言い訳も通用すると思う。

しかし、《エレミア》はバーンスタインの純音楽分野における代表的作品である。管弦楽版であればいつでも入手できる状態にあるはずだし、今回取り上げられるベンクリシュトの吹奏楽編曲は国内盤のCDが出たこともある。つまり、ちょっと努力すれば簡単に音を聞ける状態にある作品なのである。そういう作品を紹介することを期待されている立場にありながら「聞いたことがない」という一言で片付けてしまうのは怠慢だろう。

今回の講義を聴きに来た方々はご年配の方が多かった。こういう方々はおそらく吹奏楽経験はなく、純粋に聞く立場に立った吹奏楽の愛好者あるいは愛好者になろうとしている方々であると思う。そういう方々が、織田氏の講義内容の底の浅さをもって、吹奏楽の底が浅い(つまり吹奏楽には語るべきことがない)と誤解してしまわないかということがとても心配である。それで私は憤っている。

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Mojo Hand [Collectables]

ジャケットのインパクトも強烈なブルースの名盤とされているアルバム。パーソネルによるとドラムとベースをしたがえたホプキンスがアコースティック・ギター(曲によってはピアノ)を弾きながら歌っているようだ。

1960年の録音ということだが、もっと前の時代にタイムスリップしたかのような泥臭いブルースである。

月に撃つ (紙ジャケット仕様)

ソフト・マシーンのメンバーだったケヴィン・エアーズの2枚目のソロ・アルバム。このたび4枚が紙ジャケ復刻されたので、とりあえず一枚買ってみることにした。

吹奏楽つながりということでは、《波濤にかかる虹》(私はより原題に近い《太陽は波涛に虹を描く》という訳題の方が好きなのだが)などで知られるイギリスの作曲家デヴィッド・ベッドフォードが参加しているのである。

ピンク・フロイドあたりにも通じるサイケデリックな雰囲気を強く感じるのであるが、一方でダウナーでチープな雰囲気も感じる。