スラップ・ハッピー

Acnalbasac Noom

こちらで紹介しているスラップ・ハッピーの「スラップ・ハッピー(邦題:カサブランカ・ムーン)」のオリジナルがこちら。新しくリマスタリングされて再発売された。「アクザルバナック・ヌーム(Acnalbasac Noom)」はこの邦題であり、スラップ・ハッピーの代表曲でもある「カサブランカ・ムーン(Casablanca Moon)」を逆に綴ったものである。

この「アクザルバナック・ヌーム」は 1973 年に録音されながら独ポリドールから発売を拒否された。そこで翌年に再録音されて英ヴァージンからリリースされたのが「スラップ・ハッピー(カサブランカ・ムーン)」である。「アクザルバナック・ヌーム」が正式にリリースされたのは 1980 年。スラップ・ハッピーはとっくに解散していた。

このアルバム自体には発売を拒否されるような要素はまったくない。メンバーがこのレコーディングに参加しているファウストの以前のアルバムのはちゃめちゃさに対する不安(同じようなわけわからんものを作られちゃかなわん)がポリドール首脳部の頭をよぎったのだろうか。スラップ・ハッピーはよく「アヴァンギャルド・ポップ」と称されるが、そんなに恐れおののくような音楽をやっているわけではなく、極めてわかりやすくポップである。

こういうパターンでは「売れ線を狙って再録音されたもの」と「メンバーがもともと意図していた音が入っているオリジナル」のどちらがよいのか?ということになるのだが、私としては音がソリッドにまとまっているオリジナルが好きである。

それにしてもダグマー・クラウゼの歌声のコケティッシュなことよ。

 

ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005など(+坂本龍一)

ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2005

ここ数年は CCCD だとか、選曲がよくないとか、演奏がよくないとか、ブチブチ言いながらも、とりあえず毎年ニュー・サウンズ・イン・ブラスは買っていた。この「2005」はここ数年の中では、かなりヒットなのではないかと思う。ちなみに CCCD は無事回避。だからコピーで済ませていた人は買ってあげましょう。

(CCCD の廃止は、ある意味「良識あるユーザーの勝利」と言えるのではないかと。で、良識があるなら「聞きたいなら金出して買え」というのが基本的なスタンスだと思うのです。)

選曲については、《Mr.インクレディブル》や《ハウルの動く城》のような最新のものから、《アメリカン・グラフィティXV(じゅうご!)》や《ディスコ・パーティーIII》のような少し懐かしめの洋楽、超スタンダードナンバーの《チャタヌガ・チュー・チュー》、お年寄りにも喜ばれそうな《時代劇絵巻》とバラエティに富んでいる。

また編曲は原曲を彷彿させるものが多く聞いていて違和感が少ない。私はこういうポップス・レパートリーは「主題をこういう風に処理してみました」「何かちょっと違ってていいでしょ」という編曲よりは、原曲と違和感が少ないストレートな編曲がいいと思っているので歓迎できる。

演奏は … やっぱり「うまい吹奏楽のポップス」という域を出ない。たまには別のバンド/指揮者を使った方が新鮮味が出るのでは?

うちのバンドはさっそく《時代劇絵巻》をやることになりました。

*****

ベターデイズ・レーベルの紙ジャケリリースから坂本龍一関係を5枚。

「千のナイフ」は坂本龍一の初ソロ・アルバム。初めて聞いたのは25年くらい前か。YMOが爆発的な人気を博していたときにソロ・アルバムにも手を出してみようと思って買った覚えがある。シンセサイザーを駆使しているのだが、当時の最先端のテクノ・ポップとは違い、不思議とシンセサイザー臭くないサウンドである。タイトル曲を初めとしてアジア色が強い。ちなみに教授が着ているジャケットはアルマーニ、スタイリストは高橋幸宏。ライナーノートには林光もコメントを寄せている。

「フェイヴァリット・ヴィジョンズ」はベスト盤。オリジナル発売は1983年というからYMO散開の年である。これは貸しレコード店で借りたような気がする。上記の「千のナイフ」や渡辺香津美とのコラボレーションである「KYLYN」からのピックアップは当然として、高橋悠治の「新ウィーン楽派ピアノ作品集」から連弾作品であるシェーンベルクの《四手のための六つの小品》、フリージャズ奏者の井上敬三の「インティメイト」からの作品もピックアップされているのが変わっている。

「KYLYN」「KYLYN LIVE」はYMO第1回ワールドツアーにも参加している渡辺香津美とのコラボレーション。「LIVE」の方はアッコちゃん(矢野顕子)の《在広東少年》も聞ける。

「サラセンの夢」はダンスリーのアルバム。ダンスリー名義である「ジ・エンド・オブ・エイジア」は知っていたのだが、これは聞いたことがなかった。教授の2作品《ぼくのかけら》《ダンス》が収録されている。そういえば「ジ・エンド・オブ・エイジア」の方は紙ジャケ再リリースはないのかなあ …

 

アウトレットで

前日、会社から帰ろうとしたら自転車がパンクしていた。この自転車(プジョーのシティサイクル)はファッション性を優先させるために耐久性がよくないらしく、前回パンクした時に「今度パンクしたらタイヤごと交換しないと」と言われていた。

そういうわけで、てくてく自転車を押しながら購入したショップへ。

待ち時間の間、近くの CD ショップを物色。以前も購入したショップだが、少し在庫が入れ替わったみたいである。

EPIC 25 1980~1985

EPIC レコード25周年を記念してリリースされたコンピレーションの前半。1980年から1985年のヒット曲が収録されている。《ランナウェイ》(シャネルズ)や《そして僕は途方に暮れる》(大沢誉志幸)が収録されているということで即購入を決めたのであるが、他にも《SOMEDAY》(佐野元春)はもちろん、《すみれ September Love》(一風堂)や《シャイニン・オン君が哀しい》(LOOK)なども入っている。

集められた曲を見てみると、このレーベル特有のかっこよさが見えてくるような気がする。《SACHIKO》(ばんばひろふみ)、《約束》(まだ太っていない渡辺徹)などは意外な気がするが。

《そして僕は途方に暮れる》は当時カップヌードルのCMで使われていた。ポリスの《見つめていたい(Evety Breath You Take)》のパクリだとか言われていた(実際その通りなのだが …)が、やはりよい曲である。

どんなものでも君にかないやしない 岡村靖幸トリビュート

はい。ジャケ買いです。江口寿史さんのイラスト。

フォークル・フェアウェル・コンサート 1968

《帰って来たヨッパライ》や《イムジン河》などで知られるフォーク・クルセイダーズのラストコンサート。すでに「さよならコンサート」が出ていたらしいのだが、これはテープで発掘された正真正銘の「最後の日」のライヴだそうな。

 

3枚で1900円。

リンカンシャーの花束

そろそろ解禁してもいいかな?

9月に行なわれる積志ウィンドアンサンブルの演奏会でグレインジャーの《リンカンシャーの花束》を取り上げることになった。

確か、昨年フレデリック・フェネルが亡くなった時には取り上げることが決定していたように思う。ちょっと時期外れになってしまうが、個人的には追悼という意味合いが強い。

私の《リンカンシャー》のスコアにはフェネルの直筆サインが入っている。「フレデリック・フェネルのコンダクターズ・クリニック」に参加したときにサインしてもらったものである。手持ちのスコアの一冊だけにサインをもらおうと思っていて、やはり「これしかない!」と思ったのが《リンカンシャー》である。

サインをもらった時に「実はまだ指揮したことがないんです。」という話をしたら「難しいけど、きっと楽しいと思うよ。」という言葉をいただいたことを覚えている。

今回もまた団員の皆さんにわがままを聞いていただいて、ほぼグレインジャーの指定通りの編成で《リンカンシャー》を演奏できることになりそうである。残念ながらバスサックスは集められなかったが(某有名楽器メーカーにもないらしい。東京ディズニーランドで吹いているアンサンブルはあるんだけどね)、コントラバスーンも使えることになりそうだ。

団員の皆さんにも言ったのであるが、「ウィンドアンサンブル」を標榜するからには避けては通れない曲だと思っている。この先何回もやる機会はないと思うので一期一会のつもりで悔いのない演奏をしたい。

私が中学生や高校生だった頃には、まだこの曲でコンクールに出てくる団体があった。その時はちっとも面白い曲だと思わなかったのだが、この曲を好きになったのはいつだったんだろう?そういうわけで若い団員がこの曲を「よくわからない変な曲」と言ってもあまり責めることはできない(笑)。まだ、少し時間があるので好きになって欲しいと思う。

つづく(かも?)

WASBE会報

一応、WASBE(世界吹奏楽会議)の会員だったりするので、会報が送られてきたりする。

今回はやはり7月にシンガポールで行なわれる会議の紹介が主なのだが、ニュースとして以下のような小ネタがあった。

  • エドワード・グレグソンが東京佼成ウィンドオーケストラからの委嘱を受けてサクソフォン協奏曲を書いているらしい。
  • アダム・ゴーブがアメリカ空軍バンドからの委嘱を受けて2つの作品を書いているらしい。
  • 《ウェールズの歌》や、リヒャルト・シュトラウスの《万霊節》(「まんりょうぶし」と読んだ人がいたなあ …..)の編曲で知られるアルバート・オリヴァー・デイヴィスが2004年10月16日に84歳で亡くなったらしい。

フィッシュ!

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職場の上司からすすめられた本。タイトルや装丁はかわいいが、れっきとしたビジネス書である。

やる気のない職場を活気あふれる職場に変えるにはどうすればいいのか、ということが寓話の形でかなりわかりやすく説明されている。舞台は魚が飛ぶことで有名なシアトルのパイク・プレイス(http://www.os.rim.or.jp/~housetre/index_144.htm)。メグ・ライアンとトム・ハンクスの映画「めぐり逢えたら」にもちらっと登場する。

同じことを手を変え品を変え説明しているハウトゥー本もあるが(それはそれで有効な手段だとは思う)、この本は4つの秘訣をシンプルに披露しているだけである。ページ数も少ないし1時間くらいで読めてしまうのではないかな。

職場だけでなく、人と人とが関わるコミュニティ(例えば身近な例だと社会人吹奏楽団とか)における雰囲気作りには参考になるのではないかと思う。

 

ハンスバーガー編曲作品集

Carmen Fantasia: The Music of Donald Hunsberger

そういえばハンスバーガーが編曲した《カルメン前奏曲》があったなあ ….. とよく確かめもせずに注文してみたら、これは管弦楽伴奏版だった。吹奏楽編曲版は、その後イーストマン・ウィンド・アンサンブルの日本公演のために作られたらしい。

そういうわけで、これはチャールズ・ゲイヤーとバーバラ・バトラーというトランペット奏者夫妻をソリストにフィーチャーしたハンスバーガーの編曲作品集である。オーケストラはこの夫妻が教鞭を取っているノースウェスタン大学の管弦楽団である。

収録されている作品は、その《カルメン前奏曲》、ブラームスやリストなどのハンガリー舞曲(=ジプシー音楽)で構成された《ジプシーの空の下で(アンダー・ジプシー・スカイズ)》、スティーヴン・フォスターの作品を集めた《スティーヴン・フォスター・セット》である。

さすがに息が合っているトランペット・デュオである。特にピッコロ・トランペットのデュオはあまり聴く機会がないので非常に楽しめた。

ローリング・ストーンズ

うららかな日にうららかな花見。

昨年末、ディスクユニオンでローリング・ストーンズの紙ジャケが再発された。さんざん迷ったあげく、アンディ・ウォーホールがデザインした有名なファスナー付きジャケット「スティッキー・フィンガーズ」と、これもギミック満載のジャケット「女たち」を買った。

半年も経たないうちに今度は2枚追加して再再発。しょうがないので全部買うことにした。

ライヴ盤は出ないのかなあ …「ラヴ・ユー・ライヴ」もジャケットはアンディ・ウォーホールだし、「スティル・ライフ」も結構好きなのだが。

細野晴臣とかスラップ・ハッピーとか

MENTAL SPORTS M

海外のオークションで見つけたので何も考えずに入札しておいたらかなり安価で落札できた。

「MENTAL SPORTS MIXES」というタイトルから、1995年の福岡ユニヴァーシアードのために書かれた音楽を集めた半ば幻のCD「GOOD SPORT」(http://www.tls.org/~maz/ymo/list/hosono/good_sport.html)からのリミックスだと思っていたのだが、実はアンビエントなアルバム「オムニ・サイトシーイング」や「メディスン・コンピレーション」からのリミックスだということ。

カサブランカ・ムーン

スラップ・ハッピーの2枚目のアルバムが紙ジャケでリリースされたので購入。もっとも、最初に制作されたモノは斬新過ぎてドイツのポリドールが発売を拒否、再録音されてヴァージンから発売されたという曰くつきのアルバムである。(最初に制作された方も今月紙ジャケ再発予定)

私がスラップ・ハッピーを好きになるきっかけとなった「Desperate Straights」よりも前のアルバムだし、上記のような事情で売れ線狙いなので、かなり聞きやすい。

スタイルとしては、例えばタンゴやオールディーズなどオーソドックスなものを拝借しているのだが、アレンジはどこかひねくれている。それがもう一回ひねられて表面上は聞きやすい音楽になっている二回ひねり状態。この、ほんの少し居心地の悪い状態がユーモラスである。

エキセントリックになる前のダグマー・クラウゼの伸びやかな歌声も美しい。

Teaching Music Through Performance In Band, Volume 5 – Grades 2-3

Teaching Music Through Performance In Band シリーズもついに第5巻まで来てしまった。タイトルの通り、ユージン・コーポロンを中心とした監修者が「吹奏楽の演奏を通して音楽を教える」ためのメソッド/心得などをいろいろ披露している。(どこかの出版社が邦訳出さないかなあ …..)

圧巻は各巻の半分ほどを費やして紹介されている優れたレパートリー。グレードごとに選ばれていて、それぞれの曲には作曲者の略歴、曲の成り立ち、楽曲分析などが詳しく書かれている。

また、各巻には、そこで紹介されているレパートリーを収録した CD も副教材として用意されている。通常は「Grade 2-3」と「Grade 4-5」の2セットがあるのだが、第5巻についてはまだ「Grade 2-3」しか出ていないようである。先月は馬鹿買いしてしまったので、とりあえず本は買わずにこの CD だけを買ってみた。演奏は例によってコーポロン指揮の北テキサスウィンドシンフォニーが担当している。

まあ、Grade 2-3 なので注目すべき作品は少ないのだが、マイケル・ドアティ、デヴィッド・ギリンガム、デヴィッド・マスランカといった実力派の作曲家たちもちゃんとこの難易度の作品を書いているのである。

浜松西高等学校第29回定期演奏会

基本的に高校の吹奏楽部の演奏会は聞きに行かない主義なのであるが、この演奏会はどうしても聞きに行きたかった。

第1部しか聞かなかったので、とりあえずそのプログラム。

  • 樽屋雅徳/民衆を導く自由の女神
  • デヴィッド・ギリングハム/ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス
  • 伊福部昭(編曲者不明)/シンフォニア・タプカーラより第3楽章
  • フローラン・シュミット/ディオニソスの祭

《タプカーラ》は吹奏楽版も管弦楽版も生で聞いたことはなかったし、《ディオニソスの祭》もなかなか生で聞く機会はない。これはぜひ聞かなければということで。

どの曲も「演奏してみました」という感じ。パート間のバランスとか音楽的に妥当な全体のテンポ設定とか、ほんのちょっと調整するだけでもう少し説得力のある演奏ができると思うのだが。

全体としては中等部(この学校は中高一貫)が演奏した《民衆を導く自由の女神》が人数が少なかった分すっきりして聞こえたように思える。

《タプカーラ》は前半と後半はやはり血が沸き立つのだが、中間部が意外と難しいのかな?ソリストで成り立っているような部分なのでもっと積極的に吹かないと曲が漫然と流れてしまう。最終部でピッコロトランペットに持ち替えたトップの女の子、ブラヴォー。あれがあったおかげで最後が締まった。

《ディオニソスの祭》はノーカットでやっていただけたのがうれしかった。(ひょっとして全曲を生で聞くのは初めてかも)また、サクソルン系の楽器もいろいろ集めてきていたようだ。この曲もサビの部分は何とかなると思うのだが、前奏や中間部のアゴーギクが揺れた中でのアンサンブルが難しい。木管低音はなかなか健闘していた。