バンドクリニック(第一日目)

ここ数年恒例になっている浜松市主催のバンドクリニック。今年も汐澤安彦先生においでいただき、定期演奏会で取り上げる曲をご指導いただく。

今日は第一日目で、私の担当分では《春の猟犬》(アルフレッド・リード)を見ていただいた。

汐澤先生に指導いただいたことを確認するという意味で、一通り見ていただいたあとに私の指揮で通すことにしたのであるが …

はっきり言って、シュトレーゼマン先生にダメ出しをくらった千秋の心境である(笑)。(「誰が千秋やねん」という突っ込みは置いといて …)

もちろん汐澤先生がダメ出しをしたわけではないのだが、同じ演奏者を指揮して、こうも出てくる音が違うのかと思う。

一応、《春の猟犬》の中間部はよくできているというコメントをいただいたのであるが、汐澤先生が細かいフレーズを調整していくと何度も「はっ」とするような瞬間がある。

当たり前ではあるが、その直後に私が振ってもそんな音が出ないのである。

細部にまで自分が思い描くイメージを持つこと、そして、それを正しく演奏者に伝えるバトンテクニックを持つことの必要性をあらためて痛感した。

明日は《リンカンシャーの花束》(グレインジャー)。楽しみでもあり、怖くもあり。さて、どうなることやら。

ぎゃび

ということで「のだめカンタービレ」をとりあえず12巻読了。まあ、期待に違わない面白さだった。

(本編とは関係ないけど、ちょっと帯がずれてしまうとどれが何巻かわからなくて困ってしまったのは私だけ?)

これを読んで音楽をやりたくなる人が増えているというのもわかる気がする。一応、私も指揮者をやっているわけなのだが、さらに高いレベルの音楽の愉しみ(ニュアンス的に「楽しみ」よりもこう書きたい)が伝わってくる。

しかし、もっとも心に突き刺さったのは第5巻で千秋の父がチャイコフスキーの《悲愴》について語るセリフである。この曲に隠されている秘密と謎についてこう言った。

チャイコフスキーは悲しくてもそれを言うことができなかったんだ

音楽の存在意義を一言で言い表している至言である。

以前、こんなことを考えたことがある。例えば、悲しい曲を演奏するときにはきっと自分の人生の中で出会ったいろいろな悲しいことを連想して演奏するのだと思う。それが人に言えないくらい悲しいことであっても、「音楽」という形に昇華されれば憚ることなくそれを表現することができるのである。

朝日のごとく爽やかに

うちの息子はそろそろ規則正しい生活が出来てきていて、だいたい午後10時に寝て朝は6時くらいに起きて「いた」(過去形であることが微妙)。

朝日が上るころに目が覚めるというのが「規則正しい生活」の目安らしいのだが、それは何を意味しているのかというと、日照時間が長く日の出時刻が早いこの時期にはどんどん起床時間が早くなってきていたのである。

最近では5時過ぎくらい、朝刊を配達するバイクの音がする頃に泣き出す。(ちなみにこの時期の浜松の日の出時刻は4時45分頃。)

お乳を飲んで満足して再び眠るのが6時過ぎくらい。親にとっては、このまま起きるか二度寝するか微妙な時間なのであるが、二度寝するとたいてい寝過ごす …

まあ、これからは少しずつ日の出時間は遅くなってくるので辛抱するしかないのかな …

教授とフェネス

Sala Santa Cecilia

夏の坂本龍一ライブの予習第2弾。今回のツアーメンバーでもあるフェネスとのコラボレーションである。

2004年にローマで行われた「romaeuropa festival 2004」でのライブで、1曲19分のみ収録。

特に前半はかなり暴力的な音作りで心地よい。最近聞いたエレクトロニカなCDの中ではいちばん好きかも。

ティン・パン・アレーとそのメンバーたち

先日購入した大瀧詠一の「ナイアガラ・ムーン」でティン・パン・アレーのメンバーたちの演奏にしびれた。

その「ナイアガラ・ムーン」を貸してくれた知人に「ティン・パン・アレー&メンバーズBOX」を薦められた。ティン・パン・アレーの2枚のアルバムに、メンバーである細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫のソロ・アルバムを合わせた11枚組である。

このボックスは、以前ショップの店頭で見たことがあったのだが、ボックスに含まれている以下の4枚はバラで持っていたのでその時は購入しなかった。

限定生産なので、すでに購入は難しくなっているし、「ナイアガラ・ムーン」を気に入ったのであればきっと気に入るらしいし、11枚で15000円というのはけっこうお買い得だし、ということで購入を決め、以前見かけたショップに走った。無事見つけてゲット。

題名のない音楽会21

「題名のない音楽会21」に佐渡裕とシエナ・ウィンド・オーケストラが出演していたので見てみる。

伊奈学園をモデルバンドにして《アルメニアン・ダンス・パートI》を指導していたのだが、「作戦」と称して細かいメリハリを教えていくところが面白かった。やはり自分が持っているイメージの伝え方がうまい。

言葉の端々から佐渡さんの音楽観が垣間見られるのであるが、そういったところからも私はこの人が作る音楽に共感できる。「真剣になってもいいが深刻になってはいけない」は名言。

来週もこの番組にはシエナが出演する。番組のホームページには来週の演奏曲目も紹介されている。「あの曲」で番組を締めるのが誰のアイデアかわからないが、涙が出るくらいうれしいですね。

そうそう。コンクールで指揮をして審査員室に殴りこんだというエピソードはこの本にも書かれています。

僕はいかにして指揮者になったのか

バンドクリニックのCD/DVD

5月に参加したジャパン・バンド・クリニックで注文したCDとDVDが届く。そういえば、ブログでの報告は尻切れトンボになってしまっているなあ …

CD はコンサートを中心に6枚購入。基本的には鑑賞というよりも記録という意味合いが強いので、そんなに聞き返すこともないと思うのであるが、ヴァン=デル=ローストが名古屋芸術大学ウィンドオーケストラを指揮した自作自演コンサートや、普段はなかなか耳にすることが出来ないバレンシア市吹奏楽団のコンサートなどはなかなか貴重である。

DVD は、そのバレンシア市吹奏楽団のコンサートのものだけを購入。アメリカのバンドの開放的な響きとは異なり、しっとりとした感じの芳醇なサウンドがよい。新旧取り混ぜたスペインのレパートリーを中心としたプログラムが楽しめた。

会場のアクトシティ浜松中ホールは室内楽向きなので残響が多く、吹奏楽で吹き過ぎるとたちまち飽和してしまうのであるが、このコンサートでは全くそんなことを感じなかった。無理せずに楽器本来のサウンドを鳴らしているのだろう。

吹奏楽の演奏会というと、うるさくサウンドで聴衆を圧倒しがちなので(だから私は「吹奏楽」=「迫力がある」というステレオタイプな見方は嫌い)、こういう艶やかなサウンドのアンサンブルを聴けるとほっとする。

ラファエル・タレンスの《シカニア》は最近のオリジナルらしいが重厚なサウンドがなかなか面白い。第1部の最後に演奏されたヒメネスの《ルイス・アロンソの結婚》もすばらしかった。

… あ、そうだ。このクリニックの模様は今月号の「バンドジャーナル」で紹介されていますが、「指揮法講座」に参加した私の後ろ頭も載っています(笑)。

新人歓迎会

職場に新入社員が配属になったので歓迎会に行く。

私は今の職場に来て1年半くらいだし、昨年は出席できなかったので初めての出席となる。(去年はドタバタで忘年会にも出られなかったしなあ …)

「新入社員」と「社員」の対決が毎年恒例の出し物となっているそうで、私は Nintendo DS で算数ドリルをやって見事優勝 … したのであるが、景品は私が提供したスモークサーモン(先日ミーティングをしたアメリカ人のシアトル土産)だった … ま、いいか。

二次会くらいになると新入社員君たちもかなり熱く語り出すのであるが、私はそこまでテンションが上がらなかったのでとりあえず傍観。君たち、夢だけではお金は稼げないのだよ(ニヤリ)。

うわさに聞く「のだめカンタービレ」はやはり面白いのだそうだ。読んでみなくては。

イームズ

EAMES FILMS:チャールズ&レイ・イームズの映像世界 [DVD]

最近薦められたDVD。工業デザイナーとしても知られるイームズ夫妻が制作した短編映画が集められている。で、何気なく見始めたのだが …

冒頭に収録されている「パワーズ・オブ・テン」(「10の力」じゃなくて「10のべき乗」という意味ね)は見たことがあった。かれこれ20年以上前にテレビ(確か「11PM」だったような気がするなあ)で見て強烈な印象を受けたことを思い出した。まだ、その時の内容を覚えていたということと、全く予想もしなかったシチュエーションでその映像の正体に出会えたことに驚いている。(貸してくれてありがとう。感謝感謝。)

映像は一辺が 10m の四角形で囲まれている視点から始まる。これは公園で寝ている男性を真上から覗き込んでいるショットである。この四角形の一辺を 100、1000、10000 …. m (つまり10のべき乗)と拡大しながら視点はどんどん遠ざかっていく。公園がシカゴの街になり、アメリカ大陸になり、地球になり、太陽系になり ….. というように。限界まで遠ざかると今度は逆にどんどん対象に近づいていき、視点は体内に入って炭素原子まで行き着く。

ランドフスカが弾く《ゴルトベルク変奏曲》に乗せて、アスファルトを洗う水と洗剤の流れを撮影し続ける「ブラップトップ」も「ぼーっ」と見ているとなかなか面白い。1952年(昭和27年)に製作されたとはちょっと信じ難い斬新な視点。(「ゴジラ」や「七人の侍」より前だ。)

久しぶりに吹奏楽のCDを何枚か

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アルフレッド・リードが作曲したシェークスピアにまつわる吹奏楽作品を集めたCD。《「ハムレット」への音楽》や《オセロ》などの有名どころはもちろん、近作で比較的評価の高い《十二夜》や《アーデンの森のロザリンド》なども収録されている。

例によって、リード自らの指揮なのでテンポ設定には賛成できない。必要以上にテンポが遅いので、縦の線がばらついたり緊張感がなくなったりしている。もっとも、《オセロ》の第5楽章(そう、派手な第4楽章で終わるわけではないのですよ)などのもともとテンポが遅い部分についてはかなり充実した音楽が聞ける。

あと、トランペットのトップの音色がきつく突出しているので、それが全体のサウンドのバランスを崩しているように思える。このあたりはちょっと残念。

ミッドウェスト 2004(神奈川大学吹奏楽部)

昨年のミッドウェスト・クリニックに出演した神奈川大学吹奏楽部の演奏を収録した DVD。

同内容の CD も出ているのでどちらがいいのかはちょっと迷うところだが、ミッドウェスト・クリニックの雰囲気を味わえるという意味で DVD を見てみるのもいいだろう。司会者がいろいろ紹介しているのもわかるし、ミッドウェストのコンサートがいかに音楽に向かない会場で行われているのかもわかる(笑)。ちなみにシカゴのヒルトン・ホテルの宴会場に即席のステージと反響板をあつらえて行われている。

個人的には《三つのジャポニスム》(真島俊夫)を映像で見ることができたのが収穫。

空中都市「マチュピチュ」〜隠された太陽神殿の謎/川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団

近年の若手吹奏楽作曲家の中では比較的気に入っている八木澤教司。リベルテの委嘱作品である「マチュピチュ」は、氏お得意のシンフォニックなコラールに、ちょっと不思議な旋法のメロディなども組み合わされていて面白い。演奏難易度はかなり高そう。

リベルテのシャープな音色も私は好きなので演奏は申し分ない。必要以上に鳴らさないから聞いていて疲れないのかも知れない。

プログラム的にも、最近話題の《ミス・サイゴン》とかドアティの《ストコフスキーの鐘》とかチャイコフスキーの《花のワルツ》とかも収録されていてバランスが取れている。