とりあえず一枚目(HAS)

ほぼ発売日に買ったまま、ほったらかしておいた(何せ時間が取れない)のであるが、 各方面からの絶賛の嵐とプレッシャーに背中を押されて、やっと見ましたとも。

HAS/HAS HUMAN AUDIO SPONGE Live in Barcelona-Tokyo [DVD]

とりあえず1枚目のバルセロナ編を。

3人の並び順の配置やステージ美術などにはニヤリとさせられるが、やっている音楽は決して YMO ではなく、あくまでも HAS (Human Audio Sponge = Sketch Show + Ryuichi Sakamoto) なのだ。

基本はエレクトロニカなのだが、ラップトップをいじっているだけでなく、ちょっとずつ3人のプレーヤーとしての姿が見られるのがミソか。

YMO ナンバーである《Riot in Lagos》へのオーディエンスの反応は意外と冷静。 2枚目の東京編だとこうはいかないだろう。 このあとに名曲《Chronograph》を続けるところが絶妙。

後方のアンビエンス感が控えめではあるが、音は DTS で申し分ない。 画質はあまりよくない。

吉田美奈子ウィズ・ブラス・アンサンブル

ちょっと前に半額で買ったCD。寝る前に聞いてみることにした。

VOICE IN THE WIND (SACDハイブリッド盤)

一応、吉田美奈子のベスト。「一応」というのは、村田陽一のアレンジによる20奏者の管楽アンサンブル(一部ループビート付き)がバックをつとめているため。同じ曲でもほとんど印象が変わっている … らしい。私はあまり吉田美奈子を聞いたことがないのでよくわからない …

この管楽アンサンブルというのは以下のような編成である。

  • フルート x 2(アルト・フルート、ピッコロの持ち替え含む)
  • オーボエ x 1
  • クラリネット x 4(Bb クラリネット x 3 + バス・クラリネット)
  • サクソフォン x 3(アルト、テナー、バリトン各1)
  • トランペット x 3
  • トロンボーン x 3
  • ホルン x 2
  • ユーフォニアム(外囿祥一郎!)
  • テューバ

編成からもわかるようにビッグバンドのように硬質になることなく柔らかい音色である。このあたりはヴォーカルとの相性を考えているのだろうか。伴奏ではあるが、通常の歌バンよりもかなり大きめの音量になっており、ヴォーカルとほとんど対等な立場にある。

ただ、アルバム1枚を聞くにはちょっと音色の変化に乏しい。だんだん全体の印象が同じように聞こえてきてしまう。数曲聞く分にはものすごく面白いのであるが。

オープニングを飾っている《LIBERTY》は1995年にリリースされたアルバムに収録されているらしいが、この曲はその10年以上も前にソニーのミニコンポで流れていたと記憶する。(高校の吹奏楽部の友人がよく部室で歌っていた。)《アメイジング・グレース》のような、いかにもアメリカの古い賛美歌の雰囲気が漂う力強くも美しい曲である。

交響曲とは何か

今年の定期演奏会で某作曲家の某交響曲を指揮することになった。 (確か、来月発売のバンドジャーナル誌でカミングアウトすることになると思うので、公表はもう少しお待ちを …..)

以前の日記にも書いたが、アナリーゼする気が失せるほど汚いスコアなので、自分のために Finale で浄書している。 見た目もすっきりするし、音符を打ち込むながら和音などを耳で確認できるので、これは有効な手段だ。

で、楽譜を打ち込みながら、いったい「『交響曲』って何だろう?」と考えるようになった。 ギャグのような扱われ方をしているが、「作曲者が『交響曲』だと言えば『交響曲』だ」という定義は、ある意味正しいのだと思う。

でも、交響曲を語る上で避けては通れない、あるいは規範にすべきなのは、やはりベートーヴェンが作り上げたソナタ形式の構成感なのではないかと思う。 交響曲と名乗るということは、そのベートーヴェンが作り上げた構成感からの距離の表明なのだと思う。

例えばブラームスのようにベートーヴェンの世界をどう継承していくかという表明、ショスタコーヴィチのようにベートーヴェンの影がギリギリ見えるところまで遠ざかってみるという試み、そういう明確な世界観があるからこそ交響曲と名乗っているのではないか。

今回取り上げる交響曲へのアプローチとして、とりあえず出した結論がこれである。 そういった目で見ても、この交響曲は実に味わい深い。 私も、バンドも、こういった絶対音楽に触れる機会が少なかったので、どんな演奏ができるか、非常に楽しみである。

ミキティと戦メリ

女子フィギュアスケートのショートプログラムを見る。 まあ、上位3人は順当な結果かな。

(結構頻繁に整氷作業が入るのね。私は録画したやつを朝見たのだけれど、生でテレビ観戦した人は大変だったろうなあ …..)

さて、安藤美姫さん(以下ミキティ)ファン&教授ファンである私は、このネタに触れずにはいられない(笑)。

ミキティのショートプログラムで使われているのは、ご存知、坂本龍一さんの《戦場のメリークリスマス》である。 もともとは大島渚監督の同名映画のサウンドトラックとして作られた曲であるが、ここで使われているのはアルバム「1996」に収録されているバージョンで、ピアノ、ヴァイオリン、チェロという編成で演奏されている。

1996

また、「戦メリ」のサウンドトラックアルバムの最後には映画には使われなかった《禁じられた色彩》という曲が入っている。 これは《戦場のメリークリスマス》のオリジナルバージョンにデヴィッド・シルヴィアンのヴォーカルをのせたものである。

ミキティが使っている「1996」バージョンでは、最後のサビでヴァイオリンが《禁じられた色彩》のヴォーカルのフレーズを一瞬なぞる。 いつ聞いても気持ちが高鳴る。 (ちなみに歌詞は「私の愛は禁じられた色彩を帯びる(My love wears forbidden colours)」) この曲に限らず、こういった、メロディがフラッシュバックするというパターンは好きである。

メダルの可能性は厳しくなったが、4回転は成功させて欲しい。

吹奏楽講座(鈴木英史さん)

アクトシティ音楽院主催の吹奏楽講座「効果的な演奏をするための楽曲研究 ~同じ曲を20人と50人編成で演奏した場合~」を聴きに行く。

タイトルの通り、本来50人編成で演奏すべき楽曲を20人で演奏するための工夫を紹介するものである。

対象曲は《アルメニアン・ダンス・パートI》(アルフレッド・リード)と《「ダフニスとクロエ」第2組曲》の「夜明け」の部分、モデルバンドは浜松海の星高校吹奏楽部、講師は鈴木英史さんである。

何度も繰り返し紹介されたテクニックは、低音楽器で和声を作り、その倍音を使って全体を豊かに響かせるというものである。編曲などでは低音楽器ほど構成音を乖離させ、高音になるほど和音を密集させるというセオリーがあるが、それとは逆の発想である。これは興味深い見解であった。

なぜ、低音の構成音を乖離させるのかといえば、低音ほどピッチのずれ(音のうねり)が目立つからである。つまり、低音楽器で和声を作るにはそれなりの演奏技術が必要なのである。一例として、テューバで基音、バリトンサックスとバスクラリネットで5度を作り、その上にユーフォニアムの第3音を重ねるという実例を紹介していたが、これは実力のないバンドがやるとウネウネして何をやっているんだかわからなくなってしまうのではないだろうか。今度、うちのバンドでやってみようかな。

こうやって、まずは和音の支えを作り、その後で旋律のバランスを整えていく、というように音楽を作っていくと、とても20数人の響きではなくなる。もちろん、海の星高校が優れた演奏技術を持っていて、何度も繰り返すたびに自分の役割をちゃんと理解するようになっているからだと思うが。

聴講者にはスコアが渡され、具体的にどのパートの音をどういう風に変えるかという細かい解説がされたのだが、スコアリーディングが不得手な人にはちょっとヘビーな内容だったかも。かなり密度の濃い講座であった。

お留守番

吹奏楽団を出産休暇&育児休暇していた妻の復帰第一戦。夜2時間30分ほど息子と二人っきりで過ごす。

本当は息子を練習に連れて行って、妻は演奏、私は子守り(「冷やかし」とも言う)、と考えていたのだが、息子は今週ずっと風邪気味なので大事を取って自宅静養することにした。

昼間は昨年の定期演奏会のライブCD作り。(遅くなって申し訳ありませんでした(_0_))一度に40枚も作るのはなかなか大変である。CD-R 作りとジャケットのプリントアウトを並行して行なう。

本番はなかなかいい手応えだった演奏も、時間を置いて冷静に聞いてみるとまだまだ改善の余地がたくさんある。そういったところをクリアしていくことで理想の演奏に近付けなければ。

甘い夢はこれでできている

ネタがないので、最近ヘビーローテーションのCDを。

ユーリズミックスのCDがリマスタリングされてドカッと再発売された。昨年末頃から8枚のオリジナルアルバムが入ったボックスセットが輸入盤で出ていたのだが、聞いたことがあるのはこの「スウィート・ドリームズ」と「タッチ」だけだったので、国内盤が分売されるまで待っていたのである。

(しかし、国内盤とはいうものの、デジパック仕様の輸入盤にパッケージと日本語解説とプレゼント応募券をつけたもの。輸入盤だったらもう少し安く買えたかも。)

このアルバムはリアルタイムで貸しレコード屋(死語)で借りて聴いた。何といってもタイトル曲のキャッチーさである。決して売れ線狙いの曲ではないのだが、歌詞、プロモーションビデオ、ヴォーカル、サウンドプロダクション全てがクールで、唯一無二の存在感を放っている。
意外にもアニー・レノックスのヴォーカルとクールなシンセサウンドの相性がいいのである。

ドラムサウンドといい、シンセベースといい、シンセストリングスといい、いかにも80年代というサウンドであるが、今聞いても古さを感じさせない。「時代の音」ではあるが、曲そのものは時代に寄りかかってはいないのだ。

スイート・ドリームス~スペシャル・エディション

ノートブック

クラフトワークのオフィシャルホームページから「ノートブック」なるボックスが到着した。

昨年リリースされた2枚組のライヴCD「Minimum-Maximum」に、同じく2枚組のDVDとノートブックPCを模した写真集がボックスに入っているものである。さらにオフィシャルホームページから購入するとマウスパッドが特典でついてくる。

PAL 版は昨年中にリリースされたらしいのだが、NTSC 版は生産が遅れていたようで、注文してから2ヶ月ほどかかってやっと届いた。

MDKsh0040VMWsh0041

海遊館(京都・大阪編その2)

大阪での二日目。「海遊館」へ。

正直、そんなに期待していなかったのであるが、世界最大級と言われる「太平洋水槽」のバカでかさと、その中で繰り広げられるパノラマには感動してしまった。

最大長34mという奥行きがあると、見える情景がかなり違う。遠くぼんやりした海の底の方からぼんやりとした魚の陰が見え、それが近づいてくるにつれてだんだんはっきり見えてくるという三次元的な見え方はかなり新鮮な視点であった。

息子も時々疲れて集中力がなくなることがあったが、目の前を大きな魚やアザラシなどが横切るとかなりびっくりしていたようだ。何か新鮮な刺激を受けてくれているといいのだが。