音楽」カテゴリーアーカイブ

テクノフィーバー

2月末からYMO関連の怒涛のリリースが始まる。2月はとりあえず周辺の作品群なのだが …

3月はメンバーの代表的なソロアルバムの紙ジャケ化がある。幻の「ディスアポイントメント・ハテルマ」(坂本龍一)、YMO 結成のきっかけとなったセッションが収録された「はらいそ」(細野晴臣)、YMO 絶頂期に制作された名盤「音楽殺人」(高橋幸宏)など。

4月は坂本龍一のコロンビア時代のソロアルバムの紙ジャケ化がある。初ソロアルバム「千のナイフ」や、渡辺香津美と組んでいた頃の「KYLYN」「KYLYN LIVE」など。(あれ半年前にコンプリート出したばっかりじゃん …)

YMO 全盛期(1980年かな?)に NHK-FM の「サウンド・オブ・ポップス」という番組が1週間(5日間)YMO の特集を組んだ。司会は糸井重里。初日と最終日が YMO の話で、火曜日から木曜日は各メンバーにスポットを当てるという構成だった。(全部カセットテープに録音したんだけど確か消しちゃったんだよなあ …..)

その中で YMO の周辺作品ということで紹介された曲の多くが、この「イエローマジック歌謡曲」に収録されている。《ユー・メイ・ドリーム》(シーナ&ザ・ロケッツ)とか《アイドル・エラ》(サンディー)とか《CARNAVAL》(大貫妙子)とか。
他の曲もベースラインやアレンジなんかを聞くと YMO の作品に似ていたりしてニヤリ。

当時も好きだったのだが、ラジの《ラジオと二人》という曲が妙に気に入っている。哀愁のあるメロディと歌詞がいかにも「歌謡曲」という感じがする。最近こういう「歌謡曲」っぽい曲って少なくなりましたね。

文献ではたびたび名前が挙がるテクノアイドル歌謡の傑作(といわれている)《ハートブレイク太陽族》(スターボー)は初めて聞いたが、眩暈がした(笑)。

姉妹品の「テクノマジック歌謡曲」は YMO のメンバーが直接絡んでいない歌謡曲のコンピレーションということだったのでとりあえず保留している。「電子音楽・イン・ジャパン」の著者でもある田中雄二さんのライナーノートを読んでみたい気もする。

3枚組55曲で4200円というのはかなりがんばった価格設定である。

 

クラウド・ナイン

望月京さんの《クラウド・ナイン》が本年度の尾高賞を受賞した。

昨年の「ミュージック・トゥモロー 2004」で NHK 交響楽団の委嘱作品として初演された作品。今年の「ミュージック・トゥモロー」でも聞けることになるわけだ。

タケミツ・メモリアル・ホールでの演奏を想定しており、客席にも演奏者を配置した立体的な音響を指向した作品。生で聞けばさぞ面白いと思う。

それまでに BS デジタルのアンテナを立てる(この間買ったテレビにチューナーはついているのだがアンテナがないのでまだ見れない)ので、ぜひサラウンドで放送してくれないかなあ …

 

吹奏楽・電子音楽・坂本龍一・などなど

出張。例によってTOWER新宿店へ。

Journey

グレインジャーの《リンカンシャーの花束》が入っていたので。近年の録音では珍しく第3楽章はバージョンA(ソプラノサックスではなくフリューゲルホルンがソロを吹くバージョン)だった。

マルティヌーの管楽合奏とチェロのための《コンチェルティーノ》は久しぶりに聞いたらなかなか面白かった。

Phantasticke Spirites

表題作はドナルド・グランサムの作品で、このCDの演奏が世界初演。他にもスティーヴン・シュミットの《スピン》、ラン・ゲイラーの《サマラ》も世界初演。他にもグランサムの《ケンタッキー・ハーモニー》(これは《サザン・ハーモニー》の続編のようなもの?)、ティケリの《アメリカン・エレジー》、ウィテカーの《オクトバー》など近年の注目作が多く収録されている。演奏は今一なのだが …

Dances with winds(Royal Northan College of Music Wind Orchestra)

RNCM ウィンドオーケストラのおそらく最新盤。舞曲を題材にした吹奏楽作品を幅広く集めている。近作ではともにイギリスの作曲家であるケネス・ヘスケスの《ダンスリーズ》、アダム・ゴーブの《イディッシュ・ダンス》(この作品だけ「初録音」と銘打たれているのがちょっと違和感あるが …)、他にはギリシャの作曲家ニコス・スカルコッタスの《9つのギリシャ舞曲》とアメリカの作曲家ジョン・コリリアーノの《ガゼボ・ダンス》が収録されている。

スカルコッタスのギリシャ舞曲はもともと管弦楽のために書かれた36曲の中から作曲者自身がギリシャの軍楽隊のために編曲したものなのであるが、これこそ全曲録音されるのは初めてなんじゃないのかなあ?ちなみに管弦楽版全曲は BIS から出ている模様。これも聞いてみたい。

French Ballet Music of the 1920’s

1920年代にフランスの作曲家の合作で作られた2つのバレエ音楽《ジャンヌの扇》と《エッフェル塔の花嫁花婿》が収録されている。

前者はラヴェル、フェルー、イベール、ロラン=マニュエル、ドゥラノワ、ルーセル、ミヨー、プーランク、オーリック、フローラン・シュミットの10人、後者はいわゆる「六人組」のオーリック、ミヨー、プーランク、タイユフェール、オネゲルの5人(デュレは「六人組」を脱退していたため参加しなかった)による合作である。

雲井雅人によるシューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」あふれる歌へのオマージュ

シューベルトの歌曲である《冬の旅》を、アルトサクソフォンとピアノと歌&ナレーションに編曲したものが収録されている。ピアノと編曲は伊藤康英さん、ナレーションのテキストはリンボウ先生こと林望さん、舞台演出は松本重孝さん。

康英さんとリンボウ先生のコラボレーションは歌曲《あんこまパン》に始まり、数々の歌曲や交響詩《時の逝く》なども生み出しているし、松本重孝さんは康英さん初のオペラ《ミスター・シンデレラ》の演出も手がけている。そういった多方面の人脈がここに結集したという感じか。ぜひ舞台で見てみたいものだ。

貴志康一 バレエ音楽「天の岩戸」

28才で夭折した作曲家・貴志康一の60分にもおよぶ大作、バレエ音楽《天の岩戸》の世界初演(2004年9月)を収めたCD。作曲されたのは1932年から1935年の間というから、およそ70年の間眠っていたわけだ。

貴志康一の名前は以前から知っていた。戦前にベルリンに留学して、25歳でベルリン・フィルの演奏で自作を指揮したらしい。どんな音楽を書いていたんだろう?

葵の上|湯浅譲二

OMEGA POINT からリリースされた湯浅譲二の電子音楽作品集。http://www.web-cri.com/ でいろいろ批評されていたので聞いてみたくなった。

Microphone

デヴィッド・チュードアが制作した電子音楽の古典的作品。TOWERによると今回なくなったら入荷未定とのことなのでとりあえず確保。ちなみにチュードアはジョン・ケージの《4分33秒》の初演者(笑)である。

Moog

シンセサイザーの生みの親であるロバート・モーグ博士のドキュメンタリー映画「MOOG」のサントラ盤。1枚目の方のメンツは STEREOLAB くらいしか知らないのだが、MOOG の旗の下に集まってきた人たちなのだから、きっと面白いのだろう。「CLASSIC TRACKS」と題されたボーナス・ディスクでは ELP とか、DEVO とか YES とかが並んでいる。

Replay Debussy

ドビュッシーの《牧神の午後への前奏曲》を材料にしたリミックスのコンピレーション・アルバム。CCCD だったのだが涙を呑んで購入した。

坂本龍一やピエール・アンリなども参加。

物語のようにふるさとは遠い

まだ芸大大学院在学中だった教授(作曲・編曲)と、現代詩人である富岡多恵子(唄・作詞)のコラボレーションの初CD化。バックを務めているのは吉田健とか斉藤伸雄(って斉藤ノブ?)とか茂木由多加といった実力派。

 

Astor Piazzolla 10 CD-Set [Box Set]

得体が知れないブツだが、ピアソラのCDが10枚で1460円だったので思わず買ってしまった。クラシックの演奏家が演奏するピアソラとか、ムード音楽みたいなバッハとか、変に別のジャンルに持って行かれてソフィスティケイトされた音楽はあまり好きではない。とりあえずはオリジナルに当たらないと。

WHO IS AFRAID OF 20TH CENTURY MUSIC? (Complete Edition + Bonus CD)

指揮者インゴ・メッツマッハーがハンブルク国立フィルと組んで毎年大晦日のジルベスターで行っていた「20世紀音楽は怖くない」が、全部まとめて、ぐっと安くなって、ボーナス・ディスクもついて再発売された。

ボーナス・ディスクはメッツマッハーのインタビューと、コンサートでの演奏前の曲目紹介などが収録されている。当然どちらもドイツ語である。曲目紹介のあとに拍手があって曲が始まるのだが、ほとんどがフェードアウトしてしまう ….. というかなり微妙なボーナスである。パッケージからはボーナス・ディスクの内容がわからないので、半分ギャンブルのつもりで買ったのであるが、すでに持っている人は注意すべし。
まだ1枚も持っていない人は、過去のCDは入手しにくくなっているし、値段もかなり安くなっているのでチャンスかなと。

 

ミュージック・トゥモロー2004

金曜に録画しておいた「N響演奏会 ミュージック・トゥモロー2004」を見る。毎年、尾高賞受賞作品を披露するのにあわせて現代作品のみで構成された演奏会である。

とりあえずは、お目当ての望月京さんの《クラウド・ナイン》を見てみる。N響が望月さんへ委嘱した作品の世界初演。「クラウド・ナイン」というのはバックミンスター・フラーという建築家が提唱した球形の空間浮遊都市だとか。もっともスラングで「天にも昇る心地」という意味もあるらしいので、ウェブで検索すると精力増進剤などがよくヒットする。私が真っ先に思いついたのはジョージ・ハリソンのアルバム・タイトルだったのだが …

この作品はタケミツ・メモリアル・ホールでの演奏を前提にしたということで、ステージ上に小編成の管弦楽がおり、その他さまざまな楽器がステージを取り囲むように配置されている。ホールで聞けばさぞ面白かったのだろう。

長さはおよそ20分ほど。多少冗長に思える部分もあるのだがユニゾンを中心とする音色の作り方が面白い。特に冒頭のヴァイオリンのユニゾンが徐々に全体に波及していくあたりや、エンディングのかなり延々と同一音が点描的に演奏されるあたりが面白かった。

浜松交響楽団演奏会など

浜松交響楽団の定期演奏会を聞きに行く。

前日の早起きがたたって、午後2時30分開演なのに起きたのは午後1時30分(^_^;)。何とかギリギリのタイミングでたどり着くことができた。プログラムは以下の通り。

  • J.S.バッハ(シェーンベルク編)/前奏曲とフーガ 変ホ長調 BWV552
  • パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 op.6
  • ブラームス/交響曲第1番 ハ短調 op.68

吹奏楽的ネタについて触れておくと、オープニングのバッハは通称「聖アン」、田村文生さんが《バッハナール》なるタイトルで吹奏楽編成のために編曲している。このシェーンベルクの編曲は管楽器が活躍する硬質なオーケストレーションが特徴的である。アンサンブルが難しいからか、かなり慎重というか小さくまとまってしまった演奏だった。最後の和音にたどりついてやっと一安心という感じ。

ブラームスは演奏者の熱気が伝わってくる好演だった。アマオケ事情はよく知らないのであるが、きっと演奏者の誰もが演奏したことのあるレパートリーだと思われるし、演奏していてきっと楽しいのだと思う。

*****

ジョージ・ハリソンのボックス「Dark Horse Years」を買う。ジョージ自身が立ち上げたレーベル「ダーク・ホース」からリリースされたアルバム6タイトル(7枚)と、特典DVDがセットになったボックスである。2枚組CD「Live In Japan」は、おそらくビートルズ関係初のSACDでのリリースとなる。

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  • 日本盤:CCCDの分売のみ。ボックスの発売はなし。
  • US盤:非CCCD。レーベルはキャピトル。DVDはオールリージョンのNTSC。日本語字幕つき?日本への入荷量が極端に少ないらしい。日本語版解説が付くの付かないのという話の顛末は 2ch の「ビートルズ・オールディーズ」板に詳しい。
  • EU盤:CCCD。
  • UK盤:非CCCD。レーベルはダークホース。DVDはPAL。

ということで、いろいろ迷ったあげくにUK盤を買うことにした。私の環境だとDVDのフォーマットは問題にならないし、出遅れた今となってはUK盤がおそらくもっとも早く入手できるのだろう。(もちろんCCCDは論外)

「ジョージ好きだったっけ?」という妻の突っ込みもあったが、少なくともポールよりは好きな気がする(笑)。

このレーベルからの第1弾である「33&1/3」は、LPレコードの1分間の回転数と当時のジョージの年齢をひっかけたもの。中学生くらいの時に近所のレコード屋で新品が1000円で叩き売られていたのを買った。当時の私はビートルズ(正確に言うとジョン・レノンとその周辺)を聞き始めた頃で、例えばジョンの「マザー」とかに比べるとえらくあっさりしたアルバムという印象があった。まあ、当時はテクノポップ全盛期だったし、Up-to-date な音楽は過激な音作りをしていたように思えるから、ジョージのようなアコースティック主体の音楽はかなり風通しのいい音楽に聞こえたのだろう。

時代はめぐって、最近はアコースティックな音楽が割とメインストリームであるし、このアルバムもリマスターされていたりして、とてもみずみずしく感じる。この手の音楽を聞いてほっとするのは、やはり年をとったせい?

 

楽譜乱れ買い

期末ということで、ヤマハミュージック浜松店では輸入楽譜の半額セールをやっていた。メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》と、ヒンデミットの《画家マチス》を買う。

《世の終わりのための四重奏曲》はヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという編成による四重奏曲。第二次大戦中にメシアンが囚われていた収 容所の中で作曲・初演された作品である。この作品がこのような編成になっているのは、メシアン(ピアノ)が収容所で出会った演奏家が演奏する楽器だったからだそうである。ピーター・ゼルキン(ピアノ)やリチャード・ストルツマン(クラリネット)らが結成した「アンサンブル・タッシ」はこの作品の編成と同じ メンバー構成で、もちろんこの作品の録音も残している(が、私はまだ聴いたことがない)。また、武満徹はこのアンサンブル・タッシのために「カトレーン」 という作品を書いている。

この《世の終わりのための四重奏曲》はタイトルから想像されるほど悲観的な音楽ではない。むしろ宗教的な救済を希求しているような穏やかな曲調であ る。例えば《トゥランガリラ交響曲》のような色彩感があるわけではないので「感覚的に」とても長く感じるのであるが、それを除けばそれほど難解な音楽ではないと思う。(まあ、私も耳だけでは長さを克服できないのでスコアを買ったわけなのですが …..)「鳥の声」とか「移調の限られた旋法」とか「不可逆リズム(でしたっけ?)」などメシアンを語る上での重要な語法がかなりわかりやすい形で提 示されている。

《画家マチス》も聞いただけではよく分からなかったのでスコアを買ってみたしだい。

あわせて、クイーンの紙ジャケ第2弾の6枚と、LOVE PSYCHEDELICO の新譜「III」と、坂本龍一の新譜「chasm」を。

聞く人に伝えるための技術

久しぶりに堀越昭宏さんのホームページを訪れたら、かなり様変わりしていてびっくり。この方はキーボーディストなのだが、実は私のトランペットの大先輩である。シンプルに「かっこいい音楽とは何か?」という考え方について、私は堀越さんから多くのものを教わったと思っている。

常々考えていることであるが、私は「吹奏楽に携わっている」という以前に「音楽に携わっていたい」と思っている。だから、吹奏楽という狭い世界でのみ通用する「どこかの国のマスゲームのようなポップスの振り付け」だとか「誰も聞いたことがなさそうな管弦楽曲を演奏してしまう」という行為に違和感を感じているのである。堀越さんの日記を読んでいて目から鱗が落ちた。プロのみならずアマチュアでも、聴衆の前で演奏するからには絶対に考えておかなければならないことなのではないだろうか。

もちろん音楽なんだから、エモーションが全てに優先することは言うまでもないが、

聞く人に伝えるための技術というのは絶対に存在するし、必要なのだ。