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小澤ロシアン・ナイト

昨夜、何気なく録画しておいた小澤征爾/ベルリン・フィルによる1993年のヴァルトビューネを見る。(スカイ・A sports+ってクラシックも放送しているのね。)ベルリン・フィル恒例の夏の野外コンサートである。ちなみに以下のような形でDVDでも発売されている。

ヴァルトビューネ1993 ロシアン・ナイト

プログラムはこんな感じ。(あれ?amazon からのコピペだが放送されたものと微妙に順番が違うような …)

1. 序曲「ロシアの復活祭」(リムスキー=コルサコフ)
2. バレエ組曲「くるみ割り人形」(チャイコフスキー)
3. 祝典序曲「1812年」(チャイコフスキー)
4. 「弦楽セレナード」~ワルツ(チャイコフスキー)
5. 歌劇「イーゴリ公」~ダッタン人の踊り(ボロディン)
6. バレエ音楽「火の鳥」~カスチュイ王の狂暴な踊り(ストラヴィンスキー)
7. バレエ音楽「火の鳥」~子守歌(ストラヴィンスキー)
8. バレエ音楽「火の鳥」~終曲(ストラヴィンスキー)
9. バレエ音楽「ガイーヌ」~剣の舞(ハチャトゥリャン)
10. ラデツキー行進曲(J.シュトラウス1世)
11. ベルリンの風(リンケ)

メイン・プログラムは全てロシアの作曲家によるもの。小澤とロシアものの相性はどうなのだろう?と思って見ていたが、派手に盛り上がる盛り上がる。派手に終わる曲が多いのでなおさらなのだと思うが、ピクニック・コンサートらしく大らかに鳴らしている。お客さんのノリもよい。流し見してすぐに消そうかと思っていたが、何回も見たくなりそうなので取っておくことにする。

しかし、小澤若いなあ。

今日の積志ウィンドアンサンブル(吹奏楽トップコンサート)

第6回浜松市民文化フェスティバル 吹奏楽トップコンサート

2008年9月28日(日)アクトシティ浜松大ホール

  1. 浜松市中学校選抜吹奏楽団
  2. 浜松市立高等学校
  3. 浜松市立南部中学校
  4. 浜松市立高台中学校
  5. 石川県中学校選抜吹奏楽団
  6. 浜松市立篠原小学校
  7. 浜松日体中学校・高等学校
  8. 浜松市立与進中学校
  9. 積志ウインドアンサンブル
  10. 浜松海の星高等学校

うちのバンドが「トップコンサート」と銘打つ演奏会に出演するのもおこがましいのであるが、「出たい」と言って手を挙げたのであるし、実行委員会の推薦もいただいたので、やはり、それに恥じない演奏をしなければいけないのである。

  • チャールズ・カーター/ラプソディック・エピソード
  • モートン・グールド/アメリカン・サリュート
  • E.E.バーグレイ/行進曲「国民の象徴」

(確か斎藤秀雄さんが言っておられたと記憶しているが)アマチュア演奏の存在意義は「熱意」なのである。アマチュアの拙い演奏に対して時間とお金を差し出してくれる聴衆に応えることができるもの、プロフェッショナルにも決して引けを取らないものは「熱意」以外にないのではないかと思っている。そういった意味で聴衆を満足させる演奏ができたのか、同時に自分自身が満足する演奏ができたのか、できなかったのならそれがどうすればできるのか、をよく考えて欲しい。

他団体をゆっくり聞くことができなかったのだが、東海吹奏楽コンクールで銀賞を受賞したという与進中学校の《科戸の鵲巣》(中橋愛生)、トロンボーンソロをフィーチャーしたNHKテレビドラマ「瞳」のテーマ(中川英二郎)は素晴らしかった。

余談:今年もバンドジャーナル誌の自由曲集計記事を書かせていただくことになったのでデータを鋭意まとめているところなのであるが、《科戸の鵲巣》の爆発的人気はすごい。

矢野顕子リサイタル2008

アクトシティ浜松中ホールで行われた矢野顕子リサイタル2008を聞きに行く。

セットリスト(ロビーに張り出されたヤツそのままなので正式曲名と違う可能性あり)

  1. CHILDREN IN THE SUMMER
  2. 夏が終わる
  3. あたしンち
  4. わたしたち
  5. ふりむけばかえる
  6. ちいさい秋みつけた
  7. ごきげんわにさん
  8. My Love
  9. Evacuation Plan
  10. 変わるし
  11. Farmer’s Trust
  12. 椅子
  13. GREENFIELDS
  14. Rose Garden

アンコール

  1. Green Tea Farm
  2. ひとつだけ

アッコちゃんの活動全般を聞いているわけではない(し、最近のやつもちゃんと聞いていない)ので、知らない曲ばかりだったらどうしよう、と心配していたのだが、そもそもがそんなに有名どころばかりではなかったのかな?

オープニングの《CHILDREN IN THE SUMMER》(アルバム「LOVE IS HERE」所収)はこの季節にぴったり。かなり好きな曲なので「つかみでやられた」という感じ。それからピアノソロでの《小さい秋みつけた》を聞くのは初めてかも知れない。例によって、ほとんど原型をとどめておらず完全にアッコちゃんの世界。MCで「中田喜直先生(オリジナルの作曲者)が私の演奏を聞いてひどく怒っていたという話を聞いていたのだが、数日前にそれが嘘だということがわかったので、その記念に。」と言っていた。

《Evacuation Plan》《変わるし》は10月に発売されるニューアルバム「akiko」からの新曲。(通常CDに英語で歌ったCDと特典DVDがついた初回限定盤があるのだそうだ。買わねば。)

新曲は、今までのピアノソロの作風とは違って、かなりビートを利かせた伴奏にのっかるスタイル。ジャズピアニストである上原ひろみとのコラボレーションからの影響なのかな、と思ったりもする。MCで「昨日は一緒にご飯を食べた」と言っていたし。アンコールの《Green Tea Farm》は、その上原ひろみの曲。オリジナルに歌詞はないと思うので、アッコちゃんが独自に歌詞をつけて歌っているのかな?

ラストは《ひとつだけ》。言うことないですね。超をいくつつけても足りないくらいの名曲。しかもアッコちゃんじゃないと様にならない。

記念に(なぜか)yanokamiのタオルを買ってしまったのでした。

積志ウィンドアンサンブル第27回定期演奏会

積志ウィンドアンサンブル第27回定期演奏会

第1部

  • フィリップ・スパーク/バンドワゴン
  • ヤン・ヴァン=デル=ロースト/プスタ
  • ジェームズ・バーンズ/詩的間奏曲
  • フランク・ティケリ/ヴェスヴィアス

第2部

  • ピーター・メニン/カンツォーナ
  • フェリックス・メンデルスゾーン/管楽合奏のための序曲作品24
  • ハワード・ハンソン/ディエス・ナタリス

アンコール

  • 吉俣良(後藤洋)/NHK大河ドラマ「篤姫」メインテーマ
  • バリー・グレイ(森田一浩)/サンダーバード

生涯でいちばん大変だった演奏会かも知れないなあ …..

まず、選曲の時点でわれわれの実力に対してかなりハードルの高いプログラムになることは明確に自覚していた。それは、ここ数年何となく(少なくとも私は)感じていた停滞感に対する一つの回答だったのである。

その停滞感を打破するために(たぶん私以上に)努力してくれた演奏者たちがいた。 そんな人たちの手によってわずかではあるが殻は破れ、そこから新しい光が差し込むことを感じることができた演奏会であった。

しかし、殻の外が見えている人は全てではない。 全ての殻が破れるまで、もう数年は必要かも知れない。 それがクリアされたころには、おそらく別のバンドになることができているだろう。


本当は「2~3回通せば仕上がる」つもりでいた、バーンズの《詩的間奏曲》をまとめる難しさが今回最大の誤算であったが、ソリストたちもあれだけ吹 ければ上出来だし、合奏ではなかなか感じられなかった一体感(そう、今年のテーマは「oneness」ですよ)がいちばん感じられた演奏だったし、司会を 担当していただいた方からも「いちばんよかった」というコメントをいただいた。

《プスタ》の第2楽章は直前に副指揮者くんと打ち合わせたことを踏まえて、練習とはぜんぜん違う振り方をしてしまった(のは気付かれていた?)のだ が、意図通りの音楽(つまり合奏の成果ではなく、その指揮の成果)が出てわりと満足。細かいミスがあったが全体的な流れはあれでいいでしょう。

《ヴェスヴィアス》の変拍子のリズム感はアルトサックスが最初に演奏するテーマで決まり、そのテンポ感は序奏のテンポがいかに安定するかで決まる。 序奏はティンパニやマリンバの8分音符のパルスを大きめに出すことで安定したし、アルトサックスのソロもその後の音楽の原型としては申し分のない安定性 だった。結果、だれることなく全曲が流れたのはかなりうまくいった証拠なのではないかな。「ノリ」がよくなったせいで音が暴れて少々荒くなったきらいはあ るが、まあ曲の持つ雰囲気から考えれば問題ない。

《カンツォーナ》は、フレージングの課題が克服できなかったのがちょっと残念。 まあ、この曲を「聞かせる」のはものすごく大変。 こういう希少な曲を演奏できただけでもありがたいと思わないと。

メンデルスゾーンの《序曲》は、やはり他の吹奏楽曲と違い、雰囲気を作るのが難しい。汐澤先生のレッスンでかなりいいところまでいったので、(私も含めて)安心してしまったのか、ちょっと詰めが甘かったかも。 ここまでハードな曲である必要はないが、古典的な曲を取り上げるのも新鮮な発見があるのでこれからも続けたい。

《ディエス・ナタリス》も、練習回数が多かっただけに(しかも体力的にきついために)ちょっとモチベーションのピークが過ぎてしまっていたのか、「ある程度」のところで留まってしまった感のある演奏。そういう意味でも難しいのかも。

プロムナードコンサート

毎年恒例のプロムナードコンサート。 ずっと浜松駅前で行われているのであるが、昨年からは政令指定都市への移行で旧浜北市の遠州鉄道「浜北駅」前でも開催されている。 私の所属する積志ウィンドアンサンブルは昨年から、この浜北駅前でのコンサートに出演している。

  • ビリク/ブロックM
  • ちびまる子ちゃんメドレー(Winds Score 版)
  • NHK大河ドラマ「篤姫」メインテーマ(バンドジャーナル付録版)
  • ムーンライトセレナーデ(ソニックアーツ版)
  • ジャパニーズグラフィティーV
  • アフリカン・シンフォニー
  • What a Wonderful World(Winds Score 版)
  • サンダーバード

ステージは浜北駅前広場の片隅に設置されていた。 背面と上手側に建物があるような位置である。 指揮者の位置で聞いていると、普段は聞こえにくいホルン(下手側ひな壇)や中低音(上手側)がかなりクリアにバランスよく聞こえていたのだが、客席で聞いていた人によるとクラリネットやトランペットなどがかなり消されてしまっていたということだった。 まあ、初めての場所は難しい。

手馴れた曲、イメージがつかみやすい曲が多かったので、演奏には概ね満足。 ただ、こういうポップス系の曲が続く中で「篤姫」のようなしっとりした曲をいかに聞かせるかが課題である。 (これは今度の定期演奏会のプログラムの流れでも言えることなのであるが …)

コンサートの日程が妻の仕事と重なってしまって子守ができないので、おばあちゃんに来てもらって息子の面倒を見てもらった。 ふだん何かにつけて叱っているお父さんお母さんと違って、おばあちゃんは絶対に怒らないので息子もかなり甘え放題である。 (戦略に長けているのか、本やジュースやアイスクリームもしっかりゲットしていた …)

ちなみに息子の感想は「ちびまる子ちゃん、うるさかった。」 (そういうお前が演奏中に「あ、電車!」と叫んだのをお父さんは聞いていたぞ)

あいのてさん(ノイバウテン/大滝詠一/ザ・バンド/ラヴェル/教授)

「ままのて音楽会~ママさんがおくる手作り音楽会~」を見に行く。

浜松市内の、いわゆる「ママさん吹奏楽団」であるアザレア・ママズ・アンサンブルと、あいのてさんたちの共演である。

第1部はアザレアのメンバーによるアンサンブル、第2部があいのてさんによるステージ、最後にアザレアのメンバーとあいのてさんによる共演、という構成。

あいのてさんステージは、NHK 教育で放送されていた(そういえば放送終了からもう一年だ …..)「あいのて」のテーマから始まり、《イシ・テクノ》《ピンポン・マリンバ》《アラビアン・ストロー・ナイト》《カラダ・ディスコ》など番組で 使われた曲、それから各メンバーのソロによる即興などが演奏された。

息子は多少体調が悪かったので、途中から集中力が切れてしまっていたが、まあ一応最後まで人様の迷惑にならずに聞き通すことができた。

CD付 音楽ってどうやるの ミュージシャンが作った音楽の教科書

終演後、各メンバーによるグッズ販売。 野村誠さん(赤のあいのてさん)と片岡祐介さん(黄色のあいのてさん、ちなみに浜松在住)が書いた「音楽ってどうやるの」という本を買った。 今回のコンサート前にメンバーのブログを見ていてところ、発売されたばかりだということだったので、ぜひ欲しかったのである。 お二人にサイン(とセルフ・ポートレート)を書いていただく。

簡単かつそれっぽく音楽のスタイルを取り入れた即興演奏をやる具体的な方法が書かれている。 「なんちゃって雅楽」「なんちゃってアイリッシュ」「なんちゃって伊福部昭」「なんちゃってシェーンベルク」「インスタント・メシアン」とか。

最近、いろいろな音楽に対して閉塞感を感じていて、野村誠さんのアプローチに興味を持っている。 楽譜がなくても、楽譜が読めなくても、音楽はできるのである。 こういった集団即興も音楽の根源的な「ある部分」を具現化しているのだと思う。

そこに楽譜(=一緒に音楽をやる他者との厳密な約束ごと)という要素が入ってきた時に、音楽はどう変わるべきなのだろうか?というのは演奏者としてきちんと考えてみたい。

というわけで、今日買ったもの。

コラプス

アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン(未だにこのグループ名、覚えられないなあ …..)のファーストアルバムが紙ジャケ化されたので。 たぶん50%くらいは気に入るんじゃないかなあ、と思って買ったらだいたいそんな感じ。絶叫系のヴォーカルは好きじゃないんだけど、インダストリアルなビートは好き、みたいな。

ナイアガラ・カレンダー 30th Anniversary Edition

大滝詠一さんのソロについては完全に後追い(かろうじて「A LONG VACATION」「EACH TIME」がリアルタイム体験)なのだが、30周年記念リリースされた「NIAGARA MOON」にしびれてしまったので、以後追いかけているのである。タワーではすごろくのおまけつき。

Music From Big Pink (Remaster) (紙ジャケ)

ボブ・ディランのバックバンドも務めていたザ・バンドのファーストアルバム。 ちなみにジャケットの絵もディランによるもの。まあ、名盤ということなので。

ラヴェル:ピアノ協奏曲

これもアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲同様、「のだめカンタービレ」第20巻に登場した音楽。 恥ずかしながら CD も持っておらず、今までちゃんと聴いたこともなかったので、この機に買っておこうかと。

買うなら「両手」も「左手」も入っている盤が欲しかったし(ラヴェルのピアノ協奏曲はこの2曲のみ)、録音が古過ぎるという問題があることもわかっていたのだが、まあ名盤と言われるクリュイタンスとフランソワのものを。

意外に「両手」の第2楽章がロマンチックで印象に残る。 (そんなにラヴェルっぽくはないのだが …..)

koko

で、教授の新作。

いい意味で裏切って欲しいなあ。 悪くはないんだけど「お仕事」的な内容。

バンド維新2008その2

で、本番の発表会。

  • 木下牧子/サイバートリップ(中山靖治/静岡県立浜松江之島高等学校)

公開練習を聞けなかったし、あまりスコアも読んでいないのでとりあえず保留。 作曲者が内容的に手加減し過ぎた感もあり。

  • 一柳慧/Poem Rhythmic(小柴秀樹/浜松市立高等学校)

この作品には直接関連しないが、プレトークでは弦楽器が嫌いだったというエドガー・ヴァレーズに言及。 こういう、いかにもウィンドアンサンブル的な書法の作品は聞いていて楽しい。 最近聞いていたヒンデミットの《室内音楽》シリーズを思い出す。 メリハリのある練れている演奏だった。

  • 小六禮次郎/アンゼラスの鐘(對馬隆/浜松市立高台中学校)

前日の公開練習では 6/8 拍子のリズム感を指摘されていた。 これを 6 つ振りにすると縦の線は合うのだが、旋律がちじこまってしまう。 公開練習では試しに 2 つ振りで演奏したときにいい流れになっていたように思うのだが、今日の演奏ではテンポ感に迷いが感じられた。 ちょっと停滞しすぎ。

それから、これも公開練習で指摘されたように、何度か登場する piu mosso の部分に変化をつければ全体の構成にメリハリがついたように思うのだが、これも不十分だった。

難易度もそんなに高くないし、音楽の掘り下げ方をじっくり考えられるという意味でよいレパートリーになるのではないだろうか?

  • 三枝成彰/序曲《機動戦士ガンダム・逆襲のシャア》(山縣敦男/静岡県立二俣高等学校)

国塩さん、ガンダムについて語り過ぎ(笑)。 曲は、まあ、どうでもいいという感じ。 内容的にも編成的にも無理矢理感ありあり。

  • 丸山和範/Cubic Dance(野?豊/浜松市立南部中学校)

結局、ブロックコードを演奏した場合のバランスが改善されなかったのかなあ。 どうしてもテンションが含まれている和音は通常の協和音よりも響かないわけで、全般的にサウンドがもこもこしてしまった。 トランペットのソロは安定していてよかった(制服を見ると高校生のエキストラっぽかったけど、卒業生かな?)。

  • 服部克久/星への誘い -Invitation to the stars-(宮津宗之/浜松市立与進中学校)

これも作品的にはどうでもいい。ホルンがほとんど主旋律を受け持っているが、うまかった。

  • 西村朗/秘儀? -管楽合奏のための- (土屋史人/浜松海の星高等学校)

演奏といい作品といい、今回の演奏会企画の最大の成果ではないだろうか。 こういう高度な合奏力を要求される作品は、時間対効果が要求される、すなわち、より少ない練習時間でより大きな演奏効果を求めることになるプロフェッショナルな奏者ではなかなか取り上げにくいレパートリーなのでは?

前日の公開練習でも当日の演奏会本番でも安定した演奏が見られたということは、相当の練習を積んでいると思う。 その結果、このような熱演が生まれたということはアマチュアイズムの勝利なのでは。 「日本有数のバンド …..」というところで場内から失笑が漏れていたが、全国大会で金賞を取っているような指導者と演奏者でも(その是非はともかくとして)これだけの演奏ができるとは思えない。

来月、「響宴」を聞きにいこうとしているあなた(笑)は、この演奏を聴くべきだった。

  • 北爪道夫/並びゆく友(徳増誠/浜松市立江南中学校)

ここは前日の公開練習よりもリラックスした感じでよかったと思う。 エキストラを入れている団体も多かったのだが、ここは中学生のみでほっとするサウンドだった。

北爪さんがおっしゃっていたように「本来なら西村さんの作品が最後に置かれるべきなのだが、そうすると僕の作品を置く場所がなくなってしまうので、アンコールのような形で、お客さんにほっとしてもらう」という目論見は成功したと言えよう。

*****

まあ、中学生が演奏するには明らかに力不足な部分はあったが、そういうのはこれからリリースされる CD を聞けばいいのだ。

バンド維新2008~

こういう(響宴と違って(笑))全く採算が取れないであろうイベントには、やはり「お上」の力と太っ腹な企業が必要なのだと思う。 そういった意味で浜松市の企画力と実行力、全作品の楽譜を出版するのみならず、この演奏会のためにフルスコア集まで作成した東京ハッスルコピーの自虐的な使命感には脱帽するしかない。

毎年やってくれとは言わないが、せめて来年もう一回くらいやりませんか? で、藤家渓子さんと望月京さんに(使いまわしでもいいから)吹奏楽曲を書いてもらって下さい。

バンド維新2008その1

今日はバンド維新の初日。 レクチャーコンサートと公開練習である。

ある程度覚悟はしていたが、8団体が公開練習するということで13:00開演で終演予定時間は18:10とのこと。夕方からの合奏の準備もあるし、残念ながら途中で退席することになってしまった。

なので、聞いたのは以下の5団体。

  • 北爪道夫/並びゆく友(浜松市立江南中学校)
  • 丸山和範/Cubic Dance(浜松市立南部中学校)
  • 服部克久/星への誘い Invitation to the stars(浜松市立与進中学校)
  • 小六禮次郎/アンゼラスの鐘(浜松市立高台中学校)
  • 西村朗/秘儀I 〜管楽合奏のための〜(浜松海の星高等学校)

この中では、バンド維新の趣旨に沿った目的意識で書かれたのは北爪作品と丸山作品だけなのかな、という感じ。

北爪作品は数年前の課題曲である《祈りの旅》を思わせる作風。 楽譜としてはすっきりしているのだが、肝は3拍子と4拍子(3拍4連)が同時進行するところか。指揮者はやはり3拍子の拍子感をなるべく感じさせないように振っていたが、全ての拍でそれをやると合わせるべき1拍目が合わなくなってしまうのではないかなあ。

丸山作品は分数コードを多用した、ビッグバンドのサウンドにも通じる作品。 こういうところを作曲者によるピアノで解説してもらえるのがレクチャーコンサートの面白いところ。

西村作品は全く演奏者に妥協せず自らの語法を貫いている。 「中学生や高校生が演奏する」という前提がある場にこういう複雑な(情け容赦ない)楽譜を書く作曲者もすごいが、それを見事に音にしてしまう浜松海の星高等学校もすごい。 久しぶりに吹奏楽を聞いて鳥肌が立った。 舞台裏から「ブラヴォー」の声が出たが、全くその通りだと思う。 演奏を褒めつつも冷静にアドヴァイスを行い、演奏を修正している西村さんは非常に真摯だなあと思った。また、指揮者からの「ヘテロフォニーとは何か?」という質問に対して、かなりわかりやすく回答されていた。

服部作品、小六作品は過去の自作からの転用。 手持ちのストックを小編成のためにアレンジしてみましたという感じ。 小六禮次郎さんが来られなかったため、《アンゼラスの鐘》は北爪さんと三枝さんがコメントしていたのだが、他人の作品だからこそ好き勝手に言えるのか、面白かった。 三枝さんは、この作品がギリシャの映画監督であるテオ・アンゲロプロスの映画でかかっているようなイメージだと言っていた。なるほどね。

しかし、スコアを販売(それも学生が買えるくらい超リーズナブルな価格で!)して、それを見ながらレクチャーを聞けるという環境はすばらしいと思う。

ハンブルク日記(その2)

飛行機の中であまり寝られなかったので、ホテルでは意外とぐっすり寝ることができた。 6:30 起床。

シャワーを浴びて、本社からのメールをチェックした後、朝食へ。 しかし、このホテルの朝食はうまい。 戦略としては、チーズ、ハム、サラミのコールドプレート、オムレツ、ハッシュポテト、ベーコン(もちろん超クリスピー)などのホットプレート(って言うのか?)、パン、フルーツプレートという感じである。

*****

で …..

仕事が終わった後、NDR (北ドイツ放送交響楽団)の演奏会を聞きに行く。

hamburg2

開演の1時間前から売れ残っているチケットを会場窓口で売っている。 カードが使えないということなので、今後の現金を心配して、いわゆるA席クラス(S席の次)の席を買う。34 ユーロ。 下手側のバルコニー席の前から2列目。指揮者からステージの上手側(低音側ですな)しか見えない。 ううん、ちょっと残念。S席クラスは 41 ユーロだったのでそっちを買えばよかったか。 (まあ、また来る機会はあるでしょう。) でも、この席に座ったおかげでアジア系のかわいい女の子とお話ができたのでよかったといえばよかった(笑)。

  • アントニン・ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
  • バッハの無伴奏チェロ組曲のどれか(アンコール)
  • ドミトリ・ショスタコーヴィチ/交響曲第5番

チェロのアリサ・ワイラースタインはロシアの若手チェリスト。 ウェブで検索したところ、豪快な演奏をするという評判が多かったが、このコンチェルトはとても柔和な感じがした。

ショスタコーヴィチ。金管も木管も弦も鳴らしまくる。 ホールはオペラハウス型なのだが、かなり小さい。キャパは1000人足らずだろう。 ステージも天井は高いのだが、幅はかなり狭い。ステージからの音でホール全体が響くような感じである。 いわゆる「オーケストラ」から想像される音色よりはかなり硬質である。

そういや、バルシャイがショスタコーヴィチの交響曲全集を録音したのは NDR だったっけ?と思ったら、WDR(ケルンにある西ドイツ放送交響楽団)だった。まあ、硬質な音色という意味では似たような雰囲気である。

全体的にはソロが走り気味で伴奏と縦の線が揃わなくなることがあるが、決めるべきところは決まるのでそれでいいのだろう。 (そういや、昔ヴィオラ弾きの友人が「吹奏楽は縦の線を合わせることに固執しすぎていないか?」と言っていたなあ …..)

午後8時開演で終演は午後10時過ぎ。日本ではあまり考えられない時間帯である。 来るときは仕事先からそのままタクシーで来たので、帰りは地下鉄で帰ろうと思ったのだが、駅がどこにあるのかよくわからない。かなり雨が降ってきたので迷 うのも嫌だなあと思って人の波について行こうとしたのだが、けっこう人の波は分散していろいろな方向に帰って行っている。(そりゃ、地下鉄で来る人ばかり とは限らないものなあ。)運よく、歩きかけた方向に駅を発見できたのでよかったよかった。 帰りの地下鉄ではヴァイオリンやチェロを持っていた人を見かけたのだが、ひょっとして演奏者が終演後すぐにそのままコートを羽織って帰っているのだろう か?

ホテルに着いたのは午後10時半過ぎ。本社へのレポートを書いていたりしたらすっかり遅くなってしまった。 さすがにこの時間からヘビーな夕食を取る気にはならなかったので、夕食はパス。

わりと吹奏楽な一日

朝からせっせと「BCL8」の曲目解説書き。 締め切りまでの時間配分の読みを誤っていて、三連休中はせっせと書いている。

朝一で「ハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル 2005」の DVD が届く。 

狭山で行われたフェスティヴァル。ほとんど細野さん目当てである。 どこかのブログで見かけたのだが、発売されたことすら知らなかったし(確か BS デジタルでは放送されたはず)、扱っているお店も限られているみたいだし、枚数も限られているみたいだし、押さえておきました。

午後、定期演奏会用の楽譜がいくつか届く。 なるべく早く音出しをしたかったので「入荷待ちの分は別発送になってもいいから、今ある分だけを早く発送してくれ」とリクエストしていたのだが、別々の梱包で一緒に届きましたとさ …..

早く譜読みをしたかったのだが、原稿はまだ終わっていないし、外出しなければいけないし …..

ということで、浜松工業高校吹奏楽部の定期演奏会へ。

所属する吹奏楽団の団長から招待券を譲ってもらったとか、マイミクである NAPP さんこと中橋愛生さんが客演で自作の《科戸の鵲巣》を振るとか、マイミクであるナハナハさん(from 沖縄)とご一緒するとか、いろいろなイベントをまとめて解決させていただいた。さすがに育児とか原稿とかがあったので第1部で退席させていただいたのだが ….. 4部構成の演奏会の第1部だけで1時間って ….. 終演は何時だったんだろう …..

出てくるサウンドはほとんど完成されているが、何か腰の座らない演奏である。 最近よく考えている「ビート感」が不安定なような気がする。 それまで流れている拍節から、次に出てくる拍節のタイミングや強さが予測できない。 演奏者のアインザッツが微妙にずれているのはそのせいのような気がするし、曲の重心に向かう/離れるエネルギーが感じられないのである。

NAPP さんの指揮、および《科戸の鵲巣》の生演奏は初めて。 意外に指揮が大きいが、曲想には合っているのかも。 やはり、この作品は鳴るようで鳴らなかったり、ごちゃごちゃしているようですっきりしていたりと、(あまり聞き込んでいないせいかも知れないが)毎回不思議な印象が残る作品である。

フサの《プラハのための音楽1968》が今年の自由曲かな?

帰ってきて、夕飯を食べて、何とか原稿は脱稿。 予想外に早く片付いてよかった。 (毎回添削してくれる妻に感謝)