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吹奏楽作曲家についての本

Composers on Composing for Band

マーク・キャンプハウスによる吹奏楽作曲家についての本。音楽学者である谷口昭弘さんのホームページ「音と音楽を考えるページ」で紹介されていた。その内容が面白そうだったので注文してみた。

キャンプハウス本人も含む11人の吹奏楽作曲家に対して同じ質問をし、その結果をまとめた本である。その11人とは、

  • ジェームズ・バーンズ
  • ティモシー・ブロージェ
  • マーク・キャンプハウス
  • デヴィッド・ギリングハム
  • デヴィッド・ホルジンガー
  • カレル・フサ
  • ティモシー・マー
  • W.フランシス・マクベス
  • ロバート・シェルドン
  • ジャック・スタンプ
  • フランク・ティケリ

である。また、質問については、

  • 創作のプロセス
  • オーケストレーションへのアプローチ
  • バンド指導者が研究すべき10の作品(もちろん吹奏楽作品だけではない)
  • 作曲者と委嘱団体との関係について
  • 吹奏楽の未来について

など、かなり具体的に参考になると思われる質問が設定されている。

今日届いたもの(本)

封印作品の謎

円谷プロ作品「怪奇大作戦」に関するホームページを見ていて見つけた本。面白そうだったので注文してみた。

ちょっとした特撮マニアなら、例えば「ウルトラセブン」の第12話「遊星より愛をこめて」や「怪奇大作戦」の第24話「狂鬼人間」が欠番扱いになっていて、一般的には見ることのできない作品になっていることは知っている。この本ではそういった作品がなぜ欠番になってしまったのかということを細かく検証している。

ちょっと前に読んだ「放送禁止歌」という本でも感じたことであるが、表層的な部分だけをとらえてマスコミを批判する糾弾者と、それを深く考えることなく「臭いものに蓋」式に「自主規制」してしまうマスコミという構図は、実は無自覚的に表現者を抑圧しているのではないかと思う。

(例えば注意深く読んでみると、上記のウルトラセブン第12話が欠番となる発端となった抗議がいかに論理的に捻じ曲がったものであるかわかる。)

その日に買ったもの(CD・DVD)

ビートルズ アメリカ盤のすべて

探していた本。別の書店でやっと見つけた。近々 CAPITOL BOX がリリースされるのに合わせた発売だろう。いろいろなところで触れられていると思うが、ビートルズのアメリカ編集盤が公式にリリースされるのはやっぱり大事件なのである。

今でこそビートルズのアルバムはイギリス発売盤に統一されているが、その昔は(特に日本では)各国盤が入り乱れての混乱状態であった。おそらくイギ リスではイギリス盤のみが、アメリカではアメリカ盤のみが、オランダではオランダ盤のみが、(以下続く)売られていると思うのだが、日本では日本盤はもち ろん、イギリス盤もアメリカ盤もオランダ盤も「国内盤」として売られていたのである。

私は赤盤・青盤からビートルズに入った非リアルタイム世代なので、その次にどのようなアルバムを買うべきか非常に迷った。赤盤・青盤にはご丁寧にカ ラーで各アルバムのカタログが載っていたのである。いろいろな資料を検討した結果、イギリス盤を揃えようと決めたのは賢明な選択だったのだろう。確か「ア ビー・ロード」を買って、その次に「リボルバー」を買ったように記憶している。

あまり食指が動かなかったのであるが、そろそろなくなりつつあるのでキープ。

その日に買ったもの(本)

とある本を探しに書店へ行ったところ見つからず。癪だったので全然別の本を買ってしまった。

ストレンジ・デイズ12月号増刊 アーティスト&ディスク・ファイル・シリーズ Vol.5『カンタベリー・ミュージック』

最近お気に入りのカンタベリー・ミュージックを特集した本。このシリーズは過去にも『イエス』や『キング・クリムゾン』や『クイーン』などが出ているが、対象アーティストとその周辺を俯瞰した文章と、カラーページを豊富に使ったアルバム紹介でなかなか読み応えがある。

ということで、このシリーズを読むとさらに興味対象が広がってしまうところがいいところというか罠というか …..

シベリア鎮魂歌 香月泰男の世界

久しぶりに見かけた立花隆さんの新刊。香月泰男さんについてはこの本を手にするまで名前も知らなかったのであるが、シベリアでの抑留体験に基づいた 57点にも及ぶ絵画「シベリア・シリーズ」を残した画家だそうである。この本には小さいながら全ての図版が載っているのであるが、黒を主体としたプリミ ティブな造形からは確かに抑圧された怒りや悲しみのようなものを感じる。

前書きでこの「シベリア・シリーズ」がいかに鮮烈なものであるかを立花隆さんが熱く語っているので、否が応でも先に読み進む意欲が湧く。

また、立花さんは「実物を見なければ、この『シベリア・シリーズ』を体験したことにはならない。」と繰り返し書かれている。幸い、11月から静岡県立美術館でシリーズ全点を含む特別展が開催されているらしい。ぜひ見に行かなければ。

(全点を所蔵している山口県立美術館では展示面積の関係で一度に全てを展示することができないらしく、こういう機会でないとこのシリーズを全点鑑賞することは不可能なのだそうだ。)

江口寿史さんのイラスト集

素顔~美少女のいる風景~ 江口寿史イラスト集

江口寿史さんの最新イラスト集。

このイラスト集の面白いところは、イラストのもとになっているスナップ写真が別冊としてついているところである。つまり、モデルの女の子を江口寿史さんがいかに「加工」したのかがわかるようになっている。実物そっくりだったり、実物の方がかわいかったり、全然別の顔として描かれていたり …..

江口さんは私にとってサブカルチャーの教師のような人である。私がまだ田舎の中学生だった頃、週刊少年ジャンプに連載されていた江口さんの「すすめ!パイレーツ」が好きだった。漫画とは関係ないところで挿入される当時の最先端のサブカルチャー的なアイテムが本編以上に私を刺激していたように思える。クラフトワークやYMOやトーキング・ヘッズの名前を最初に目にしたのはおそらくこの漫画だったと思う。

それ以降も、気がつけば新刊を買うようにしている。最近は漫画ではなくイラスト集の方が多いけど。

お買い物

久しぶりに雑誌「本の雑誌」を買う。村上春樹さんのロングインタビューが掲載された号を発見したため。最新号ではなくバックナンバーだったので「アフター・ダーク」については言及されていない。

本秀康さんの作品集「ハロー・グッドバイ」。タイトルはもちろんビートルズ・ナンバーから取られている。これも新しく出版されたものだと思ったら、3〜4年前に出たもののようだ。本さんは雑誌「レコード・コレクターズ」で連載されていた「レコスケくん」の作者。最近でもお気に入りのアーティスト(例えばジョージ・ハリソンとか野村よっちゃんが率いていたザ・グッバイとか)が特集されるときには不定期に登場している。アーティストに対する愛や深い見識からのコメントが面白い。

「レコスケくん」の中でレコガールに「おじいちゃんのお葬式でも泣かなかった私がこの曲を聴いて泣いちゃった」と語らせたジェシ・エド・デイヴィス「ウルル」所収の《マイ・キャプテン》。このエピソードは本さんご本人のものらしい。

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定期演奏会の打ち上げで「ドビュッシーやりてえ!」と叫んだような記憶がある。先日、突然ドビュッシーのピアノ曲《夢》の冒頭がかなり明確なイメージをもって意識の中に表れた。せっかくなので吹奏楽編曲してみようと思いピアノ譜を購入。

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NHKスペシャル「アシュケナージ 自由へのコンサート」を見る。

社会主義体制下で思想・表現を統制されていた作曲家や詩人の功績を再評価しようという試み。新しく知った事実はほとんどなかったが、自身がソ連からイギリスへ亡命した経験があるアシュケナージが語るという意味ではリアリティがある。エイゼンシュタインやプロコフィエフがまつわる「イワン雷帝」の話は面白かった。ショスタコーヴィチの《ベルリン陥落》《交響曲第13番「バビ・ヤール」》、プロコフィエフの《イワン雷帝 第1部》、シチェドリンの歌曲などが演奏される。

指揮者としてのアシュケナージはあまり好きではないのだが、今シーズンからデュトワの後を受けてNHK交響楽団の音楽監督となる彼がN響にどのような刺激を与えるのかは楽しみである。

「アフター・ダーク」読了

村上春樹さんの 「アフター・ダーク」 読了。

アフターダーク

描写されている世界観は「ねじまき鳥クロニクル」や「少年カフカ」あたりから顕著になっている「向こう側」と「こちら側」の話。とはいえ、この作品 はまた意図的に作風を変えた作品。完全に三人称で物語が語られている。その「向こう側」と「こちら側」の世界観が上記2作ではかなり具体的なイメージを 持って構築されていたのに対して、この作品では少し純化あるいは抽象化された形で提示されている。この作品を読んで、そういう世界観は実はすでに初期三部 作の完結編である「羊をめぐる冒険」あたりから語られているものであることに気がついた。そういう意味では、あるところまで進んでいった村上作品が、また 向きを変えて少し以前の作品に近づいた(もちろん、それは退行ではない)と思える。

作品としては含みを持たせたエンディング。解決されていないエピソードもあるが、それはあえて放り出しているのだろう。長さ的にも長編というには少しコンパクトであるし、この先にまた大きな作品が控えていそうで楽しみである。

村上春樹さんのお気に入りであるジャズがかかるバー(もちろんCDではなくLPをかけることが重要)や猫の集まる公園が登場するところも、少し今までの小説とは毛色が違うのかな。

ビフォア・アフター・ダーク

新作 「アフター・ダーク」 の発売が間近ということで、にわかに村上春樹さんの周辺が慌しくなっている。氏はなかなかインタビューを受けないことで有名なのであるが、 「PAPER SKY」 という雑誌の最新号(Vol.10)にインタビューが載っているということを聞いたので購入してみることにした。そういえば、ずっと前に買った 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」 はまだ読んでいないんだっけ …

村上作品との出会いは高校2年のときだったと思う。何もすることがない夏休みを過ごしていたら、友人が薦めてくれた。その頃は、まだ「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」くらいしか文庫化されていなかったので、とりあえずその2冊を読んでみた。

当時の印象はそれほどいいものではなかった。どうも、主人公である「僕」の物の見方にホールデン・コールフィールドに近いものを感じて(今になって読み返してみるとまったくそんなことはないのであるが)、何かサリンジャーを意識しているようで素直に入り込めなかったような気がする。

で、大学に入ってこれまた暇を持て余していて、その頃に出版されたのが「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。村上春樹メーリングリストでのやり取りを見ていると、この作品をベストに推す人が多い。私も同感である。村上作品の中ではこの作品がいちばん好きだ。ご存知の方も多いだろうが、この作品は「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という2つの物語が同時進行する。この「世界の終わり」の世界観が、オールドファンが共感する「村上春樹の世界」をもっとも端的に表しているのだと思う。この作品ではまり込んでしまい、その後は新作が出るたびに購入している。

だから「ノルウェイの森」も予約をして発売日に買った(のはちょっと自慢)。この作品も実は最初に読んだときは、それまでの村上作品とは違うリアリズムを指向した文体に違和感を覚えて、さほど感動しなかった覚えがある。今から考えると、この作品は近作である「ねじまき鳥クロニクル」や「少年カフカ」で確立された作風に向かって、確実にハンドルを切った作品なのだと思う。最近の確固たる作風に入ってからの作品では、確かに根底にしっかりとした思想が横たわっていることがわかるのであるが、以前の作品、例えば上記の「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」や短編集「回転木馬のデッドヒート」に見られるような不安定さに共感を覚える私にとっては、少し距離が開いてしまった作家である。まあ、相変わらず好きな作家であることには変わりないのであるが。

作家デビュー25周年を記念して「風の歌を聴け」「ノルウェイの森」の文庫本がオリジナル装丁で再発売されるらしい。このへんの発想は昨今の紙ジャケブームに似ていなくもない。リマスタリングされているとかボーナストラックがついているとかということはないと思うが。

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ついでに購入した 「天使と悪魔」 も到着。「ダビンチ・コード」に先立つダン・ブラウンの日本デビュー作。

しかし、こんな日にアマゾンからの小荷物を受け取ると、はたからは「ハリー・ポッター」の新作を買ったように見られるのかも知れない(笑)。

ダ・ヴィンチ・コード

結局、夏休み中にちゃんと読んだ本はこれだけ。

マトリョーシカ人形のように次から次へと出てきてなかなか収束しない謎解き、どんでん返しの連続、細かい章立てによるスピード感など、全体的にハリウッド映画的な構成が見て取れる。(だからこそロン・ハワードが映画化を決めたのか、もともと映画化を前提に書いたのか?)

いわゆる「トンデモ本」などでよく取り上げられる「死海文書」をめぐる争奪戦と謎解き。表象学や宗教学についての知的エンタテインメントが楽しめる。キリスト教の教義に思い入れがない人ほどニュートラルに楽しめるのではないかと思う。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」にあんなものやこんなものが隠されていたとは全然気付かなかった。前作も読んでみたくなった。

ジョン・レノン写楽

夏休みのど真ん中に東京出張。

最近出張は新宿近辺が多いので、用件前後に新宿のタワーレコードやディスクユニオンを回るのだが今回はCDの収穫なし。東京出張でCDを買わなかったのは初めてではないか(笑)。

その代わりといってはなんだが、今はなき写真雑誌「写楽」の1981年1月号を見つけたのでゲット。こんなに安くていいんだろうかというくらいの価格で購入することができた。

この号では篠山紀信が撮影したジョン&ヨーコの特集が組まれているのだが、1981年1月号ということは1980年12月つまりジョンが射殺された月に発行されているのである。雑誌ではジョンが音楽活動を再開したことは語られているのだが、もちろん射殺されたことには触れられていない。当時小学館に問い合わせてバックナンバーを入手しようとしたが、版元品切れで入手できなかったという懐かしい記憶がある。付録のポスターがついていることが重要。