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10/29の徒然

怒濤の一週間が過ぎてしまった …

来週来られる日本からの訪問者のための下準備をしたり(得てして、こういうのはスムースにいかなかったりするのだ)、想定外の緊急事態に対応したり、今週は本当にあっという間だった。

さて、今日は息子のサッカーの試合。試合日程が重複してしまったために2チームを編成して別々のところで試合をする事態になってしまった。まあ、出場機会が多い(というか交代要員がいない)のはいい経験なのかも知れない。

息子のチームのフォーメーションは 2-1-2 (つまり合計6名)。息子はミッドフィルダーをやっていた。「少しフォワードをやって、少しディフェンダーをやれ。」とも指示されていたらしい。

フォワードの2人はキープ力もあって突破力もある(というか、かなり自分で行きたがる)ので、攻撃時にはなるべくパスをもらいやすいポジションを取れ、と言っておいた。おかげで、たまにクロスが入ったり、囲まれてどうしようもなくなったフォワードからこぼれ球が出てきたりしていた。1本シュートを打ったが、おしくもゴール脇にそれてしまった。

結局2人のフォワードが4点取って4-2で勝利。息子も試合の中でポジショニングを少しずつ調整していて、以前よりはフラストレーションのたまらない試合だった。

ところで、審判は通常は父兄が行うか、試合をしている子供たちの判断で行わせることも多いのだが、今回はかなり本格的な人が笛を吹いた。(あとに控えていた、もう少し年齢層の高い人たちの試合のために呼ばれたのかも知れないが。)

息子に言われると「とても怖かった」らしいのだが、ファールはきっちり笛を吹くとか、スローインの時のファールスローを厳しく取ってやり直させるといった妥協のないレフェリングは、小さい年代の子供たちにとってはいい勉強になるのではないかなあ。

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午後、「トイ・ストーリーのようなDVDを見たい。マイルス・デイヴィスとクセナキスはなし。」という息子のリクエストにより、まったりしながら「レミーのおいしいレストラン」のDVDを見る。息子と妻はすでに(私の単身赴任中に?)見ていたらしいのだが、私は初めて見る。(このDVD買ったの、いつだっけ?)

今年のイースターにパリに行って、それなりに「おいしいレストラン」で食事をしてきたので、その思い出を反芻しながら見るのも楽しい。

前半はかなり面白いのであるが、中盤でちょっと共感しかねるエピソードになってしまったり(やはり反社会的/インモラルなエピソードはよくないんじゃない?)、クライマックスではそれなりに感動はするが、ある意味「安易な」ハッピーエンドになってしまったり、とストーリー展開は(ピクサーの作品としては)ちょっと弱いが、雰囲気は楽しめる。

 

ノルウェイの森

ノルウェイの森 【コンプリート・エディション3枚組】 [Blu-ray]

これも日本出張の際に買い求めたブルーレイ。内容的に「息子と一緒に …」というわけにもいかない映画なので、家族が寝静まってからとか、家族が起きる前とかに断片的に見た。

個人的には概ね「是」である。小説を読んだ自分の中で作られたイメージとは別のイメージを提示してくれたという意味でこの映画を見た意味がある。原作との相違を指摘したり、原作から切り落とされているエピソードを指摘するレビューもあるが、そんなことは映画化されるという時点で不可避なことはわかっているはずだ。また「原作を読んでいなければこの映画のストーリーを理解できない」というレビューもあるが、(仮にそうだとしても)それはそれで仕方がないことであるし、原作を読まずに映画を見た人の頭の中に、原作を読んでから映画を見た人とは違うストーリーが出来上がったとしても、それは映画自体の質とは関係ないのではないか。

そういえば直子を演じる菊地凛子が出演する映画は初めて見たような気がするが、やはり存在感はすごい。原作が「静」の直子と「動」の緑を軸に展開するのに対して、映画は直子の「狂気」と「正気」を軸に展開しているように思える。他の登場人物の言動がどちらかというと平板な演技であるのに対して、直子だけがヴァイタルな感じがする。

ところで私の頭の中ではこの小説の(大部分の)時代背景はすっかり1980年代(この小説が刊行されたのは1987年)のイメージだったのだが、確かにこれは1960年代の話だったんだなあ、と映画を見て再認識した。

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音楽のジョニー・グリーンウッドってレディオヘッドのメンバーだったんだ … この荒涼としたスコアはなかなかよい。時として映画の中のセリフをかき消すほどに弦楽器がかき鳴らされるのだが、こういう音の使い方も面白い。また、1960年代を象徴する音楽として使われているのはカンの「モンスター・ムーヴィー」。

エンディングでビートルズ自身の演奏による《ノルウェイの森》が聞けるとは思わなかった。意外にインパクトは大きいのではないか。

糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏(教授はいない)といった人たちが重要なチョイ役(?)で出演している。

 

2つで十分ですよ(でも5つ買いました)

amazon.com に注文していたブルーレイディスクが到着。

ブレードランナー アルティメット・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

ブレードランナーの「ファイナル・カット」「ワークプリント」「オリジナル劇場公開版」「インターナショナル劇場公開版」「ディレクターズ・カット」の5バージョンに特典映像が入った5枚組。

珍しくアメリカでも日本語字幕が入っているそうだし、安かったし(アメリカからの送料含めて $33 くらいだったから今のレートだと3000円弱)、未だにどのバージョンを個人的な決定版とするか判断に迷っているし、でこのセットを買ってみたわけである。

個人的にいちばん思い入れのある映画かも知れない。さすがに製品版ビデオテープは買わなかったが、レーザーディスク(これは「オリジナル劇場公開版」?)は買ったし、DVD も買ったし、今回のブルーレイディスクも買った。最初の劇場公開版(これは「インターナショナル劇場公開版」?)も見に行ったし、ファイナル・カットの劇場公開も見に行った。

古い映画をブルーレイディスクで見るのは初めての体験である。冒頭の、未来都市を遠巻きに眺めるシーンはなかなかのものなのだけど、今までの解像度の低い画面と比べると特撮部分と背景のマットペインティングの部分の境界がはっきり見えてしまう。まあ、映画を見進めてストーリーに没入していけばだんだん気にならなくなるのだけれど。

そういえば、「ファイナル・カット」を映画館で見た時には、それまであったデッカードのモノローグや後日談として実はレイチェルが死ななかったという説明がなかったことに違和感を感じたのであるが、今回はそんなに気にならなかった。どうやらファイナル・カットを個人的な決定版としてもよさそうだ。

さて、この映画、何といっても素晴らしいのは、ルトガー・ハウアー扮するレプリカント、ロイ・バティが死ぬ際のモノローグである。(ちなみに、それまで仲間の敵としてハリソン・フォード扮するブレードランナー、デッカードを追い詰めていたのであるが、最後の最後にあわや転落死、というデッカードの命を救うのである。)そして、このセリフ。一説によるとルトガー・ハウアーのアドリブなのだそうで。

I’ve seen things you people wouldn’t believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I’ve watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser Gate. All those moments will be lost in time, like tears in rain. Time to die.

俺はお前ら人間が信じられないものを見てきた。オリオン座の近くで燃えた宇宙船や、タイホンザー・ゲートのオーロラ。そういう思い出も … やがて消える … 雨の中の涙のように。その時が来た。

(これもいろいろな人が意見しているが)なぜ「雨の中の涙のように (like tears in rain)」という素晴らしい比喩が、字幕では「雨のように 涙のように」になってしまうのだろう?これはブルーレイでも変わっていなかった。

レプリカントが感情を持つという象徴としての涙、そのような涙も雨という自然現象(ひいては大きな時間の流れという象徴ととらえてもいいだろう)の中にあっては何の意味もなくなってしまうという儚さを言っているのではないか。また、この言葉を吐き出しているロイ・バティも夜明けが近い古アパートの屋上で雨に打たれているのである。

それから、デッカードを助ける直前にロイ・バティは脈絡なく鳩を手にする。ロイ・バティの寿命が尽きると当然この鳩は黎明の空に放たれるわけなのだが、このシーケンスも非常に美しい。

ひさびさのだめ

夜中というか明け方というか、そのへんの微妙な時間に目が覚めてしまい、なかなか寝付けなかったので独りでリビングに下りていってゴソゴソ。今さらながらに劇場版「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」の DVD を見ることにした。

のだめカンタービレ 最終楽章 前編 スペシャル・エディション [DVD]

これは「テレビドラマ(全11回)」→スペシャルドラマ「のだめカンタービレ 新春スペシャル in ヨーロッパ(全2回)」の続編ということでいいのか?そういえば「新春スペシャル」はちゃんと見ていないような気がする。前編は帰省のために予約録画ができずに後で友人に借りてダビング、後編は「前編を見てから …」ということで先送りになっていた。

テレビドラマ版は、全11回枠に収めるためか、原作と違う部分がかなりあって楽しめたのだが、この映画版は良くも悪くも原作通り。もちろん細部は省略があったり、多少の改変があったりするのだろうが(原作は日本に置いてきたので忘却の彼方)、大きな展開はほとんど先読み可能。原作を読んでいる私にとっては、登場する主人公が動いて、実際にパリやウィーンが舞台になっていて、実際に音が出てくる、つまり原作が多少リアルになったというだけの印象である。「メディアとしての映画」としてどうか?と言われると、正直映画館まで足を運ぶ気にはなれない。本質的にはコミック→映画とメディアを変えた意味がないと思う。

というわけで本筋とはあまり関係のない印象を。演技とはいえムジークフェラインザールで実際にオーケストラを振るのは気持ちいいだろうな。それからテレビドラマの頃に比べるとかなり指揮はうまくなっていると思う。3拍子の3拍目、あるいは4拍子の4拍目で、体で右腕を引っ張るようなクセ(つまり「指揮者の筋肉」での右上腕部の引き上げが弱いので体を使って引き上げているのかなあ)がちょっと気になりましたが。

使われている音楽について。エルガーの《NIMROD》(エニグマ変奏曲より)は個人的に涙腺が自動的に緩んでしまう曲なので、ああいう場面で使われるとちょっと弱い。それから、後半でドイツ国歌が弦楽で演奏されているのを耳にした。よくよく調べてみるとこのメロディーはハイドンが作曲した弦楽四重奏曲第77番《皇帝》の第2楽章の冒頭のものらしい。この発見が、このDVDを見てのいちばんの収穫かも知れない。

あ、当然のことながら上野樹里の演技力は素晴らしいと思います。

スターウォーズの洗礼

レゴショップで親子ペアのTシャツを買ってみたり(緊張感のない三等身のストームトルーパーの柄がいい感じです)、LEGOスターウォーズシリーズの販促ビデオを見たりしたので、息子のスターウォーズ熱に火がついたようです。

ということで、エピソード4のダイジェストを見てみることにしました。例によって息子にいちいち解説しながらの視聴ですが。

スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望 リミテッド・エディション [DVD]

実はまだエピソード2とエピソード3は見ていないのですが、このエピソード4が持っている「古き良きSF映画」の雰囲気が大好きです。シンプルな勧善懲悪とかミニチュアを使った特撮とか。CG全盛となった今ではこういった映画は逆に作られなくなってしまうのかなあ?

缶切りとアメリカの友人

今週は2日しか出勤していないわけですが、なんやかやで今週中に処理しなければいけない案件がたまっていました。まあ、とりあえず片は付いたかな、という感じです。

相変わらず日中でも気温は0℃前後。金曜日は社員食堂が閉まっているので、昼食は私の車で出かけたのですが、エンジンをかけたとたんに出勤時の音楽にしていた「相対性理論」がかかってしまいました(笑)。

一週間アパートを空けていたために冷蔵庫の中はほとんど空っぽ。ちょっと気合いを入れて買い出しをしました。健康診断の結果を受けて、意識的に野菜を摂ろうかと思い、ミネストローネの缶詰めを買ってみました。今日の夕食はこれとパスタを作って、あとはワインでも、と考えていました。

最近、日本では缶切りを使わなくても空けることができる缶詰めが増えているようですが、こちらではまだ昔ながらの缶詰めが多いように思います。ということで、初めて缶切りを使うことになりました。これが缶切りです。使い方わかりますか?

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ハンドル部分を開くと、以下のように二つの歯車上のモノの間が開きます。ここに缶のエッジをはさむわけです。

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で、これが閉まった状態。これでハンドルの根本に付いているダイヤル上のものを回してやると缶が開きます。

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何回やっても全然力が入らないので「おかしいなあ?切れていないじゃん。」と思っていたのですが、ちゃんと切れていました。日本の(旧式の?)缶切りのように上蓋を空けるのではなく、エッジを横から切り取るような形になります。ちょっとわかりにくいかも知れませんが、かなり感動的に綺麗に切れます。日本のモノのように手を切る心配もありません。いやあ、素晴らしいです。

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ペンネを茹でようと思ったら、このミネストローネはパスタ入りだったので茹でるのは止め、これと軽いおつまみとワインで夕食を済ませました。

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夕食後、映画「アメリカの友人」を見ました。

アメリカの友人 デジタルニューマスター版 [DVD]

ヴィム・ヴェンダースの1977年の作品。ヴェンダース作品は11月にレルラ島さんが出張で来る時にまとめて持ってきてもらったのですが、まだ4枚中1枚(「ベルリン・天使の詩」)しか見ていません。それらをすっ飛ばして年末に日本で買ったこの作品を見てしまいました。というのは、この作品がハンブルクで撮影されたということを知ったからです。

ブルーノ・ガンツ(「ベルリン・天使の詩」でも主役でした)扮するハンブルクに住んでいる額縁職人がひょんなことから殺人を依頼され、それをひょんなことから「アメリカの友人」であるデニス・ホッパー扮する画商とうんぬんかんぬん、というストーリーです。

ブルーノ・ガンツはレーパーバーン近くのエルベ川沿岸のアパートに住んでいるようで、エルベ川の風景、エルベ川を越えるための地下トンネル、家族で訪れるハンブルガー・ドーム、などその近辺の様子が頻繁に映画の中に登場します。Uバーンの中で殺人を依頼されるのですが、これはレーパーバーンからハンブルク中央駅に向かうU3(Uバーン3番線)の中だと思われます。額縁職人のお店の周辺が映されるシーンでは「Lange Str.」「Kleiner Pinnas」という標識が見えました。とりあえず google map で「ランゲ通り」は見つかったのですが、「クライナー・ピンナス」の方は見つかっていません。まあ、これでだいたいの場所はわかりました。

映画の方は5点中3点くらいかなあ。殺人のシーンはヒッチコックへのオマージュかと思わせるようなBGMやストーリー展開で面白かったのですが、結局その殺人依頼を引き受けざるを得なかった主人公が置かれている状況が切な過ぎてあまり映画に入り込めませんでした。DVDのパッケージには「新鮮な感動を呼ぶクライム・サスペンス」と書かれていますが、あまり感動しなかったなあ。

ベルリン・天使の詩

人事から社員全員に通達がありました。「余っている有休は今年中に使うように。今年中に使うのが無理な場合は3月までに使う前提で予定を入れて下さい。」ということでした。すでに「計画的有休消化」に入っている人も多いようで、職場はかなり静かです。

ということで、「週に一度のカリーブルストの日」はボスとStefanと。「もし、ドイツ語を習得したいと思っているんだったら我々もヘルプしながら会話するようにするけど。」というありがたいお言葉をいただいてドイツ語の話題になりました。「習得したいと思っているんだけど、まずヒアリングが大変だし、あとはグラマー(いわゆる4つの格ですね)もなかなか理解しにくいし …」みたいな話をしたら、まず「北ドイツの人たちは単語の後半を省略するから聞き取るのが大変かもね」、ということを言われました。例えば(ごく単純な例ですが)「nicht」という単語があったら、「nich…」くらいまでしか発音しないので、話の流れから単語を予測しているのだそうです。格については「ドイツ人でも時々曖昧になるから心配しなくてもいい」と言われたのですが、これも大丈夫なのかなあ?それから、ドイツ語の単語が連結されてどんどん長くなるというのは知っていたのですが、文自体もいくつかの文が連結されて長くなっていくことがあるのだそうです。「あいつ(とあるエンジニア)のレポートは3ページくらいで一つの文になっているからなあ …」という冗談も言っていました。

まあ、だんだん聞き取れる単語の数が増えてきて、それによって内容も少しずつわかることがあるのですが、先は長いです。

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夕飯後、ワインをちびちび飲みながらDVDで「ベルリン・天使の詩」を見ました。

ベルリン・天使の詩 デジタルニューマスター版 [DVD]

率直な感想としては、いまいちピンと来ませんでした。前半(天使が天使であるとき)の形而上的な会話と、後半(天使が地上に降り立ったあと)のラヴストーリーのちぐはぐさが気になります。眠気を誘う(笑)前半をこらえると、いざ人間となった思いを遂げようとする(元)天使のエピソードが始まるのですが、前半の踏みしめるような緊張感に比べるとなんとも軽過ぎるように思います。加えて、いちばん最後の男女二人の会話はこの映画の本質的なところを語らせ過ぎなのではないかと。このアンバランスさも狙いなのかも知れませんが、もうちょっとまとめようがあったのではないかなあ。

もちろん素晴らしいシーケンスもたくさんあります。要所要所を締めるピーター・フォークの演技はやはり彼でなければダメだったのでしょうし、冒頭でカイザー・ヴィルヘルム教会の上に立つブルーノ・ガンツを見上げるシーンとか、まだほとんど草原だったポツダム広場でのシーンも美しいし。しかし、サーカスとはなぜ宿命的に哀しいのでしょうか。

あと細かいのですが気になった点。DVD自体はリマスターされて画質は綺麗になっているのですが、アメリカのマスターを使っているようで、冒頭でタイトルが「Wings of Desire(英題)」が出ると、ちょっとガクッときます。やはり原題(ドイツ語)の「Der Himmel über Berlin(The Sky over Berlin)」でないと。

おいでませハンブルクへ(第3回その1)

今週も日本からお客様が来ています。私も日本にいた時は彼らのチームに属していて、今の勤務先とのやり取りをやっていました。今も仕事上はいちばん密接に関係している人たちです。そういうわけで、今週一週間はほとんど缶詰めで一日中打ち合わせを行うことになりそうです。

夕食は、例の(日本人が来ると毎回連れて行く)Rahlstedt駅近くのアジア料理屋に行きました。

それから、お言葉に甘えて日本から以下のCDとDVDを持ってきてもらいました。

GOLDEN☆BEST 山口百恵 コンプリート・シングルコレクション

例の「ザ・ベストテン 山口百恵 完全保存版 DVD BOX」に触発されて以来、ちゃんと楽曲を聞いてみたいと思っていたのですが、いやいや、想像以上に素晴らしい内容でした。歌唱力という意味ではもっとうまい歌手もいるのでしょうが、ちゃんと歌い方を考えて歌っているんだなあ、という印象です。いわゆる「アイドル歌手」というカテゴリーはもはや死語になっているのだと思いますが、「アイドル歌手」がイコンとして機能していた時代、つまり誰もが歌手としてのスポットライトを浴びることができるわけではなくて、素材として見いだされて、磨き抜かれて、独自の世界観を打ち出すことができた人だけが生き残れた時代の迫力(これは本人だけでなくスタッフも含めた意志という意味で)を再確認できます。はっきりいってデビュー曲はほとんど印象に残らない曲なのですが、そこから軌道を修正しながら確固たる個性を獲得するまでの道筋には畏敬の念すら感じます。懐古趣味も多分にあるのかと思いますが、一曲にかけられた手間が昨今のヒットチャートとは全然違うのだなと思いました。

ビトウィーン・マイ・ヘッド・アンド・ザ・スカイ

日本盤は一曲多いらしいので。コーネリアス周辺がバックアップしていることに興味を持ちました。

The Silken Tent

教授の「out of noise」に参加した古楽器演奏グループ。来月ハンブルクで演奏会があるので予習がてら買ってみることにしました。commmonsから出るくらいだから海外盤もあるのかと思って探していたのですが、今のところ見つかっていません。

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先日、ベルリンに行ってから無性に「ベルリン・天使の詩」を見たくなりました。ついでに「パリ・テキサス」も見直してみたいと思いました。前に見た時にはまだ息子は生まれていなくて、息子が生まれた今あらためて見返したら絶対号泣してしまいそうな気がしているのですが(笑)。で、噂に聞く「都会のアリス」はまだ見ていなかったし、「パリ・テキサス」と同じ監督/脚本で20年ぶりに撮ったという「アメリカ、家族のいる風景」もなかなかよさそうです。というわけでヴィム・ヴェンダース4連発です。せっかく持ってきてもらったので、年末年始の帰国前に全部ちゃんと見ます(宣言)。

お家見学

今日は家族が来てからの住居を決めるため、日本人学校がある Halstenbek 周辺の賃貸物件見学に行きました。以前ちょっと行ってみたアイデルシュテット(Eidelstedt)は各方面から日本人が住むのにはあまり適さないので止めた方がいいと言われたので、まずは不動産屋さんに依頼して日本人学校周辺の物件をピックアップしてもらったのでした。

アパートから Halstenbek へ行くには市の中心部を通らないといけないので、中心部で買い物と昼食をしてから Halstenbek へ向かうことにしました。余談ですが、ハンブルクと浜松市を重ね合わせた場合、方向/距離的に Halstenbek は三ヶ日に相当します。私が住んでいるアパートは天竜川駅くらいかなあ?

ということで、中心部の有料駐車場に車を停めて買い物。まずは駐車場近くの「Asia Markt」へ。先週の途中でなくなってしまったので、お米は何としても買わないと。それから、ふと目についたので韓国の「辛ラーメン」を非常食用に買っておくことにしました。0.90ユーロ。日本だといくらくらいで買えるんでしたっけ?日本製のカップラーメンに比べるとかなり割安です。あと、これも目についたので「ふえるわかめちゃん」を。サラダは野菜ばかりなのでちょっとアクセントをつけたかったのと、そういえば海藻ってあまり食べていないなあと思ったので。

その後、デパート「カールシュタット」へ行って水筒を。自宅でいれたコーヒーを取っておくとか、自宅でいれたお茶を会社に持って行くとか、という用途に使おうと思ったのでした。以下の画像はカールシュタットではなくて、その近くのショッピングモールなのですが、どこのお店もクリスマス商戦が本格的になってきています。

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なんだかんだいいながら頭の中をカレーがぐるぐる回っているので、昼食はこの近くにあるタイ料理のレストラン「Sara Thai」へ。前回はランチメニューのパド・タイ(ライスヌードルの焼きそば)を食べたので、今回はランチメニューのカレーを試してみました。トムヤムクンのようなスープがついてきます。飲み物はアプフェルショーレ(アップルジュース+炭酸水)。

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ココナッツミルクを使ったカレーは、食べ進むにつれ、だんだんココナッツミルクの甘さがくどくなってくる気がします。少し冷めてくると辛さよりも甘さを感じやすくなるからなのでしょうか?後半でチリソースを足しながら食べればいいのかなあ?

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というわけで、午後1時45分ギリギリに待ち合わせ場所に到着。4つの物件を見せていただきました。率直に言って Halstenbek は田舎なのであまり新築物件はないのかなと思っていたのですが、意外に新しい建物が建っているようです。帰ってから google map で見てみたら工事中の航空写真だった物件とか、まだ何もない更地だった物件とかもありました。

毎回そうですけど、優柔不断の私としては賃貸物件を決めるのは非常に難儀です。「今の物件も悪くないけど、もっといい物件もあるかも知れないなあ」とか思うと、なかなか決断のタイミングが難しいです。瀬戸際まで粘って「えいや」で決めるパターンが多いような気がしていますが。まあ、どうなりますやら。

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帰り道、いつもの Wandsbek のカールシュタットで行きには買えなかった生鮮食料品の買い出しを。

そういえば、誕生日で振る舞ったチェリータルトは自分で食べていなかったなあ、と思って買いに行ったのですが、残念ながら売っていませんでした。次回乞うご期待。

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お昼にがっつり食べたので夕食は軽く。作り置きのカリーブルストをフィニッシュ。その後、昨日に引き続きジャームッシュの出世作「ストレンジャー・ザン・パラダイス」を見ました。まったりした気分で見るにはいい映画です。

ストレンジャー・ザン・パラダイス [DVD]

ナイト・オン・ザ・プラネット

週末。なんか無性に映画が見たくなったので見ることにしました。

ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]

ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」です。最近の作品はあまり見ていませんが、実はいちばん好きな映画監督です。私が学生の頃、ジャームッシュの「ストレンジャー・ザン・パラダイス」という映画が妙に流行りまして、それを見に行ってからハマってしまいました。

ロサンゼルス(午後7:07)、ニューヨーク(午後10:07)、パリ(午前4:07)、ローマ(午前4:07)、ヘルシンキ(午前5:07)、時差の関係でそれぞれの時刻は違いますが、同じ瞬間に世界各地で起こるタクシー・ドライバーとそこに乗り合わせた乗客とのやり取りを描いた作品です。原題は「Night on Earth」。邦題の「ナイト・オン・ザ・プラネット」は語感のリズムを考えた日本側から提案があってつけられたのだそうです。それはともかく、複数形の「Nights」ではなくあくまで単数形の「Night」、それぞれの都市の「夜」なのではなく、あくまでも地球の「夜」に同時に起こっている出来事ということなのだと思います。

心に深く突き刺さるシリアスさから言えばこのあとに撮られた「デッドマン」も好きなのですが、この「ナイト・オン・ザ・プラネット」は、ジャームッシュの初期に見られる「おもろうてやがてかなしき」の総決算とも言える作品だと思います。この映画でも笑えるネタはたくさんあるのですが、そのあとで、ふっとエアポケットに入ったようにしんみりすることがあります。そういった起伏が心地よい作品です。

ジャームッシュの映画ではよく使われる手法なのですが、各エピソードの冒頭で、その都市の風景を切り取ったほとんど静止画のようなショットがあります。そのショットに見られるツーリストのような視線、つまりその都市を疎外的に眺めた視線がすごく気に入っています。