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演奏会その45: 北ドイツ放送交響楽団特別コンサート

前のブログでもお知らせした北ドイツ放送交響楽団の日本救援チャリティコンサートへ行って来ました。

よくよくスケジュールを確認したら、この日は定期演奏会のマチネがあったので、おそらく午後1時くらいに終演、その後あらためて午後3時から同じ会場(ライスハレ)でチャリティコンサートが行われたわけです。

Konzert für Japan

Datum: 27.03.2011, 15:00 Uhr
Laeiszhalle

NDR Sinfonieorchester

Alan Gilbert, Dirigent
Lisa Batiashvili, Solo-Violine

Streichsextett:
Motomi Ishikawa, Violine
Sono Tokuda, Violine
Jan Larsen, Viola
Aline Saniter, Viola
Christopher Franzius, Violoncello
Yuri Christiansen, Violoncello

TORU TAKEMITSU Requiem für Streicher
JOHANNES BRAHMS Streichsextett Nr. 2  G-Dur op. 36
I: Allegro non troppo
GIYA KANCHELI V&V für Solo-Violine, Tonband und Streicher
FRANZ SCHUBERT Sinfonie Nr. 7 h-Moll D 759 “Unvollendete”

まず、武満徹の《弦楽のためのレクイエム》、日本人3名を含んだ弦楽六重奏によるブラームスの《弦楽六重奏曲第2番》の第1楽章、マチネでもソロを務めたヴァイオリンのリサ・バティアシュヴィリによるギヤ・カンチェリの《V&V》(ソロ・ヴァイオリン、テープ、弦楽のための)、そしてラストはシューベルトの交響曲第7番《未完成》というプログラムでした。

ちなみに《未完成》は第1楽章のロ短調から第2楽章のホ長調へ移調することを「未来への希望」としてとらえたい、ということからプログラムのメインになったようです。(余談ですが、指揮者のアラン・ギルバート本人の説明は英語で、それをドイツ語の通訳を介して聴衆に伝えられました。私的には英語でしゃべってもらって助かりましたが(笑)。)

昨日の反原発デモでも感じたし、今日のコンサートでも感じたのですが、参加者(演奏者と聴衆)に「日本を支援しなければ」という大きな、あるいは深刻な気負いはありません。しかし、そういう旗の下に集まることによって自分の意思を表明しているのだと思います。

まったくの余談ですが … この地において(「この地」というのがハンブルクを指すのか、ドイツを指すのか、ヨーロッパを指すのか、あるいは日本以外を指すのかはよくわかりませんが …)この「自分の意思を表明する」ということの大切さは、ふだんの仕事の中でも感じています。また、幼稚園でも「子供はこの地では自分を主張することの大切さを覚える。しかし、日本に帰った時にかの地で学んだ態度と、日本で必要とされる態度のギャップに悩む」とも聞かされました。

それはさておき、シューベルトの《未完成》をちゃんと聞いたのはおそらく初めてのような気がしますが、かなり面白かったです。最近、聞く音楽が古典派以前と現代音楽に二極化してきているので、こういう音楽も受け付けるようになって来たのかも。全般的には柔らかな流れを持った曲という印象があったのですが、この演奏はフレーズの節々が折り目正しくてちょっとイメージが変わりました。

以前から気になっていたノット/バンベルク響のペアによるシューベルトを聞いてみたくなりました … と自分で自分に言い訳(笑)。

サンデーソングブックなどなど

ふと、こんなページを見つけました。

山下達郎さん サンデーソングブック 2011年03月20日「震災特別プログラム」

山下達郎さんは私と妻が共通でファンである数少ないアーティストなので(笑)、日本にいる頃はよくこのラジオ番組を聞いていました。

文字だけでも山下達郎さんの大いなる意思が伝わってくるような気がします。

久しぶりに《蒼氓》を聞きたくなりました。ドイツに来る際にリッピングしてきたかどうか心配でしたが、かろうじてベストアルバム「TREASURES」に収録されていたものがiPodに入っていました。

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また、日本時間午前5時(午後5時じゃないですよ)から行われた大友良英さんのUSTREAMでのソロパフォーマンスも見ました。開始直前に「ハンブルクから見ています。」というツイートを打ったのですが、画面の中でそれに反応していただいたのがうれしかったです。ドイツ時間では午後9時だったので風呂上がりの息子は「うるせー」とか言っていましたが(笑)。

さらにシェエラザード

すださんからゲルギエフが指揮した交響組曲《シェエラザード》を勧められたので、まずは手近なところで探してみることにした。そこで見つかったのが2005年にウィーンフィルを指揮したもの。ニコニコ動画にあった。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm12794236

http://www.nicovideo.jp/watch/sm12794369

まったく個人的な印象なのであるが、ウィーンフィルというのは指揮者を選ぶオケだと思う。私の数少ない実演とCDでの体験から思うに、指揮者がオケをコントロールできないと(オケが指揮者の言うことを聞かないと、と言い換えてもいい)おざなりな演奏しか期待できないように思うのである。もちろん、ウィーンフィルが醸し出す音色は他のオケには真似できない独特のものなので、おざなりでも「ああ、ウィーンフィルを聞いているんだ」という感慨に浸ることはできるのだが、どこか統制が取れていない、音が暴れているという印象を持つこともある。

そういった意味で、ゲルギエフはウィーンフィルに「言うことを聞かせられる」数少ない指揮者の一人なのだと思う。もちろん彼が指揮した演奏全てがそうであるとは限らないのだが、少なくともこの《シェエラザード》の演奏からは本気のウィーンフィルが聞ける。

(まあ、テンポが速めなので(特に第4楽章)いつになく必死に演奏しているからかもしれないが …)

フェネス/バルトーク

バケーションのシーズンも終わったのか、今週の頭あたりから交通量が増えて、通勤経路で渋滞する箇所が増えてきました。日本ではまだ暑い日々が続いているようですが、こちらでは暑さもやわらいですっかり秋という雰囲気です。

例によってアジア料理店「Asia Lam」へ。

ほとんど定番になっているアルコールフライのビールと最近付き出しとして出てくる春巻きは省略して、メインディッシュは白身魚を揚げたももにオイスターソースベースのちょっと辛いソースをかけて食べるものです。ご飯が進みます。

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今日届いたCDたち。

Black Sea

先日、教授が主催するcommmonsのコンピレーション・アルバムで久しぶりにフェネスを聞いて感動したので、それに含まれていた《Saffron Revolution》という曲が収録されているアルバムを買ってみました。日本盤はcommmonsから出ているのですが、海外盤も収録曲は同じだったので安い海外盤の方です。

電子音くさいエレクトロニカではなく、ときおりギターなども加わって(実際、フェネスはギタリストとして教授のツアーに参加したこともあります)非常に抒情的なサウンドです。

分厚い電子音の重なりがものすごく雄大な世界を感じさせてくれます。

Bartok: Solo Piano Works 1

ちまちま集めているフンガロトン・レーベルの新バルトーク全集。「ピアノ作品集その1」です。amazon.deのマーケットプレイスで新品が3.33ユーロ(今のレートだと400円弱くらい?)で売られていたので、つい買ってしまいました。

演奏会その39: ハンブルク・バレエ

(演奏会その38 が欠番になってしまっていますが、これはウィーン国立歌劇場の《ラインの黄金》(ワーグナー)になります。いつ書けるんだろう …)

オーケストラの演奏会が行われるライスハレよりも、オペラやバレエが行われるハンブルク歌劇場の方が少しドレスコードが高いような気がするので、歌劇場に行く時はいつも一旦アパートに戻って着替えてから電車で行っていました。これからはさすがにそういうわけにもいかないので会社から直接車で。そんなわけで歌劇場近くの駐車スペースをよく知らないのでライスハレ近くの中央分離帯に車を停めました。

Ballette von John Neumeier
Daphnis und Chloë / Der Nachmittag eines Fauns / Le Sacre

6. April 2010 19:30 Uhr

MUSIK:
Maurice Ravel (Daphnis et Chloé)
Claude Debussy (Prélude à l’Apres-midi d’un faune)
Igor Strawinsky (Le Sacre du Printemps)

ということで「独身生活」最後のコンサートになってしまいました。ハンブルク・バレエの公演で、《ダフニスとクロエ》(ラヴェル)、《牧神の午後への前奏曲》(ドビュッシー)、《春の祭典》(ストラヴィンスキー)という、20世紀初頭の重要作品ばかりを集めたプロダクションです。

実は、ジョン・ノイマイヤーの振り付けによるこれらのプロダクションは、ちょうど4年前にドレスデンに出張した時にドレスデン・バレエで見ることができました。

《ダフニスとクロエ》は前回見た時の印象とは大きく変わりません。ただ、吹奏楽的な観点だと「夜明け」と「全員の踊り」にはさまれて、いまいち地味な印象のある「パントマイム(無言劇)」が実はこのバレエのクライマックスであることを再認識しました。

《春の祭典》は1970年代に作られたというノイマイヤーの初期のプロダクション。バレエの柔らかい動きの美しさとは対極にある踊りで、誰もが人間工学的に無理があるようなぎこちない動きをします。舞台セットは何もなし、ダンサーの衣装も最小限のものです。例えばベジャールの振り付けは人間としての原初的/根源的な動き(まあ、ありていに言ってしまうとセックスなんでしょうなあ …)を示していてわかりやすかったのですが、ノイマイヤーの振り付けはさらに突き進んで、ひたすら非人間的な、無機的なものを志向しているように思えました。まあ、「こういうのもありかなあ?」と思いつつ見ていたのですが、面白いかと言われると …

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備忘。

息子のための「こどもちゃれんじ」(なんと海外でも受講できるんですねえ)と、日本語衛星放送 JSTV の申込書を送付。

申込書が PDF ファイルで送られてきたので、それをプリントアウトして、必要事項を記入して、スキャンして再度 PDF にして、それをメールに添付して返送するというパターン。前に住んでいた方が置いていって下さった多機能プリンターが大活躍でした。

来シーズンのハンブルク・フィル

引っ越し作業中の逃避行動 …

昨日、ハンブルク・フィルの来シーズンのプログラムを紹介する冊子が届きました。ご覧いただいてわかるようにグスタフ・マーラーのいろいろな作品にスポットを当てています。今年はマーラーの生誕150年のアニヴァーサリー・イヤーですし、1891年から1897年までハンブルク歌劇場の音楽監督を務めていたこともありました。

交響曲のみならず、第2番《復活》第1楽章の原型である交響詩《葬礼》、先達の作品のオーケストレーションを変更した編曲作品、交響曲以前に書かれていた若書きのカンタータ《嘆きの歌》などです。

そういえば、毎年レコーディングが続けられていたブルックナーの交響曲は次回シーズンでは一休みのようですね。

さすがに今シーズンのようにバカバカ聞きに行くわけにはいかなくなりそうですが、ベルクのヴァイオリン協奏曲や武満徹のブラスアンサンブル作品《シグナルズ・フロム・ヘヴン》はぜひ聞いてみたいです。

第1回(指揮:シモーネ・ヤング)

  • ベルク/ヴァイオリン協奏曲
  • マーラー/交響曲第1番《巨人》

第2回(指揮:シモーネ・ヤング)

  • シューベルト/水上の精霊の歌
  • マーラー/交響曲第2番《復活》

第3回

  • ベートーヴェン/交響曲第4番
  • ペーター・ルジツカ/… 島、孤立 …(訳は適当です …)
  • マーラー/交響詩《葬礼》

第4回(指揮:シモーネ・ヤング)

  • 武満徹/シグナルズ・フロム・ヘヴン
  • マーラー/交響曲第3番

第5回

  • オルガ・ノイヴィルト/Clinaman/Nodus(何語だ?これ?)
  • ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番
  • シューマン(マーラー編曲)/交響曲第3番《ライン》

第6回

  • ニールセン/パンとシリンクス
  • モーツァルト/交響曲第41番《ジュピター》
  • シベリウス/交響曲第1番

第7回(ピアノはバレンボイム、指揮はシモーネ・ヤング)

  • リスト/メフィスト・ワルツ第1番《村の居酒屋での踊り》
  • リスト/ピアノ協奏曲第2番
  • リスト/ピアノ協奏曲第1番
  • リスト/交響詩《マゼッパ》

第8回(指揮:シモーネ・ヤング)

  • ヘンツェ/夢の中のセバスチャン
  • マーラー/交響曲第7番

第9回(指揮:クリストファー・ホグウッド)

  • ウェーバー(マーラー編曲)/歌劇《3人のピント》間奏曲
  • シューベルト(マーラー編曲)/弦楽四重奏曲《死と乙女》(弦楽合奏版)
  • メンデルスゾーン/交響曲第5番《宗教改革》

第10回(指揮:シモーネ・ヤング)

  • グバイドゥーリナ/メルヘン・ポエム
  • マーラー/嘆きの歌

ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005など(+坂本龍一)

ニュー・サウンズ・イン・ブラス 2005

ここ数年は CCCD だとか、選曲がよくないとか、演奏がよくないとか、ブチブチ言いながらも、とりあえず毎年ニュー・サウンズ・イン・ブラスは買っていた。この「2005」はここ数年の中では、かなりヒットなのではないかと思う。ちなみに CCCD は無事回避。だからコピーで済ませていた人は買ってあげましょう。

(CCCD の廃止は、ある意味「良識あるユーザーの勝利」と言えるのではないかと。で、良識があるなら「聞きたいなら金出して買え」というのが基本的なスタンスだと思うのです。)

選曲については、《Mr.インクレディブル》や《ハウルの動く城》のような最新のものから、《アメリカン・グラフィティXV(じゅうご!)》や《ディスコ・パーティーIII》のような少し懐かしめの洋楽、超スタンダードナンバーの《チャタヌガ・チュー・チュー》、お年寄りにも喜ばれそうな《時代劇絵巻》とバラエティに富んでいる。

また編曲は原曲を彷彿させるものが多く聞いていて違和感が少ない。私はこういうポップス・レパートリーは「主題をこういう風に処理してみました」「何かちょっと違ってていいでしょ」という編曲よりは、原曲と違和感が少ないストレートな編曲がいいと思っているので歓迎できる。

演奏は … やっぱり「うまい吹奏楽のポップス」という域を出ない。たまには別のバンド/指揮者を使った方が新鮮味が出るのでは?

うちのバンドはさっそく《時代劇絵巻》をやることになりました。

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ベターデイズ・レーベルの紙ジャケリリースから坂本龍一関係を5枚。

「千のナイフ」は坂本龍一の初ソロ・アルバム。初めて聞いたのは25年くらい前か。YMOが爆発的な人気を博していたときにソロ・アルバムにも手を出してみようと思って買った覚えがある。シンセサイザーを駆使しているのだが、当時の最先端のテクノ・ポップとは違い、不思議とシンセサイザー臭くないサウンドである。タイトル曲を初めとしてアジア色が強い。ちなみに教授が着ているジャケットはアルマーニ、スタイリストは高橋幸宏。ライナーノートには林光もコメントを寄せている。

「フェイヴァリット・ヴィジョンズ」はベスト盤。オリジナル発売は1983年というからYMO散開の年である。これは貸しレコード店で借りたような気がする。上記の「千のナイフ」や渡辺香津美とのコラボレーションである「KYLYN」からのピックアップは当然として、高橋悠治の「新ウィーン楽派ピアノ作品集」から連弾作品であるシェーンベルクの《四手のための六つの小品》、フリージャズ奏者の井上敬三の「インティメイト」からの作品もピックアップされているのが変わっている。

「KYLYN」「KYLYN LIVE」はYMO第1回ワールドツアーにも参加している渡辺香津美とのコラボレーション。「LIVE」の方はアッコちゃん(矢野顕子)の《在広東少年》も聞ける。

「サラセンの夢」はダンスリーのアルバム。ダンスリー名義である「ジ・エンド・オブ・エイジア」は知っていたのだが、これは聞いたことがなかった。教授の2作品《ぼくのかけら》《ダンス》が収録されている。そういえば「ジ・エンド・オブ・エイジア」の方は紙ジャケ再リリースはないのかなあ …

 

新しいミッテンヴァルトへ

《響宴》で池袋へ行くので、やっぱりミッテンヴァルト(http://www7a.biglobe.ne.jp/~mittenwald/)へ行くことにした。念のため、迷ったときのために住所を控えておこうと出発前にホームページを見たら、何と移転したというお知らせ。あわてて地図をプリントアウトして出発。

営業時間が 13:00〜20:00 ということだったので、《響宴》を聞いてから行くことにした。以前から商売っ気のないショップだと思っていたが、この営業時間もなかなかすごい。さらに移転した住所は普通のマンションの一室。玄関で靴を脱いで、スリッパを履いて、部屋の中にぎっしりと並べられている CD 棚を物色するのである。「趣味人」色がいっそう強くなっている。

とはいえ、東京コンサートが出している「日本の作曲・21世紀へのあゆみ」シリーズは限られた店でしか買えないので、やはりここに来るしかないのである。一通り CD 棚を物色したところ、どうもなさそうなので店員さん(というかどう見ても客を招きいれた家人(笑))に聞いてみる。そうすると「すみません。引っ越したばかりなのでまだ全部整理していないんですよ」と言われて、もう一室へ案内される。そこは、もっと CD やビデオが詰まっている部屋。「こちらにあると思いますのでご覧になってください。」と言われた。

邦人作品の CD はほとんどこちらにあるようなので探すことにする。第一希望の CD がなかったので、第二希望の「No.9 新しい合唱の息吹」(ECJC 009)を買うことにする。吉田隆子が与謝野晶子の「君死にたもうことなかれ」に曲をつけた歌曲を聞いてみたかったのである。

けっこう珍しい CD があるなあ、と思いつつ棚を眺めていると、「清瀬保二生誕100年記念演奏会」の4枚組CDを見つけてびっくり。これは確か関係者にしか配布されなかった非売品ではないか。それからクリティーク80が制作してフォンテックがプレスした「清瀬保二作品集」(FPCD1604)も珍しい。

あとはミッテンヴァルトが制作したCDから「伊福部昭ギター作品集」(MTWD-99019)と「和」チェロ〜近代日本・チェロ名曲選(MTWD-99010)を購入する。

三足目の靴下などなど(ヘンリー・カウ)

帰宅したら届いていたCD。

In Praise of Learning

Western Culture

スラップ・ハッピー関連で購入した後期ヘンリー・カウの2枚のCD。

「In Praise of Learning」は「Leg End」「Unrest」に続く3枚目のアルバム。「Desperate Straights」と同様にヘンリー・カウとスラップ・ハッピーの共同名義になっているが、「Desperate Straights」がスラップ・ハッピー主導で作られたのに対して、こちらはヘンリー・カウ主導で作られた。

「Western Culture」はヘンリー・カウ/スラップ・ハッピーの終焉とアート・ベアーズの発足がオーバーラップする時期の作品。解散することが決まってから作ったビートルズの「アビー・ロード」のようなものか。

 

久しぶりにカンタベリーバカ

もはやカンタベリー・ミュージックの範疇をはみ出ているような気がするが …

Ca Va

1998年にリリースされたスラップ・ハッピーの最新オリジナル・アルバム。1974年にヘンリー・カウとの共同名義で発表された「Desperate Straights」の直後にグループは解散したわけなので、アルバムとしては24年ぶりに作られたことになる。

(この間、1982年に一回だけライヴを行ったことがあるらしい。)

1970年代のアルバムはまだ入手可能だというのに(とか言っているくせにまだ私は買っていないのだが)このアルバムは廃盤。インターネット上の中古CDショップで探して入手した。

「Desperate Straights」以前のスラップ・ハッピーはまだ聞いたことがないのでよく知らないのであるが、その「Desperate Straights」の先鋭さに比べると、この「ca va」ではとんがったところが全然ない。1998年時点の同時代の音楽と比較してもオールド・スタイルな感じがする。

そのため、バックトラックのスタイルに多少のチープさを感じなくはないが、ダグマー・クラウゼのヴォーカルは「円熟」という他ない。全盛期のあの先鋭さがあるからこそ、この円熟味を感じられるのであろう。

そういうわけで年代順に聞くのがいいと思う。