吹奏楽」カテゴリーアーカイブ

2006年全日本吹奏楽コンクールのDVD

Japan’s Best for 2006 コレクターズBOX [DVD]

今年の全日本吹奏楽コンクールは、特に大学・職場・一般の部で聞いてみたい演奏が多かった。まあ、でもせっかくなので全部門が収録されているボックスセットを買ってみた。

とりあえず、その大学・職場・一般の部だけ見てみる。特に聞きたかったのは大曲吹奏楽団の《ゴシック》(木下牧子)。委嘱作品での全国大会出場であ る。指揮者の小塚類さんというとアクの強い演奏をするという印象があるのだが、この演奏はそのアクの強さがプラスに作用して説得力のある演奏になったよう に思う。

創価学会関西の《科戸の鵲巣》(中橋愛生)も聞きたかった演奏。大編成にも関わらずものすごく透明感のあるソノリティ。

NTT西日本中国吹奏楽クラブは相変わらず少人数だが充実した演奏(ハチャトゥリアンの《ガイーヌ》)。ウィンドアンサンブル的な響きを志向して全国大会で安定した評価を得ている団体はここくらいではないだろうか。

浜松ウインドオーケストラ第6回定期演奏会

用事が入っていて最初から聞けるかどうか心配だったが、何とか2分前に会場入り。

第1部

  • 鈴木英史/ファンファーレ “S-E-A”
  • アルフレッド・リード/ジュビラント序曲
  • 西邑由記子/星の船
  • 田中賢/メトセラII

第2部

  • エバー・ラスティング・プレジャー
  • アメイジング・グレース
  • ライオン・キング
  • 時代劇絵巻

第3部

  • ワーグナー(建部知弘編曲)/楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲
  • ディルク・ブロッセ(ヨハン・デ=メエイ編曲)/ミュージカル《タンタン》太陽の神殿

《タンタン》、《ライオン・キング》あたりがよかった。 《タンタン》は CD で聞いたときにはあまりいい印象がなかったけど、実演で聞くと曲想の変化が面白く聞ける。

演奏会のテーマは「熱く!楽しく!エネルギッシュな演奏会を!」ということだったらしいが、演奏から「引き算をする勇気」が必要なのではないかな。 演奏者一人一人が吹けば吹くほど、あるいは叩けば叩くほど聴衆が感動するわけではないのである。旋律と伴奏がごちゃごちゃになってしまったり、和音が決ま らなかったりするのは、全体的なバランスが未整理だからだと思う。ものすごくいい響きがする瞬間が何度もあるのだから、このあたりを克服するともっといい 演奏ができると思う。

引き算をした余りは我が吹奏楽団に下さい(笑)。

アキラ/斎藤高順

ブラスバンド・バラエティ 宮川彬良&大阪市音楽団 痛快ライヴ!マツケンサンバII!!

宮川彬良指揮による大阪市音楽団の演奏会のライヴ盤。レパートリーはご本人のニューサウンズブラスのための編曲モノ(サティの《ジュ・トゥ・ヴ》と か竹内まりやメドレーとか《マイ・フェイヴァリット・シングス》とか)や、パパである宮川泰の作品の編曲モノ(《ズームイン!朝》とか《ゲバゲバ90分》 とか《宇宙戦艦ヤマト》とか)や、ご本人のお仕事(《マツケンサンバII》とか大阪国体のための行進曲とか)などである。

こうやって聞くとニューサウンズのアレンジはかなり凝っていて、学生が取り上げるには結構大変だったのかなあという気がする。

ライヴだけあって演奏はかなりラフであるが、こういうノリのよいレパートリーはラフな雰囲気の方がよいだろう。アキラのお仕事をまとめて聞けるという意味でいい盤。

ブルー・インパルス/斉藤高順吹奏楽作品集

航空自衛隊音楽隊隊長、あるいは課題曲《オーバー・ザ・ギャラクシー》の作曲者として知られる斎藤高順の作品集。10年以上前に白樺録音企画によって録音 されたものがユニヴァーサルからリリースされたようである。いくつかの作品は以前DENONからリリースされていた作品集と重複するものもあるが、《自然 への回帰》、交響詩《オンリー・ワン・アース》など純音楽的なアプローチによる吹奏楽作品がまとめて聞けるのがいい。斎藤高順は小津安二郎の映画作品のた めの音楽でも知られているが、これらの作品を吹奏楽に編曲したものも収録されている。

全日本吹奏楽コンクールランキング

久しぶりに全日本吹奏楽コンクールのデータを見直して、全日本吹奏楽コンクールランキング を更新しました。

雑誌「バンドジャーナル」の集計に合わせて、カテゴリーを「オリジナル作品」「編曲作品」「邦人作品」としました。邦人作品には、邦人作曲家によるオリジナル作品と編曲作品が含まれます。

NAXOS の WIND BAND CLASSICS

地味に快進撃を続ける NAXOS レーベルの WIND BAND CLASSICS シリーズ。

久しぶりにのぞいてみたら、以下のような CD がリリースされる(された)らしい。

Orff: Carmina Burana Suite; Bird: Serenade for Wind Instruments; Reed: La Fiesta Mexicana

過去に自主制作盤として制作されていた盤の再リリース。日本でも短い期間ではあるが購入することができた。
実は曲目といい演奏といい、あまり魅力的なものではない …..

Monumental Works for Winds

現在の音楽監督であるマイケル・コルバーン指揮ということなので全曲新録音かも知れないが、全ての作品は過去の自主制作盤に収録されているものなので、それらを集めた可能性もある。この盤での収録曲と過去の収録盤は以下の通り。

  • ジュゼッペ・ヴェルディ/歌劇「アイーダ」より凱旋行進曲
    • RECROSPECTIVE(USMB-CD-18)に収録。
  • イーゴル・ストラヴィンスキー/管楽器のシンフォニーズ
    • Symphonies of Wind Instruments(USMB CD-17)に収録。この録音はストラヴィンスキーとも親交があったロバート・クラフトが2001年に校訂した版を使っているので貴重。
  • ヴィンセント・パーシケッティ/交響曲第6番
    • Emblems(USMB CD-20)に収録。
  • ヤロミール・ワインベルガー/「笛吹きシュワンダ」よりポルカとフーガ
    • RECROSPECTIVE(USMB-CD-18)に収録。
  • アーロン・コープランド/エンブレムス
    • Emblems(USMB CD-20)に収録。
  • パーシー・グレインジャー/子供のためのマーチ「丘を越えて彼方へ」
    • SHOWCASE VOLUME TWO(USMB-CD-4)に収録。
  • ウィリアム・ウォルトン/戴冠式行進曲「王冠」
    • RECROSPECTIVE(USMB-CD-18)に収録。

マッキーの《レッドライン・タンゴ》収録盤とか、ジャンニーニの作品集と比べるとちょっと地味な印象がある。他レーベルの焼き直しだけでなく、ああいった新録音をリリースして欲しいなあ …..

コリリアーノ/交響曲第3番「サーカス・マキシマス」

ちゃんとした吹奏楽ネタを書くのはずいぶん久しぶりなような …..

現代アメリカを代表する(のかな?)作曲家ジョン・コリリアーノが初めて吹奏楽のために書いた交響曲第3番《サーカス・マキシマス(Circus Maximus)》のスコアと音源を入手。テキサス大学とその指揮者ジェリー・ジャンキンのために書かれ、2005年2月に初演された作品である。

ちなみに《ガゼボ舞曲集》は4手のためのピアノ作品からの作曲者自身による編曲なのである。

一応「大規模なウィンドアンサンブルのために」書かれた作品。ステージ上のバンドはほぼ4管編成(サキソフォンは含まれない)の吹奏楽編成なのであ るが、客席を取り囲むようにして11本のトランペットを中心とする別働隊が配置され、さらに客席後方には小規模なマーチングバンドが配置される。 詳細はこちらを。

タイトルは古代ローマにあったと言われる大競技場。 (イタリア語で「チルコ・マッシモ(Circo Massimo)」) コンサートホールという空間の中で、祝祭や催し物など雑多なエンタテインメントを描写するような試みであろう。 合計15本のトランペットによるやけくそのようなファンファーレとそれに導かれる tutti の喧騒、《春の祭典》を思わせるような野蛮な楽想と静寂、現代的なジャズ。 確かに吹奏楽(管楽器+打楽器)編成でなければ表現し得ないマッシヴ感がある。

CHANDOS でマルチチャンネルで録音されたらしい(確かにステレオではこの作品の面白さは伝えきれないだろう)のだが、演奏者の意向でお蔵入りになっているらしい。

ということで、どなたか日本初演しませんか?

定期演奏会のネタ集め

そろそろ来年の定期演奏会のネタ探し。

昨年の記念演奏会は例外として、私が考える演奏会全体の構成がなんとなくパターン化されてきているので(過去の演奏会の履歴を見ると「なるほど」と思うことでしょう)、次回はそれを打破することを考えている。

とはいえ、いわゆる「メイン」を軸に考える必要があるのだが、「やりたい曲」と「できる曲」のバランスを考えた場合、そろそろネタが切れてきたのでなかなかアイデアが出てこない。

というわけで、来年積志ウィンドアンサンブルに演奏して欲しい曲がある方はこっそりリクエストすると叶うかも?

今のところ一押しの某曲は楽譜だけは持っているのだが音源がない。 さすがに楽譜だけではイメージが沸かないので、せっせと Finale で打ち込んでみている。

定期演奏会の録音

やっと今年の定期演奏会の録音を聞くことができた。

いまだにマスターテープは DAT で録音しているので、その再生環境を見つけるのが大変なのである。会社で使っていない DAT プレーヤーを見つけ出して、ちょっとお借りして、仕事で開発中の機器の評価という名目(笑)で PC に取り込んだ。

例年とマイクの取り方が違うのかなあ?

我々がホームグラウンドとしている「はまホール」はあまり分離がよくないので、ステージ上の音がまとまって柔らかく聞こえてくるはずなのである。 ところが、今回の録音はかなり分離がよい印象で、それぞれの楽器の音がはっきり鳴っている。 どちらかというと、ふだんはパワー不足の上手側(主に中低音域の楽器)が比較的大きめに鳴っていて、ふだんはパワフルなクラリネットが小さめに聞こえる。 ホールノイズやホールトーンも例年の録音より多めに拾っているような気がする。

分離がよいということは「あら」が目立ってしまうということなのであるが、かなり演奏者もがんばっていて演奏上の「あら」はあまり目立たない。全般的には本番で振りながら考えていた印象よりも遥かにいい出来に聞こえる。

よくよく聞くと部分的には音楽的な掘り下げ不足を感じるところもあるのだが、まあ限られた時間内での優先度を考えるとこうなってしまうのかな。

ということで、これからレベルを合わせたり音質を調整したりという「お色直し」をしたあとで CD 化するわけだが、CD 1 枚に収まり切らない可能性もなきにしもあらず。

どうしましょ …