吹奏楽」カテゴリーアーカイブ

バンド維新2008その2

で、本番の発表会。

  • 木下牧子/サイバートリップ(中山靖治/静岡県立浜松江之島高等学校)

公開練習を聞けなかったし、あまりスコアも読んでいないのでとりあえず保留。 作曲者が内容的に手加減し過ぎた感もあり。

  • 一柳慧/Poem Rhythmic(小柴秀樹/浜松市立高等学校)

この作品には直接関連しないが、プレトークでは弦楽器が嫌いだったというエドガー・ヴァレーズに言及。 こういう、いかにもウィンドアンサンブル的な書法の作品は聞いていて楽しい。 最近聞いていたヒンデミットの《室内音楽》シリーズを思い出す。 メリハリのある練れている演奏だった。

  • 小六禮次郎/アンゼラスの鐘(對馬隆/浜松市立高台中学校)

前日の公開練習では 6/8 拍子のリズム感を指摘されていた。 これを 6 つ振りにすると縦の線は合うのだが、旋律がちじこまってしまう。 公開練習では試しに 2 つ振りで演奏したときにいい流れになっていたように思うのだが、今日の演奏ではテンポ感に迷いが感じられた。 ちょっと停滞しすぎ。

それから、これも公開練習で指摘されたように、何度か登場する piu mosso の部分に変化をつければ全体の構成にメリハリがついたように思うのだが、これも不十分だった。

難易度もそんなに高くないし、音楽の掘り下げ方をじっくり考えられるという意味でよいレパートリーになるのではないだろうか?

  • 三枝成彰/序曲《機動戦士ガンダム・逆襲のシャア》(山縣敦男/静岡県立二俣高等学校)

国塩さん、ガンダムについて語り過ぎ(笑)。 曲は、まあ、どうでもいいという感じ。 内容的にも編成的にも無理矢理感ありあり。

  • 丸山和範/Cubic Dance(野?豊/浜松市立南部中学校)

結局、ブロックコードを演奏した場合のバランスが改善されなかったのかなあ。 どうしてもテンションが含まれている和音は通常の協和音よりも響かないわけで、全般的にサウンドがもこもこしてしまった。 トランペットのソロは安定していてよかった(制服を見ると高校生のエキストラっぽかったけど、卒業生かな?)。

  • 服部克久/星への誘い -Invitation to the stars-(宮津宗之/浜松市立与進中学校)

これも作品的にはどうでもいい。ホルンがほとんど主旋律を受け持っているが、うまかった。

  • 西村朗/秘儀? -管楽合奏のための- (土屋史人/浜松海の星高等学校)

演奏といい作品といい、今回の演奏会企画の最大の成果ではないだろうか。 こういう高度な合奏力を要求される作品は、時間対効果が要求される、すなわち、より少ない練習時間でより大きな演奏効果を求めることになるプロフェッショナルな奏者ではなかなか取り上げにくいレパートリーなのでは?

前日の公開練習でも当日の演奏会本番でも安定した演奏が見られたということは、相当の練習を積んでいると思う。 その結果、このような熱演が生まれたということはアマチュアイズムの勝利なのでは。 「日本有数のバンド …..」というところで場内から失笑が漏れていたが、全国大会で金賞を取っているような指導者と演奏者でも(その是非はともかくとして)これだけの演奏ができるとは思えない。

来月、「響宴」を聞きにいこうとしているあなた(笑)は、この演奏を聴くべきだった。

  • 北爪道夫/並びゆく友(徳増誠/浜松市立江南中学校)

ここは前日の公開練習よりもリラックスした感じでよかったと思う。 エキストラを入れている団体も多かったのだが、ここは中学生のみでほっとするサウンドだった。

北爪さんがおっしゃっていたように「本来なら西村さんの作品が最後に置かれるべきなのだが、そうすると僕の作品を置く場所がなくなってしまうので、アンコールのような形で、お客さんにほっとしてもらう」という目論見は成功したと言えよう。

*****

まあ、中学生が演奏するには明らかに力不足な部分はあったが、そういうのはこれからリリースされる CD を聞けばいいのだ。

バンド維新2008~

こういう(響宴と違って(笑))全く採算が取れないであろうイベントには、やはり「お上」の力と太っ腹な企業が必要なのだと思う。 そういった意味で浜松市の企画力と実行力、全作品の楽譜を出版するのみならず、この演奏会のためにフルスコア集まで作成した東京ハッスルコピーの自虐的な使命感には脱帽するしかない。

毎年やってくれとは言わないが、せめて来年もう一回くらいやりませんか? で、藤家渓子さんと望月京さんに(使いまわしでもいいから)吹奏楽曲を書いてもらって下さい。

バンド維新2008その1

今日はバンド維新の初日。 レクチャーコンサートと公開練習である。

ある程度覚悟はしていたが、8団体が公開練習するということで13:00開演で終演予定時間は18:10とのこと。夕方からの合奏の準備もあるし、残念ながら途中で退席することになってしまった。

なので、聞いたのは以下の5団体。

  • 北爪道夫/並びゆく友(浜松市立江南中学校)
  • 丸山和範/Cubic Dance(浜松市立南部中学校)
  • 服部克久/星への誘い Invitation to the stars(浜松市立与進中学校)
  • 小六禮次郎/アンゼラスの鐘(浜松市立高台中学校)
  • 西村朗/秘儀I 〜管楽合奏のための〜(浜松海の星高等学校)

この中では、バンド維新の趣旨に沿った目的意識で書かれたのは北爪作品と丸山作品だけなのかな、という感じ。

北爪作品は数年前の課題曲である《祈りの旅》を思わせる作風。 楽譜としてはすっきりしているのだが、肝は3拍子と4拍子(3拍4連)が同時進行するところか。指揮者はやはり3拍子の拍子感をなるべく感じさせないように振っていたが、全ての拍でそれをやると合わせるべき1拍目が合わなくなってしまうのではないかなあ。

丸山作品は分数コードを多用した、ビッグバンドのサウンドにも通じる作品。 こういうところを作曲者によるピアノで解説してもらえるのがレクチャーコンサートの面白いところ。

西村作品は全く演奏者に妥協せず自らの語法を貫いている。 「中学生や高校生が演奏する」という前提がある場にこういう複雑な(情け容赦ない)楽譜を書く作曲者もすごいが、それを見事に音にしてしまう浜松海の星高等学校もすごい。 久しぶりに吹奏楽を聞いて鳥肌が立った。 舞台裏から「ブラヴォー」の声が出たが、全くその通りだと思う。 演奏を褒めつつも冷静にアドヴァイスを行い、演奏を修正している西村さんは非常に真摯だなあと思った。また、指揮者からの「ヘテロフォニーとは何か?」という質問に対して、かなりわかりやすく回答されていた。

服部作品、小六作品は過去の自作からの転用。 手持ちのストックを小編成のためにアレンジしてみましたという感じ。 小六禮次郎さんが来られなかったため、《アンゼラスの鐘》は北爪さんと三枝さんがコメントしていたのだが、他人の作品だからこそ好き勝手に言えるのか、面白かった。 三枝さんは、この作品がギリシャの映画監督であるテオ・アンゲロプロスの映画でかかっているようなイメージだと言っていた。なるほどね。

しかし、スコアを販売(それも学生が買えるくらい超リーズナブルな価格で!)して、それを見ながらレクチャーを聞けるという環境はすばらしいと思う。

今日の積志ウィンドアンサンブル

後半が団員総会なので、一曲だけ音出しをする。 予想以上に「ちゃんと」音出しできたのが収穫。 しかし、こういう対位的な曲は声部間のバランスをちゃんととらないといかんなあ。 団員が「RVW の《トッカータ・マルツィアーレ》みたい。」と言ったのは言いえて妙かも。

今年の定期演奏会用の曲を編曲中。 楽譜を取り寄せて音出ししてみたものの、かなり厚ぼったくなってしまうので原曲通りの(あるいは原曲に近い)編成でやってみようと思い立ったわけである。 そういうわけで、編曲といっても transcription ではなく adaptation とでもいった方がいい。

案の定、コンサートマスターからは完成をせかされる。 やっぱりクラリネットパートから手をつけておいてよかったなあ(笑)。

結婚披露宴

所属する吹奏楽団の団員同士の結婚披露宴での演奏。

  • バッハ/主よ、人の望みの喜びよ
  • Mr. Children/君が好き
  • 服部隆之/HERO – Main Title –
  • ヘンリー・マンシーニ/ムーン・リヴァー
  • マスカーニ/歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より間奏曲
  • アラン・メンケン/ホール・ニュー・ワールド

バッハとかマスカーニとかはこういう場で演奏するにはかなり神経を使う曲だと思うのだが、演奏は概ね満足。

出のタイミングを間違えそうになったりとか、終わる予定ではないところで自然にフェードアウトした(アクシデントとは思えないほど自然だったけど)とか、本番にはありがちのアクシデントはあったけど、こういうのは不可避なので臨機応変に対応できるといいですね。

2007年度ABAオストワルド賞

2007 年度の ABA オストワルド賞がマイケル・ドアティの《レイズ・ザ・ルーフ》に決まったらしい。 2003 年にデトロイト交響楽団のために書かれたティンパニ協奏曲を 2007 年に作曲者自身が吹奏楽編曲したもの。

音源を捜してみたところ、以下のようなミシガン大学シンフォニックバンドによる CD が見つかった。

http://www.equilibri.com/recordings/rec_86.eq

ドアティの作品ばかりを集めた面白そうな CD である。 同じようにオーケストラのための交響曲第3番《フィラデルフィア物語》の第3楽章を吹奏楽編曲した《ストコフスキーの鐘》とか、クラリネット協奏曲《ブルックリン・ブリッジ》とか。

この Equilibrium というレーベルはミシガン大学シンフォニックバンドの CD を他にも何枚かリリースしている。 (しばらくウォッチしていなかったら何枚か増えている ….. 今度買ってみよっと)

わりと吹奏楽な一日

朝からせっせと「BCL8」の曲目解説書き。 締め切りまでの時間配分の読みを誤っていて、三連休中はせっせと書いている。

朝一で「ハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァル 2005」の DVD が届く。 

狭山で行われたフェスティヴァル。ほとんど細野さん目当てである。 どこかのブログで見かけたのだが、発売されたことすら知らなかったし(確か BS デジタルでは放送されたはず)、扱っているお店も限られているみたいだし、枚数も限られているみたいだし、押さえておきました。

午後、定期演奏会用の楽譜がいくつか届く。 なるべく早く音出しをしたかったので「入荷待ちの分は別発送になってもいいから、今ある分だけを早く発送してくれ」とリクエストしていたのだが、別々の梱包で一緒に届きましたとさ …..

早く譜読みをしたかったのだが、原稿はまだ終わっていないし、外出しなければいけないし …..

ということで、浜松工業高校吹奏楽部の定期演奏会へ。

所属する吹奏楽団の団長から招待券を譲ってもらったとか、マイミクである NAPP さんこと中橋愛生さんが客演で自作の《科戸の鵲巣》を振るとか、マイミクであるナハナハさん(from 沖縄)とご一緒するとか、いろいろなイベントをまとめて解決させていただいた。さすがに育児とか原稿とかがあったので第1部で退席させていただいたのだが ….. 4部構成の演奏会の第1部だけで1時間って ….. 終演は何時だったんだろう …..

出てくるサウンドはほとんど完成されているが、何か腰の座らない演奏である。 最近よく考えている「ビート感」が不安定なような気がする。 それまで流れている拍節から、次に出てくる拍節のタイミングや強さが予測できない。 演奏者のアインザッツが微妙にずれているのはそのせいのような気がするし、曲の重心に向かう/離れるエネルギーが感じられないのである。

NAPP さんの指揮、および《科戸の鵲巣》の生演奏は初めて。 意外に指揮が大きいが、曲想には合っているのかも。 やはり、この作品は鳴るようで鳴らなかったり、ごちゃごちゃしているようですっきりしていたりと、(あまり聞き込んでいないせいかも知れないが)毎回不思議な印象が残る作品である。

フサの《プラハのための音楽1968》が今年の自由曲かな?

帰ってきて、夕飯を食べて、何とか原稿は脱稿。 予想外に早く片付いてよかった。 (毎回添削してくれる妻に感謝)

新年会などなど

「レコード・コレクターズ」2008年2月号は2007年のリイシュー・ベスト10特集。

記事を見ていたら、雪村いづみさんの「スーパー・ジェネレイション」が昨年リマスタリングされてリリースされていたことに気付く。 ちょうど外出する用事があったので、タワーレコードに寄ってみる。

昭和アーカイブス スーパー・ジェネレイション

服部良一の作品を、雪村いづみが歌い、キャラメル・ママが歌うという好企画盤。 とりあえず知っているところで《銀座カンカン娘》を聞いてみるが、伴奏はもろにリトル・フィートを髣髴とさせる。

アワー・コネクション

上記の「スーパー・ジェネレーション」と同じシリーズで再発。 こちらはキャラメル・ママがいしだあゆみのバックを務めている。

ヨシュア・トゥリー~スーパー・デラックス・エディション(初回限定盤)(DVD付)

U2 の名盤「ヨシュア・トゥリー」のデラックス・エディション。 当初は迷っていたのだが、先日のベスト盤(というか付録のライヴ DVD)に打たれた私としては買わざるを得ない。

このアルバムに収録されている《With or without you》は 1980 年代を代表する名曲だと思う。

*****

夜は、所属する積志ウィンドアンサンブルの新年会。

毎年この場で「今年のテーマ」を発表しているのだが、何か最近形骸化しているような気もするなあ。団員一人一人に毎年のテーマに対する回答を出して欲しいんだけどなあ。

とはいえ、毎年楽しみにしている(?)団員もいるらしいので、発表させていただいた。今年のテーマは「oneness」。一つであること。下手に説明するよりは各自で咀嚼して欲しいなあ。

で、この新年会のあとの深夜12時を選曲会議の決定最終期限に設定しておいたので(笑)、必然的にその手の会話が多くなる。メールでの議論もいいけ どフェイス・トゥ・フェイスの議論も大事だね、というか酒が入ったところでこういう議論をすると本音が出ていいかもね。とりあえずは無事に決まったと言っ ていいのではないかな。プログラム的にはここ数年の演奏会の中では非常に満足している。「吹奏楽の優れたオリジナル作品を演奏する」ことを活動目的にして いる我々としてはどこに出しても胸を張れるプログラムだと思う。あとはどこまで完成度を上げられるか、である。

あまりいい酔い方ができなかったので、いろいろ思い返すと少々自己嫌悪。

福岡第一高校

何となくオークションで落としてみた。

080111

福岡第一高校吹奏楽部が1994年にスロヴァキアのラジオ・ブラチスラヴァのコンサート・ホールで行った演奏会のライヴ録音盤である。

ライナーノートによると、1994年にウィーン青少年音楽祭に出場し、そのついでにオーストリア、スロヴァキア、南ドイツを回るコンサートツアーを行ったらしい。

《詩人と農夫》(スッペ)、《カルメン》組曲(ビゼー)、喜歌劇《こうもり》序曲(ヨハン・シュトラウス)など比較的ポピュラーなクラシック作品からのトランスクリプションが目立つが、《仮面幻想》(大栗裕)なども取り上げられている。