日別アーカイブ: 2009 年 3 月 1 日

バンド維新2009

2009年3月1日(日)14:00 アクトシティ浜松中ホール

(わかりにくいたとえかも知れませんが …)昨年のバンド維新に比べると、各作品が持つベクトルの大きさは小さくなったが、向きは多様になった、という感がある。にも書いたように(いい意味でも悪い意味でも)サプライズはなかったが、ウィンドアンサンブルという枠組みの中でのいろいろな試みが、「現場」をちゃんと意識した作品として結実したように思う。

当日、外山雄三さんのお話の中で「投げかけ」という言葉が使われた。それぞれの作曲家が「中学生や高校生が演奏する」ということをちゃんと考えた上で作品を投げかけている。当日の各作曲家のお話から、そのような真摯さや、親が子をみるような演奏者に対する暖かい視線が感じられた。

演奏について。邪知あるいは勝手な想像だが、今回静岡県外の中学校/高校が参加することになったのは、日程上(特にこの時期は高校の卒業式シーズンである)本来参加すべき団体が参加できなくなったがゆえの苦肉の策だったのではないかと思う。(だって、今でもホームページには「浜松市内中・高校吹奏楽部」と書かれているもんね。)

そんなわけで、今年はちょっと入場料が高いと感じる演奏だった。

この演奏会に臨んだ演奏者のモチベーションはいかがなものだったのだろうか?全曲が初演だし、作曲者も当然直接指導に来るだろうし、プレッシャーも大変なものだと思うが、「作品があるべき姿」を作ろうとするがゆえにこぎれいにまとまりすぎているような演奏もあった。「模範的な演奏」はこのあとCDで出るのだから(ちなみに4月リリースだそうです)、もう少し自分たちの色を出した方がいいのでは?(まあ、自分がその立場になったらそんなことできないかも知れないけど)

詳細は後ほど。

外山雄三/新しい行進曲

  • 浜松市南部中学校

50年以上も前に作ったピアノ曲がもとになっているらしい。オーソドックスなスタイルに、ちょっとひねりを加えたメロディなど、いかにも「習作」という感じの作品だが、作曲者本人が言っていたように「シンプルに作るのは難しい」のだろう。あえてそういうスタイルを狙ったのか?

マーチングスタイルの立奏だった。(じゃあ、前日のリハーサルも同じスタイルでやればよかったのに。)

前田憲男/LET’S SWING

  • 静岡県立浜名高等学校

正統的なビッグバンドスタイルの作品。吹奏楽のいわゆる「ポップス」に比べると、伴奏のリズム形とかメロディの節回しとかが、自然にグルーヴが出るように書かれているのかな、と思う。こういう作品は「吹奏楽作曲家」には書けないのだろう。

このノリを出すのはかなり難しいと思うのだが、演奏は健闘していたと思う。

片岡俊治/Memento mori ~for Wind Ensemble~

  • 東海大学付属高輪台高等学校

今回の公募入選作品。冒頭鳴らされる電子ピアノの和音が全曲を支配しているらしいが複雑すぎてよくわからなかった。その後のテンポが速くなった部分は、スコアで見ると声部の構成はすっきりしているのだが、響きはくぐもっている。もうちょっと演奏を整理すればすっきり聞こえそうな気もするのだが。(わずか5小節しかない)中間部の和音が印象的。冒頭の電子ピアノを聴いたときにも思ったのだが、メシアンを思い出す。

新実徳英/Ave Maria

  • 浜松市立与進中学校/ジュニアクワイア浜松

合唱を伴った作品。全体的には古典的な宗教曲の趣であるが、和声が面白い。もうちょっとテンションがきれいに響けばよかったかな。

渡辺俊幸/Music for V.Drums and Small Wind Ensemble

  • 静岡県立気賀高等学校

「冒頭の曲想のテーマはヒーローなんです。」という説明があったときに、《HERO》のテーマが頭に浮かんだのだが、あちらは服部隆之さんでしたか。でも、雰囲気は似ているような気がする。

丹生ナオミ/青竜舞(せいりょうのまい)

  • 浜松学芸中学校・高等学校

いちばん「吹奏楽っぽい」作品だったかも。いわゆるA-B-A形式。荒々しいAの部分と、それとは対照的なBの部分になっていて、曲想も旋律もわかりやすい。全体的にどことなく日本的な雰囲気がある。

時々現われる不均一な部分(例えば3/4拍子のオスティナートが1拍追加されて4/4になってしまうところとか、1小節単位のリズムが2小節になる部分とか)を強調すると、もう少し面白かったかも。中間部のクラリネットソロは素晴らしかった。

野平一郎/Le temps tissé III pour ensemble d’harmonie

  • 浜松海の星高等学校

今回いちばん期待していた作品。やはり浜松海の星高校の完成度は抜きん出ている。

ただ、昨年の《秘儀I》(西村朗)のようにぐいぐい推進していくような作品ではないので、かなりの緊張感が要求される。その緊張感を管楽器で演奏するのは(特に高校生では)不可能であるように思えるし、そもそもそれだけの緊張感を管楽器で演奏する必要があるのか、とも思う。

北爪道夫/空の上の散歩道

  • 名古屋市立新郊中学校

昨年同様、もっとも手応えのある作品の後は「帰る前に頭を正常に戻してもらうために」(北爪道夫さん談)北爪さんの作品が演奏された。

昨年の《並びゆく友》同様スコアはシンプルなのであるが、パート間のポリリズミックな掛け合いが難しそう。ときおり、管弦楽のための《映照》や吹奏楽のための《風の国》を思わせる多層的な響きが聞こえる。

来年度の公募作品募集も告知されていたので、来年も開催される模様である(よかった、よかった)。まとめ役である北爪さん以外の作曲家は重複しないようにしているのだろうか?だとすれば、また来年も楽しみが増えそうだ。

あと、昨年同様、会場でフルスコアが売られていた。昨年は簡易製本で2000円くらいだったと思うのだが、今年は最初からちゃんとした製本で4000円だった。これだと高校生は買わない(買えない)と思うので、もうちょっとがんばっていただけると。

あと、出演団体が揃わないんだったら、うち出ますよ、社会人バンドだけど(笑)。