名もなき毒

名もなき毒

久しぶりにゆっくり本を読める時間が取れるな、と思って選んだのがこの本。新刊で出たときに買って(夏休みくらい?)まだ読んでいなかった。妻は先に読んでいて、内容について話し合いたいから早く読めと言われていたのである。

宮部みゆきさんは「火車」を読んで面白いと思い、いくつかの代表作(「蒲生亭事件」とか「クロスファイア」とか「理由」とか「模倣犯」とか)を読み始めてみたのだが、何だかんだで中断してしまい、完読するのは久しぶりかも知れない。

無差別連続毒殺事件と、主人公の職場にいた「困った人」を巡る二つのストーリーを中心に物語が進む。「毒」というキーワードにいろいろな意味を持たせようとしたために、これらのストーリーがちゃんと収斂されていないように思うが、登場人物のキャラクターがよく描かれているし、(「火車」もそんな感じ だったと思うのだが)社会的なシステムの中での強者と弱者の「軋み」から生まれる哀しさの描き方には本当に心打たれるものがある。

他の作品も読み直したいなあ …..

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