こちらで紹介しているスラップ・ハッピーの「スラップ・ハッピー(邦題:カサブランカ・ムーン)」のオリジナルがこちら。新しくリマスタリングされて再発売された。「アクザルバナック・ヌーム(Acnalbasac Noom)」はこの邦題であり、スラップ・ハッピーの代表曲でもある「カサブランカ・ムーン(Casablanca Moon)」を逆に綴ったものである。
この「アクザルバナック・ヌーム」は 1973 年に録音されながら独ポリドールから発売を拒否された。そこで翌年に再録音されて英ヴァージンからリリースされたのが「スラップ・ハッピー(カサブランカ・ムーン)」である。「アクザルバナック・ヌーム」が正式にリリースされたのは 1980 年。スラップ・ハッピーはとっくに解散していた。
このアルバム自体には発売を拒否されるような要素はまったくない。メンバーがこのレコーディングに参加しているファウストの以前のアルバムのはちゃめちゃさに対する不安(同じようなわけわからんものを作られちゃかなわん)がポリドール首脳部の頭をよぎったのだろうか。スラップ・ハッピーはよく「アヴァンギャルド・ポップ」と称されるが、そんなに恐れおののくような音楽をやっているわけではなく、極めてわかりやすくポップである。
こういうパターンでは「売れ線を狙って再録音されたもの」と「メンバーがもともと意図していた音が入っているオリジナル」のどちらがよいのか?ということになるのだが、私としては音がソリッドにまとまっているオリジナルが好きである。
それにしてもダグマー・クラウゼの歌声のコケティッシュなことよ。