ダンサー・イン・ザ・ダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]

頭がカタルシスを欲していたので見ることにした。 半額で売られていたのをしばらく前に買ったまま見ていなかった DVD である。

ビョークが演じる主人公セルマはチェコからアメリカへの移民。 小さな工場で働きながら女手一つで息子を育て、アマチュア・ミュージカルが唯一の楽しみ。 遺伝的な病で徐々に視力をなくしていくが、同じ病を抱えている息子に手術を受けさせるためになけなしのお金を蓄えている。 ある日、そんな風にして蓄えたお金を盗まれたことから人を殺してしまい …..

といったあたりがあらすじである。

このあらすじは以前から知っていたので、かなり暗い映画であることは覚悟していたのだが、これらのこと自体はそれほど暗くは描かれていないし、そういう「他人の不幸」によって泣かせる映画では決してないのだ。

この映画で激しく心を揺さぶられたのは2点。

「なぜ、同じ病に冒されることを知っていながら子供を産んだのか?」という問いに対して「赤ちゃんをこの手で抱きたかったから。」と答えたセルマ。彼女は、彼女に降りかかる全ての不幸を受け入れなければ、このシンプルで根元的な願いを叶えることができなかったのだ。

それから「ミュージカルは最後の曲で終わってしまうから、最後から2曲目で席を立つの。そうすれば永遠でしょ。」と言ったセルマが最後に歌う《最後から2番目の歌》。

ミュージカルには哀しい場面はないと言うけれど、独房で歌われる《マイ・フェイヴァリット・シング(私のお気に入り)》(セルマが所属するアマチュア・ミュージカルが練習しているのは「サウンド・オブ・ミュージック」)は哀し過ぎる。

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