やっと購入手配をした今年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲がやっと届いた。
フルスコアを見ながら、さっと1回通して聞いた感想。
ここ数年の中では稀にみる秀作揃いなのではないか。少なくとも、今までになく「課題曲」であることを意識して書かれた作品が多いように感じる。
例えば、I や II は演奏者の技術力が試される。あまりスコアから逸脱することができない、言い換えればギミックやこけおどしなどの常套手段が使えないのではないかと思う。
III はシンプルなスコアではあるが、ただ音にしただけでは全くつまらない演奏になってしまうだろう。これは指揮者の音楽作りが大切なのではないか。
IV はここ数年の課題曲の作風を踏襲している。演奏者が共感しやすい旋律や曲構成という意味でいちばんとっつきやすいのかも。というか、I 〜 III は普通の学生バンドにはかなり敷居が高いのではないか。
V は … 「18歳未満お断り」ということで、こういうエクリチュールの作品が選ばれるのだろうか。確かに演奏者の技術をはかるのにはいいのかも知れないけど、中学生や高校生ではなく大の大人が、言ってしまえば「コンクールに勝つために」こういう楽譜をせっせとさらうのって何かおかしいと思う。それとも「強いバンド」はそんなにさらわなくても出来るのかしらん?
ということで、勝手に予想してしまうと IV がダントツ人気、I → II → III というふうな比率で取り上げられるのではないかと思われる。
聴いた限りでいちばん気に入った作品は木下牧子さんの《パルセイション》。じわじわと曲想を変えながら大きなうねりを形作るのがとても難しそうだが。