ということで「のだめカンタービレ」をとりあえず12巻読了。まあ、期待に違わない面白さだった。
(本編とは関係ないけど、ちょっと帯がずれてしまうとどれが何巻かわからなくて困ってしまったのは私だけ?)
これを読んで音楽をやりたくなる人が増えているというのもわかる気がする。一応、私も指揮者をやっているわけなのだが、さらに高いレベルの音楽の愉しみ(ニュアンス的に「楽しみ」よりもこう書きたい)が伝わってくる。
しかし、もっとも心に突き刺さったのは第5巻で千秋の父がチャイコフスキーの《悲愴》について語るセリフである。この曲に隠されている秘密と謎についてこう言った。
チャイコフスキーは悲しくてもそれを言うことができなかったんだ
音楽の存在意義を一言で言い表している至言である。
以前、こんなことを考えたことがある。例えば、悲しい曲を演奏するときにはきっと自分の人生の中で出会ったいろいろな悲しいことを連想して演奏するのだと思う。それが人に言えないくらい悲しいことであっても、「音楽」という形に昇華されれば憚ることなくそれを表現することができるのである。