ボウリング・フォー・コロンバイン

「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見に行く。(田舎なので3日間しか上映されないんだ、これが。)

ボウリング・フォー・コロンバイン マイケル・ムーア アポなしBOX [DVD]

アメリカの銃社会を題材にしたドキュメンタリー映画で、今年のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞した。また、授賞式でのスピーチで監督のマイケル・ムーアが「ブッシュ、恥を知れ!」とイラク侵攻を痛烈に批判したことでも話題になった。

タイトルは、デンヴァー州のコロンバイン高校での生徒による銃乱射事件から採られている。この事件の実行犯である二人の高校生はボウリング部員であり、事件当日の朝もボウリングをしていたのだそうだ。

閑話休題。吹奏楽関連でもこの事件を題材にした作品がいくつかある。全日本吹奏楽コンクールで演奏されて話題になったデヴィッド・ギリングハムの《アンド・キャン・イット・ビー》や、フランク・ティケリの《アメリカの哀歌(アメリカン・エレジー)》など。

受賞スピーチのように誰かを糾弾するという激しいアジテーションはなく、ウィットを交えながらなぜアメリカで銃犯罪がなくならないかを真面目に分析 している。見終わった後に変に重苦しい感情が残らないのも、制作側がドキュメンタリーといえどもエンタテインメントであることをわかっているからなのでは ないか。

一つの結論として導き出されたのが、「不安」を抱かせて一般市民をコントロールしようとする権力(政治であったりマスコミであったり)の存在であ る。確かに「銃」の問題だけに限らず日本でもこのような傾向はあるのかもしれない。以前から感じていたことなのであるが、ちょっと前に少年たちの間でバタ フライナイフが流行ったのはマスコミが過剰に報道したのが原因ではなかったのか?最近、集団自殺が連鎖的に発生したのもマスコミ報道が関係していなかった と言えるのか?「初回限定盤だから早めに買わないと手に入りませんよ」と購買意欲をあおるのも、消費者に「不安」を植え付けていることになるのではないか (笑)?

アメリカでは犯罪発生率が確実に減少しているのに対して、ニュースで犯罪報道が放送される率は増加しているのだそうである。銃乱射の実行犯がファン だったということで槍玉に挙げられたマリリン・マンソンのインタビューもあるのだが、失礼ながら至極真っ当な意見を表明していることに驚いた。一方、撮影当時全米ライフル協会の会長だったチャールトン・ヘストンはインタビューの途中で言葉を濁して退席するのであるが、「大人の世界」に生きている人としては あの行動が最善だったのだろう。マリリン・マンソンが言っていたように「原因を誰かに押しつけておけば」楽なのである。そういうシニカルなパラドックスも マイケル・ムーアの狙いなのだろうか?

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