Author: musicabella

  • 楽譜乱れ買い

    期末ということで、ヤマハミュージック浜松店では輸入楽譜の半額セールをやっていた。メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》と、ヒンデミットの《画家マチス》を買う。 《世の終わりのための四重奏曲》はヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという編成による四重奏曲。第二次大戦中にメシアンが囚われていた収 容所の中で作曲・初演された作品である。この作品がこのような編成になっているのは、メシアン(ピアノ)が収容所で出会った演奏家が演奏する楽器だったからだそうである。ピーター・ゼルキン(ピアノ)やリチャード・ストルツマン(クラリネット)らが結成した「アンサンブル・タッシ」はこの作品の編成と同じ メンバー構成で、もちろんこの作品の録音も残している(が、私はまだ聴いたことがない)。また、武満徹はこのアンサンブル・タッシのために「カトレーン」 という作品を書いている。 この《世の終わりのための四重奏曲》はタイトルから想像されるほど悲観的な音楽ではない。むしろ宗教的な救済を希求しているような穏やかな曲調であ る。例えば《トゥランガリラ交響曲》のような色彩感があるわけではないので「感覚的に」とても長く感じるのであるが、それを除けばそれほど難解な音楽ではないと思う。(まあ、私も耳だけでは長さを克服できないのでスコアを買ったわけなのですが …..)「鳥の声」とか「移調の限られた旋法」とか「不可逆リズム(でしたっけ?)」などメシアンを語る上での重要な語法がかなりわかりやすい形で提 示されている。 《画家マチス》も聞いただけではよく分からなかったのでスコアを買ってみたしだい。 あわせて、クイーンの紙ジャケ第2弾の6枚と、LOVE PSYCHEDELICO の新譜「III」と、坂本龍一の新譜「chasm」を。

  • ロンドン日記(その2)

    ロンドンで朝から夕方までみっちりミーティング。どうも、個人的に「イギリス式英語」は聞き取りにくい。母音の妙な癖のために単語を認識しにくいのである。 ミーティング場所(勤務先の現地法人の研究開発セクション)はロンドンの西の外れの Chiswick Park という駅の近くにある。この隣に Turnham Green という駅があるのだが、実は以前ロンドンに遊びに行った時に泊まった B&B の最寄り駅がこの Turnham Green だった。地下鉄で通った時に初めて気付いたのだが、海外で同じ場所を何度も訪ねるという機会は少ないのでとても懐かしい。 ミーティング後は近くのパブへ。ギネスを1パイントおごってもらう。一応、私が住んでいる浜松にもギネスの生黒ビールが飲める店はあるのだが、日本 に入ってくるとかなり苦味が増してしまうような気がする。黒ビールを敬遠する人が多いのはそのせいではないかと思っているのだが。あちらで飲むのは香ばし くまろやかである。 宿泊は Hammersmith にあるホテル。ごぞんじホルストが吹奏楽曲で土地の情景を描写した、あの「ハマースミス」。もはや、あの曲で聴かれる牧歌的な雰囲気はなく普通に都会であ る。駅の近くには数々の名ライブで知られる「ハマースミス・オデオン」(現在はハマースミス・アポロ)がある。ちなみに Reference Recording からリリースされているダラス・ウィンド・シンフォニーのホルスト作品集のジャケットは、地下鉄ハマースミス駅の看板である。 (後日付記)この出張はとにかく働きっぱなしだった印象です。朝起きたら仕事場へ直行して夕方まで打ち合わせ、ホテルに帰ってきたら夕食を取りながら仕事の続きの議論、ずっとそんな感じでした。ロンドンのあとスイス(チューリヒ)へ行ったのですが、ブログを書く気力もないほど疲れ切っていたのでしょうなあ。

  • ロンドン日記(その1)

    急遽、海外出張のためにヨーロッパへ行くことになった。 初めてブリティッシュ・エアウェイズに乗る。エコノミーでも結構広めでなかなか快適。パーソナルビデオもある。席はけっこうガラガラで、ひとりで窓 側の3席を占領することができた。私の後ろでは学生の卒業旅行らしきいくつもの集団がいて、それぞれに雑談している。話の内容を聞いていると気分が高ぶっているらしいのが見て取れてなかなか微笑ましい。 パーソナルビデオなのでビデオだけでも18チャンネルある。結局「ファインディング・ニモ」を2回見てしまった(フライトは12時間)。確かにいい映画だ。 今回は機内用防塵保湿マスクというのを買ってみたのだが、これがなかなか優れもの。唇は荒れないし喉や鼻は乾燥しないし、長距離フライトには必需品になりそう。

  • 聞く人に伝えるための技術

    久しぶりに堀越昭宏さんのホームページを訪れたら、かなり様変わりしていてびっくり。この方はキーボーディストなのだが、実は私のトランペットの大先輩である。シンプルに「かっこいい音楽とは何か?」という考え方について、私は堀越さんから多くのものを教わったと思っている。 常々考えていることであるが、私は「吹奏楽に携わっている」という以前に「音楽に携わっていたい」と思っている。だから、吹奏楽という狭い世界でのみ通用する「どこかの国のマスゲームのようなポップスの振り付け」だとか「誰も聞いたことがなさそうな管弦楽曲を演奏してしまう」という行為に違和感を感じているのである。堀越さんの日記を読んでいて目から鱗が落ちた。プロのみならずアマチュアでも、聴衆の前で演奏するからには絶対に考えておかなければならないことなのではないだろうか。 もちろん音楽なんだから、エモーションが全てに優先することは言うまでもないが、 聞く人に伝えるための技術というのは絶対に存在するし、必要なのだ。  

  • 紙ジャケ

    完全に紙ジャケにはまっている。 まあ、こういう機会でもなければ聞こうとしなかった70年代のロック(主にプログレッシブ・ロック)に触れることができたのは怪我の功名と言えるのではないだろうか。先日「大人買い」したクイーンに続いて、キング・クリムゾンの9枚を買ってみた。いくつかの店を回ってみたが、それぞれの店で売れているタイトル(=売れ残っているタイトル)が微妙に違うのが面白い。その店の常連が気に入ったタイトルだけ買っていったのかな? クリムゾンははっきり言ってファーストアルバムしか聞いていない(それも去年初めて通して聞いた)のであるが、気長に少しずつ聞いていこうと思う。レーベルの再現についてはまだ詰めが甘いというか契約上実現不可能な部分もあったようだが、ジャケットの美しさと、とことんまでこだわった再現性については、クイーンとキング・クリムゾンの紙ジャケ再発(実は以前にも紙ジャケでリリースされている)は行くところまで行ってしまった感がある。(ジャズだとブルーノートレーベルやビクターのXRCDシリーズもなかなか綺麗なジャケットである。まあ、ロックの方がポスターや歌詞カードなどの内容物に凝らなければいけない分、大変な気はする。)以前は単に「紙ジャケにしただけ」という安易な紙ジャケタイトルも多かったのであるが、今後は新たなステージに進むのではないだろうか。しかし、この調子で紙ジャケがグレードアップしながら再発を繰り返したら嫌だな。  

  • クイーン

    テレビドラマの主題歌になったり(「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」)、CMで流れたり(「キラー・クイーン」)、ベストアルバム(「クイーン・ジュエルズ」)がオリコン初登場1位になったりして、クイーンが売れているようである。 このたび紙ジャケも再発になったので買ってみることにした。とりあえず第一ラウンド8枚。東芝EMIの紙ジャケは「高い」ということで不評なのであるが、紙ジャケの再現度を上げることでこの批判をかわしているようである。 個人的に一番好きな曲はデヴィッド・ボウイとの共作「アンダー・プレッシャー」である。この手の曲の定型である「Aメロ−Bメロ−サビ」といった形式を取らずに、ひたすら最終部に向けて盛り上がっていくという、ある意味いびつな曲構成がよい。上記のベストアルバムに含まれているようでCDショップでもよく聞くのであるが、ひょっとしてこのアルバムバージョンは微妙に短くなっていないか?この間買ったストーンズのベスト「フォーティー・リックス」に入っていた「アンダーカバー・オブ・ザ・ナイト」(すみません。ストーンズのマイベストはこの曲です(_0_)。)も微妙に短く編集されていたのだが、曲数を稼ぐためにこういうことをやっているのかなあ?吹奏楽コンクールのカットではないが、こういうことをされると心臓に悪いので慎んで欲しいものである。  

  • 浜北吹奏楽団演奏会

    時間の都合で第1部しか聞けなかったが、浜北吹奏楽団の定期演奏会を聞きに行った。浜北市文化センター中ホールは500人に満たないキャパだと思うが、満員で立ち見が出るくらいのお客さん、そのほとんどはご年配の方のようであった。 第1部は全日本吹奏楽コンクールの課題曲を集めたプログラムで、《音楽祭のプレリュード》(リード)、《ディスコ・キッド》(東海林修)、《風 紋》(保科洋)、《そよ風のマーチ》(松尾善雄)、《行進曲「SLが行く」》(若杉海一)が演奏された。曲自体は課題曲の中でも人気がある曲だし、選ばれ た曲の作風もおおむねバラエティに富んでいてプログラミングとしては悪くないと思う。しかし「全日本吹奏楽コンクールの課題曲」という括りを訴求すること は、あまり意味がないのでは、とふと思った。特にお客さんで吹奏楽経験者も少なかったようだし。 演奏については、ただ漫然と音楽が流れて行っているだけ ….. という印象を持った。技術的にどうこうという問題の前に、演奏する曲に対してバンドなり演奏者なりの意味付けが行なわれていないのではないかと思うのであ る。自分自身と自分が振っているバンドへの戒めも込めて。

  • アメリカ空軍バンド

    最近まったくアクセスしていなかったのだが、アメリカ空軍バンドのホームページがかなり様変わりしていた。このページからは過去にリリースされた自主制作CDのディスコグラフィが見れるし(ただし全てのCDではない)、曲によっては音源が聞けるものもある。 例えば《リンカンシャーの花束》、デ=メエイの《指輪物語》、ドビュッシーの《海》が聞ける。 ***** 前にも書きましたが、アメリカの軍楽隊の自主制作CDに多少ダブリがありますので交換していただける方を募集します。基本的な方針としては、 軍楽隊の非売品CD同士の交換(軍楽隊のCDでも商品との交換はいたしません) 一対一の交換 金銭トレードはなし と考えております。興味がある方はお気軽にメールください。  

  • 吹奏楽のCDたち

    なかなかネタがないので、最近買ったCDの紹介でも。ただし、インターネット通販で買ったので品物はまだ届いていない。 Chunk / University Of Nevada – Las Vegas Wind Symphony (Mark Custom / 4867-MCD) UNLV の最新作。表題はジョナサン・ニューマンの作品で世界初演らしい。ウォルトンの《メジャー・バーバラ》とかアーノルドの《第6の幸運をもたらす宿》とか日本で最近人気のあるレパートリーが取り上げられている。 Major Barbara Walton, William Pini di Roma (Pines of Rome) Respighi, Ottorino October Whitacre, Eric Chunk Newman, Jonathan (World Premiere) Inn of Sixth Happiness Arnold, Malcolm Melody Shop, The King, Karl L 以下の2枚はウィスコンシン大学ミルウォーキー校ウィンドアンサンブルの「Classics for Wind Ensemble」というシリーズのCD。今までに3枚リリースされているようだが、一枚目はミッドウェストで入手していたらしい(記憶が定かではないが、おそらく購入したのではなくて、ブースで無料でもらった覚えがある)ので、他の2枚を購入することにする。 Classics For […]

  • フルーツ・パフェ

    フルーツ・パフェ plays フルーツ・パフェ 伊藤康英さんのフルートアンサンブル作品集。「フルーツ・パフェ」というのは演奏しているアンサンブル(みなさん東京芸術大学在学中とのこと)の名前であるとともに、伊藤さんの作品でもある。 いわゆるフルーツ・パフェ(Fruit Parfait)と、「完璧なフルートたち」という意味のフランス語(Flutes Parfait)をかけた題名。「フルーツ・パフェ」「マロン・ミロンガ」「チョコレート・ダモーレ」「ジェラート・コン・カフェ」という4楽章からなっている。サロンミュージックっぽく洒落た感じの曲である。 「ケニアン・ファンタジー」はもともとピアノ連弾のために書かれた作品であるが、いろいろな編成に編曲されている。これはケニア民謡の旋律を使っていて、構成的にも技術的にも平易に書かれている。聞いても演奏しても楽しめるのではないかと思う。 CDショップではおそらく販売されないと思うので、直接伊藤さんのホームページで問い合わせてみてください。