月別アーカイブ: 2010年2月

私は元気

昨日とても天気がよかったので、今日はからだを動かしたいなあ、と思っていたのですが、そういう日に限って朝から雨が降っています。

雨が止んだところを見計らって散歩に出かけたのですが、やはり途中で雨が強くなってきたので帰って来てしまいました。時間にして、ちょうどブラームスの交響曲第4番の第1楽章と第2楽章分くらいでした。20分くらいかな?

夕食は久々にポトフを。

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今日のハンブルガーSVはアウェイでバイエルン・ミュンヘンと。2位のバイエルンとの直接対決ということで勝てば上位に近づけるチャンスだったのですが、0-1で負けてしまいました。一応4位はキープしているのですが、3位のシャルケとは勝ち点差8、5位のボルシア・ドルトムントとは勝ち点差1です。

今日から春ということにします

まだ、風は冷たいのですが、時おり日差しが差し込んで「外出したい」という気持ちにさせられます。心なしか、外を歩く人たちの服装も軽くなったような気がします。昨日までとは全く雰囲気が変わりました。さすがにもう雪は降らないよなあ … そろそろ自転車も出さないと …

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例によって買い出しへ。お昼時にハンブルクの中心部を歩き回っていると、だいたい「Sala Thai」か「CHA CHA」のタイ料理を食べたくなります。ということで今日は「Sala Thai」へ。初めて注文したメニューです。魚を揚げたものをスイートチリソースに和えたもの。ご飯によく合います。

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SATURN では期末ということもあるのか、CD/DVDが全品20%OFF … なのですが、差し当たってどうしても欲しい CD もないし、3月にはプチ大名旅行も控えているし、ということで(私には珍しく)踏みとどまりました。

それから体重計も破格の価格で売り出されていたので「修理を依頼する手間と労力を考えれば …」と思って買ってしまいました。体重計に乗るのは1ヶ月ぶりくらいかなあ … 自覚症状通り、かなりやばい状況です。何とかしないと …

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ウィーン旅行が「第二の独身生活」最後のイベントと書きましたが、すみません(誰に謝っているんだ?)、訂正します。

今日、ハンブルク歌劇場へ行ってチケットを買ってきました。一つ目は3/7(日)に初演が予定されている新作オペラ「女たちの三部作(Trilogie der Frauen)」。もともとはアルゼンチン生まれのフランス系作曲家オスカル・ストラスノイ(Oscar Strasnoy)への委嘱作《ル・バル》が初演されるということなのですが、これにシェーンベルクのモノドラマ《期待》、ヴォルフガンク・リームの《Das Gehege(The Warren)》があわせて上演されるのだそうです。実は「初演」というのは特別な演奏会のようで、チケットの価格が普段の倍くらいに設定されています。まあ、一種の「ご祝儀」込みの料金だと思うので、私は2回目の公演に行くことにしました。

もう一つはハンブルク・バレエによる《ダフニスとクロエ》(ラヴェル)《牧神の午後への前奏曲》(ドビュッシー)《春の祭典》(ストラヴィンスキー)。以前にドレスデンで見たものと同じプロダクションだと思うのですが、かなり面白かった(特に《ダフニスとクロエ》)ので本場のハンブルク・バレエによるステージを見てみたいと思ったわけです。

ハンブルク・フィルの定期会員はこれらのチケットを10%OFFで買えるのですが、オンラインではディスカウントできないので直接チケットオフィスまで赴く必要があります。「英語が話せる」ということで対応してくれた係のお姉さんは「さすがプロ」という感じの仕事で感心しました。まず見たい演目を伝えると「(チケットの価格について)いくらまで出すつもり?」と聞かれます。大まかな空席状況と価格は事前に調べておいたので「このへんの場所でこのくらいの価格の席が空いていると思うんだけど …」と伝えると、「この演目(前者)はまだ初演されていないので何とも言えないんだけど、一般的にはそれよりもこっちの方が見やすいわね」と別の場所を薦めてくれます。ということで、想定していたよりも少し安いけど良さげな席をゲットすることができました。

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オリンピックを見ている途中で気付きましたが、今日は2月の最終土曜日。例のラ・フラ・デルス・バウス(La Fura dels Baus)演出による《ニーベルンクの指環》も今日放送される《神々の黄昏》でいよいよおしまいです。

ストーリーはだいたい知っているのですが、舞台としてはほとんど見たことがありませんでした(DVD 持っているのに …)。それゆえ、このオペラ自体がそもそも面白いのか、それとも演出/配役/演奏を含めたこのプロダクションが素晴らしいのかはよくわかりませんが、かなりのめり込みました。ハーゲンの悪役としての存在感が見ていて面白かったです。しかし、お笑い芸人の「鉄拳」みたいなメイク(額には¥マークが、頬には漢字が書かれています)はどういう意図があるんだろう?そして最終場面、《ブリュンヒルデの自己犠牲》から指環がまたライン川に帰って行くあたりは本当に感動してしまいました。最初は柳原可奈子に見えて仕方がなかったブリュンヒルデもこの《神々の黄昏》の中ではあまり気にならなくなりました(笑)。

演奏会その33: ウィーンフィル

ProArte • Wiener Philharmoniker • Lorin Maazel
Fr, 19:30 – ca. 21:30 Uhr / Laeiszhalle / Großer Saal

Wiener Philharmoniker
Dirigent Lorin Maazel

Ludwig van Beethoven: Symphonie Nr. 6 F-Dur op. 68 «Pastorale»
Anton Bruckner: Symphonie Nr. 3 d-moll

やはり、音の鳴りは他のオケとは別次元です。今まで聞いたオケの中では(何回も書いていますが)シュターツカペレ・ドレスデンの音がとても気に入っているのですが、ウィーンフィルの音はドレスデンの音をぴかぴかに磨き上げて音のエッジを鋭角にしたようなイメージです(どちらがいい悪いと言っているわけではありませんので、念のため)。飛んでくる音も途中で減衰せずにベクトルをしっかり維持しているように聞こえます。管楽器だと「隅々まで息の通った張りのある音」みたいな表現ができるのですが、弦楽器の場合はどう言えばいいのかちょっとわかりません。

指揮者はロリン・マゼール。来月80歳を迎えるようですが、まだまだ元気です。指揮の振りはとても軽いのですが、それでもオケから的確な表情を引き出せるのはさすがだと思いました。そして指揮者用の譜面台が用意されていないことに驚きました。ベートーヴェンの《田園》はともかく、どうやったらブルックナーの交響曲を暗譜できるのでしょう?

そういえば、マゼールの暗譜能力についてこんなエピソードを聞いたことがあります(人から聞いたんだっけ?本で読んだんだっけ?)。マゼールは弟子にスコアを完全に暗記させて、そのあとに「何小節目のこのパートは何を演奏している?」といった質問をするのだそうです。なぜそんなことをするのかというと、マゼールがそれを必要だと思っていて、マゼールにはそれができるから、なのだそうです。

で、演奏の方ですが、まずブルックナーは圧倒的に素晴らしかったです。このオケの隅から隅まで鳴らし切るソノリティはブルックナーの作品にベストマッチだと思います。げっぷが出そうな濃密な音圧に圧倒されました。スコアを見ると金管の編成は4-3-3-0(実はテューバを使っていない)なのですが、それぞれ1本ずつアシを追加していたようです。それにしてもこれだけの中庸な編成でこんなに充実した響きが出てくるとは、ブルックナーのオーケストレーションがすごいのか、ウィーンフィルがすごいのか。

ただ、同じような方法論をベートーヴェンの《田園》に持ち込むと少し違和感を感じます。一言で言うと「過剰」。序盤こそ弱音や細かい部分でも音符がしっかりと聞こえてくることに感心していたのですが、だんだん疲れてきました。例えるならば、極端に解像度の高い映像を見続けた時の疲れみたいなものでしょうか、情報量の多さについていけなかったのかも知れません。

アンコールはブラームスの《ハンガリー舞曲第5番》。《田園》も(いい意味で)このくらい手を抜いてくれればよかったのになあ、と思わせるリラックスした演奏でした。

いろいろなオケを同じホールで聞けると違いがわかって面白いです。良くも悪くもウィーンフィルの個性はワン・アンド・オンリーだと感じました。

but I got two!(承前)

朝5時(日本時間午後1時)に起きて、女子フィギュアスケートのフリースタイルを見ました。まあキム・ヨナにあれだけの演技をされたら届きませんね。真央ちゃんと順番が逆だったら(そして細かいミスがなかったら)プレッシャーをかけられたのに … というのは結果論ですが。前回のトリノオリンピックでは荒川静香の演技がよかったためにそのあとにすべったスルツカヤにプレッシャーをかけたように思いますし。そういえば、トリノオリンピック(もう4年前ですね)が開催されたのはちょうど息子が言葉を覚え始めた時期で、オリンピックのことを「おぴんく」と言っていたことを思い出しました。ドイツでもちゃんと Eurosport というチャンネルが生中継してくれていたのですが、日本での放送と違い、演技中にはアナウンサーや解説が全く口をはさまずにただ会場の音が流れているだけでした。

さて、ブーレーズ指揮ウィーンフィルの演奏会チケット入手の顛末です。背景はこちらのブログエントリーをご参照ください。発売開始時刻の前から PC に張り付いて、発売開始と同時にいちばんいいチケットを取る、という目論見だったのですが、開始時刻になっても「あなたは会員じゃないからもうちょっと待ってね」というメッセージが出てなかなかチケットを予約できない大らかさが日本と違いますね。

まあ、そんなに急がなくても比較的いい席が取れました。ちなみにプログラムは、

  • シマノフスキ/交響曲第3番《夜の歌》
  • ドビュッシー/遊戯
  • ブーレーズ/ノタシオン(I, II, III, IV, VII)

です。どんな曲だったかはすぐに思い出せませんが、確か音源は全部持ってきたはずなのでこれから予習に励みます。… が、ノタシオンのVIIはなかったかなあ … シマノフスキの交響曲は来月ハンブルク・フィルも取り上げるので、年末に帰国した時に発掘してMacに取り込んできたところです。

この演奏会が3/19(金)の夜なので、金曜日から日曜日にかけて2泊3日でウィーンに行けばいいわけです。ということは3/20(土)にある演奏会も聞けるわけで、目ぼしいものがないか探してみました。

「まさか、今からチケット取れないよなあ …」と思ってウィーン国立歌劇場のウェブサイトを見てみたのですが、まだ残っていました。ワーグナーの楽劇《ラインの黄金》。指揮は今年から小澤征爾に代わってこの歌劇場の音楽総監督に就任するフランツ・ヴェルザー=メスト。(ちなみにヴェルザー=メストは来年のウィーンフィルのニューイヤーコンサートを振ることも決まっています。)

《ラインの黄金》は4部作《ニーベルンクの指環》の序夜にあたる作品です。私は何度も「指環制覇」にチャレンジして挫折しているので(笑)、この《ラインの黄金》だけはたくさん見たり聞いたりしています。ストーリーもほとんど頭に入っていますし、4部作の中でいちばん短いし(それでも2時間30分ほどですが)、まあ、いけるのではないかと。

さすがに安い席はほとんど残っていませんが、3階バルコニー席の比較的中央に近い席が中庸の値段で残っていました。さすがにそれほど安くはありませんが、このレパートリーを日本で見ることを考えると安いです … という意味の中庸です。

「第二の独身生活」最後のイベントとして、ほんのちょっとパーっとやってきます(笑)。

絶対に負けられない戦いがここにもある

車についている温度計によると、今日は出勤時の外気温が4℃、退勤時が8℃、だいぶ暖かくなってきました。冬の間行われていなかったアウトバーンの補修作業も、少なくとも私の通勤路では今日から準備が始まりました。冬の間はさすがに危ないので行われていなかったのだと思いますが、夏から秋にかけては必ずどこかで一車線が閉鎖されていて路肩やガードレールなどの補修が行われていました。

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今のところドイツのいい赤ワインに巡り合えていないので、今日は多少は「勝手知ったる」イタリアのワインを買ってみました。サンジョヴェーゼです。最近、ワインを飲みつけていなかったせいか、かなり酔っぱらってしまいました。単なる飲み過ぎかも知れませんが。

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先日、日本にいる知人から「マドリード(スペイン)で行われるチャンピオンズリーグの決勝を見に行こうと思うんだけど、ご一緒しませんか?」というお誘いをいただきました。その日は家族旅行の予約を入れてしまっているのでお断りさせていただいたのですが、よくよく調べてみると、ヨーロッパリーグの方は5/12にハンブルクのHSHノルトバンクアレーナで決勝戦が行われることがわかりました。今日はラウンド32の第2戦目があってベスト16が決まったところです。今までカップ戦はあまり興味がなかったのですが、決勝がハンブルクで行われるということで、がぜん応援する気になりました。

ハンブルガーSVはオランダのASVアイントホーフェンとの対戦、第1戦はホームで1-0、第2戦はアウェイで2-3と一勝一敗だったのですが、アウェイでの得点数が上回るハンブルガーSVが辛くもベスト16に進出しました。次はベスト8をかけてベルギーのRSCアンデルレヒトとの対戦です。

リヴァプールやユヴェントスも残っているので、そのあたりとハンブルガーSVが決勝で顔を合わせたりするとうれしいのですが。

イントゥ・ザ・スープ

気温がちょっと氷点下になると、すぐに雨が雪に変わりますねえ。昼食時に同僚に聞いた話によると、ハンブルク上空あたりでは大西洋からの低気圧と大陸の高気圧が拮抗しているので天気が変わりやすいのだとか。それから以前食べる時には「Guten Apettit.」と声を掛け合う、という話を書きましたが、「Mahlzeit.」という言い方もあることを教えてもらいました。Zeit(時間)という語が含まれていますが、Mahlzeit という単語で「食事」という意味なのだそうです。みんなで「飯だ!」「飯だ!」と叫び合うわけですね(笑)。

午後6時くらいに帰ろうとしたら別の同僚が。「今日中に作ってくれって頼まれた資料さあ、今二人がかりで作っているからあと30分くらいでできるよ。」とのこと。そうですね、人にモノを頼んだら待っているのが筋ですね。無事受け取って、一通り眺めて、ちょっと直して欲しいところをコメントして午後7時。急がせたのでこのくらいはしないと。

というわけで、今日は夕食は外で。いつもの「Asia Lam」へ行きました。お店に入るなり、おばちゃんが「今日はグヤーシュのヌードルあるよ。」と声をかけてくれました。Wundabar! ということで、これとアルコールフライを注文しました。

今日は軽く済ませようと思っていたのですが(何せ体重計が故障中なので日々の体重を測れないのです)、サービスで銀の容器に盛られたライスがドン。「茶碗もらえますか?」と言ったところ、「麺を食べた後にスープの中に入れて食べるのよ(推測)」とのこと。ヴェトナム風ラーメンライスというか、辛さ控えめのカルビクッパみたいな味でもあります。なんだかんだ言ってライスも全部食べてしまいました。最近、この料理がとても気に入っています。

one to go(あと一つ)

雨ですねえ。このまま雪が全部溶けて春になってくれればいいのですが。

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お昼は会社でガッツリ食べて夕食は軽く、という今日のパターン。冷凍うどんの賞味期限が近づいてきたので、簡単なサラダうどんもどきを。うどんを茹でてお湯を切って、もどしたワカメをのせて、軽くダシをかけて、仕上げに桃屋の「辛いようで辛くない、でもちょっと辛いって結局どうなの」(仮称)をのせるとけっこういけます。

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さて、とりあえずドイツ生活初年度にあたって「ベルリンフィルハーモニーホールでベルリンフィルを聞く」「ムジークフェラインザールでウィーンフィルを聞く」という目標を立てました。前者は意外と簡単に達成できたのですが、後者はなかなか大変です。

「ウィーンフィルを聞く」ということ自体はさほど難しくはありません。以前(いつだっけ?)浜松でも小澤の指揮で《アルプス交響曲》を聞いたことがありますし、今週はマゼールと一緒にハンブルクにも来ます。ただ、ムジークフェラインザール(Wiener Musikferein Großer Saal ウィーン楽友教会大ホール)で聞こうとするとかなり大変です。日曜日に行われる定期演奏会、およびその前日に行われる公開ゲネプロは定期会員のキャンセルでもなければなかなかチケットが出回らないようです。ただ、出回ったとしても一週間前にウィーンのチケットオフィスで発売されるのでそこまで出向くか電話で問い合わせる必要があります。かなり敷居が高いです。業者が扱っているのかも知れませんが、そこで割高になるのもちょっと癪ですし。

そこで他の可能性を探りました。実は定期演奏会ではない特別演奏会なるものがウィーンで開催されることがあります。こういった特別コンサートは定期公演とは別物なのでチケットも比較的入手しやすくなります。ただ、この特別演奏会はムジークフェラインだけでなくコンツェルトハウスで行われる場合もあります。まあ、せっかくウィーンまで行くのならウィーンフィルのホームグラウンドであるムジークフェラインで聞きたいですね。

ということで、特別演奏会、かつムジークフェラインで開催され、かつ最低限の有休取得で何とかなる金曜日から日曜日の間に開催される演奏会、というのが対象になるのですが、今シーズンで現実的に行けそうなのは一つしか見つかりませんでした。3月19日(金)に開催されるピエール・ブーレーズ指揮による演奏会です。ウィーン楽友協会主催の特別演奏会のようで、協会員の優先販売が一ヶ月前の2月19日(金)から、一般販売が2月26日(金)だそうです。何とか一般販売までチケットが残っているといいのですが …

リゲティ9枚組

とりあえず、忘れないうちに購入録を。

amazon.deに予約注文していたリゲティの9枚組が届きました。

Ligeti Edition

ソニーからリリースされていたリゲティ作品集9枚を集めたもの。噂ではエサ=ペッカ・サロネンが指揮した作品の出来がリゲティの逆鱗に触れたことでソニーのプロジェクトが中断され、テルデックに移って再開されたとか。ちなみにテルデックから出ていた5枚もボックスセット化されて今では安く手に入ります。

The Ligeti Project [Box Set]

シベリウス音楽学院の学内演奏会でリゲティのピアノ作品を聞いたところ、とても面白かったので、ちょうどいいタイミングで届きました。さっそくピエール=ローラン・エマールの演奏で聞いてみました。リゲティの管弦楽作品などはかなりスタティックな印象なのですが、ピアノ作品はちょっと諧謔的な作風といい、不均一なリズムの過激さといい、バルトークの影響、あるいはバルトークにも影響を与えたハンガリー民謡の影響が見て取れます。

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気温が上がって、ひさしぶりにまとまった(雪ではなく)雨が降りました。道ばたに積もっていた雪もかなり溶けました。このまま春になってくれるといいのですが。

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夕食は、妻がポイントカードの引き換えか何かでもらった、レトルトの浅草今半の柳川丼。こてこての関東風の甘辛ダシで煮込まれた具に、ドイツの卵を回して食べました。

フィンランド・エストニア日記(その3)

朝7:00起床。早々にホテルをチェックアウトして、8:00出発のヴァイキング・ラインでヘルシンキまで帰ります。船内のレストランでビュッフェスタイルの朝食を。(我々だけではありませんが)8:00 からだらだら食べて飲んで閉店時刻の 10:00 までレストランの中でうだうだしていました。(我々だけではありませんが)さすがに「閉店なので出て行ってくれ」と言われ、そのあとはフリースペースでまたうだうだ。そうこうしているうちに10:30くらいにヘルシンキに到着しました。

まずはフィンランド国立博物館へ行ってみました。フィンランドの国自体を知るためのいろいろな展示があったのですが、前提として国の歴史を知っていないとちょっと苦しいかも知れません。

その後、14:00からのシベリウス音楽学院内でのコンサートを聞きに行きました。とは言ってもクラスの発表会のようなもの。ごく内輪の発表会で聴衆は10人くらい。時間の関係で最初の2人だけ聞きました。なお、コンサートが行われたのはシベリウス音楽学院の本館ではなくて、レッスン用の建物のようでした。

二人ともバッハの《前奏曲とフーガ》(というか平均率クラヴィーア曲集)、それからベートーヴェンのピアノソナタを弾きます。これらは課題曲のような位置付けで先生から課せられたのではないかと推測されます。

最後の演目が「自由曲」ということになるのでしょうか、一人目はシューマンの《ピアノ協奏曲》(まあ、どうでもいい話ですが、ウルトラセブン最終回の名場面、モロボシダンが「僕はウルトラセブンなんだ!」と告白する場面で使われています。)オーケストラパートは友人(かな?)に弾いてもらって、二重奏の形で演奏されました。

二人目の自由曲はリゲティのピアノ練習曲集からの2曲。初めて聞きましたが面白い曲です。

そのあとはアパートに戻って帰るための荷物の用意。それからタクシーを呼んでもらってヘルシンキのヴァンター空港まで。あ、今さらですがアパートのある通りはこんな感じです。1ブロックの端から端まで続く大きなアパートが特徴なのだそうです。

Davidとはアパートの玄関で別れました。そういえばDavidは奥ゆかしいというかシャイというか、自分からは決して握手する手を差し出さないことをタクシーの中で思い出しました。以前、別れる時に「ちゃんと握手すればよかったなあ」と思ったのですが、またもや同じことを繰り返してしまいました。前回は次にいつ会えるのかわからないような状況だったので非常に後悔したのですが、今回はお互いに世界中のどこにいても簡単に会えそうな気がしたので、それほど大きな後悔はありませんでした。

空港でチェックインして搭乗口の待ち合いスペースの椅子に座ったとたんにどっと疲れが出て、体全体が一気にだるくなりました。今まで寒い中を歩き回っていたので体が緊張していたのかも知れません。

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今回の旅行で村上春樹さんの「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読了。(そういえばこの本を前回読んだのはサンフランシスコへの出張の道中だったような気がします)寒い世界で「世界の終わり」の方を読んでいるとかなり「あの世界」にひたれます。この作品、今まではラストが非常に切ないものだと思っていたのですが、今回読み直して実はハッピーエンドという考え方もできるのかなあ、とふと思いました。

以前、「ノルウェイの森」の冒頭にハンブルク空港への着陸シーンが出てくるとご紹介しましたが、この小説ではフランクフルトの観光ポスターが出てきたり、主人公がルフトハンザ航空の袋を持ってコインランドリーへ行ったり、登場人物の一人(「ハードボイルド・ワンダーランド」の博士)がフィンランドに行ってしまう設定になっていたりと、微妙なシンクロニシティを楽しめました。と、書きながら思い出したのですが、短編集「回転木馬のデッドヒート」の中に「レーダーホーゼン」という短編が収められています。レーダーホーゼンというのはドイツ人が履いている半ズボンのことで、登場人物がドイツ旅行中にレーダーホーゼンを作ろうとして … というストーリーになっています。村上春樹さん、実はドイツ好き?

フィンランド・エストニア日記(その2)&演奏会その32: アルヴォ・ペルト作品展

事前に David と電話で会話したときに「ヘルシンキからエストニアのタリンまで行く航路があるので、それでタリンに行くのも面白いかもね。」という提案を受けました。友人が訪ねてきた時に使う典型的な観光コースなのだとか。もともと、いわゆる旧ソ連に属していた国に対して、文化的な違いとか生活習慣の違いとかについて漠然とした興味を持っていたので、願ったりかなったりです。

昨日に引き続き、気温はマイナス20℃前後。David も「ヘルシンキに来てから、こんなに寒いのは初めてだ。」とか言っています。ただ、今日は特別なのかもしれませんがハンブルクに比べてさわやかに晴れ渡っています。ハンブルクの冬にこんな明るい日差しを見るチャンスはそうそうありません。

本当は街中を観光しながら港まで行って船に乗る予定だったのですが、昨晩のように寒さが半端ではありません。まずは地下鉄でヘルシンキ大聖堂を見に行きました。この大聖堂から船が出る港まで比較的近いので徒歩で。11:30発の船でタリンへ。

港から外海へ出るところにあるスオメンリンナの要塞群。世界遺産にも登録されていて、島全体が要塞のようになっています。

この季節なので当然海は凍りついているわけで、このように流氷をかきわけて船が進んで行きます。

ヘルシンキからタリンまでは約60km、船はそこを2時間30分ほどかけて進みます。エストニアはフィンランド湾をはさんでフィンランドと向かい合った国で、北はフィンランド湾、西はバルト海に面していて、東はロシアと、南はラトビアと国境を接しています。国の面積は九州より少し大きいくらいで、そこに130万人の人が暮らしているということです。言語はエストニア語(というのがあるんですよ)。文字列を見る限りフィンランド語に似ている感じがします。

というわけで午後2時頃にタリン到着。ヘルシンキより少しはましかな、というくらいの寒さです。船の中でだらだら食べたり飲んだりしていたので、お腹はあまり空いていません。とりあえず旧市街まで歩いてみることにしました。

遅めの昼食はエストニア名物らしいパンケーキのお店へ(そういえばシアトルでDavidにパンケーキをおごってもらったなあ)。ブルーベリーとクリームチーズが入った「甘系」と、ハムとチーズが入った「しょっぱ系」をシェアしました。

夕方になって(写真を撮り忘れてしまいましたが)聖ニコラス教会へ。ここには15世紀の画家バーント(ベルント)・ノトケが書いた「死の舞踏」があります。貴族と骸骨が並んで踊っているという不気味な絵です。この「死の舞踏」を題材にした絵はたくさんあるので、以前に本で見た絵がこれなのかどうかわかりませんが、とにかくこの手の宗教画は見た記憶がありました。

教会の中では何かコンサートのリハーサルが始まるような気配があったので、近くにいた女性にいた尋ねてみると午後7時からアルヴォ・ペルトの作品を集めたコンサートが行われるとのこと。チケットを尋ねてみるとここには1枚しかないとのこと。「エストニアの教会でペルトの作品を聞ける機会なんてなかなかないんだから聞きに行った方がいいよ」(ペルトはエストニア生まれの作曲家です)と David に言われ、ありがたくそのチケットを入手することにしました。彼はタリン在住の友人と時間を潰すということなので、コンサートが終わった後に連絡するということで別れました。

というわけで当日のプログラムですが … エストニア語です … 曲目はかろうじてドイツ語、ラテン語、英語などで書かれていますが …

  • 巡礼の歌(Ein Wallfahrtslied)
  • 来たれ、創造主よ(Veni creator)
  • 聖なる母よ(Most Holy Mother)
  • 交響曲第4番《ロサンゼルス》(エストニア初演)
  • 主よ、平和を与えたまえ(Da pacem Domine)

3曲目がアカペラ、4曲目がオーケストラのみ、それ以外の作品は合唱とオーケストラのためのための作品です。タイトルでわかるようにほとんどが宗教的な題材による作品で、最初の曲の演奏が始まってから最後の曲が終わるまで、曲間で一切拍手はありませんでした。なので、途中までどれがどの曲かわかりませんでした …

実はペルトというと、その作風は何となく想像できるのですが、実際によく聞いていたのは20年くらい前に購入した以下のCDでした。このCDには極度に抑制された編成や、中世音楽のスタイルを模した作風など、ストイックな作品が収められていてとても気に入っています。

Arvo Pärt: Arbos

この演奏会で取り上げられた作品は21世紀に入ってから作曲/改訂された作品が多く、上記のCDに収録されている作品に比べるとモダンな手法が取り入れられているというか、中世的な響きと現代的な響きが混在するような作品が多かったように思えます。上記のCDに収められている作品が好きな私にとって、こういう作風は中庸的というかペルトの持つ個性が薄められてしまっているのかなあ、と感じました。

ただ、交響曲第4番《サンフランシスコ》は、ペルトのいわゆる「前衛時代」に書かれた3曲の交響曲から実に40年近い時間を経て作曲されたという意味で興味があります。繰り返し聞くと印象が変わるのかも知れません。

あ、会場にはペルトも来ていました。

コンサートのあとで David と再び落ち合い、近くのホテルのバーでちびちびとお酒を。紹興酒のような飲み口のタリンのお酒と、エストニアのローカルビールである「SAKU」を飲みました。「タリンのように1000年近くも風景が変わらない街にいると、ペルトのように古い時代のまま時が止まったような音楽を書く気持ちがわかるような気がするね。」みたいな話をしながら。