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深夜の視聴
毎週末にそれぞれの家庭に配られる一週間のテレビ番組表には確かにSAT.1でUEFAチャンピオンズリーグ(すなわちFCバルセロナ対レアル・マドリード)を放送すると書かれていたのだが、放送予定時間になっても始まらないし、ウェブで確認しても全然別の番組が放送されるとある。やっぱり、放送権とかの関係で無理だったのかなあ? というわけで、なかなか眠れなかったのでだらだらとDVDを見ることにする。 まず、U2のアルバム「No Line on the Horizon」の付属DVD。こちらにも書いたがこのショートフィルムの冒頭はパリの風景から始まる。凱旋門とエッフェル塔を望む風景が朝から夜へと変わり、夜のパリの街を抜けて主人公が旅立つ … というストーリーになっている。(ちなみに最初の風景は凱旋門が左に、エッフェル塔が右にあるのでブローニュの森方向から映したものと思われる。) 前に見た時の感想にもあるが、ジム・ジャームッシュの映画にあるような、異邦人の視線で眺める都市の風景が好きで、この映像を見た時に漠然と「こんな視点でヨーロッパの街を訪れてみたい」と、それまでになく強く感じたことを覚えている。 そして、何の因果か、その数日後にドイツ駐在の内示を受けて現在に至る … というわけなのである。 パリを訪れた時にこの映像のことを思い出し、あらためて見てみたいと思っていたのである。 はい、次。 両親がドイツに来た時に持って来てもらった Perfume の東京ドームライヴ。今に始まったことではないが、よくぞ3人だけで大勢の観客と対峙できるよなあ、と感心する。数曲演奏した後でMC。MCもノーカットで収録されているようでだれる。それまでの曲の緊張感があったので、この落差はちょっときつい。また見直そうっと。 はい、次。 元キャンディーズのスーちゃんこと田中好子さんが亡くなられたということで、NHKが追悼番組を放送するらしい。(まあ、もちろん海外放送のJSTVではやらないと思うけど)「わが愛しのキャンディーズ」というドキュメンタリーが5/8に放送される予定なのだが、なぜかこの番組が以前放送された時に録画していたので見てみることにする。 一応リアルタイムで見ていた世代なのだが、そんなに思い入れはない。年齢的にはピンクレディーにはまる年齢だったのだろう。キャンディーズにはピンクレディーのようなエロさもなかったし(笑)、子供ながらに「なぜ3人いるのにユニゾンでばっかり歌っているんだろう?」とも思った。この「ユニゾンの秘密」は最近 Wikipedia を読んで謎が解けた。 当然NHKの番組に出演している映像が多く流されるのだが、バックでトランペットを吹いている人はどう見ても新田一郎さんである。かっこいい。これもWikipediaで調べてみたところ、バックバンドを務めていたMMPがのちのスペクトラムになることがわかった。四半世紀前にトランペット小僧だった人はこれだけでも見る価値があるかも。どうでもいいけど「レッツゴーヤング」での演奏は毎回テンポが早くて歌いにくそう。 あと「普通の女の子に戻りたい」という発言で有名な解散宣言が、実はコンサートのエンディングで突然発表され、しかもスタッフはそれを全く聞かされていなくて、しかもその様子が映像に収められている、というのが印象的だった。 それから後楽園球場(東京ドームはまだなかった)で行われた解散コンサートのダイジェストも放送される。「解散コンサート」というと、どうしても山口百恵さんの解散コンサートと比べてしまう。彼女が《さよならの向こう側》というキャリアの最後を飾るに申し分のない楽曲を持っていたのに対して、キャンディーズの《つばさ》はちょっと弱いかな、と感じてしまった。
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総天然色!!
またまた「おっさんホイホイ」ですか … 総天然色ウルトラQ 昭和41(1966)年に放送された「ウルトラQ」がアメリカのレジェンドフィルムス社の技術でフルカラー化されるそうな。 決してリアルタイムに見た世代ではないのですが、ウルトラシリーズには心惹かれる世代です。「ウルトラQ」は確か中学生くらいの時に地元の放送局で再放送されたので、毎朝6時に早起きして見ました。あとは大学時代にTBSの深夜放送で再放送されたのを友人に頼んで録画してもらったりとか。 「ウルトラQ」に限らないしテレビ番組にも限らないのですが、自分がリアルタイムで見ることができなかった時代への羨望があります。厳密な意味での「ノスタルジー」ではないように思うのですが、何なんでしょうね。 閑話休題。もちろんフルカラー化とはいっても、どれだけ最新技術を駆使しても、そのリアリティーに限界があることは百も承知です。しかし、モノクロをカラーにすることによって、少なくとも私は、また一つ新しい夢を見られると思っています。 あの頃に受けた新鮮なショックを、人生経験を積み重ねたあとに(笑)また味わえるのではないかと、とても期待しています。いや、まじめな話、YouTube の「特報」を見て卒倒しそうになりました。 細かい話ですが … リリースされるボックスにはブルーレイ版とDVD版があって、それぞれモノクロ版とカラー版が両方含まれます。DVDのモノクロ版は以前から出ていた「デジタルウルトラシリーズ」と同じものが使われるようですが、ブルーレイのモノクロ版は新規にリマスターされたものが使われるようです。通常のテレビ放送番組は16mmフィルムで撮影されることが多かったのですが、ウルトラQは劇場用映画と同じ35mmフィルムで撮影されていたので、原盤の画質はかなり高品質です。「デジタルウルトラシリーズ」は16mmフィルムのデジタル化だったのですが、今回は35mm原盤からのデジタル化ということで、実はモノクロ版についてもかなりのグレードアップが期待されます。
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今日届いたもの(20世紀ヴァイオリン協奏曲集)
そういうわけで、ジョナサン・ノットが指揮するシューベルト交響曲全集+αを買ってから、彼のディスコグラフィをつらつらと眺めていたのですが、気になる一枚を発見。 ヴァイル/ヴェレス/シュテファン: ヴァイオリン協奏曲集 すでに廃盤なのか、マーケットプレイスでけっこういい値段がついています。手に入れにくいものほど手に入れたくなる性格なので(笑)、amazon.fr のマーケットプレイスで見つけた新品(まあ妥当な価格)を買ってみました。本日到着。 20世紀に書かれたヴァイオリン協奏曲を3作集めたもので、指揮はそのジョナサン・ノット、オーケストラはルツェルン交響楽団、ヴァイオリン・ソロはステファン・テンツ。テンツは1990年のジュネーヴ国際音楽コンクールでヴァイオリン部門第2位を受賞しているようです。 クルト・ヴァイルのヴァイオリン協奏曲は実は吹奏楽(管楽オーケストラ)が伴奏です。 エゴン・ヴェレスはシェーンベルクの弟子で橋本國彦の師匠に当たる人。 ルディ・シュテファンは第一次世界大戦でわずか28歳で戦死したドイツの作曲家。時代的に表現主義的な作風を持っているそうです。 ヴェレスとシュテファンは名前すら初めて聞く作曲家です。まあ、聞いてみることにしましょう。
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フル・メタル・ヴィレッジ
昼食時の話題。 昼食で席が一緒になったエンジニアの出身地がいかに田舎か、という話題になりました。隣りの家まで何キロあるとか、学校で「標準ドイツ語スピーチコンテスト」があるとか … で、その時に上司が振った話題がありました。 北ドイツにはヴァッケン(Wacken)という小さな村があるのですが、そこで毎年全世界からファンが集まるヘヴィーメタルのフェスティヴァル(W.O.A. = Wacken Open Air)があるのだそうです。ちなみに公式ホームページはこちらなのですが、今年の8月4日〜6日に行われるフェスティヴァルのチケットはすでにソールドアウトになっているようです。 そのフェスティヴァルの模様を韓国人女性が取材したドキュメンタリーフィルムがあって、それがなかなか面白いのだそうです。 ちょっと調べたら、それが「フル・メタル・ヴィレッジ」という映画だということがわかりました。(タイトルも秀逸) 日本語版は出ていないようなのですが、見てみたいなあ。
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シューベルト/MARIA/Perfume
今日届いたもの シューベルト交響曲全集 ジョナサン・ノット指揮バンベルク交響楽団によるシューベルトの交響曲全集。 このコンビは以前実演を聞いた時にもかなり気に入りました。先日の演奏会でシューベルトの《未完成》を聞いて、もうちょっとちゃんと聞いてみたいと思い、最近リリースされたこの全集(とりあえず全部!)を買ってみようと思ったのです。 この全集はいままで4枚のSACDでリリースされていたシューベルトの交響曲全曲に加えて、現代の作曲家がシューベルトの作品を素材に作った作品を集めた2枚の作品集「ダイアログ」と「エピローグ」をまとめた6枚組です。 ベリオ、ヘンツェ、ツェンダー、リームなどの作品が収録されています。意外(といっては何ですが)と後世の作曲家に影響を与えているんですね。そういえばベルリオーズも《魔王》を管弦楽編曲していますし、ウェーベルンも《ドイツ舞曲》を編曲していたりします。(ウェーベルンの編曲は本人が指揮した音源がCD化されています。) で、とりあえず《未完成》から聞いてみました。遅。冒頭の16分音符の刻みの細かいパルスが明確に聞こえます。ダイナミクスも(譜面通りなんだろうけど)かなり極端。 MARIA/朝比奈マリア デビュー直後のYMOが「YMO名義」で参加した1979年リリースのアルバム。ちなみに「YMO」として参加したレコーディングはそんなに多くありません。近田春夫「天然の美」とかシーナ&ロケッツ「真空パック」とか。 このアルバムはソニーの「オーダーメイドファクトリー」での通販限定販売。 結成10周年、 メジャーデビュー5周年記念! Perfume LIVE @東京ドーム 「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」【初回限定盤】 [DVD] 年末に帰省した時に見たNHKでのドキュメンタリーが面白かったので。いつも「足の洗いどころ」を考えているのですが、やはり買っちゃいますねえ …
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Songs for Japan
今日からサマータイムでの出勤。 サマータイムになると日没時間が遅くなるわけで、何となく会社から帰り辛くなる今日この頃。 ***** iTMSで東日本大震災復興チャリティのために作られたコンピレーション「Songs for Japan」をさっそく購入しました。 http://itunes.apple.com/jp/album/songs-for-japan/id428415201 名前を聞いたことがあってもちゃんと聞いたことがなかったアーティスト、例えば Red Hot Chili Peppers であったり、Beyonceであったり、Foo Fighters であったり … をあらためて聞くことができました。意外に印象に残ったのが、The Black Eyed Peas の《One Tribe》、それから最後に置かれた Norah Jones の《Sunrise》が厳かな余韻を残します。全然関係ないけどジム・ジャームッシュの映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」のエンディングに似た雰囲気を感じました。 それからクイーンの《手を取り合って》も話題になっているようで。
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坂本龍一 NHK session
ototoyから「坂本龍一 NHK session」をダウンロード購入。 http://ototoy.jp/feature/index.php/20110322 今年の元旦にNHK-FMで放送された「坂本龍一ニューイヤー・スペシャル」での大友良英、大谷能生、ASA-CHANG、菊地成孔、やくしまるえつことのセッションを高音質でミックスし直したもの。 48kHz/24bitのWAVとDSD+mp3という2種類のパッケージがありますが、せっかくならより高音質のものにしようと思い、DSD+mp3版を購入しました。 出勤時に聞こうと思って朝食前にダウンロードを始めたら4時間かかると言われたのでそのままにして会社へ。帰ってきて夕食を食べながら聞こうと思ったら大友良英さんとのセッションは「うるさい」と言われ、やくしまるえつこさんとのセッションは「不気味だ」と言われ … 明日はちゃんと車の中で聞きます。
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今日届いたもの(グレインジャー/バッハ)
Grainger: the Grainger Edition 結局買っちゃったよ … CHANDOSレーベルからリリースされていたグレインジャーの作品集19枚を廉価盤ボックスにしたもの。 吹奏楽作品はもちろんのこと、室内楽作品や管弦楽作品も機会があれば(アウトレットで安く出ていたら)ちまちま集めていたのであるが、今までのCD2枚分くらいの価格でこの全集が買えてしまうので、ダブりは承知で買ってみた。 自分で指揮したこともあるので《リンカンシャーの花束》は何十種類もの演奏を聞いてきたのであるが、ここに収められている演奏は究極の理想形といっていいと思う。RNCM(ロイヤル・ノーザン・カレッジ・オブ・ミュージック)ウィンドオーケストラの研ぎ澄まされた「いかにもウィンドアンサンブル!!」というサウンドでグレインジャーの非凡なオーケストレーションの妙が楽しめる。 また、グレインジャーは同じ作品をさまざまな編成で生み出している「編曲魔」なのであるが、編成の違いによる雰囲気の違いを味わうのも楽しい。《岸辺のモリー》《コロニアル・ソング》《カントリー・ガーデンズ》などを管弦楽、吹奏楽、室内楽で聞き比べると面白い。 声楽やピアノ曲はあまり聞きこんでいなかったのでこれから勉強したい。 ***** Flute Sonatas(左) 6 Brandenburg Concertos: Bwv 1055 1060(右) ふと、バッハの《ブランデンブルグ協奏曲》が聞きたくなった。最近、耳が「ピリオド演奏」に慣れている私としては、そちらの演奏を選択してもよかったのだが、選択肢が多くてよくわからない。正直に言えば、数多の古楽器演奏団体がどのような演奏をしてどのような評価を得ているのかがよくわからないのである。モーツァルトの交響曲全集がすこぶる愉しかったホグウッドの盤もあるのだが、初稿を使っているそうなのでファーストチョイスにはちょっとリスクが高い。 そういうわけなので、無難にカール・リヒター/ミュンヘン・バッハ管弦楽団による盤を買ってみることにした。リヒターのバッハは《管弦楽組曲》にしろ《音楽の捧げもの》にしろ非常に気に入っている演奏なので《ブランデンブルグ》の印象も大きくは違わないのではないか、と思ったわけである。また、将来的にはきっとピリオド演奏も買うことになると思うので、モダン演奏を聞くモチベーションは今がいちばん高いのではないか、という判断もある。 《管弦楽組曲》や《音楽の捧げもの》にはピリオド演奏にも通じるスピード感が感じられたのであるが、リヒターの《ブランデンブルグ》はかなりノーブルというかゆったりした感がある。(あ、ちなみに日本に置いてきた(=リッピングし忘れた)ブランデンブルグはピノック/イングリッシュ・コンソートです。) で、私がリヒターの《管弦楽組曲》や《音楽の捧げもの》が好きなのは、これらの盤でオーレル・ニコレがフルートを吹いているという要因も小さくはない。というわけで、リヒターとニコレによるバッハのフルート・ソナタ集も買ってみた。長年買いたいとは思ってもいなかったのだが、なかなか手が出ていなかった盤である。 これなら、フルート吹きの妻も文句は言うまい(ニヤリ)。
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今日届いたもの(インバルのベルリオーズ)
Hector Berlioz Edition 以前はDENONから出ていた(あ、今も廉価盤で出ているか …)インバル/フランクフルト放送響のコンビによるベルリオーズの管弦楽作品集。最近よくお世話になっている激安レーベル Brilliant Classics からのライセンス販売である。jpc.deで19.99ユーロ。CD 11枚に 幻想交響曲 イタリアのハロルド 劇的物語《ファウストの劫罰》 劇的交響曲《ロメオとジュリエット》 キリストの幼時 テ・デウム レクイエム が収録されている。 ちなみにインバルは《幻想交響曲》の続編と位置付けられている《レリオあるいは生への復帰》(作曲者自身が連続した上演を指示しているにもかかわらずその機会は少ない)も録音しているのだが、なぜかこのボックスには含まれていない。これがこのボックスのマイナスポイントであると指摘する人もあるのだが、私は《幻想交響曲》の初発売時に限定生産された《レリオ》とのカップリング盤を持っているので問題ない。(好きな言葉は「初回限定」です。)まあ、廉価盤では普通に《レリオ》も手に入るようだが … 「音楽が重い」だの「抑揚に欠ける」など批判的な意見の多いこの頃(1980年代後半~1990年代前半)のインバルであるが、マーラー交響曲全集やブルックナー交響曲全集における、感情的に拘泥することなく曲の細部を見渡せる演奏はけっこう気に入っている。もっとも同じ頃にリリースされたラヴェル管弦楽作品集における《ダフニスとクロエ》はさすが重くて嫌だった覚えがあるが。 ということで、この全集を買う前に手持ちの《幻想交響曲》を聞き直してみたのだが、やはり悪くない。フランス的というよりはドイツ的だし、多くのリスナーがこの作品に期待するであろうグロテスクさや魑魅魍魎さは薄味だとは思うが、純音楽的なアプローチは明快で爽快である。第4楽章「断頭台の行進」で前半部がリピートされるのはちょっとびっくりするけれど。
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今日届いたCD(ラインハルト・フリードリヒ)
Nobody Knows De Trouble I See (CAPRICCIO 10 482) ベルント・アロイス・ツィマーマン/トランペット協奏曲《誰も知らない私の悩み》 ルチアーノ・ベリオ/セクエンツァX ヴォルフガング・リーム/無題I ジャチント・シェルシ/トランペットソロのための4つの小品 ヴィルヘルム・キルマイヤー/途切れた別れ 先日買った《若き詩人のためのレクイエム》でベルント・アロイス・ツィマーマンという作曲家に興味を持った。その前に購入した(そしてなかなか聞けていない)「Musik in Deutschland 1950-2000」という大規模なボックスの中にトランペット協奏曲《誰も知らない私の悩み》が収録されていたので聞いてみた。このタイトルは作品に引用されている黒人霊歌から取られている。その黒人霊歌のメロディが12音音楽を経てクライマックスでビッグバンドを伴うジャズに変容してしまうのがとても面白い。 「Musik in Deutschland 1950-2000」に収録されていた演奏は少しトランペットソロが不安定に思えたので、ソロが安心できるフリードリヒの演奏で聞いてみたかったのである … が、このCDの演奏はきれいにまとまり過ぎているような気がする。高揚感を味わうには多少の荒さがあった方がいいのかな?と思ったしだい。 ベリオの《セクエンツァX》はトランペットソロと、共鳴のために音を発しないピアノ(つまり鍵盤をそっと押さえてペダルを踏んでおく)のための作品。これは申し分ない。 シェルシの《4つの小品》はあまりシェルシっぽくないなあ。もうちょっと「誰も近づけない孤高の世界」の音楽を期待していたのであるが。