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閉店セール
近所のCDショップが閉店するということで在庫品を20%引きで処分中。何枚か購入した。 コレクション リュート奏者のつのだたかしさん率いる古楽器グループ「タブラトゥーラ」のベスト盤。ちなみにつのだたかしさん、《メリー・ジェーン》でおなじみの歌手つのだ☆ひろさん、「恐怖新聞」「うしろの百太郎」でおなじみの漫画家つのだじろうさんは兄弟である。 この「タブラトゥーラ」は古楽器による編成なので基本的なレパートリーはルネッサンス期の音楽なのであるが(金管アンサンブルではおなじみのズザートの曲なんかもやっています)、無国籍な音楽(インド風のものやジャズ的なインプロヴィゼーションが入るものまで)もやっている。耳に入ってくる音自体は「癒し系」(そろそろ死語?)なのであるが、ちゃんと聞いているとかなり刺激的な音楽をやっている。 10年くらい前に彼らのレパートリーである《カレリア》という曲を聞いて非常に感銘を受けた。ワンコード(というかモーダルと言った方がいいのか)のシンプルな曲で、ゆったりとした 5/8 拍子の古風な舞曲。フィードル(ヴァイオリンの一種)とリコーダーがソロを取り、リュートやハープが伴奏をするというアイルランドあたりにありそうな作品である。 この作品を聞いてみたかったので。 太陽さん まだ、このアルバムは入手できるんですね。とっくに廃盤になったと思っていた … LP では持っているのだが、このピクチャーレコードのデザインは素晴らしい。 例の「DVD-R 化計画」で、10年ほど前に WOWOW で放送された「HAJIME TACHIBANA DESIGN」というビデオが出てきたので、思い出した。 最初にきいたのは大学時代だから、かれこれ20年近く前か。いい意味であまり内容のない音楽だと思うのだが、不思議と印象に残る曲が多い。 ヴィーナス・アンド・マース(紙ジャケット仕様) ポール・マッカートニー関連の紙ジャケも出ているのだが、いまいち食指が動かない。とりあえず、一枚買ってみることにする(これで全部買うことになったアーティスト数知れず)。おなじみヒプノシスのデザインである。 コロンバイン・ハイスクール・ダイアリー 著者のブルックス・ブラウンはコロンバイン高校銃撃事件の実行犯2名の友人である。日本ではあまり報道されていないが、アメリカではこの事件についてかなりマスメディアに露出していたようだ。また、マイケル・ムーアの「ボーリング・フォー・コロンバイン」でも取材され出演している。まだちゃんと確認していないのだが、未成年者に銃弾を売らないようにとマイケル・ムーアが K マートに直談判に行った場面で「コロンバイン高校の生徒」として紹介されるメンバーの一人のようだ。 小学生の頃から犯人と友人だった著者だからこそ書けるであろう、普通のいじめられっ子が学校での大量殺戮を周到に計画するにいたった過程が丁寧に冷静に語られている。また、事件後、彼にかけられた警察からの不当な嫌疑や、それと戦い最終的に潔白が証明されるまでの記録も書かれている。 タイムリーであるが、悲劇的な結末に至るまで止めることができない心理的葛藤のプロセスは、佐世保市で起こってしまった不幸な事件と符合する点が多いような気がする。
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BCL3脱稿
「ノヴェナ バンド・クラシックス・ライブラリー3」の曲目紹介を脱稿。 実は、このシリーズは作品が複数収録されている作曲家が多い。チャールズ・カーターとかフランシス・マクベスとかアルフレッド・リードとかスウェアリンジェンとか。レックス・ミッチェルにいたっては《海の歌》《大草原の歌》《序奏とファンタジア》とそれぞれに一曲ずつ収録されているのである(となると、第4集にはやっぱり「あの曲」か?)。 そもそも多くが古めの曲なので資料もそんなにないし、とりわけ教育的作品の場合には曲の周辺データも少ない。データがあったとしても曲の背景などが語られている場合は少なく、せいぜい作曲年度や委嘱の経緯などがわかるだけだ。そういうわずかな資料から曲目紹介を書くのは、実はかなり大変である。 曲そのものの音楽的な流れを言葉で追いかけて「曲紹介」とするのはあまり好みではないので、それは極力避けたつもりである。曲紹介を読んでいただいて、その作曲家の他の作品への興味が生まれるような書き方を心がけた。この文章を読んで、CD を買っていただける方がどのくらいいるのかわからないが忌憚のないご意見をいただければと思う。 なお、シリーズで重複する作曲家についての紹介はなるべく重複を避けたので、シリーズ全部お買い上げいただいた方がより楽しんでいただけるかと(^_^;)。
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広島BCL日記(その2)
広島での二日目。 宿泊したホテルが平和公園の近くだったため、朝の散歩を兼ねて原爆ドームやら平和公園を見て回る。原爆ドームから道路をはさんだすぐ向かいに広島市民球場があったのが意外といえば意外であった。 私などはこの年にして初めて広島を訪れたので、原爆ドームや平和公園や随所にある追悼のモニュメントなどを見るたびに、いちいち「ズシ」「ズシ」と 日本が歩んできた歴史というものを思い返してしまう。それにしても、依然として原爆ドームは静かに立っているわけだし、平和の灯はともされ続けているし、 観光バスは毎日やって来て団体旅行客やら修学旅行生やらは原爆死没者慰霊碑の前で手を合わせている。そういうことを「日常の隣で行なわれ続けていること」 として捉えるのはどんな気分なんだろう、とふと思う。 その後、ブレーンの営業の方がホテルに迎えに来てくれて宮島観光。当然のことながら厳島神社へも始めて行くわけだ。この営業の方は天理高校から近畿大学を経てブレーンに就職したそうで、言わば吹奏楽のエリートのような方である。コンクールや演奏旅行などで私などが得難い経験をされているわけで、道すがらそういう話をお聞きするのは非常に楽しい。 午後1時30分頃に録音会場である廿日市市文化センターに到着。ちょうど《呪文と踊り》(チャンス)のレコーディングが始まるところであった。結局、夕方まで《ノヴェナ》(スウェアリンジェン)と《ジュビラント序曲》(アルフレッド・リード)の録音を聞かせていただく。 ホールは1階席と2階席の間の間仕切りを閉めていたようなので1階席のみで800席ほどのスペース。吹奏楽を演奏するには少しライヴ過ぎる響きかなとも思うが、床や壁には木が多く使われているし、天井も高いので柔らかい残響が残る。 (以下、素直な感想なので提灯記事だと思わないでね …..) 録音に立ち会いながら、このシリーズを聞いて感じていたことをスタッフの方々といろいろ話していたのだが、私と同じような考えを持っている方が多かったことに今さらながら驚いた。「新鮮な発見がある」ということである。このバンド・クラシックス・ライブラリー・シリーズの一連の演奏を聞いていると、自分の頭の中にイメージとしてある演奏との違いに「はっ」とする瞬 間がある。例えばテンポ設定だとか各パートのバランスについてである。そこで、その部分をフルスコアで確認してみると、確かにスコアにはそう書かれている のである。(非常に具体的な例で恐縮であるが、《呪文と踊り》は4年ほど前に指揮したことがある。今回の録音にもその時に使ったフルスコアを持って行ったのであるが、それでも録音を聞きながらスコアを追っているといくつかの新しい発見があった。) 木村吉宏先生がおっしゃるには「彼ら(広島ウィンドオーケストラ)にとって、ほとんどの曲が新曲なんですよ。」ということらしい。実際、ほとんどのメンバーはかなりお若い。固定観念がない分、純粋に楽譜に向き合えるのではないかという気がする。 あ、そうだ。ラインナップはこんな感じです。 序奏とファンタジア(レックス・ミッチェル) 呪文と踊り(ジョン・バーンズ・チャンス) マスク(フランシス・マクベス) チェスター序曲(ウィリアム・シューマン) 狂詩曲「ノヴェナ」(ジェイムズ・スウェアリンジェン) ウェールズの歌(アルバート・オリヴァー・デイヴィス) ジュビラント序曲(アルフレット・リード) コラールとカプリチオ(シーザー・ジョヴァンニーニ) 序奏とカプリス(チャールズ・カーター) ***** で、帰りの新幹線の中で読んだ本。ふと KIOSK で見つけたので買ってみた。 東大生はバカになったか (文春文庫) なんか、立花隆さんの文章を読むのも久しぶりだ。自分の知識欲を刺激するという意味で、立花さんの旺盛な知識欲とそれをどんどん突き詰めていくプロセスを読むのは非常に楽しい。 基本的には、文部省による教育システムの失敗についての指摘と、高等教育を受けるものが習得しなければいけない「教養」とは何かという話題が主である。これらの具体的な事例を示すキーワードとして「東大生はバカになったか」という題名がつけられている。 漠然と大学進学を考えている高校生あたりが読むと面白い内容なのではないかと思う。 ***** 帰宅したら amazon.co.uk から以下の CD/DVD が届いていた。 DVD は国内未発売のタイトル、CD は全て日本国内では CCCD でリリースされているタイトルである。(こういうタイトルを輸入禁止にするのは止めて下さいね。) 歌劇「兵士たち」 ちょっと前にベルント・アロイス・ツィマーマンが作曲した管楽アンサンブル曲《ユビュ王の晩餐のための音楽》について調査していたところ、同じ作曲者のこのオペラが目に止まったので買ってみた。本命の《ユビュ王》よりも先に届いてしまったのであるが。 こういう作品が存在すること自体は知っていた。 LD で国内盤が発売されていた(廃盤。しかも未 DVD 化)頃にはかなりの反響があったように記憶しているし、ゴールデンウィークに《ユビュ王》のCDを探した時も、このオペラのCDは見つけることができた。 錻力の太鼓 (CCCD) ジャパンの最終作にして最高傑作と言われている作品。以前、CDで聞いたときにはあまりいい印象を持たなかったのであるが、リマスタリングされた音源はかなりいい感じである。 […]
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演奏会行脚
この日、浜松は管楽器関係のコンサートだらけ。昼間は浜松交響吹奏楽団とマーチングバンドの浜松ワイルドウィンズの定期演奏会がバッティング、夕方から夜にかけてはビッグバンドのリハーサル・ジャズ・オーケストラと浜松南高等学校吹奏楽部の定期演奏会がバッティングしていた。 私は浜松交響吹奏楽団と浜松南高等学校吹奏楽部の演奏会をはしごしたのであるが、この二つの演奏会の所要時間を合計すると5時間30分であった。演奏者のみなさんには「おつかれさま」と言いたいが、私も疲れた(笑)。 浜松交響吹奏楽団定期演奏会 プログラムの前に、昨年逝去された初代常任指揮者の松下功一さんを追悼するためにドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」から第2楽章が演奏された。 第1部の課題曲(《鳥たちの神話》)をのぞく3曲は、3月に行なわれた「響宴」でも取り上げられた作品。基本的な感想は「響宴」の時に感じたものと同様。どの曲も確かに「鳴る」のであるが、音楽的に面白いかというと私の耳には面白くない。単に趣味の問題なのかも知れないが。 どうも最近の邦人作品のトレンドが耳に合わないのでそれを合理的に説明する術を考えているのだが、なかなかいい言葉が見つからない。一つは「推進力の欠如」なのかなと思う。その場その場では綺麗な旋律、あるいは綺麗な響きができているのだが「ただそれだけ」という気がする。その音楽がどこに向かって進もうとしているのかが見えてこないのである。例えば、推進力の拠り所というのは作品の構成であったりソノリティ(音色)の選択であったりするのであろうが、「綺麗な旋律の連続」や「鳴るソノリティの追求」がそういった推進力を失う原因になっているのではないだろうか。 「だから西洋音楽は偉い」というつもりはないが、例えばソナタ形式で主題が再現された時やパッサカリアで主題が再現された時の「クライマックス感」がある限り、西洋音楽が長い時間をかけて培ってきた(また試行錯誤の中でそれを解体しようとした)楽曲構成にはそれなりの必然性があると思うわけである。 というわけで、このバンドはポピュラー・ステージの方が肩の力が抜けていて楽しめる。女子十二楽坊のメドレーは圧巻。木管セクションの各演奏者の技術の高さをアピールするような編曲。 静岡県立浜松南高等学校第11回定期演奏会 昨年に引き続いて聞きに行った。印象は昨年と大きく変わらない。昨年よりは「鳴り」がいいかな?マーチングが得意なためか開放的なサウンドが魅力的である。弱音のコントロールや柔らかい音色をうまく表現できるようになれば、もっといい演奏ができるだろう。 大栗裕/仮面幻想 アラム・ハチャトゥリアン(林紀人編曲)/バレエ組曲「ガイーヌ」より 天野正道/「GR」よりシンフォニック・セレクション 《GR》はそこそこ仕上がっているが他の2曲はかなり厳しい。特に《ガイーヌ》は技術的にかなり難易度が高い。最低限でも細かい音符が吹けていないと聞いていてかなり辛い。 第2部はドリル・ステージ。ここ数年マーチングの全国大会に出場している団体だけに安心して見られる。今回は「スペイン」がテーマ。 第3部はコント(^_^;)。さすがに部外者がこれを見続けるのは辛いので中抜けして買い物に行った。 30分ほど経って帰って来たらまだやっていた(^_^;)。「学校での一日」をテーマにしていたらしく、いろいろな小物(例えば本とかバスケットボールとかデッキブラシとかポリバケツとか)でパーカッション・パフォーマンスをやっていたらしい。ということで、ラストは《学園天国》(なるほどね)。 第4部はポピュラーステージ。ニューサウンズの《マイ・フェイヴァリット・シングス》は、やはりジャズ・ワルツのリズム感を出すのが難しそう。《パイレーツ・オブ・カリビアン》は2年生の学生指揮者が振ったのだが、この指揮がとてもうまい。振り方から見て取れる「指揮者が作ろうとしている音楽」と、結果として「バンドから出てくる音楽」が一致しているのである。指揮者が音楽的に進むべき道筋をちゃんと提示して、演奏者が集中力を持ってそれについていくという形。音楽的な完成度から言えば、この演奏会のベストだろう。また、この演奏会をもって3年生が引退するということで涙なくしては見れないいろいろな趣向があるのだが、団長の挨拶は決め台詞を決めておいた方がかっこよく締め括れると思うよ。 ***** そういうわけで、コントの合間に買ってきたもの。 エレクトロニック・メディテイション(紙ジャケット仕様) アルファ・ケンタウリ~ケンタウロス座のアルファ星+Ultima thule(紙ジャケット仕様) ツァイト アテム ジャーマン・エレクトロ・ロックの祖とも言える存在。これも紙ジャケ/リマスターでリリースされたので買ってみることにした。 とりあえずランダムに手に取った「ツァイト(Zeit: 英語にすると time)」から聞いてみた。あまり電子音を駆使したという感じはない。 1曲目は複数台のチェロが絡み合う音楽から始まり、徐々に電子音が主導権を握っていくような感じ。インターネットで検索すると「このアルバムは難解だ」という人が多いようだが、私は結構好きである。例えば、冒頭のチェロは西村朗さんの管弦楽作品にみられるようなアジア音楽のドローンを模した低音弦楽器の音響に通じるところもあるし、後半のシンセサイザーの持続音が続くところなどはアルヴォ・ペルトの作品の静謐感を思わせる。 「アルファ・ケンタウリ」にはアルバム未収録だったシングル曲を収録した8cmCDシングルがついているのであるが(しかし、ここまでするか(笑)?)、実はこのシングル曲がいちばん聞きやすいのではないか。 夏頃には Virgin レーベルに移籍してからの「フェードラ」「ルビコン」も再発予定。こちらの方が一般大衆向けの曲想らしいので楽しみである。 バグズ・ライフ [DVD] 「ファインディング・ニモ」のDVD発売にあわせて、ピクサー制作のアニメーション映画が廉価版になった。劇場公開映画では「バグズ・ライフ」だけ見ていなかったので購入。 「スペース・レンジャー バズ・ライトイヤー」も見ていないのであるが、「ニモ」購入後に「もう一枚キャンペーン」でもらう予定。そういえば、数年前に見かけた七夕の短冊に「バズ・ライトイヤーになりたい」という願い事があったのを思い出した。宇宙の平和のためにがんばってほしい(笑)。
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吹奏楽の楽しみ(イーストマン・ウィンド・アンサンブル)
アクトシティ音楽院主催「音楽アラカルト第1回 吹奏楽の楽しみ イーストマン・ウィンド・アンサンブル」を聞きに行く。近々行なわれるコンサートの予習として、その分野の著名人を迎えて講義していただくという企画である。講師は織田浩司(オリタ・ノボッタ)さん。5月26日に浜松で行なわれるイーストマン・ウィンド・アンサンブルの演奏会についての講義のはず … と思ったのだが … 私怒ってます。無料の講演会だからといって適当なことを話してもいいというわけではないが、はっきり言って有料だったら「金返せ」の内容である。話す内容にしても講義全体の段取りにしても「準備不足」という感が否めない。要するに、時間を工面して話を聞きに来ている人たちに対する誠意がまるで感じられないのである。 多めに見積もっても吹奏楽あるいはイーストマン・ウィンド・アンサンブルについての話は20%くらいだっただろう。それ以外は米米クラブとか有名ミュージシャンとの仕事とか氏の音楽経歴などの話である。それはそれで意味のある話だとは思うが、少なくとも上記のようなお題目に興味をひかれて集まった人たちに向けて話すべき内容ではない。 また氏は「イーストマンは凄い」とおっしゃる。イーストマンの実演あるいは録音に接したことがある人なら誰でも「すごい」ということはできるだろう。しかし、講義を聞きに来ている、ひょっとしてイーストマンの演奏を聞いたことがない人たちは「イーストマンの何がどう凄いのか」を説明してもらえることを期待して来ているのではないか。そういう人たちに「すごい。すごい。」を連発しても、それは何も言っていないに等しいことなのではないか。 一応(本当に「一応」)演奏曲目については一通り説明があったのだが、これも勉強不足であろう。招聘元であるソニー音楽芸術振興会のホームページに書かれている以上のことは言っていない。ちなみに浜松公演のプログラムはこちら。 J.S.バッハ作曲(ハンスバーガー編)/トッカータとフーガ ニ短調 BWV565 ロバート・ラッセル・ベネット作曲/組曲「古いアメリカ舞曲」 フィリップ・スパーク作曲/ダンス・ムーブメント バーンスタイン作曲(ベンクリシュート編)/交響曲第1番「エレミア」より「冒涜」 モーテン・ラウリゼン作曲(レイノルズ編)/オ・マグナム・ミステリウム エリック・イウェイゼン作曲/トランペット協奏曲「Danzante」 スーザ生誕150周年を記念して〜スーザ組曲 例えばバーンスタインの《エレミア》については「聞いたことがない」といい、《ウェストサイド物語》《キャンディード》《ファンファーレ、フーガとリフス》に言及する(端的に言ってしまえば「お茶を濁す」)にとどめるのはおかしいのではないか。今回のプログラムの中でも、他分野である合唱からの編曲であるラウリゼンの作品や本邦初演となるイウェイゼンのトランペット協奏曲については「聞いたことがない」という言い訳も通用すると思う。 しかし、《エレミア》はバーンスタインの純音楽分野における代表的作品である。管弦楽版であればいつでも入手できる状態にあるはずだし、今回取り上げられるベンクリシュトの吹奏楽編曲は国内盤のCDが出たこともある。つまり、ちょっと努力すれば簡単に音を聞ける状態にある作品なのである。そういう作品を紹介することを期待されている立場にありながら「聞いたことがない」という一言で片付けてしまうのは怠慢だろう。 今回の講義を聴きに来た方々はご年配の方が多かった。こういう方々はおそらく吹奏楽経験はなく、純粋に聞く立場に立った吹奏楽の愛好者あるいは愛好者になろうとしている方々であると思う。そういう方々が、織田氏の講義内容の底の浅さをもって、吹奏楽の底が浅い(つまり吹奏楽には語るべきことがない)と誤解してしまわないかということがとても心配である。それで私は憤っている。 ***** Mojo Hand [Collectables] ジャケットのインパクトも強烈なブルースの名盤とされているアルバム。パーソネルによるとドラムとベースをしたがえたホプキンスがアコースティック・ギター(曲によってはピアノ)を弾きながら歌っているようだ。 1960年の録音ということだが、もっと前の時代にタイムスリップしたかのような泥臭いブルースである。 月に撃つ (紙ジャケット仕様) ソフト・マシーンのメンバーだったケヴィン・エアーズの2枚目のソロ・アルバム。このたび4枚が紙ジャケ復刻されたので、とりあえず一枚買ってみることにした。 吹奏楽つながりということでは、《波濤にかかる虹》(私はより原題に近い《太陽は波涛に虹を描く》という訳題の方が好きなのだが)などで知られるイギリスの作曲家デヴィッド・ベッドフォードが参加しているのである。 ピンク・フロイドあたりにも通じるサイケデリックな雰囲気を強く感じるのであるが、一方でダウナーでチープな雰囲気も感じる。
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今日の積志ウィンドアンサンブル(メキシコの祭り合奏)
暑い。静岡県内では最高気温が30度を超えたところもあるらしい。 近所の某高校に音出し用の楽譜を借りに行く。この学校には古くからの楽譜が「管理された状態」(これが重要!)で揃っていて、かなり利用させていただいている。例えば、かなり昔の課題曲《南極点への序曲》(岩河三郎)や、ジェイガーの《交響曲第1番》がちゃんとした体裁で揃っているのって信じられます? ということで、フルセットをお借りしてきて、バンドの練習では《メキシコの祭》の音出し。第3楽章の中間部から後半についてはテンポについていけなかったり、フレージングが難しくて指が回らなかったりリズムが取れなかったりして少々てこずったが、何とか最初から最後まで音にすることができた。比較的いい手ごたえだった。第2楽章なんかは初見にもかかわらず概ねいい感じで音楽が作れていたように思う。 全般的な印象としては「オーケストレーションがうまいなあ」ということ。ホルン奏者は「4番ホルンがおいしい」という感想を言っていたが、オーケストレーションについての視点が吹奏楽というよりオーケストラのそれに近いのではないかと感じた。例えば、必要以上に音を重ねずに各楽器のソノリティを大切にしているということ。ホルンとサックスを重ねたりするとサウンドは厚くなるが色彩感が失われてしまう。この作品では、ちゃんと「ホルンはホルン」「サックスはサックス」という使い方をしている。それから、例えばクラリネットではトゥッティで演奏すべき部分と、オケのクラリネットのようにソロあるいはデュオで演奏すべき部分をちゃんと分けて考えていること。などなど。 このようなオーケストレーション、4月12日の日記でも書いたような「交響曲」的なモチーフの展開の仕方、メキシコ民謡のフレージングなど学ぶべき課題はたくさんある。今まであまり注目していなかったが(反省)、確かにいい作品である。 ***** ザ・ビートルズ ファースト U.S.ヴィジット [DVD] 1964年にアメリカ初上陸を果たしたビートルズのドキュメンタリー。移動中の列車や自動車の中での様子や滞在先のホテルでの様子などのオフステージ・ショットと、テレビ番組「エド・サリヴァン・ショー」での演奏シーンやライヴ映像を交えた構成。すっかりライヴに嫌気がさしていて気が抜けたステージだった日本公演(1966年)などに比べると、まだ生演奏には意欲があって見ていても楽しい。プライヴェートショットでは、そろそろマスコミやファンの攻勢にうんざりしている感じも見受けられるが。
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ヴォア・ヴェール演奏会
友人が所属する合唱団「ヴォア・ヴェール」の演奏会を聞きに浜松市福祉交流センターへ行く。ここはもともと福祉文化会館と呼ばれていた施設で、かつては私が所属する吹奏楽団のホームグランドであった。演奏者としてステージに乗ったのも数年前のことだし、聞く側の人間として最後に訪れたのは十年近く前ではないか。やはり吹奏楽をやるにはかなり小さいと思う。 プログラムは以下の通り。 ホルスト/《5つのパートソング》より ラクール/《3つのモテット1982》 千原英喜/《おらしょ》 カクレキリシタン3つの歌 長谷部雅彦/詩集「食卓一期一会」より(初演) 《おらしょ》がかなり充実している演奏だと思ったが、ホームページの演奏履歴を見てみると1年ほど前から演奏しているようで、なるほどこなれているわけだ。 タイトルが示すように、長崎県の隠れ切支丹に歌い継がれた歌をモチーフにしている。伊藤康英さんの吹奏楽のための交響詩《ぐるりよざ》同様、皆川達夫さんによる研究の成果を拠り所にしているのだと思う。第2楽章ではおらしょ《ぐるりよざ》の原曲(伊藤さんの作品の第1楽章で歌われるアレ)、第3楽章では《さんじゅあん様の歌》(伊藤さんの作品の第2楽章で竜笛で演奏されるアレ)が使われている。千原さんの作品では、これらの旋律の他にもいくつかの民謡やグレゴリオ聖歌も使われており、日本的な和音が聞こえる部分もあれば、中世ヨーロッパ的な雰囲気を伝えるところもある。 《食卓一期一会》が、その友人の作品。永田弘さんの詩集から3編を選んだもので、それぞれ「絶望のスパゲッティ」「ブドー酒の日々」「ユッケジャンの食べ方」という詩に基づいている。(レシピに曲をつけてしまうというアイデアは伊藤康英さんの「あんこまパン」に似ていなくもない。)合唱の世界はあまり詳しくないのであるが、それぞれの曲が確固としたわかりやすさを持っていて、聞いていて非常に楽しめた。 アンコールの《奴らの足音のバラード》は、かつてのテレビアニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマ。ムッシュかまやつが歌うこの曲は歌詞もメロディも素晴らしい名曲だと思っている。演奏してもらえてうれしかった。 ***** 予約していたものたちがたまっていたので取りに行く。 とりあえず、これで打ち止めになるクイーンの紙ジャケ。(でも、まだ「ライヴ・キラーズ」が出ていないなあ …..)フレディ・マーキュリーの死後にリリースされたもの。 はっぴいえんどBOX (CD-EXTRA仕様) はっぴいえんどの全オフィシャル音源を集めたCDボックス。とりあえず、「ゆでめん」と「風街ろまん」しか聞いたことがないので。 THE BAND OF 20TH CENTURY : PIZZICATO FIVE THE SIX DVD SET 後半は閉塞感が見えつつあって、だんだん聞かなくなってしまったピチカート・ファイヴ。かなり突然解散したような記憶があるのだが、「まあ、しょうがないかな。」と思ったことも事実。 今回、久しぶりに聞き直して(見直して)みて、やはり黄金期(「小西+高浪+野宮」の時代から「小西+野宮」の時代になってちょっと経ったくらいまで)はいい。過剰なメディア戦略はファン以外が見るとちょっと引いてしまうものだが、ピチカートの場合は、その過剰さに有無を言わせぬ説得力と自信があったように思われる。 RIOT IN LAGOS・WAR HEAD・LEXINGTON QUEEN / 坂本龍一 YMO 人気絶頂期に発表されたソロアルバム「B2-UNIT」からの 12inch シングル。海外盤。「RIOT IN LAGOS」はアルバムとは別テイクのロング・バージョンで、日本国内では未発表のバージョンである。「WAR HEAD」と「LEXINGTON QUEEN」はアルバムに先行してリリースされたシングル盤からの収録。このシングルは紫色のカラーレコードでジャケットを広げると化粧バリバリの教授のポスターというかなり豪華なアイテムだった。音の方は「B2-UNIT」の過激さとYMOのポップさがいいバランスで同居していて個人的に好きな曲。 「LEXINGON QUEEN」も超レアアイテムで別バージョンがあるんだよな ….. 聞いてみたい。
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エルヴィス
グレイト・パフォーマンス・コンプリート~ブルー・スエード風パッケージ・ヴァージョン [DVD] 雑誌を見ていたら、レビューでやたら誉めていたので買ってみることにした。エルヴィスの映像をまとめあげた3枚組パッケージ。「ビートルズのルーツ」というような歴史的な位置付けで語られることのエルヴィスであるが、何が本当にかっこいいのかを見てみたい。
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お買い物
お買い物。 ベートーヴェン「第9番」 (DVD): 〜青春讃歌 Vol.3〜 / 常総学院高等学校吹奏楽部 付録に弱いので(笑)、初回特典の「第9」CD盤(本編はDVD)をゲットするために購入した。 [rakuten]gdc-miracle:10388822[/rakuten] 2ヶ月ほど前に vol.1 を買ったのであるが、まだ1枚も見ていないうちに vol.2 が出てしまった。こちらの方が「モダン・タイムス」「殺人狂時代」「ライムライト」といった名作が収録されているので、こちらを先に見てしまうかも知れない。 「ライムライト」は「おかしくて悲しい」チャップリンの総決算ともいえる作品。「かつての名声を引きずっている老芸人」という役柄がチャップリン本人の歴史とも重なる。この映画の最後にあるチャップリンとバスター・キートンによる劇中劇のパントマイムは非常に気に入っている場面である。場面としてはとてもおかしいのだが、チャップリンの喜劇精神の最終到達点のような気迫が感じられて息を飲む場面である。こころなしかチャップリンの目つきが違う。 [rakuten]nhkgoods:10005259[/rakuten] ううん、CCCD だったか ….. 気が付かなかった …..
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カルミナ・ブラーナ
KEIKO AND CARMINA… RA! 「響宴」会場で買った DVD を見てみた。(画像は同時収録のCD) [rakuten]bandpower:10001226[/rakuten] そういえば《カルミナ・ブラーナ》全曲の吹奏楽版CDというのは今までなかったのかな?まあ、合唱が入ってしまえば吹奏楽編曲の違和感はそれほどないのではないかと思う。それよりも、コーポロン氏のアゴーギクの不自然さがちょっと気になる。 安倍圭子作曲の《プリズム・ラプソディII》が映像で見れるというのがかなりポイント。特に、この《II》はもともと独奏だったマリンバを2人の奏者に振り分けているので、この2人の独奏者の掛け合いを見るのも非常に面白い。このへんは CD では聞き取りにくいだろう。元々の《プリズム・ラプソディ》は管弦楽のために書かれたものであるが、吹奏楽編曲は1995年に浜松で開催された WASBE で初演された。(ちなみにこの時の演奏は佼成出版社からリリースされている第7回世界吹奏楽大会コンサート・ライブの初版のみに収録されている。持っている人は DISK 4 をチェックしてみよう。第2版以降は代わりにリチャード・ロドニー・ベネットの《朝の音楽》が収録されている。) 同時期に収録された CD でもそうだったが、録音はかなりホールトーンを含んでいる。北テキサスウィンドシンフォニーの演奏はかなり解像度が高い録音が多かったのだが、それとは対照的である。また、この DVD は 5.0 サラウンド(低音成分である 0.1ch 分が入っていない前方LR + 前方センター + 後方LR の5チャンネル分)の音声も収録されているのであるが、これだとさらに演奏者が遠く聞こえ、迫力のない音に聞こえてしまう。PCM 音声を聞いている方がいいように思う。