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オーネット・コールマン/高橋幸宏
ダンシング・イン・ユア・ヘッド+1(紙ジャケット仕様) 先日、オーネット・コールマンの「アメリカの空」を買ったのだが、その時にいろいろ調べてみたら、こちらも昨年末にリマスタリングされて再発売されたことを知った。 この作品も例の「ハーモロディック理論」(結局よくわからんなあ …)に基づいて作られている。「アメリカの空」がオーケストラ編成なら、こちらはドラム、ベースにエレクトリック・ギター2本という変則的な編成。 「アメリカの空」のもっさりした雰囲気とは対照的に、2本のギターもコールマンのサックスも鋭くリズムを刻む。コールマンといえばフリージャズ、フ リージャズといえば好き勝手やりたい放題、と連想されるのだが、2つの《テーマ・フロム・ア・シンフォニー》はむしろミニマルっぽくリズムパターンやメロ ディが繰り返される。浮遊するコード感もフリージャズの持ち味なのかなあ? 最近、クラブシーンでも再評価されているというマイルス・デイヴィスの「オン・ザ・コーナー」のグルーブ感をさらにシャープにした感じ、というイメージで伝わるだろうか?本当にかっこいいです。「ジャズ来るべきもの」も聞きたくなった。 残りの2曲はモロッコの伝統音楽であるジャジューカのミュージシャンとの共演。 (ジャジューカといえばローリング・ストーンズの故ブライアン・ジョーンズもはまっていたらしい。) BLUE MOON BLUE 音楽班の中でも評判がいいし、この間タワーレコードで試聴したときにもなかなか気に入ったので買ってみることにした。
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ストーンズを聞こう(その3)
何とか毎日続いている。我ながら感心。 スルー・ザ・パスト・ダークリー(ビッグ・ヒッツVol.2)(紙ジャケット仕様) 今日はランダムに引っ張り出すのではなくて狙い打ち。八角形ジャケットで有名なベストアルバム。 さすが有名どころばかり揃っている ….. というか、以前買ったストーンズの結成40周年を記念してリリースされたベストアルバム「Forty Licks」に収録されていないのは11曲中2曲だけである。 その2曲《ダンデライオン(たんぽぽ)》《2000光年のかなたに》は時代的にかなりサイケデリックな雰囲気が漂っている。この2曲の次に、これまたサイケデリック的というかフラワームーヴメント的な《マザー・イン・ザ・シャドウ》が収録されていて、ストーンズの歴史の中での異質な流れがベスト盤の中で作り出されている。 王道だけではない、ちょっと毛色の変わったベスト盤という印象があるが、私はストーンズが作り出すサイケデリック・サウンドも嫌いではないので悪くはない。 というわけで、そろそろ問題作「サタニック・マジェスティー」でも聞くか。 ***** 追加。 偶然見つけたのだが、2004 年に Human Audio Sponge が参加した SONAR の様子が BS 朝日で放送されていた。かなり前に放送されたものの再放送らしいが、あわてて録画することにした。まだちゃんと見ていないのだが、HAS 以外にもカーステン・ニコライ(Alva Noto 名義で教授とのコラボレーションもやっている)なども紹介されていた。楽しみ楽しみ。
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ストーンズを聞こう(その2)
ということで連チャンで聞いてしまいました。買ってきたままのCD袋に手を突っ込んで「えいや!」で取り出したのがこれ。 ビトゥイーン・ザ・バトンズ(紙ジャケット仕様) 1967年に発表された通産9枚目のアルバム。初めてミック・ジャガー/キース・リチャーズのコンビによる楽曲だけで構成されている。ビートルズで言うと「ハード・デイズ・ナイト」みたいなものですか。それから、初期のプロデューサーであるアンドリュー・オールダムによる最後のアルバムということである。 1曲目の《夜をぶっとばせ(Let’s Spend The Night Together)》や3曲目の《ルビー・チューズデイ(Ruby Tuesday)》あたりが代表曲かな。 昨日聞いた「ベガーズ・バンケット」に比べると、まだ自分たちのスタイルを築くための模倣のステップなのかなあ、という気がする。いろいろなスタイルの作品があるのだが、まとまっていないように思う。 《ルビー・チューズデイ》のダルでダウナーな雰囲気はなかなか好き。
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ストーンズを聞こう(その1)
せっかく買ったのでストーンズでも聞いてみよう。 ベガーズ・バンケット(紙ジャケット仕様) 1968年の作品。発売当時はトイレの落書きを使ったジャケットに対してレコード会社からクレームがつき、真っ白なジャケットでリリースされたらしい。 1曲目の《悪魔を憐れむ歌(Sympathy For The Devil)》とか6曲目の《ストリート・ファイティング・マン(Street Fighting Man)》あたりが有名曲か。前者はアフリカ音楽を思わせるパーカッションのリズムや掛け声が特徴的。後者はストレートなロックンロール。 これらの売れ線以外の曲はなかなか渋いブルースが揃っている。こういう渋い一面はベスト盤だけを聞いていると見えてこないんだよなあ。シングルでリリースされた曲ばかり聞いていると、ストーンズって雰囲気一発で何も考えていないような印象があるのだが(ごめんなさい、ごめんなさい …..)、こういう隠れた曲を聞くとアメリカ南部の音楽をちゃんと咀嚼しようとしていることが分かる。 曲によって音質の差はあるが、リマスタリングされた音はかなり生々しくてよい。 さあ、シリーズ「その2」はあるのか?
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お買い物(デリコ/コールマン/ストーンズ/吹奏楽などなど)
いろいろやることが溜まってきたので、会社を休んで片付ける。 そのついでにお買い物。 アメリカの空 昨年の「響宴」で演奏された三浦秀秋さんの《SALTY MUSIC》がオーネット・コールマンのオーケストラ曲にインスパイアされて作曲されたという話を聞いたので、ぜひ聞きたいと思っていた。おそらくこの曲なのではないかな?ちょうどリマスター盤が発売されたばかりなので聞いてみることにした。 「ハーモロディック」理論に基づいて作曲されたとあるのだが、ライナーノートを見てもウェブでちょっと検索してもよくわからなかった。要はフリー・ジャズを説明するための理論なのか? 演奏はロンドン交響楽団。いわゆるフリー・ジャズっぽい部分は予想ほど多くなかった。前半は淡々とコード・プログレッションが進むのだが、弦楽器で作られる和音が面白い。ちょっと複調っぽい響きがするのも「ハーモロディック」理論なのだろうか? LIVE PSYCHEDELICO 仕事が忙しい時期が続くと世間にも疎くなる。LOVE PSYCHEDELICO のライヴアルバムが発売されたことを知らなかった。 デリコのライヴを生で見たことはないのだが、初めて店頭販促ビデオで見たときや昨年リリースされた DVD を見たときの印象はあまりよくない。ライブならではのラフさがデリコの場合にはマイナスに働いて稚拙に聞こえてしまう。 この CD も想像していたほど悪くなかったが、やはりスタジオ録音のオリジナルバージョンを聞いていた方がいい。KUMI のボーカルはシャウトよりも繊細な歌い回しの方が似合う。 CAFUAセレクション2006 吹奏楽コンクール自由曲選「オペラ座の怪人」 大手レーベルがこの手の新譜(だけでもないが …..)紹介用 CD をリリースしなくなったので CAFUA やブレーンにはがんばって欲しい ….. という意味も込めて毎年買っているのだが、あまり聞こうという気が起きないんだよなあ ….. ***** さんざん迷ったあげく、ローリング・ストーンズの紙ジャケ22枚を買うことにした。今まで忙しかった仕事が一段落着いた自分へのご褒美とか、1970年代の紙ジャケを買ってしまったからついでに買わねばならないとか、なぜエルヴィスの紙ジャケは全買いしたのにストーンズは買わないのだ?などと自問自答しながらの決断(笑)。 さらに購買意欲を高めようと、今週はストーンズ40周年(!)記念ベスト「Forty Licks」を聞いていたのだが、初期のストーンズもなかなか面白い。ビートルズとタメを張っていたグループならではのブリティッシュ・ロック的な雰囲気があったり、アメリカ南部の泥臭いブルースの雰囲気があったりしている。
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レコジャケジャンキー
CDジャーナルムック レコジャケ ジャンキー ! パロディ化されたレコード・ジャケットを集めたムック。内容も面白いが、マッハ55号のデザインによるカバーが凄い。 表紙がパッと見でビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のパロディであることは明白であるが、裏表紙もこのアルバムをパロっていて、しかもオリジナルの裏ジャケに載っている歌詞までパロっているのである。 例えば、タイトル曲が《サージェント・ジャンキーズ・ラヴリー・レコード・ジャケット・ブック》になっていたり、《ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンド》が《ルージー・ゴーイング・トゥ・スクール・ウィズ・ドッグ》になっていたり(ちゃんと「LSD」になっている!)、《ア・デイ・イン・ザ・ライフ》が《ア・デイ・ホエン・ファブ・フォード・ゴーン》(ビートルズが解散した日)という替え歌になっている。 それだけでなく、内側もアルバム初回版を模しているし、おまけにポストカードもついてくる。当然「帯」もついている。 ちなみにマッハ55号というデザイン集団は「魁!!クロマティ高校」のDVDカバーデザインでものすごいことをやっている。ご覧あれ。
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光の中で
日本の吹奏楽 ’93 VOL.12 一般・課題曲編 基本的に吹奏楽コンクールの CD は買わない主義なのであるが、この CD にはヤマハ吹奏楽団が田中賢さんに委嘱した《…im Light − 光りの中で…》が収録されているので欲しかった。 以前、ブレーンからリリースされていた、招待演奏のみを集めたカセットテープに収録されていたのであるが、CD ではこれが唯一の音源である。 軽い気持ちでオークションに入札したところ、あっさり落札できた。以前はもっと高額で落札されていたんだけど …
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第9回響宴などなど
第9回響宴を聞きに池袋へ。 その前に巣鴨のCDショップに取り置きをお願いしていた「豊島の響」3点セットを引き取りに行く。統廃合により「豊島区立第十中学校」がなくなってしまったことや、指導者であった酒井正幸さんが喜寿を迎えたということで、豊島十中吹奏楽部の活動をまとめたものである。3点セットというのは、 3枚組CD 記念誌 DVD である。様々な音源を集めたCDは一般的な吹奏楽モノとしての資料価値は高いが、記念誌やDVDは当事者の記録としての意味合いの方が強い。しかし近藤久敦さんがOB(しかも当時はホルンではなくトランペット)だったとは知らなかった。日経エンターテイメントの発行人である品田英雄さんがOBというのも意外。 その後、池袋に着いたところでミッテンヴァルトへ。ホームページを見ると、また移転していた(苦笑)。まあ、前のお店より芸術劇場に近くなったし、わかりやすい場所になったし、それは歓迎すべきことである。地図で指し示されている雑居ビルを見上げると、窓ガラスを通してCDラックらしきものが見えた。間違いない。 今回は店長さんが店にいた。初めてこのお店を訪れたときにも、店長さんから試されるような質問があって身構えてしまったのだが、今回も来た。邦人作品のCDが並べられている棚を見ていると、いきなり「大木、入りましたよ。」と来た。これは、もちろん NAXOS から出ている「日本作曲家選輯」シリーズの「大木正夫:交響曲第5番」のことである。 「これ、確か発売が延期されたんですよね?」と答えると、「そう、解説が遅れたんだって。」という返事が返ってくる。 とりあえず第一関門を突破したらしく、ミッテンヴァルトが制作したCDの説明や、今後リリースされるCDの案内をいろいろしてくれる。やはり、伊福部さんの追悼アルバムも作るらしい。とりあえず今回はウェブで下調べして興味を持った「中野稔 ヴァイオリンとピアノのための作品 第1集」を購入することにした。 「あれ?大木はいいの?」と聞かれたのだが(笑)、近くのCDショップに予約してあるので … ***** さて、響宴。都合により前半の3団体しか聞けなかったが、今年も昨年と同じように面白い作品を聞くことができた。数年前に比べて意識的に多様な作風の作品が取り上げられているせいかも知れない。この「響宴」自体がだんだんいい方向へ向かってきているように思える。 というわけで、協賛会員になりましたとも。 《「かごめかごめ」の主題による幻想曲》(露木正登)は17人編成のために書かれている。以下のようにシンメトリカルな配置で演奏された。 Perc Timp Perc Tuba Contrabass Hr Hr Tb Tb Tp Tp Cl Cl Fl Fl Sax Sax 譜面の難易度はそんなに高くなさそうだったが、吹奏楽的なマインドから脱却しないとちゃんとした演奏はできなさそう。ときどき三善晃を思わせる響きが聞こえる。 《吹奏楽のための「風の身振り」》(金井勇)は、同じ作者の今年の課題曲と同じように緻密なオーケストレーション。クロテイル、ピアノ、ハープ、木管の高音域を使った硬質な音色が印象に残る。 《相授譚》(長生淳)。この人の作品を聞くといつも感じるのだが、リヒャルト・シュトラウスなどを思わせる芳醇な響きがする。ただ、全曲を通して「鳴り過ぎている」感じがするので聞き通すのがちょっとしんどい。 《あのときすきになったよ》(飯島俊成)は同名の絵本から題材を得た吹奏楽とナレーションのための作品。ちなみに原作はこちら。 吹奏楽界では数年前に話題になった《窓際のトットちゃん》と同じような構成である。音楽はあまりでしゃばらずにナレーションを支えているという感じ。とはいえ、音量的にはナレーションを消してしまう部分もあった。私が座っていた席のせいかも知れないけど録音では大丈夫だったのかな?こういう子供の視点ならではの、残酷でいて、なおかつあまりにも純真な描写には涙腺が緩む。 … というわけで、いちばん楽しみにしていた、神奈川大学による NAPP さんの《科戸の鵲巣》は残念ながら聞けず … NAPP さんといえば、ガレリアウインドオーケストラの第4回定期演奏会はすごい内容。ぜひ聞きに行きたいものだ。 ***** 展示ブースでは、例によって久しぶりにお会いする知己の方々と挨拶やら近況報告やら。(そういえば5月にはバンド・クリニックでまたお会いすることになるのかな?)買いそびれていたゲイブリエル/アメリカ空軍バンドの復刻CDや、デ=ハスケの邦人作品集第2弾などを買う。
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全日本吹奏楽コンクール課題曲が到着
やっと購入手配をした今年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲がやっと届いた。 フルスコアを見ながら、さっと1回通して聞いた感想。 ここ数年の中では稀にみる秀作揃いなのではないか。少なくとも、今までになく「課題曲」であることを意識して書かれた作品が多いように感じる。 例えば、I や II は演奏者の技術力が試される。あまりスコアから逸脱することができない、言い換えればギミックやこけおどしなどの常套手段が使えないのではないかと思う。 III はシンプルなスコアではあるが、ただ音にしただけでは全くつまらない演奏になってしまうだろう。これは指揮者の音楽作りが大切なのではないか。 IV はここ数年の課題曲の作風を踏襲している。演奏者が共感しやすい旋律や曲構成という意味でいちばんとっつきやすいのかも。というか、I 〜 III は普通の学生バンドにはかなり敷居が高いのではないか。 V は … 「18歳未満お断り」ということで、こういうエクリチュールの作品が選ばれるのだろうか。確かに演奏者の技術をはかるのにはいいのかも知れないけど、中学生や高校生ではなく大の大人が、言ってしまえば「コンクールに勝つために」こういう楽譜をせっせとさらうのって何かおかしいと思う。それとも「強いバンド」はそんなにさらわなくても出来るのかしらん? ということで、勝手に予想してしまうと IV がダントツ人気、I → II → III というふうな比率で取り上げられるのではないかと思われる。 聴いた限りでいちばん気に入った作品は木下牧子さんの《パルセイション》。じわじわと曲想を変えながら大きなうねりを形作るのがとても難しそうだが。
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とりあえず一枚目(HAS)
ほぼ発売日に買ったまま、ほったらかしておいた(何せ時間が取れない)のであるが、 各方面からの絶賛の嵐とプレッシャーに背中を押されて、やっと見ましたとも。 HAS/HAS HUMAN AUDIO SPONGE Live in Barcelona-Tokyo [DVD] とりあえず1枚目のバルセロナ編を。 3人の並び順の配置やステージ美術などにはニヤリとさせられるが、やっている音楽は決して YMO ではなく、あくまでも HAS (Human Audio Sponge = Sketch Show + Ryuichi Sakamoto) なのだ。 基本はエレクトロニカなのだが、ラップトップをいじっているだけでなく、ちょっとずつ3人のプレーヤーとしての姿が見られるのがミソか。 YMO ナンバーである《Riot in Lagos》へのオーディエンスの反応は意外と冷静。 2枚目の東京編だとこうはいかないだろう。 このあとに名曲《Chronograph》を続けるところが絶妙。 後方のアンビエンス感が控えめではあるが、音は DTS で申し分ない。 画質はあまりよくない。