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ヴァントゥイユとイザイ

プルーストの「失われた時を求めて」の中で繰り返し登場する架空の作曲家ヴァントゥイユと彼のソナタ。この作品にはモデルがあると言われており、どうもそれはサン=サーンスのヴァイオリンソナタ第1番らしい。

Naxos Music Library で探して聞いてみたところ、ファニー・クラマジランによるNAXOS盤がなかなかよい。

また、そこから辿っていって、ウジェーヌ・イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタにも巡り合えた。バッハの《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》に影響され、それぞれの作品がそれぞれ国籍の違う6人のヴァイオリニストのために書かれている。第2番はバッハのパルティータ第3番の楽節から始まったと思ったら、全編「怒りの日」が使われている。

これはレオニダス・カヴァコスのBIS盤が気に入ったのだが、少し端正過ぎる気もする。特に第2番などはもっとデモニッシュな演奏もあるかも知れない。

(しかし、このジャケットデザインはもう少し何とかならなかったのだろうか。)

《オルフェオ》を観る

今日は木曜日。通勤路はだいたい週の初めがいちばん混雑し、だんだん空いてくる、というのが一般的な状況なのだが、今日は珍しくアウトバーンが激しく渋滞していた。2年ほど前に本社がハンブルクの中心部に引っ越して以降、これだけ渋滞したのは初めてかも知れない。突然雪が降った翌日も渋滞することが多いのだが、今日ほど混んでいなかったような気がする。

とにかくアウトバーンに乗ってから車が動かない。いつもは自宅から15分くらいアウトバーンに乗り、そこから30分くらいは市街地を通って行く、というパターンなのだが、今日はアウトバーンを降りるまで1時間30分くらいかかってしまった。(おかげでブラームスの交響曲第4番とヴァイオリン協奏曲を丸々聞くことができてしまった。)

トータルでほぼ2時間。10時から日本とのテレビ会議があるので(いつも通り)8時ちょっと前に家を出たのであるが、会社に着いたのは10時ぎりぎりだった。特に事故があった様子もなかったのだが、原因は何だったんだろう?(街中でトラックとタクシーが派手にぶつかって1車線を塞いでいたのだが、これが原因ではなかろう。)

家族が寝静まったあと、先日購入したモンテヴェルディのオペラ《オルフェオ》を観る。

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演奏時間は100分ほどと、まあ手頃な長さだし、題材もギリシャ神話のオルフェウスのエピソードをほぼそのままなぞっているのでわかりやすい。

アーノンクールが指揮する古楽器のオーケストラも舞台と隣接する形で配置されているので、頻繁に映像に登場するし、舞台美術の大事な要素になっている。マイムではあるが、一部の楽器は舞台上で演奏されたりもする。マイムと言えば、舞台で演じる人も演じながら実際に歌っているわけではないようである(いわゆる口パク)。

前半は正直言って冗長な場面が続く。やはりクライマックスは冥界の場面、すなわちオルフェオが歌の力で三途の川の渡し守の心を動かす場面、それから冥界から妻であるエウリディーチェを連れ戻そうとするのだが、神との約束を破って冥界を脱出する前にエウリディーチェを見るために振り返ってしまう場面である。500 年前に書かれた音楽とは思えない劇的な展開である。

30年前に撮られた映像はさすがに時代を感じさせる。意図的かどうかわからないがスムースでない編集の跡は映画の黎明期のそれを想起させて、ある種のノスタルジーを感じる。

アーシーな色彩に統一された地上のシーン、それとは対照的にモノクロームな冥界のシーン、それらを常に傍観する神々や合唱、という対比も面白い。

オペラ自体は非常に楽しめたのであるが、こういった初期バロックの曲調をいわゆるベルカントで歌うのが適切なのかどうか?といったあたりがちょっとひっかかった。これを確認するには近年の純粋にピリオド的なアプローチの演奏を聴けばいいのかな?

ボックスに入っていた残りの2作品、《ポッペアの戴冠》と《ウリッセの帰還》はそれぞれDVD2枚組。ちょっと敷居が高いかも。

モンテヴェルディ

ということで最近はルネサンス~バロックの音楽三昧。

オペラにも手を出してみたいと思っていたのだが、やはり映像があった方がよかろうということで、モンテヴェルディのオペラ三作の DVD ボックスを買ってみた。amazon.co.uk から 25 ポンド。現在の日本円で 3000 円ちょっとくらいか。

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モンテヴェルディは少なくとも18曲のオペラを作曲したらしいが、全体が現存しているのはこのボックスに収められている《オルフェオ》《ウリッセの帰還》《ポッペアの戴冠》の3作だけらしい。

これらの映像がチューリッヒ歌劇場で収録されたのは1970年代後半、いわゆるピリオド的なアプローチとしてはかなり初期のものなのではないだろうか。

バッハ研究で有名な磯山雅さんなどは、これらの作品がほとんど最初期に書かれたオペラであるにも関わらず、「《オルフェオ》以後のオペラ史はもはや進歩を止めたのではないか、とさえ思えてくる。」(講談社・バロック音楽名曲鑑賞辞典)とまで言っている。そのあたりを確認してみたい。

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今日から優先予約が始まった 5/4(日程は未確定)のハンブルガーSV対ヴォルフスブルクのチケットを確保。息子の同級生ご家族と一緒に観戦する予定。(このご家族はひょっとしてブンデスリーガ観戦デビューかな?)

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夕飯が済んだ午後8時頃、玄関のピンポンが鳴った。こんな時間に(しかもアポなしで)人が訪ねて来ることはほとんどないのだが、ガブリエルが自宅で焼いたというピッツァを持って来てくれた。

おすそ分けをもらうのはこれで何回目だろう?息子がガブリエルから聞いたところによるとイタリアではピッツァはお父さんの料理らしい。ガブリエルのお父さんであるところのロベルトが作ったピッツァは本当においしいのである。(息子は何回か昼食をごちそうになっているので)生地を延ばしてトマトソースとチーズを乗せただけの本当にシンプルなピッツァなのであるが。

(なんか WordPress に画像をアップロードできないので、画像は後日載せます。)

3/2 の徒然

週の後半から、頭はボーッとするし、目はかゆいし、鼻水は出るし、喉も少し痛いし、からだもかゆいし … といった症状が続いていた。

今朝、妻が昨年もらったという薬を飲んだらこれらの症状が緩和された … ということは、花粉症の症状だったということか?もう、白樺の花粉も飛んでいると聞いているし …

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息子は今日もガブリエルと遊ぶ。ガブリエルはサッカーの試合があったらしいのだが、それらが終わった午後5時30分頃に来てくれた。

今日は前から約束していた通り、息子の希望でガブリエルにうちで夕食を取ってもらった。なかなか食文化の違いもあって(しかもガブリエルはけっこう好き嫌いが多い)メニューは難しかったのだが、セルフで作るホットドッグ、サラダ、スープ、チキンナゲットやフライドポテトのような揚げ物、ということになった。まあ、喜んでもらえたようでよかった、よかった。

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最近はバッハ以前の初期バロックを聴いている。思い返すと、もともと近現代音楽を好んで聴いていた嗜好がハンブルクに住んでいるうちにどんどん遡っていっている。(ちなみに、ひとまずちゃんと「セイキロスの墓碑銘」までは遡ってみている)

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ラ・ヴェネクシアーナというヴォーカル・グループによるモンテヴェルディのマドリガル集。ちなみにこのグループは全9巻、200曲以上にものぼるモンテヴェルディのマドリガルを全曲録音している。

少人数に研ぎ澄まされたアンサンブルが心地よいが、ときおり大胆に不協和音が使われるのも面白い。

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コレッリの合奏協奏曲(コンチェルト・グロッソ)。Naxos Music Library 上にある全曲を録音した団体の演奏を聞いてみたのだが、あまりパッとしたものがなかった。ひとまず個人的にはこれがベストかな。モダン楽器でピリオド的なアプローチである。

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さてブンデスリーガ。前日(金曜日)の試合で4位にいたフランクフルトが負けたし、今節はかなり格下のフュルト相手なので、勝てば上位に肉薄するチャンス! … と思っていたのだが、残念ながら 1-1 の引き分け。やはりディフェンスが安定しないし、試合全般にわたってかなり押し込まれていたように思う。試合終了後のブーイングもかなり凄かった。

ヴォルフスブルクに大勝したシャルケに抜かれて暫定7位。日曜日の試合でマインツが勝てばさらに抜かれて8位まで落ちてしまう。3/30 に、首位を走る(そして優勝がほぼ決定的な)バイエルン・ミュンヘンと当たるまでは与し易い相手が続くので取りこぼさないで欲しいのだが。

 

 

健康診断

出向元の会社から年に一度義務付けられている健康診断。今年は妻と一緒に行くことにした。Bergedorf の病院に日系人の医師がいらっしゃるので、例によってそこを予約していた。

私は胃カメラと腸カメラでの検査をお願いしているので、前日の夜から食事を摂れない。それでも、定位置に座って妻と息子が夕食を食べているのを尻目に胃腸を洗浄するための下剤を飲む。下剤は粉末状の薬を水に溶かして2リットル分飲まないといけない。実際のところはよくわからないのだが、下剤を飲むと体温が下がって体全体が冷え込んでしまうような気がする。毎回これが嫌だ。

で、当日。胃カメラと腸カメラは全身麻酔をかけて行うので自分で車を運転していくことができない。病院の方で手配してくれたタクシーが迎えに来ることになっている … が、例によって時間通りに来ない。病院に確認をお願いしたところ、「間違って空港に行ってしまった」(どこをどう間違ったらそうなるのかよくわからないが)とのことであらためて来てもらうことになった。8時15分に頼んでおいたものが実際に来たのは9時過ぎ。

病院に着いて、これもいつも通りだが、エアロバイクをこぎながらの心電図測定、超音波による甲状腺、リンパ腺、前立腺の検査、検尿、採血、胃カメラ、腸カメラ、呼吸器系の検査を行う。

全身麻酔も慣れたもので(笑)、スコンといつの間にか意識がなくなる感覚が心地よい。ふと、自分が夢を見ているという感覚が戻ったあと、いつの間にか別室(休養室)に運ばれていることに気付く、といういつもながらのパターンである。

年を取ってくると自分の体調が漠然と不安になるし、身近にも病気のために亡くなる人が増えてくる。結果的には血液中のコレステロール値が少し高い以外は特に問題もなかったようで、安心した。相談したところ、コレステロールを減らすにはアルコールの摂取量を減らすのがいいとのこと。できるかなあ?

実は昨年の10月にポルトガルに旅行した時に、人生でもっともつらい腹痛があって2〜3日まともに食事を摂れなかった。その時にも今回診ていただいている先生に相談したのであるが、ひとまずはストレス性の胃炎ではないかということだった。今回も診ていただいたのであるが、やはり一般的な胃炎の兆候はあるが大きな問題ではないということだった。

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バッハを聴き、こんな本を読んでいると音楽の嗜好がどんどん遡っていく。

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今日聴いたのはこんな曲。

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17世紀中頃にオランダで活躍したファン・エイクのリコーダー独奏作品集。リコーダーの名手ダン・ラウリンが全曲を録音しているのであるが、曲数にして150曲以上、CDで9枚分のボリュームである。いろいろなところから採られた旋律と、それを即興的に変奏したような内容である。ダウランドに基づく《涙のパヴァーヌ》がもっとも有名だろうか。

吹奏楽的ネタ。昔 NHK-FM で「ブラスのひびき」を聞いていた方の中には、この番組の放送後の時報(8時だっけ?9時だっけ?)のあとにステレオ試験放送としてリコーダー独奏曲が最初は左チャンネルから、そのあと右チャンネル(左右は逆かも知れない)から演奏されたのを覚えている方もいらっしゃるだろう。その時に使われていた作品はこの「笛の楽園」に収められている《Malle Symen》という曲である。

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15曲のソナタと、それに続く無伴奏のパッサカリアからなる作品集。無伴奏のヴァイオリンによるパッサカリア(あるいはシャコンヌ)というと、バッハの名曲(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の終曲)の先鞭を告げるものである。「ラ – ソ – ファ – ミ」というシンプルな低音の主題の上で変奏が繰り広げられる。曲の構成もバッハほど壮大ではないが、緩やかな起伏が繰り返され、なかなか感動的である。

2/3 の徒然

そういうわけで、今日は息子が漢字検定を受検する日。

会場こそ日本人学校なのであるが、学校は基本的に場所を提供するだけで、試験監督などは父母(実質的にはほとんどお母さんのようであるが)の有志が行っている。

妻も試験監督をやることになっていたようなので、受験者である息子より早く出かけないといけない。妻が出かけたあとで私が息子を連れていくような形になった。

帰りは二人が一緒に帰って来た。息子曰く「ひょっとして満点かも知れない」とのこと。(去年もそのつもりだったのに数問間違えたことは覚えていないらしい。)

合格したら息子にレゴを買ってやる約束になっているので、帰ってくるなり「どれにしようかなあ」とカタログを眺めている。「ちょっと、ことわざ事典で『とらぬ狸の皮算用』の意味を調べてみ?」と言う。

午後からはいつも通りにガブリエルと遊ぶ。ガブリエルはサッカーの試合があったらしく、それから帰って来た午後3時頃に来てくれた。疲れているだろうにご苦労なことだ。

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私はと言えば、ここ数日はバッハの教会カンタータを聴いている。鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの軽やかで洗練された響きが心地よい。以前聞いたこのコンビによるブランデンブルク協奏曲や管弦楽組曲などはあまりに風通しが良過ぎてひっかかるものがなかったのだが(もちろん、それはそれで文句のつけようのない演奏なのだが)、カンタータはあまり演奏による味付けがない方がバッハの音楽そのものの美しさが立ち上って来るような気がする。

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教会カンタータは基本的に礼拝の際に演奏され、歌われるために作られた。曲の作られた背景や歌詞そのものがもう少し理解できればより楽しめるのだろうが、まだまだその域までは到達できない。前にも感じていたのであるが、ドイツに住んでいる間に「キリスト教」についてもう少し感覚的に(日常の隣りにあるものとして)理解したいと思う。

途中で、作曲家である藤倉大さんの Twitter で、昨日ロンドンで開催された日本人作品を集めたコンサートが BBC のネットラジオで(期間限定ではあるが)聞けることが告知されていたので聞いてみる。

http://www.bbc.co.uk/programmes/b01qdy5x

  • 西村朗:鳥のヘテロフォニー(イギリス初演)
  • 望月京:結び(イギリス初演)
  • 武満徹:ノヴェンバー・ステップス(イギリス初演)
  • 近藤譲:表面、奥行き、色彩(イギリス初演)← これだけ室内楽で別の演奏会からの録音
  • 藤倉大:アトム(ヨーロッパ初演)
  • 細川俊夫:夢を織る(イギリス初演)

大野和士指揮 BBC 交響楽団

演奏会では三善晃さんの交響詩《連祷富士》も取り上げられたようなのだが、残念ながら放送されなかった。

西村作品(や放送されなかった三善作品)はともかく、その他の作曲家には細かいテクスチャーを織るような作風が見られる。このような作風が日本人作曲家の特質として認知されているのだろうか?そういえば望月氏も藤倉氏も細川氏も海外での活躍の方が目立っている。

演奏の方も日本の演奏団体よりも乾いてはっきりとした音色。これらのきめ細かい作品に合っていたと思う。面白かった。

で、これらの音楽を聴きながら吹奏楽コンクールデータベースの更新。(更新告知用に専用の Facebook ページを作ったのであるが、さすがに制作中のつぶやきを載せるのもどうか … という気がするので、そういった話はこちらに書く。)

ちょこちょこと変更しながら、それが一段落つかないうちに次の変更に手を入れてしまっているので、公開しているページと開発用にローカルに作っているページがどんどん乖離してきてしまった。どこかで「えいや」と同期したかったので、ひとまずまとめることにした。

アップロードする際(ドイツ時間の夕飯時直前)にちょっとミスをして3時間ほどアクセス不能な時間ができてしまったのはちょっと反省。

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これを書き終わって投稿しようとしたら、Wordpress から「投稿する権限がありません」というエラーメッセージが。よくよく調べてみたら、Wordpress がデータを保持している SQL データベースのうち、投稿を保持している wp_posts というテーブルが壊れていることがわかった。先日サーバーを切り替えた時点までのデータベースはバックアップを取ってあるので何とかなるのだが、それ以降の投稿がなくなるとちょっと悲しい。幸い “repair table wp_posts” という SQL コマンドで何とか復旧させることができた。やはり転ばぬ先のバックアップだなあ …

今日届いたもの

届くときはいっぺんに届くの法則。

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先週注文したワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》のブルーレイディスク。イギリスのグラインドボーン音楽祭での収録である。「正統的ドイツ」というよりは「イギリス」っぽさがジャケット写真からも垣間見えるが、まあよかろう。

ニュルンベルクへ行く前に見終わることができるといいのだが …

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1988年から1992年にかけてアメリカのラジオ局 Westwood One が「The Lost Lennon Tapes」という番組を放送していた。そのタイトル通り、ジョン・レノンが残したテープ、つまりインタビューやデモやアウトテイクなどを流しながらジョン・レノンの生涯をたどる、というなかなか大規模なプロジェクトだったようだ。ビートルズのアンソロジープロジェクトがスタートしたのが1995年、ジョン・レノンのアンソロジーアルバムが出たのが1998年だから、放送の中で流れた未発表曲/未発表テイクはかなりのインパクトを持って受け止められたのではないかと思う。

(残念ながら私はリアムタイムで聞いていなかったので推定でしか語れないのであるが …)

放送されたマテリアルは、本放送開始前の3時間プレビューと全部で218回放送された50分の本放送からなる。この本はそれらの放送の中で流された曲、インタビューなどのリストである。

まあ、ひとまず資料として持っておきたかった。

もう一つの誕生日プレゼント

自分のために買った2つ目の誕生日プレゼントが長い時間と距離を経て本日到着。

(ちなみに1つ目はメトロポリタン歌劇場の《ニーベルンクの指環》のブルーレイディスクだった。)

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ドイツ・グラモフォンが所有するカルロス・クライバーの映像を全て収録したDVD10枚組。

初回限定生産ということで基本的には世界中のショップからなくなっている。amazon.com のマーケットプレイスで比較的安価で(それでも定価以上だったが他のプレミア価格に比べれば良心的)購入した。

発送はシンガポール。最近悪評ばかりが聞かれるドイツ税関に止められてしまっていたので、今日必要書類を持て引き取りに行った。

基本的にドイツへ輸入される荷物には外側に商品価値を示したインボイスを添付する必要がある。それが貼られていなかったので、「本人を証明する書類(一般的にはパスポート)」と「物品の価値とそれが送付されたことを示す書類(amazon.com が発送した際の Shiping Information)」を持って取りに来い、とのこと。物品が正しく発送されていることを確認して、物品価値を算定して、そこから支払うべき関税が決められる。関税は19%である。

クライバーがウィーンフィルを振ったベートーヴェンの交響曲第5番と第7番をすごく気に入っていたので、彼が振ったブラームスの交響曲第4番も聞いてみたくなった。(ただ、この第4番、CDはウィーンフィルだが、DVDはバイエルン放送響)

他にもウィーンフィルのニューイヤーコンサートを振った映像とか、リヒャルト・シュトラウスの《ばらの騎士》(これはバイエルン歌劇場とウィーン歌劇場を振った2種類の映像がある)とかもあるので、とりあえずボックスで買っておこうと思ったしだい。

*****

それから、今年の冬はニュルンベルクのクリスマスマーケットに行ってみる予定なので、ワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》もちゃんと見てみたいと思い、ブルーレイディスクを購入。この歌劇のブルーレイは2種類しかでておらず、しかも片方(バイロイト音楽で収録されたもの)は斬新な解釈とかで賛否両論。イギリスのプロダクションではあるが、比較的オーソドックスな演出の方を買ってみた。

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完結

楽劇《神々の黄昏》第3幕を見る。これでメトロポリタン歌劇場の新しい《ニーベルンクの指環》も最後まで到達ということになる。

4時間30分のオペラを約1分にまとめた(笑)トレーラーはこちら。

まず主役の2人がよかった。すなわちデボラ・ヴォイトが演じるブリュンヒルデの「姉御」っぷり、ジェイ・ハンター・モリスが演じるジークフリートの天真爛漫さというか、「何も考えていなさそう」な雰囲気というか、が個人的にしっくりときた。

それに比べると悪役たち(ハーゲン、グンター、グートルーネ)の毒が少なかったのがいまいち。ハーゲン役のハンス=ペーター・ケーニヒは《ヴァルキューレ》でも敵役であるフンディンクを演じていたのであるが、へたに気品があるのであまり憎まれ役には向いていないのかも知れない。

しかし、歌手としての全体的なラインアップはいわゆる「ヴァレンシア・リング」よりは格段に上。また、《ジークフリート》と《神々の黄昏》はレヴァインではなくファビオ・ルイージに替わっているのであるが、予想通りかなり堅実な音楽を作っていた。レヴァインに比べると派手さがないのだが、まあもともとこういうキャラクターの音楽を作る人だし。

あらためて思ったのだが、ワーグナーの意図に忠実な演出となるとどうしても最終場面に無理があると思った。最終場面は「ジークフリートの亡骸を包む炎にブリュンヒルデとその愛馬グラーネが飛び込む」 → 「ライン河畔にあるギービヒ家が崩れ、ブリュンヒルデが持っていた指環は無事ラインの乙女たちのもとに戻る(ハーゲンは指環を追いかけて行って溺れてしまう)」 → 「そして神々の住むヴァルハラが崩壊する」という流れになっている。これをそのままシーケンスとしてつなぐとどうしても不自然になるし、ヴァルハラの崩壊は突然規模の大きな話になるのでそれまでの流れに比べてどうしても安っぽく感じてしまうことになる。

全般的には違和感なく見てくることができたのだが、最後の最後で原作に忠実であるがゆえの不自然さを感じてしまった。というわけで最終部分だけ「ヴァレンシア・リング」を見直した。上記の全てのエピソードを強引に一つの舞台で見せているのであるが、これはこれでヴィジュアルなインパクトがあるのでとても好きな場面なのである。

しかし、この「新メト・リング」(もう愛称はあるんですかね?草津の湯もみ板リング?)を見たあとで「ヴァレンシア・リング」を見ると、その衣装やメイクの奇天烈さに笑ってしまう。

カーテンコール。「ヴァレンシア・リング」ではオーケストラの演奏者も全員ステージに上がってカーテンコールを受けるのがかっこよかったのであるが、「新メト・リング」では最後のカーテンコールが終わったあとのカーテン裏の歌手たちの表情がとらえられているのがよかった。

しかし《指環》全曲が綺麗な画質で安く見られるようになったのはいいことですなあ。「新メト・リング」のセットは100ユーロ弱だから日本円で10000円しないくらい。私が初めて買った《指環》全曲はサバリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場のレーザーディスクで当時は80000円した。

 

11/11の徒然

今日は珍しくガブリエルが遊びに来なかった。息子が先週もらったピザの台(木製の皿)を返しに行ったら不在だったそうだ。

ということで、比較的まったりと過ごす。

今日は珍しく朝から天気がよかったので、思い立って妻の車のタイヤ交換をすることにした。以前からいろいろ書いているが、ドイツでは冬の間いわゆる「冬タイヤ」を履いて走らなければいけない。おそらく11月中に雪が降ることはないと思うのだが、先延ばしにしているとどんどん寒くなってタイヤ交換のモチベーションが下がってしまうので、暖かい日に替えることにした。

そのあとは、久しぶりに息子とサッカー。ちょっとトリックプレーをしたりするとすぐに息が上がってしまう。日々少しずつでも体を動かしておかないといけないなあ … と思う。

例によって、バンドジャーナル2月号の特集「コンクール自由曲集計」の記事を書かせていただけることになったので、いろいろと資料をまとめている。前年まで Excel を使って手作業でやっていたものを、今年からはなるべく自動化してチェックする手間を少なくしようと思い、吹奏楽コンクールデータベースをもとにしてスペシャルプログラムをちまちまいじる。考察の裏付けとなる資料をいろいろ添付しようとするとページが足りなくなりそうなのでちょっと心配 …

今日は夕食も早く、息子も疲れたらしく早く寝付いたので、なかなか先へ進めなかった《ニーベルンクの指環》のブルーレイを見ることにした。(ブログには全然途中経過を書いていないが)今日は《神々の黄昏》の第2幕。ジークフリートに騙されて嫉妬に駆られた(キレた)ブリュンヒルデがうっかりジークフリートの弱点を口走ってしまう … というあたりのお話である。

ジークフリートやブリュンヒルデの熱演に比べると、悪役としてのハーゲンやグンターなどがちょっと淡白なのが気になる。あと第2幕は舞台がギービヒ家(ハーゲンやグンターの居宅)だけなので、注目の舞台セットもあまり印象的ではない。

ということで残り1幕なのだが、いつ見ることができるかな …