メトロポリタン歌劇場/ヴァルキューレ

先日買ったメトロポリタン歌劇場の《ニーベルンクの指環》(新しい方)を粛々と見続けている。

本日、第2作の《ヴァルキューレ》を見終わった。

《ラインの黄金》に比べると登場人物が極端に減り、二者による対話の部分が多くなる。それだけに冗長に感じる部分も多い作品である。以前から、第1幕のジームムントとジークリンデの会話、あるいは第2幕のヴォータンとフリッカの会話あたりでつまずいてなかなか先へ進めなかった … ということに気付いてから、初心者はこのあたりはあまり集中せずに流した方がいいと思うようになった。

で、重要なところは第3幕。ヴォータンの意思(ジークムントとフンディンクの決闘においてフンディンクを勝たせる)に背いてジークムントを助けてしまったブリュンヒルデが、ヴォータンの怒りによって神格を奪われ、炎で包まれた山の中で永い眠りにつくところである。

最初、ヴォータンは怒りに駆られているし、ブリュンヒルデはヴォータンの主張の矛盾をつく(ヴォータンは最初ジークムントを勝たせることにしていたのだが、妻であるフリッカに押し切られてこの意思を翻したのだった。ブリュンヒルデの主張はもっともである)。この感情がだんだん変化してくる。ヴォータンは娘であるブリュンヒルデに「もう二度と会えなくなる」ことに後ろ髪を引かれるし、ブリュンヒルデも神格を奪われることを承諾し、もうすぐ生まれてくるであろう英雄ジークフリート(この時点ではまだ生まれていない)に見いだされることを願って、自分の回りを勇者でなければ越えられない炎で包んでもらうようにヴォータンに懇願する。このあたりの二人の会話が感動的である。

先日見た、メータ指揮ヴァレンシア歌劇場に比べると、総じて歌手も管弦楽も優秀なので、そちらに比べると音楽そのものにのめりこめる。《ラインの黄金》でも書いたが、ロベール・ルパージュの演出は効果的であるが、舞台の進行を邪魔しないのがよい。

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このブルーレイのボーナスコンテンツとして「メトロポリタン歌劇場金管セクションによるラートモティーフ集」というショートフィルムがついている。ふだんなかなかじっくり見ることができないバストランペットやワーグナーテューバの楽器そのものや音色を楽しむことができる。

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