Category: 日記

  • メキシコの祭り

    定期演奏会の選曲のために注文していた H.オーウェン・リードの《メキシコの祭り》のフルスコアが届く。今回は早く入手したかったので、在庫を確認できるJW Pepperで注文した。 4月6日にオンライン注文して即日発送、12日に届いたのだから一週間かかっていない。 JW Pepper の到着新記録かもしれない(笑)。 例えば、冒頭の鐘が打ち鳴らされる中で花火が打ち上げられる描写、第1楽章の後半のアズテック・ダンス、第3楽章中間部のいかにもメキシコ風の旋律など、素材の面白さはわかる。しかし、正直言って作品全体を聞いた時の冗長さが感じられてあまり好きではなかった作品である。 少しスコアを読んでみると、いかにも「交響曲」と言えそうな息の長い展開が冗長に聞こえていたような感じである。聞かせようによっては面白く聞かせられるのではないかと思う。逆に言うと私が聴いてきた演奏がこのへんをうまく聞かせていないのか? ちょっと固め聞きをしたところ、やはりアメリカ海兵隊バンドがいいサウンドを聞かせる。 大阪市音楽団もなかなかいい感じなのだが、最後の最後がちょっと物足りない。 フェネル/イーストマンの演奏はかなりアクの強い演奏だが雰囲気は悪くない。出版された年(1954年)に録音されたという同時代性も参考になるのではないか。 このスコアは全て実音で書かれている。プロコフィエフのスコアもそうなのであるが、直感的に曲を捉えにくい。 そういえば、以前森田一浩さんのレクチャーでうかがったのであるが、移調楽器は概ね五線の内部かちょっと上にはみ出すくらいがいちばん鳴らせるような音域に移調されているのだそうである。 ***** 《ブルー・インパルス》《オーバー・ザ・ギャラクシー》《オンリー・ワン・アース》などの吹奏楽曲や、小津安二郎の映画音楽で知られる斉藤高順さん死去。合掌。

  • BCL3

    ブレーンからリリースされている「バンド・クラシック・ライブラリー」シリーズの解説を書かせていただいている。ご好評をいただいているようで第3弾の企画が決まり、今回も解説を書かせていただくことになった。個人的には前作、前々作にも増して好きな作品が揃っている。ひょっとしてビッグなおまけが付くかもしれないので、期待してお待ちいただきたい。

  • 楽譜乱れ買い

    期末ということで、ヤマハミュージック浜松店では輸入楽譜の半額セールをやっていた。メシアンの《世の終わりのための四重奏曲》と、ヒンデミットの《画家マチス》を買う。 《世の終わりのための四重奏曲》はヴァイオリン、クラリネット、チェロ、ピアノという編成による四重奏曲。第二次大戦中にメシアンが囚われていた収 容所の中で作曲・初演された作品である。この作品がこのような編成になっているのは、メシアン(ピアノ)が収容所で出会った演奏家が演奏する楽器だったからだそうである。ピーター・ゼルキン(ピアノ)やリチャード・ストルツマン(クラリネット)らが結成した「アンサンブル・タッシ」はこの作品の編成と同じ メンバー構成で、もちろんこの作品の録音も残している(が、私はまだ聴いたことがない)。また、武満徹はこのアンサンブル・タッシのために「カトレーン」 という作品を書いている。 この《世の終わりのための四重奏曲》はタイトルから想像されるほど悲観的な音楽ではない。むしろ宗教的な救済を希求しているような穏やかな曲調であ る。例えば《トゥランガリラ交響曲》のような色彩感があるわけではないので「感覚的に」とても長く感じるのであるが、それを除けばそれほど難解な音楽ではないと思う。(まあ、私も耳だけでは長さを克服できないのでスコアを買ったわけなのですが …..)「鳥の声」とか「移調の限られた旋法」とか「不可逆リズム(でしたっけ?)」などメシアンを語る上での重要な語法がかなりわかりやすい形で提 示されている。 《画家マチス》も聞いただけではよく分からなかったのでスコアを買ってみたしだい。 あわせて、クイーンの紙ジャケ第2弾の6枚と、LOVE PSYCHEDELICO の新譜「III」と、坂本龍一の新譜「chasm」を。

  • ロンドン日記(その2)

    ロンドンで朝から夕方までみっちりミーティング。どうも、個人的に「イギリス式英語」は聞き取りにくい。母音の妙な癖のために単語を認識しにくいのである。 ミーティング場所(勤務先の現地法人の研究開発セクション)はロンドンの西の外れの Chiswick Park という駅の近くにある。この隣に Turnham Green という駅があるのだが、実は以前ロンドンに遊びに行った時に泊まった B&B の最寄り駅がこの Turnham Green だった。地下鉄で通った時に初めて気付いたのだが、海外で同じ場所を何度も訪ねるという機会は少ないのでとても懐かしい。 ミーティング後は近くのパブへ。ギネスを1パイントおごってもらう。一応、私が住んでいる浜松にもギネスの生黒ビールが飲める店はあるのだが、日本 に入ってくるとかなり苦味が増してしまうような気がする。黒ビールを敬遠する人が多いのはそのせいではないかと思っているのだが。あちらで飲むのは香ばし くまろやかである。 宿泊は Hammersmith にあるホテル。ごぞんじホルストが吹奏楽曲で土地の情景を描写した、あの「ハマースミス」。もはや、あの曲で聴かれる牧歌的な雰囲気はなく普通に都会であ る。駅の近くには数々の名ライブで知られる「ハマースミス・オデオン」(現在はハマースミス・アポロ)がある。ちなみに Reference Recording からリリースされているダラス・ウィンド・シンフォニーのホルスト作品集のジャケットは、地下鉄ハマースミス駅の看板である。 (後日付記)この出張はとにかく働きっぱなしだった印象です。朝起きたら仕事場へ直行して夕方まで打ち合わせ、ホテルに帰ってきたら夕食を取りながら仕事の続きの議論、ずっとそんな感じでした。ロンドンのあとスイス(チューリヒ)へ行ったのですが、ブログを書く気力もないほど疲れ切っていたのでしょうなあ。

  • ロンドン日記(その1)

    急遽、海外出張のためにヨーロッパへ行くことになった。 初めてブリティッシュ・エアウェイズに乗る。エコノミーでも結構広めでなかなか快適。パーソナルビデオもある。席はけっこうガラガラで、ひとりで窓 側の3席を占領することができた。私の後ろでは学生の卒業旅行らしきいくつもの集団がいて、それぞれに雑談している。話の内容を聞いていると気分が高ぶっているらしいのが見て取れてなかなか微笑ましい。 パーソナルビデオなのでビデオだけでも18チャンネルある。結局「ファインディング・ニモ」を2回見てしまった(フライトは12時間)。確かにいい映画だ。 今回は機内用防塵保湿マスクというのを買ってみたのだが、これがなかなか優れもの。唇は荒れないし喉や鼻は乾燥しないし、長距離フライトには必需品になりそう。

  • 聞く人に伝えるための技術

    久しぶりに堀越昭宏さんのホームページを訪れたら、かなり様変わりしていてびっくり。この方はキーボーディストなのだが、実は私のトランペットの大先輩である。シンプルに「かっこいい音楽とは何か?」という考え方について、私は堀越さんから多くのものを教わったと思っている。 常々考えていることであるが、私は「吹奏楽に携わっている」という以前に「音楽に携わっていたい」と思っている。だから、吹奏楽という狭い世界でのみ通用する「どこかの国のマスゲームのようなポップスの振り付け」だとか「誰も聞いたことがなさそうな管弦楽曲を演奏してしまう」という行為に違和感を感じているのである。堀越さんの日記を読んでいて目から鱗が落ちた。プロのみならずアマチュアでも、聴衆の前で演奏するからには絶対に考えておかなければならないことなのではないだろうか。 もちろん音楽なんだから、エモーションが全てに優先することは言うまでもないが、 聞く人に伝えるための技術というのは絶対に存在するし、必要なのだ。  

  • シンクロニシティ(ウォレン・ベンソン/フランク・ザッパ)

    日記にも書いているように、最近ウォレン・ベンソンの《落葉》のスコアを読んだり、フランク・ザッパを聞いたりしているのだが、《落葉》のスコアに載っているウォレン・ベンソンの文章を読んでびっくり。 《落葉》には賛美歌377番「神はわが砦」が引用されているのであるが、ウォレン・ベンソンにこの賛美歌を紹介した学生が、後にフランク・ザッパのバックでマレット・パーカッションを叩くことになる、人呼んで「超絶マリンバ娘」ルース・コマノフ(バンドメンバーであったイアン・アンダーウッドと結婚していたため在籍時はルース・アンダーウッド)だったそうである。

  • 京都でザッパ

    やっぱり京都へ行くとJoe’s Garageに寄りたくなる。銀閣寺行きバスで京大農学部前下車。 まずは久しぶりにマイルス・デイビスのブートレッグを眺める。そもそもマイルスのブートレッグを置いているような店に入るのが久しぶりだ。以前はいわゆる「黄金のクインテット」(しかし、このネーミングは何だかな)のライブを集めていたのだが、最近はいわゆる「電化マイルス」(このネーミングもちょっと変)の方に興味が移っている。 「マイルスを聴け!」やいろいろな掲示板で話題になっていた《Another Unity》を見つけたので買うことにした。1975年の東京厚生年金会館でのライブ。この年の大阪公演は《アガルタ》《パンゲア》という公式盤で発表されているが、それに勝るとも劣らない演奏らしい。この年以降マイルスは6年間の演奏活動停止に入るわけなので、「ジャズの最先端を走り続けてきた」マイルスの総決算とも言える時期の演奏なのである。(活動再開後のマイルスも嫌いではないのだが、やはりこの時期と比べると「ぬるい」。)それからワーナーから発売予定だったボックスセットに収録予定だった未発表音源集の《Black Album》も買ってみた。あったら買おうと思っていた音楽活動停止中の音源集(活動停止と言いながらスタジオでの録音は続けていたらしい。TDKのCMに出演した際の録音も含まれているらしい)は残念ながらなかったようだ。 あと最近気になっているフランク・ザッパを何枚か。ちなみに「Joe’s Garage」というお店の名前はザッパのアルバムのタイトルから取られている。前にも書いたように、お買い上げ袋はヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「バナナ」(by アンディ・ウォーホール)なのであるが。 ザッパは非常に守備範囲の広いミュージシャンで、さまざまなスタイルの音楽についてのアルバムを発表している。したがって全貌というものを把握しにくいわけで、出会いとなるアルバムによってその印象がかなり異なる。私の場合、最初に買った《フィルモア・ライブ》は普通のアメリカン・ロックのようでいまいちピンと来なかったし、ピエール・プーレーズがアンサンブル・アンタルコンタンポランを率いてザッパ作品を演奏した純然たるクラシック作品集《パーフェクト・ストレンジャー》も「まあ、こんなもんかな」という感じだったし、それほど注目すべきでもないなと感じていた。そんな認識が変わり始めたのが、《ホット・ラッツ》や《ジャズ・フロム・ヘル》といった、いわゆる「ジャズ・ロック」という範疇に含まれるインストゥルメンタルものを聴いてからである。特に後者はほとんど打ち込みによる変拍子ジャズなのであるが、打ち込みゆえのクールさがとてもかっこよい。そんなわけでちょっと深く入り込んでみようと思っているしだい。(しかしアルバム全部集めると60枚くらいあるんだよな …) あとは、なかなか地元で見つけられなかった紙ジャケを。上記ヴェルヴェッツの「バナナ」の姉妹編とも言えるニコの《チェルシー・ガール》とヒプノシスのデザインが面白いキャラヴァンの《カニング・スタンツ》。

  • 韓国→福岡→京都

    韓国から帰国。この日はとりあえず博多から京都まで移動。博多駅には精華女子高校がマーチングフェスティバルで金賞(?)を受賞したという垂れ幕がかかっていた。 博多港国際ターミナルから博多駅までの移動の途中で、博多駅近くにある「新星堂」に寄るが特に収穫はなし。(こんなギリギリのタイミングで何やってんだか …)

  • 韓国からおめでとうございます

    あけましておめでとうございます。 今年の正月は韓国の古都・慶州(キョンジュ)で迎えた。 ホテルではNHKの国際放送が見られるので「紅白歌合戦」に続けて「ゆく年来る年」という日本と変わらない年越しであった。ちなみに例の日本語解禁を受けてのTUBEのコンサートもちゃんと放送されていたし(そんなに長く見なかったけど)、別のチャンネルではK-1の昔のダイジェストも放送されていた。 韓国では中国などと同様に旧正月の方を盛大に祝う習慣があるらしく、特ににぎやかでもなく静かな新年であった。しかし、この慶州にある世界遺産の仏国寺(プルグクサ)に二年参りに行くのが流行りのようで、観光に行くのは元日の午後からの方がいいと言われた。 というわけで、今年もよろしくお願いいたします。